がちゃのメモ帳

Jリーグをメインに、いろいろな感想を残していきます

2024 J1第5節 東京ヴェルディvs京都サンガF.C. メモ

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スタメン

ヴェルディは木村と山田楓が京都から期限付き移籍のため、契約上出場不可。

京都は前節で負傷した金子が欠場。アピアタウィアが出場停止。

 

流れ

キックオフから強烈にプレスを掛ける京都。

原がCBへ出ていき、サイドを制限し、WGとIHがそれぞれ人を捕まえる。

2分、互いがラインを上げてコンパクトフィールドになる中、京都がルーズボールをうまくつないで抜け出した豊川がそのままネットを揺らすも、VARチェックの結果、オフサイドの判定に。ただ、東京Vは狙って撮ったオフサイドではなく、命拾いしたに過ぎない。

保持時は豊川を内側へ入れて、大外を福田が駆けあがってくる。

互いにゴールキックはロングボールを原、染野に当ててからのセカンド回収で押し上げを図る。

原が起点作りでサイドに流れることはあるが、保持時は基本的に3トップが中央3レーンの中に入ってくる京都。クロスには必ず3トップがターゲットに入る。

ラフに蹴って押し上げるパターンが多いため、ビルドアップ対プレスの構造があまり出てこない展開。

トゥーリオのジャンププレスで松田がSBまでスライドし、佐藤が縦、原がプレスバックで横を消す。原はプレスバック意識がかなり高く、ヴェルディの中盤はなかなか時間をもらえない。

多少バランスが崩れようとも前向きのプレスにガンガン出ていき、プレーの選択をはっきりさせることで強度を上げてペースを握る。

ヴェルディは2トップでプレスを掛けに行くが、京都はIHを下ろして枚数を調整し、保持を安定させる。ヴェルディは後ろがプレス意識よりもブロック意識が高いように見えるので、なかなか全体でプレスがハマってこない。

トゥーリオが外に出て、佐藤がインサイドを抜けていく形が何度か見られる。

21分、京都先制、0-1。セットプレーの流れからヴェルディのクリアを回収し、前線に放り込んだボールを豊川が収めてボレー。ゴラッソ。

25分、京都追加点、0-2。クロスのクリアを回収して松田のスルーパスに抜けた原が振り抜いてゲット。ヴェルディはチャンネルのスペースを突かれてCBもSBも対応できなかった。

26分、松田に警告。

ゴールキックでは両WGが絞ってCBを見て、原がボランチをケアする形の京都。

サイドに追い込まれると相手SBのところで食われがちなヴェルディだが、中央経由で前進のポイントをみつけると相手陣まで行ける。見木と森田の連係が肝。

GKとCBの組み立てで原と松田をおびき寄せ、その背後に見木が入ってくることで中央のポイントを作ろうとしている。ただ、京都もファウル上等で止めに来る。

WGと原のプレススイッチで一気に全員が前に出てくる京都。ヴェルディはサイドに流すと近場のパスコースはほぼ消される。

京都は撤退のフェーズを作らない。一度下がってもバックパスを合図に3トップかIHがホルダーに強いプレスを掛けることで全体を押し上げる。

ヴェルディはプレスに出てきたIHの裏につけて起点を作ろうとするも、京都最終ラインの迎撃がかなり速く、対応できている。むしろそこで前向きで奪えた際にはカウンターに持ち込めている。

38分あたりから京都がテンションを落とし、プレスラインを低めに設定し直したか。それでも一定のところからは下げず、ホルダーにプレスを掛けていく。

トゥーリオは持ったらカットインをまず狙うプレー選択が多い。

IHが遅れて出ていったら、その後ろのマークは川﨑が素早く出ていってカバー。ヴェルディは出てきた選手の背中を取るようにボールを送っているが、少しずれればカバーが間に合うのでシビアなパス精度が求められる。

 

キックオフ後の京都のプレス強度が象徴するように、立ち上がりからテンションを上げて入った京都が主導権を握る。ロングボールの蹴り合いでも京都がセカンド回収で優位に立ち、ヴェルディがビルドアップすればハイプレスでハメ切る。京都のビルドアップも、ヴェルディの中盤より後ろがそこまで出てこなかったこともあり、ストレスなく回せる状態が多かった。その中でセットプレー崩れから豊川のゴラッソで先制。そして、直後に原が追加点をゲット。ヴェルディは比較的後ろ重心で試合を進めており、ペースを握れなくても0-0以上で折り返せればOKというプランもあったかもしれないが、最後の我慢が利かず。保持では見木が第2バイタルにタイミングよく入ってくることで起点を作ろうとしたが、京都の押し出しが間に合っており、最悪ファウルで止められる状況だった。ただ、京都もかなりのハイテンションで入ったぶん、40分前からはプレスラインを下げていたので、後半はヴェルディも自分たちの時間を作れそうな雰囲気はある。

 

後半

ヴェルディ交代

翁長、山田剛→齋藤、稲見

齋藤が右SH、稲見がボランチに入り、松橋が左SH、見木がトップ下に移る。強度アップと保持の質を高める狙い?

