がちゃのメモ帳

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「アリのストーカーと空白の右サイド」 プレミアリーグ 第13節 トッテナムvsチェルシー レビュー

Jリーグ以外の記事は初投稿になります。
今回はプレミアリーグのビッグマッチ、トッテナムvsチェルシーを振り返って参ります。

まず始めに両チームの試合視聴状況ですが、チェルシーは前節のエヴァートン戦をフルで見ました。トッテナムは率直に言うと全然見てません。すみません。でも選手の特徴やチームスタイルはそれなりにわかっているつもりです。

ざっくり言うとボールを保持したいチェルシーと奪ってから素早く攻めたいトッテナムという戦いになると予想しました。大枠で言えば実際もそうなりましたね。
チェルシーのボール循環システムをトッテナムがどう妨害していくのか、逆にチェルシーはそこをどう掻い潜るのかというのが戦前からのポイントとなっていたと思います。


それでは試合の方に話を移しましょう。

スタメンは以下の通り。

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アルデルヴァイレルトは名前が長すぎて見にくくなるのでトビーにしました。笑
私がちゃんと見たことないのはトッテナムのフォイスだけで他の選手の知識はありました。(助かった。)ケパも前節しか見てませんが、なんとなくの雰囲気は掴めてます。

シソコがCHに入るのか!と思ってしまいましたが、調べてみたら直近の何試合かはそういう布陣を取ってたんですね。



◆前半

トッテナムは開始早々から前向きの矢印を強めにして戦います。キックオフのときの位置取りを見たらそれが如実に表れてますよね。徒競走のスタート前みたいに、よーいどんで一気に走り出すみたいな。試合を見てないからわからないんですけど、トッテナムはいつもこのスタイルなんですかね?

そして1分とたたない内にCKを獲得。ガンガン攻めます。奪われてもすぐ取り返せば良いという考えの元、相手PA付近からすっげえプレスかけます。補足までにですが、チェルシーのCKディフェンスはゾーンで守ってました。

最初の見所でもあった、チェルシービルドアップに対して、トッテナムの妨害方法ですが、やはり
後ろから簡単につながせねーよ
ということでゴールキック時にもケイン、ソン、アリの3人でショートパスを牽制します。ちなみにチェルシートッテナムゴールキックで同じことしてました。ただし、この2チームで異なる点がひとつありました。GKからのキック種類です。
ロリスはケインを目掛けて蹴っ飛ばし、ケインは裏にすらしてそれをソンが狙うという形。トップリーグの中でも機動力・技術ともに優れるソンですから、チェルシーDFはこれを嫌がったと思います。
逆にケパはミドルキックと言いますか、浮き球で中盤の選手に届けようとしました。しかし、前向き矢印強めのトッテナム選手にカットされてあっという間にエリアまで運ばれるといったシーンも多かったです。こりゃいかんと思ったのか、途中からは半端に繋ぎに行くのはやめて、ケパも蹴っ飛ばしてました。


7分にトッテナムがFKから先制します。プレミアの基準で言えば、ケインへのファウルは微妙な判定だったかもしれませんが、序盤から縦に速い攻撃を仕掛けていたからこそ生まれた得点だったと思います。

そのあともトッテナムが支配する時間は続きますが、チェルシーも徐々にボールを持てるようになります。自由に持てている感じはありませんでしたが。
トッテナムボール非保持時のポジション取りは4-3-1-2に近い形をとります。以下のような立ち位置ですね。

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なにか違和感のある箇所がありますよね。中盤の右です。ここ空けてたんですよね。スタメン紹介の図ではあえて中央よりに見せましたが、本来はこっちの方が近いはずです。中盤3枚が左に寄った4-3-1-2になってます。この空いてる右の場所にボールが入ったときにはオーリエが縦スライドで対応します。オーリエが出ていった裏のスペースはシソコがカバーする機会が多かったです。

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オーリエの立ち位置を迷わせて攻めたら面白いのでは、と思いましたが、アザールが中央よりにポジション取りをすることもあり、前半の内にチェルシーがそこを狙う攻撃は数回しか見られませんでした。その数回を簡単に図で出そうと思います。