48分、福田に警告。ロングボールの競り合いから一歩速く抜けた松橋を倒した。前半に京都がネットを揺らしてオフサイドになったシーンと似ていた。

豊川がCBにアタック。ヴェルディは森田を経由して深澤にはたくも、そこには武田が内側から寄せて蓋をする。空いたところを使えてはいるが、京都が後からでも押し出してくるので時間はもらえない。

ヴェルディは相手プレスを引き出してから下りる染野を狙うがそこには宮本がタイトに張り付き、背後は麻田がカバーすることで起点を作らせない。

森田→稲見とつないで一度IHを引きつけておくことでSBを空けるビルドアップ。森田→SBだとそのままIHのプレスを食らうので、IHを足止めする工程を入れる。

齋藤が低い位置まで下りてきてビルドアップに参加するシーンも。

60分前になってヴェルディが保持を安定させてシュートチャンスを作れるようになってきた。前プレスの強度が下がっているので、IHが出ていった背後を使われやすくなっているか。

60分、京都交

豊川→宮吉

豊川はどこかに違和感を抱えた?

60分、ヴェルディ交代

深澤→山見

山見が左SHに入り、松橋が左SBに移る。左サイドはかなり攻撃的な布陣に。

61分、佐藤に警告。

見木は左に流れて+1を作ることが多い印象。山見が左サイドに張って大外でもらい、見木がチャンネルを走ることでIHをどかしてカットインコースを作る。

60分以降は完全にヴェルディペース。京都は自陣で我慢を続ける。トランジションから押し返すポイントが作れず、陣地が上がっていかない。

68分、染野に警告。

京都は分かりやすくテンションが下がった。相手ボールになってもプレスに出ていかず、ラインを下げたところから守備を始める。

大外で受ける山見に宮吉がマークにつくため、仕掛けのフェーズになるとアジリティーの違いでミスマッチが生まれる。

73分、京都交

トゥーリオ→福岡

福岡がIHに入り、松田が左WGに移る。

75分、ヴェルディ交代

松橋→綱島

綱島がトップ下に入り、見木がボランチ、稲見が左SBに移る。

77分、山見がインサイドから背後へ出ていき、福田との仕掛けでPA内へ進入してPK獲得。再三外からの仕掛けで突破していたが、ここでひと仕事。福田は抜かれたあとの対応で我慢できず。

79分、ヴェルディ得点、1-2。染野がPKを決める。

京都は原が個人でキープして押し上げる時間を作る。複数人に囲まれても収められる彼の個人技が不可欠な状況。

87分、森田に警告。

88分、京都交

原、松田→山﨑、三竿

山﨑がプレス強度を上げる。ただ、後ろはそこまでついてこられないので、個人の強度で掛け切れないと抜け出される。

三竿が左CBに入る5バックに変更。

92分、ヴェルディ同点、2-2。綱島ハイボールのターゲットにして落とし、齋藤の折り返しを染野が合わせてゲット。京都は競り合い後のゴール前が手薄になり、染野がうまく背後を取った。

 

後半立ち上がり15分程度は京都が前プレでヴェルディのビルドアップを機能させず、ペースを握ったものの、強度が落ち始めた60分あたりからはヴェルディのペースに。アンカー位置に入る森田を経由してプレスを外せるようになると、京都が徐々に初期のライン設定を下げて守り始める。ヴェルディがストレスなく保持ラインを上げられるようになり、サイドの連係から崩しを図るフェーズに。京都は押し返せるかどうかが原の収めに依存しており、そこに良いボールが入らないと防戦一方になった。それでもゴール前の最後のところは守れていたが、福田が山見に突破を許してPKを献上して1点を返されると、終了間際にヴェルディが追いついて同点に。そのままドローで決着がついた。京都はハイテンションを保てる時間帯で2点のリードを得て、テンションを落としたあとは後ろの枚数を増やしながら気合いで逃げ切りを図るというよくあるパターンに持ち込めたが、気合いだけでは持ちこたえられず。ヴェルディは山見の仕掛けと、綱島の高さ、齋藤のクリエイティビティが生きる形で2得点が生まれ、ある程度狙いどおりの采配になったといえる。ヴェルディは我慢の前半で一気に2失点してしまったこと、京都は受け身になった時間帯で押し返す時間を作れなかったことが反省点か。

 

個人的MOM

★原 大智

圧巻のキープ力とフィニッシュ精度。また、プレスバック強度も高く、各局面において存在感が薄まる時間がほとんどなかった。

 

監督コメント

 (※Jリーグ公式サイトから引用)

[ 城福 浩監督 ]
J1(復帰後)初勝利をサポーターに届けたかったが、それができずに残念です。前半の良くない45分をよく盛り返したと思う。シュート数を見ても、後半と前半でまったく逆のゲームになった。京都に時間を使われたこともあったが、じれることなくボールを大事にしながら追いついたことをポジティブに捉えたい。相手のインテンシティーが高い間は、ファウルをいとわないような激しい球際だった。それに対してわれわれがどう戦っていくか。自分たちがJ1で戦っていく上で、そこが大きな課題かなと。もっとボールを回し切れるようにするのか。ただそこまでキレイにはいかないわけで、戦いながら相手陣に入っていく時間が前半にあればいいと思っていた。後半にわれわれの時間になるのはだいたい想像していた。こらえ切れなかった前半をどう耐えるか、どうバトンをつないでいくかを考えないといけない。