アロンソがオーリエをピン止めするパターン。
アロンソがオーリエの前に立つことで縦スライドを抑止します。そしてトッテナムから見て中盤右のスペースにアザールが入ってボールを受けます。本来縦スライドしてくるはずのオーリエが動けない状態なので、CHのシソコが横スライドで対応します。ただし、距離がけっこうあるので、アザールには比較的時間に余裕がありました。

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もう1つはアザールがオーリエを引き付けるパターン。
アザールが左に位置を取ることでオーリエが食いつきます。そしてオーリエが空けた場所にアロンソが入っていきます。これは一度だけありましたが、アザールハイボール処理をうまくできなかったために、失敗に終わりました。

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次に触れたいのがアリのポジショニング。両チームのフォーメーションを重ねると分かりやすいのですが、ジョルジーニョのところに丁度合いますよね。そうです、アリはジョルジーニョのストーカー役です。(マンマークのことです。)2トップでパスコースを消しながらCBへプレス。ジョルジーニョに付けられてもアリが激しく寄せて持つ時間を与えません。中盤からバックパスが出た際にアリがそのままCBにプレスをかけにいくシーンもありましたが、このときもジョルジーニョへのパスコースは切りながら走っていました。ジョルジーニョのストーカー役といっても、自分達がボールを持ったときには自由なポジションを取るため、トランジション時にはジョルジーニョから距離が離れている、というケースもありました。そのときには近くにいたソンが代わりにジョルジーニョストーキングをしてました。チームとしてジョルジーニョは確実に消すということが徹底されていたんでしょうね。

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気になったシーンをいくつかピックアップします。



9分、大外に張ったデイビスにパスがでます。これにはウィリアンとアスピリクエタが寄せていきます。アスピリクエタが空けたSB裏のスペースにするするとケインが移動してそこにはリュディガーがカバーに入ります。そうするとチェルシーCB間の距離が遠くなりました。その間にソンが走り込んでボールを受けます。そこからエリクセンとのパス交換で超決定機を演出しましたが、シュートは枠外へ。得点とは行きませんでしたが、味方が入るスペースを作る動きの連動性からチャンスを作り出したシーンでした。CBは2人とも完全にボールウォッチャーになってしまい完全に抜け出されました。

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もう1つはケインのゴールシーン。15分。これ、ケインが意表を突くミドルシュート打ったのがすごいっていうこともありますが、ソンの動きがこの得点を生み出してるんですね。ケインにボールが渡った段階でソンが裏を狙う動きをします。リュディガーはこれを意識し、アスピリクエタとの間にパスを通させないよう、距離を縮めます。ルイスはソンに抜け出されてもついていけるようにラインを下げて対応します。これによってケインが中に入っていくコースが生まれてあのゴールにつながりました。ケインのシュートもスーパーですが、ソンの動きがあってこそのシュートでした。


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前半は完全にトッテナムペース。組織的プレスにチェルシーは完全にハマりました。ジョルジーニョを封じられ、ケパからのパスもカットされる。ロングボールをけってもセカンドを回収される。相手陣深くまで侵入していく術が個人能力を頼ったものばかりになっていた印象です。途中で一度あったのですが、トッテナム最終ラインを下げさせるようなロングボール。ハイプレスを仕掛けていますから、中盤も下がってサポートしなければいけませんが、そうなるとランニング(ダッシュ)の切り返しが深くなるし、走る距離も長くなりますよね。トッテナムからするとこれけっこう嫌なんじゃないかと思ったんですけど、チェルシーの前線でハイボールに競り勝てる人がいなかったのでロストに繋がってしまい、あまり使わなかったのだと思います。あとはチームのポリシー的な部分ですかね。ジルーがトップだったらかなり効いたんじゃないかと私は思いました。