--ゲームプランのところで、誤算のようなものはあったのか?
これまで全試合に出ていた京都からのレンタル組の2人(山田 楓喜、木村 勇大)がいないのは、当たり前だが組み合わせが変わるし、簡単なものではなかったです。ただ、相手の圧力に対しての回避の仕方のところでは、前半のメンバーで言えば、相手の中盤の圧力を飛び越えて最終ラインに対して戦っていくのが思いの外うまくいかなかった。前半に出た選手はベストを尽くしてくれたと思うが、前半の戦い方に対しては、自分も含めて振り返らないといけないと思う。後半、腹を据えた状態でボールを動かすことができたが、それが前半からできるのかというのは……。後半のサッカーを志向しているわけだが、相手のインテンシティーも高いわけで、前半から簡単にやらせてくれない。そこでどういう表現ができるか、どうやってピッチに立たせられるかが、次節への宿題かなと思う。

--特に1失点目は甘かったところがあったと思うが?
その前に、オフサイドになったが相手の(長い)ボールをバウンドさせてしまった。1失点目ももちろん、われわれの時間、握る時間が少なかったという反省はあるが、あれだけのロングボールのフィードに対して距離を詰められなかったところがある。そこは思い切りというか、ジャッジ(判断)のところはまだまだ勉強するところかなと思う。自分たちはアグレッシブにサッカーをしていきたい。そのために人数が足りなくなるのは受け入れるが、ボールに対して行かないのは受け入れられない。それだけはないよ、というような修正の仕方で一昨年の半年、去年とやってきた。ああいう失点は見たくない。チャレンジしてやられた、数的不利でやられたのは問題ないというメンタリティーでやらせられるようにしたい。

--相手のCBが替わっていたことで、そこにセンターFWを2枚当てて生かす意図も感じたが、その反面、下から回すところで引っかけるところもあった。そうなってしまった要因は?
山田 剛綺の良さがあって、染野 唯月と木村 勇大のコンビネーションとは違うコンビネーションが出る。彼らの役割をハッキリさせられなかったのは自分の責任。何ができて、何ができないのかは分かっている。染野とプレーする中で、どういうように互いを補完して、良さを出させてあげるのか。エアボールを見合うような状況もあったし、もったいなかった。彼の良さを引き出せなかったという悔しい思いがある。

 

[ 曺 貴裁監督 ]
IMD(インターナショナルマッチデー)で(試合間隔が)2週間空いた中での試合だった。楽しみにしていたけれど、昨年もそういうときの内容が良くなくて、サンガとしても(開幕)5試合目は(直近の)8年で1回しか勝っていないというデータも知っていました。

いかにエネルギーを持って入れるかというところで、前半はほぼパーフェクトというか、われわれのやりたいことが随所に出た。後半の入りも悪くなかったが、3点目が決まらなかった。それが、最後の、事故というのは自分としては情けないけれど、やらずもがなのPKと、ああいうところで失点してしまうというのは、選手が一生懸命やっていなかったわけではなく、最後の試合の終わらせ方という意味で自省の念はある。

ただ、アウェイの地で、ヴェルディさんの試合を見てもかなりブロックが堅くて、シュートすら打てない時間があるという中で、プランどおり彼らを崩せた。その成長は感じながらも、2-0から追いつかれたのも監督人生で2回目か3回目。こういう試合を勝ちにもっていくものを作らないといけない。初めて先発する選手もいたが、非常に躍動感があって、良い試合をしてくれた。ヴェルディさんとしては勝点1を得た試合なのかもしれない。われわれとしては最悪の結果ではなかったということで、次のガンバ戦に向けてしっかり準備しないといけないと思う。

--最後の失点場面について、こうしておけば、という思いはあるか。
俗に言う、1人が競ってカバーをする状態を作ったが、サッカーとしては落としてはいけないというところ。戦略的にそういうことを準備してきた中で、選手の選んだプレーとしては、結果的に痛かったが、押し込まれた展開でああいうプレーが出るのは自分たちの力。2-0から3-0にして、自分たちのゲームにしようというのがあった中で、その3点目が取り切れなかったのでサッカーの怖さというところが出たが、2-2から2-3になると勝点ゼロになるので、2-2で終われたというのは結果としてネガティブではないと思う。

--後半、押し込まれる時間が長かった中で、こうすれば良かった、という思いは?
相手も並びを変えて、突破役をサイドに置いて、最後はパワープレーにきた。最後はCBを3枚にした。[4-5]のブロックと(原)大智が離れたところでボールを拾われたが、そこでインサイドハーフが飛び出していってGKまで押し返すこともできていた。(マルコ)トゥーリオのカウンターでチャンスもあったが、そこで決めないとJ1ではやっていけない。2-0から追いつかれたのもこの3年(の中)で初めてで、なんとか2-1でしのぎたいというのはあった。

--前半の素晴らしいサッカーが続けられなかった理由は?
後半のキックオフから相手陣でCKを取ったし、チャンスになりそうなところもあった。「最初の15分で(追加点を)取ろう」と言って後半に入った。ただ、相手のDFも引っかけられないところにボールを置いていたし、中盤の真ん中も違う形にされたことで、こちらの推進力が出なかった。ヴェルディさんもリスクを冒していた。マイボールになればチャンスもあったが、あれだけ押し込まれればやりたいことが出せなかった。やりたいことをやったまま90分を続けるのは難しい。多少回させても、そこでの定石として、引っかけてカウンターをして3点目というのを狙っていた。まあ、ある程度は後半のような展開になると思っていた。

 

2024 J1第4節 京都サンガF.C.vs横浜F・マリノス メモ

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スタメン

マリノスACLで負傷したマテウスが欠場。

 