◆後半

両チームともに選手交代は無し。チェルシーはボール回しの方法をどう改善するかがポイントだったと思いますが、アロンソのところを利用していきます。前半の部分でもふれたとおり、トッテナムは右の中盤に人を配置していないため、基本的にオーリエが縦スライドで対応します。前半にはそこまで長いスライドはありませんでしたが、後半はやりすぎとも思える、明らかに長すぎるスライドが何度かありました。ほかの選手もまずいと感じたのか、シソコが横スライドで対応するようになっていきました。ただしどっちにしろきつそうには見えました。場合によってはソンが中盤のサポートに入る場面もありました。


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トッテナムとしてはそこの処置をするというより、ある程度のエリアまでは持たれることを許すことでボールサイドから中央を固める手段にしたと私は思いました。そのため、前半のようなショートカウンターは減り、チェルシーが押し込む時間が多くなります。

後半開始10分以内でチェルシーがシュートチャンスを迎えますが、枠内に飛ばせず。
そうすると54分、トッテナムの逆襲にあいます。
トッテナム陣内深い位置にドリブルを仕掛けていったアザールがロスト。そこから前目に残っていたソンへシンプルに縦パスが出されます。ここでサイドでソンと対峙するのはジョルジーニョ。ソンのスピードについていけないジョルジーニョは簡単に振り切られます。ルイスも中途半端に食いつき簡単に交わされてゴール。ソンの個人技も圧倒的なものでしたが、チェルシーの守備の脆さが露呈したシーンでもありました。このゴールが完全にダメ押しとなり、試合はほぼ決まりました。直後にバークリーとペドロを入れてアザールをトップに置く布陣に変えましたが、このシステムにした効果は特に感じませんでした。

アリは前半と変わらずジョルジーニョを徹底的にストーキング。ジョルジーニョがあえてサイドに流れ、アリを引き付けることで中央を空ける。そこにバークリーが下りてくる、といった形も見せましたが、トッテナムのプレスバックがまあ速いこと。チェルシーの試みは悪くないと思いましたが、トッテナム選手の献身性がそれを上回ったといたところでしょうか。
SBのデイビスがマーカーのチェックに行った流れでGKまでプレスをかけに行ったりしていたのも面白かったです。

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67分、69分には立て続けにトッテナムのビッグチャンスがありましたが、ケイン・アリともに決めきれず。これが決まってたら、チェルシーはとんでもなく煽られていたでしょうね。

70分あたりからはソンが右SHのような位置に入ってトッテナム右の中盤問題を解決しに行きます。75分にはソンに代わりラメラが入ることで完全にフラットの4-4-2になりました。ちなみにジョルジーニョは2トップが監視しています。DFラインで持たれるのはokという感じでした。

82分、カウンターからケインのシュート。組み立て時に最終ラインに入ったジョルジーニョが真ん中にいました。ケインはあえてそこを狙ってドリブル。ジョルジーニョを簡単に外してシュートまで持ち込みました。トッテナムとしてはジョルジーニョの守備力という弱点を狙おうという意図があったのでしょうね。

84分にサイドチェンジのボールに対し、スライドが遅れたことからクロスを入れられてジルーのゴールを許しますが、それ以降もトッテナムは危なげなく試合を締めました。


●感想
トッテナムは組織的なプレスができていてチェルシーはかなり苦しむ試合となりました。エヴァートン戦から続けてジョルジーニョ対策を打たれて攻撃のリズムが作れないといった状況でした。それでもタレントが揃っているので普通にチャンスシーンは作るのですが、
本来やりたいのはこれじゃないんだ!
というサッリの叫びが聞こえてきそうです。

この試合結果によってトッテナムチェルシーを抜き、3位に浮上。今季のプレミアリーグは全然見れてないのですが、上位陣はチームの色が強めで大変興味深いです。Jリーグも次節で最終節を迎えるので、12月以降はプレミアも追っていきたいなと思いました。

3点目で試合が決まってしまった感が強く、後半の部分は内容が薄い感じになりましたが勘弁してくださいませ。


最後までご覧頂きありがとうございました!
それではまた次回お会いしましょう!終わり!!