流れ

立ち上がりから強烈にプレスを掛けていく京都。

京都は手数を掛けずにシンプルにゴール前にクロスを入れてPA内の圧力を高める。

4分、マリノス先制、0-1。アピアタウィアのコントロールミスをさらったロペスからのクロスを水沼がファーで詰めてゲット。京都はハイプレスで主導権を握っていたが、一度のミスが失点に。マリノスは1stチャンスで仕留めた。

7分、アピアタウィアが決定機阻止で一発退場。治療を受けていた植中が復帰してすぐに裏抜けで背後を取り、後ろから追っていったアピアタウィアが背中側から倒した。京都はハーフウェイラインよりも高い位置に最終ラインを設定しており、ハーフウェイラインぎりぎりから抜け出した植中を背中に置いていた状態になっていた。アピアタウィアは1つのミスが失点につながり、次のプレーで退場になるなど散々。試合に入り切れないまま7分で退場に。

1人少なくなった京都は金子を右CBに下げて4-4-1セットに。

京都は前3枚が攻撃で前へ出ていくため、トランジションでサイドの枚数が足りなくなる。SBがホルダーの背後へ走る選手の両方をみないといけない。

原が下りてきて起点になろうとする。エドゥアルドを背負っても失わない。原が下りる分、豊川が中央へ入って裏抜け狙い。

19分、CK守備からのロングカウンターで3トップが出ていき、完結させる京都。マリノスも人数を掛けて出ていっていることでピンチを招いた。

10人の京都は前プレがとん挫したため、CBにはフリーで持たせてラインを下げ、4-4ブロック維持を優先。

エウベルが左大外に張って、永戸がインサイドに入ってチャンネル抜けをうかがう。

相手PA少し前からのFKで最終ラインをハーフウェイラインあたりに設定するマリノス。異常なほどの攻撃的な設定。京都もロングボールを入れる想定で前に行っているので、かなり狭いエリアに人が密集する。

マリノスはロペスに加えて植中を押し上げた2トッププレス。下りる川﨑には渡辺がついていく。

マリノスは最後方を2CBのみで管理。京都は3トップの前残り気味駆け引きとトランジションでの出足の速さでカウンターに持ち込む。

ボランチ脇に出てきて縦パスを引き出そうとする植中。渡辺はバイタルをうろつきながら、ポケットへのランニングを見せる。SBが動いたらその背後に入っていくイメージ。

32分、マリノス追加点、0-2。京都の攻撃からトランジションでロングカウンター。エウベルが仕掛けて金子を抜き、最後は水沼の折り返しをロペスがフリーで合わせてゲット。京都は攻撃に相手を簡単に自陣から抜け出させ、エウベルと金子のスペース勝負にしてしまったところで苦しくなった。エウベルが外で受けて永戸がポケットに入るパターン。

逆サイドを捨てながら前プレを掛けていく京都。サイドを限定できれば枚数を合わせたプレスに行ける。強度を上げることで数的不利をぼかす。

京都が右サイドの連係からスルーパスで抜け出してクロスまで持ち込む形を連続で出せている。

CK守備の流れからロングカウンターでチャンスを見いだす京都。逆にマリノスはセットプレー攻撃からのトランジションで一気にゴール前までいかれている。

京都の自陣4-4ブロックはSHが大外まで下がるタスクで、ボランチとのつながりは弱そうに見える。中盤4の間は空きやすいが、SHが分離しているぶん、トランジションに出ていきやすいということもあるかもしれない。

44分、京都得点、1-2。右に流れた原のロングボールをはね返したところを佐藤がかっさらって抜け出し、GKとの1対1を制してゲット。後ろから上がってきていたご褒美。マリノスリスク管理でSBを残さないバランスを突かれ続けた結果、事故が起きた。

47分、京都同点、2-2。CKからニアで麻田がすらし、ファーで原が合わせるとこぼれ球を川﨑が押し込んでゲット。

 

相手のミスを突いてマリノスが先制し、京都が7分に退場者を出す流れで完全にマリノスペースになるかと思いきや、攻めながらも最後のところはなかなか決め切れず。京都も攻撃で人数をかけるリスクを冒しながらもゴール前の最後のところでは踏ん張りを見せる。オープン局面を作って2点目を取れたマリノスだったが、数的優位の状況でカウンターを許すなど、トランジションには課題あり。SB不在のスペースを突かれるシーンが目立っていた中、そのパターンで事故が発生して1点を返されると、京都がそのままの勢いで同点にまで持ち込んで前半終了。京都は良くも悪くもSHがほかのブロック形成と分離している感じが自由を与えており、強みである切り替えの速さが生きているのかもしれない。マリノスは哲学を貫くという意志は感じるが、数的優位の状況でゲームコントロールし切れず、相手が攻撃に出ていけるだけの隙を与えてしまっている。

 

 

後半

京都は変わらず4-4-1ブロック。マリノスは2CBで持ちながら、保持ラインを上げる。ボランチは1トップ裏、SBはインサイドを取ってWGと連動してポジショニング。

49分、金子が座り込む。筋肉系のトラブルの模様。宮本がすぐに準備。

50分、京都交

金子→宮本

金子は負傷交代。京都はサブのCBがいないため、宮本がそのままCBに入る。

京都はマリノスのCBを放置、SHがSB、ボランチボランチを監視する守備基準。トゥーリオのほうはややマーク甘め。人より場所を守っている意識が強い?

52分、マリノス勝ち越し、2-3。スローインの流れからクイックリスタートで一気にゴール前に入れ、最後はロペスが押し込んだ。

京都がサイドを2人で守るのに対し、マリノスはIHをサイドに流して3人で空いた場所に入っていく。

55分、マリノス交代

植中→宮市

宮市が左WGに入り、エウベルがトップ下に移る。

マリノスのCB同士のパスで京都はSHがアタックに出ていってプレススイッチを入れる。後方はかなり手薄になるが、出所への圧力を高めることで後ろのスペースをぼかす。ロストしたらスプリントで戻って攻撃を遅らせる気合い。

63分、ポープがドグソで一発退場。京都はトランジションから原がうまく落として松田がピックアップ。切り替えで素早くSBの裏を取った福田が抜け出して、飛び出してきたポープが結果的に止めた。マリノスがCB以外を上げて攻撃に出ていった中、京都はしたたかに切り替えの速さで上回った。京都は強度を高めながらリスクを掛けてホルダーへ圧を掛け続けたことが奏功。これで10対10に。

66分、マリノス交代

水沼、永戸→白坂、渡邊

マリノスはエウベルを右WGにした4-4-1ないしは4-2-3。

マリノスは相手ボランチ裏にロペスが潜って起点を作ろうとしている。京都のボランチマリノスボランチに食いつくため、その背後を狙っている。

72分、ロペスに警告。

73分、京都交

佐藤→鈴木冬

原が背負う形を作れればトランジションで押し返せる京都。

京都はSHがCBまで、SBがSBまで出ることで、高い位置でのプレスを成立させにかかる。大外でWGが浮いてしまうが、寄せ切ってそこまで出させない。

82分、京都交

豊川、松田→安齋、福岡

安齋が左SHにはいり、トゥーリオが右へ移る。

京都のプレッシャーでストレスを受けているマリノスの最終ラインが落ち着いて保持できず、マリノスはなかなか陣地を押し上げられない時間が続く。

87分、マリノス交代

喜田、エウベル→山根、加藤蓮

CKキッカーは松原。ターゲットには3枚しか入れない。強ターゲットのCBは最後方でリスク管理を行い、カウンター警戒のシフト。

89分、福岡に警告。

マリノスが自陣で守って京都が人数を掛けて攻め込む展開の終盤。マリノスはプレスに出ていかず、割り切って自陣へ戻る。危険なスペースを埋めておくことを優先。ロペスだけ最前線に残してトランジションで押し上げる役割。マリノスが4バックを狭くして守るため、京都はその大外に1人置いて浮かせる。

 

1人少ない京都がある程度撤退して割り切って守る形を作りながらも、自陣ではしっかりとホルダーに寄せてプレッシャーを掛ける。マリノスはサイドの3人のコンビネーションで空いたスペースを使って崩しを図る。その攻防の中で、数的優位のマリノスがペースを握り、勝ち越しに成功したものの、京都がプレッシャーを掛けるやり方の中でポープの退場を誘発。1人少なくても運動量と切り替えの速さで補えることを示した。その後は京都が後ろを薄くするリスクを背負いながら高い位置からプレスを掛けてゲームを掌握。マリノスは浮く場所を経由しようと図るも、プレッシャーよりも早いプレーができず、自陣で食われて撤退せざるを得ない展開に。ロペスや両WGを生かしてカウンターに出ていく場面もあったが、いずれも単発で終わることが多く、京都に押された。京都はサイドでの崩しでポケットを取って折り返す形からチャンスを作るも、質の高いチャンスはなかなか作り出せず。枚数をかけていた分、マリノスにストレスは与えられたが、勝点は取れなかった。安齋に訪れた決定機が入っていれば引き分けだったというたらればはあった。ただ、7分に退場者を出した中で2点ビハインドを追い付き、相手に退場者を出させ、ペースを握れた時間が多かったことは、さすが曺貴裁京都というべき。1人少なくても防戦一方にならず、強度を上げることで押し返すフェーズをしっかり作れていた。逆にマリノスはその強度をいなせずに、ナーバスになり、良くない循環にハマってしまったところは反省点か。

 

個人的MOM

アンデルソン ロペス

殊勲の決勝弾。得点を取れる場所が分かっており、そこに入る、または待っておけるストライカーらしさが見られた。また、苦しい時間でも個人の力で陣地回復するなど、得点以外の貢献度も○。

 

京都はサイドの選手が強度を上げながら前にアタックに出ていったことで数的不利におけるハンデを薄めた。特に豊川×福田の右サイドと、佐藤の切り替えから前に出ていく速さは目立った。

 

トピックス

金子が負傷交代。筋肉系のトラブルの模様。

 

監督コメント

 (※Jリーグ公式サイトから引用)

[ 曺 貴裁監督 ]
最初の失点はおそらく相手選手が倒れて出されて、ボールを返したところから始まっています。返したあとの一瞬のスキを突かれて、われわれのミスを突かれてやられてしまったところをどう捉えるのか。そういうものがピッチにたくさんあった90+8分でした。勝負に勝つにはレフェリーの見えないところや意図的に時間を使って勝つことも1つの大事な美学です。ただ、京都の監督として、そういうふうに選手たちに迫ることはそんなに多くなくて、やはりエンターテインメント性や観に来てくれた人、子どもたちが将来この場所に憧れて、また観に来たいと思ってもらえるような試合をしようと選手に話しています。

長い間、監督をやっていますが、これだけ数的不利になっても自分たちがやろうとしたことを最後まで貫けた試合は初めてに近い感覚があります。0-2から数的不利のチームが前半のうちに追いつくことは、世界的にも多くはない現象だと思います。ポジティブに捉えるとか、ネガティブに捉えなければいけないとか、そういう話ではなくて、選手や監督の人生そのものが90分間に詰まっていました。

2年前のマリノス戦は大人と子どもくらいの差がありましたが、今日は球際や切り替え、相手より前に出ることやスプリント数でマリノスさんを上回っていました。負けたら何も生み出さない、勝負は勝たなきゃ意味がないという言葉もある意味では正解ですが、そういうふうには思えない今日の敗戦でした。

監督をやっていると、選手に躍動感がなかったり、自分たちの考えていたゲームとは違うことが起こって、思いどおりの試合にならないことは多いのですが、こういう試合に携わると「自分は素晴らしい仕事に携わっているんだな」ということを実感できます。もっともっと自分自身を磨いて、彼らの要求に応える、それ以上のものを出していかないといけないなと思いました。残り34試合。昨年は34試合で40ポイント取りました。今年はプラス4ポイントからスタートするというところで、今日みたいなミラクルなゲームで勝っていけるような試合も、先制点を取ってしっかり逃げ切れるような試合も増やしながら、もっともっと強くなっていきたいと思った試合でした。いろんなところへ話題がいきましたが、素直な感想です。

--早い時間帯で数的不利になった場面について。
リスク管理のところや、最終ラインの選手として1メートルポジションを下げていれば、あの場面は生まれませんでした。そういう冷静さや賢さは足りなかったし、あそこで2失点目を与えても11人でやっていたほうが良かったという見方もあります。アピ(アピアタウィア 久)は最初のミスから失点に絡んでしまい、そこから切り替えられていないと見られがちなところはありますが、彼個人のことで言うと去年からそういう場面が何度もあります。精神的にも難しい数分だったと感じますが、プロ選手なので、そんなことは言い訳の1つでしかないし、監督として情を持っていくことは違うと思います。

先ほど、人生が詰まった90分間だったと話しましたが、それ(退場)を取り返そうとしたチームメートがいて、われわれの力にしてくれたことも確かです。誰が悪いのかなどの犯人探しをしても仕方ありません。現象として、冷静さや声かけがあれば防げた場面だったと思いますし、退場者が出ることはなかったと思います。

 

[ ハリー キューウェル監督 ]
今日の試合は見ている人たちが楽しんだ試合だったと思います。両チームの良さが出ましたし、前半に素晴らしいゴールも生まれました。そこから気が緩んでしまったのか、相手の強みであるカウンターなどで危険な場面を与えてしまい、それをつかんで得点を決められました。後半のゲームプランは、相手がどうやってくるのかというところに重きが出てしまいます。相手はどんなコンパクトさを出してくるのか。相手はカウンターやセットプレーの強さがあるので、自分たちはどこが狭くなっているのか。狭いところが見えたとき、どうやって広いところを使っていくのか。そこが大事でした。

自分たちも1人少ない状況になり、10人同士になりました。そういう内容でお互いに取りにいくサッカーをすれば、結果的には3-2で勝ちましたが、3-3や3-4、5-2など、どちらに転んでもおかしくない激しさが両チームにありました。見ている人は本当に楽しかった、ワクワクする試合だったなと思います。

--先発してゴールを決めた水沼 宏太選手と、急な交代出場からピンチを防いだ白坂 楓馬選手について。
水沼についてというよりは、自分が選んだメンバーは今日も素晴らしいプレーをしてくれました。先発した宏太は自分の求めるものが落とし込まれたプレーを表現してくれましたし、ゴールも素晴らしかったです。ああいう場面で自己中心的に「俺が得点を取ってやるんだ!」となってしまうと、GKに阻まれたり枠を捉えなかったりしますが、あれはチームプレーでしたし、落ち着いてチームのために何をやるのかということが見えた場面でした。

白坂にとっては華々しいデビューだったと思います。開幕前から日々何をしてきたのかを見てきましたし、こういう難しい状況で出たとしてもできると思っていました。そしてポープ(ウィリアム)の前へ出る判断も、自分は支持します。あそこで前へ出なければ何か起こっていたかもしれません。彼の判断を自分は後押ししたいです。白坂もそうですが、交代出場の選手が試合に活力を与えることは求めていますし、今日は交代選手がしっかりとやってくれたので、こういう結果になったと思います。

--ACLでも退場者が出たり、逆転勝利があったり、連戦の中で激戦が続く。選手も疲労がたまるが、どんな声かけやマネジメントをしているのか?
自分たちが今季、何か特別な瞬間を求めているのであれば、自分は簡単な道は求めません。難しい中で結果を残せるか、続けられるかだと思います。簡単な試合はないし、スケジュールや移動もありますが、自分たちがこの世界に生きる意義は、それをやっているからこそですし、それをみんなに見せてお金をもらっています。

スケジュールのことを言ったら始まらないし、自分たちのやろうとするスタイルは決して簡単ではありません。内容としても難しいです。でも、繰り返しになりますが、簡単な道を選んでも何も得られません。選手が日々、どう向き合うのか。そして休暇は必要ですし、そこでしっかり休めばいいんです。そして、やるときはしっかりやる。

今日のメンバーに入れなかった選手たちもいます。全員が試合に出られる準備をしていますが、限られた人数を選ばないといけません。そして(メンバーに選ばれなくても)選手は文句の1つもなく日々、自分を磨いています。何もせずに得ることはありません。何かを得るためには、何かを犠牲にして、それを求めてどれだけ信じてやるのか。それに尽きます。それを選手に伝えましたし、こういうスケジュールの中でもやっていかなければいけません。

 

2024 J1第4節 北海道コンサドーレ札幌vsFC町田ゼルビア メモ

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スタメン

札幌は中村が出場停止明けで先発。田中宏がJ1初先発。

町田は前節で負傷したバスケスが欠場し、藤本が先発に。

 

流れ

町田はSHが大外への対応でSBを極力出させない。ただ、田中宏が個人のスキルで藤本をはがしてライン間へ入り込む。町田はSHのところでズレが起きると1つ目のバランスが崩れる。

普通に入れたのでは勝ち目が薄いと踏んでか、札幌はセットプレーは徹底してショートでつないでいく。

町田はSBがさらされたときは無理に飛び込まず、SHがプレスバックに戻ってこられる時間を稼ぐ。

序盤は保持とセカンド回収でゲームをコントロールする札幌。町田も崩れてはいないが、ここまでの試合と比べると高い位置で安定して押し返し続けられてはいない。

町田はミドルブロックからのショートカウンターではなく、ハイプレスに出ていく。札幌はショートパスでつなぎながら疑似カウンター狙い。

町田は仙頭が左SB位置に下りてくる4-1ビルド。前の5枚とビルドアップ部隊がやや間を空けている感じで、基本はロングボールでの前進を図っている。タッチライン際に微妙なボールを入れて、相手にプレーを切れさせれば全然OKという雰囲気。札幌は5-2-3セットで相手4バックにけん制をかける。そこまでプレスは掛けに行かない。

町田は奪いに行ったときに取り切れないシーンがチラホラあり、バイタルが空きやすくなっている。時間がかかると全員が戻ってくるため、札幌は縦に早く攻めようとしている。

町田が大外で張る選手を作っていないからか、札幌は5バックがかなり中央に集まって狭く守っている。

町田の左サイドの2人のユニット攻撃に+1で仙頭がハーフスペースランで入ってくる。

下りる仙頭についていく駒井。町田は駒井サイドへロングボールを入れ、セカンド回収で前進。

ゴールキックで3-1ダイヤを作って町田の2-1プレスを外す札幌。GK→荒野でワンタッチではたき、横に出てくるCBに落とす。仙頭がアンカーマーク出ていって空けたスペースにシャドーらが入り込む。

町田にしては珍しく、前半からオープン気味の局面が多い。

序盤から田中宏が藤本を後ろにおいて運べるシーンが多く、そこに小さな穴ができている印象。ただ、プレスバックが早い上、4バックが崩れてはいないので、致命傷になるほどではない。

札幌は縦に速い攻撃を狙ってゲームスピードを上げる、町田も札幌の陣形が崩れているうちにゴールへ迫ろうとするので中盤が間延びしたまま、オープンなトランジションが連続することが多くなっている。

札幌はシャドーがSBを、ボランチボランチマンマークで捕まえる。鈴木は横からCBを追う形でサイドを制限。SB→CBのパスでシャドーがそのままスイッチを入れるパターンも。

 

町田がいつものミドルブロックではなく、ハイプレスを実行。ただ、あまり効果的だったかといえばそうではなく、つないでスピードアップを狙う札幌の攻撃を引き出してしまったようにも思える。ただ、後方の広いスペースをCBがカバーできていることや、SBやボランチが攻撃を遅らせて味方の帰陣を待つことでゴール前でやらせるシーンはなかった。それでも珍しく相手の土俵で戦っていたような印象があり、オープン局面の連続で、間延びした中盤をいったりきたりするような時間が多かった。町田はロングボールからのセカンド回収や、サイドアタッカーの深さ作りで陣地の押し上げを狙ったが、札幌のDF陣が想像以上に競り合いで負けず、トランジションでも収めることを許さず。ポケットを取っての折り返しなどのシーンは作ったが、町田も自分たちの形でゴールへ迫るシーンはそこまでなかったか。立ち上がりに田中宏が個人技から突破したシーンも含め、サイドでのというところでは藤本のところがやや甘い印象で、そこの小さな穴を広げられればチャンスクリエイトにつながるかもしれない。

 

 

後半

ゴールキックからつなぐ札幌に、前半同様プレスを掛ける町田。札幌は相手ボランチを引き出しておいて、タイミングよく浅野が縦パスのコースに下りてきて起点作り。また、中村が運び出して基準をずらしてサイドへ展開というパターンでプレスを外す。

47分、オセフンに警告。

平河がいないところを素早く使て柴戸を引き出す札幌。引き出してから中村が運び出して前進。町田はアプローチが遅れると、中村が矢印を押しながら運んでくる。

52分、町田先制、0-1。平河と仙頭の右サイドでの2対2からうまくポケットを取ってクロス。オセフンがファーサイド待機から折り返し、中で受けた藤尾がボレーで合わせてゲット。札幌は3人がブロックに入るもコースを消し切れず。

札幌はシャドーのところまでうまく届けられる形は何度か作っているものの、そこからの連係がハマっておらず、オープン局面を作っても攻め切る前にロストしてしまっている。

56分、札幌交代

田中宏→小林

小林がシャドーに入り、浅野がWBへ移る。

札幌はブロックを組まれたらシンプルにクロスを入れるが基本的には谷が安定して処理できており、脅威になっていない。

札幌は変わらずつなごうとしており、落としから前を向けそうなシーンも作っているが、2~3人の連係ミスでロストからカウンターを受けるシーンが目立つ。

65分、町田追加点、0-2。鈴木のアウトスイングCKをチャンミンギュが合わせて、ファーで待っていたドレシェヴィッチが押し込んでゲット。札幌は失点後から若干士気が下がった感じがあり、2失点目でさらにメンタル的ダメージがありそうに感じる。

67分、札幌交代

浅野→原

町田はハイプレスを緩めつつあり、ミドルブロックに移行してきたか。

71分、かなり狭い幅で守ってPA内を守る町田に対し、ポケットからの折り返しで大外の原が中に戻して小林がシュート。札幌はこの日一番のチャンス。中央を固める相手に対し、WBが大外で待ち、目線を何度もずらす攻撃。

73分、町田交代

オセフン→デューク

オセフンはピッチに倒れ込む。何かトラブルがあった?

町田がプレスラインを下げたことで札幌はストレスなくボールを持てるように、中盤の密集度こそ高いが、ある程度余裕をもって保持し、前進していく時間が増えた。第2バイタルとバイタルをうまく繋いながら、ボランチやSHがいなくなったスペースを順番に突いて行く。

76分、菅に警告。

79分、札幌交代

菅、荒野→長谷川、田中克

長谷川のインスイングクロスにファーで鈴木が合わせる。町田の両CBもはね返しに強いので簡単ではないが、可能性は感じる攻撃。

駒井が左CB位置に入るミシャ式ビルド。

83分、札幌得点、1-2。馬場が外から内側に運びながら縦にラストパス。原が思い切り振ったシュートが谷の脇を抜けてネットを揺らした。町田のプレスが弱まり、ライン間やサイドの圧力が下がった時間帯で札幌が攻勢を強め始める。

小林や田中克が入ったことで、中盤の狭い場所でもキープしながらパスが回るようになっている。

89分、町田交代

藤本、鈴木、藤尾→安井、奥山政、昌子

昌子が最終ラインに入り、5-4-1セットに変更。

田中克が第2バイタル、小林がバイタルの起点役。そこを経由しながらサイドに振って、町田の外の選手の視野外の選手を使ってゴールを目指す。

93分、町田交代

仙頭→下田

札幌が攻め立て、町田がゴール前で踏ん張る最終盤。

CKでは阿波加も上がってくる。

 

後半もつなぐ札幌、ハイプレスの町田という構図は継続。札幌は相手ボランチの背中にシャドーが入ってうまく受ける形や、中村が運び出して前進していく形は見えたが、敵陣へ近づいてからの連係ミスやパスミスが多く、リズムが作れず。町田はハイプレスに出ていっている中、高い位置で狙ったとおりに奪えるシーンはなかなか作り出せていなかったものの、札幌が進んだ先で時間をもらえなかったという点ではミスを誘発できたとも言えるかもしれない。その流れでクロス攻撃から先制に成功。その後も同じような流れで札幌がミスからピンチを招き、町田がセットプレーで追加点。前半からいったりきたりが多かったこともあり、70分頃からさすがにハイプレスをやめてブロック守備に切り替える町田。それに伴って札幌がストレスなくボールを保持できるようになり、田中克や小林を経由しながら前進していく。原の得点で1点は返したが、反撃はそこまで。割り切った町田を崩せず。町田は全部がプランどおりだったようには見えなかったが、プレスがハマらずとも最後のところをやらせないということは徹底。ラインが下がった終盤はゴール前で受けるシーンも増えたが、大外起点で攻めてくる札幌に対して5バックにすることで左右に大きく振る攻撃の力を薄め、クローズに成功した。

 

個人的MOM

★ドレシェヴィッチ

プレスをくぐられてオープン局面になりかけても先を読んだポジショニングと素早いカバーリングで起点を作らせず。そしてJ初得点が決勝点に。

 

札幌は中村の運び出しが町田のプレスをずらす良い変化になっていたが、そこからペースをつかむことはできず。

 

監督コメント

 (※Jリーグ公式サイトから引用)

[ ペトロヴィッチ監督 ]
敗れたことは残念で悔しく思っています。シーズン初勝利をつかみたい、そういう試合でした。

内容については想定していたとおりで、前半は特に互いにチャンスが多くなく、球際でぶつかり合うハードなものになりました。後半に入り、クロスから決められて先に失点し、望まない展開でした。クロスへの対応が良くありませんでした。そして、2点をリードされる難しい展開にもなりました。その中でフレッシュな選手を入れて活性化させてチャンスが作れたと思います。原(康介)、田中 克幸、長谷川(竜也)らの投入でチャンスが作れていました。しかし、今日については同点にできるチャンスがありながらも決め切れませんでした。

ケガ人が相変わらず多く、キャンプ中に離脱した選手がなかなか本来の状態には戻っていない中で戦っているという状況。そうした選手たちがコンディションを上げてチームを引っ張る働きをしなければならないでしょう。FWも1枚しかいない状況の中で、交代をして脅威を与える策を打つことが難しいのが現状。リーグが中断する中で、選手がフィットしたり、ケガ人が復帰することが重要になると思います。まだまだ試合の数は残っているので、下を向く必要はまだないと思っています。選手たちはやるべきことをやってくれた。彼らを非難することはできない。それを受け止めた上で、前に進んでいきたい。

われわれの攻撃の形の1つとしてはサイド攻撃から相手をはがすものがあるが、それができていないのが現状。そうしたところを含めて、チームの狙いを考えてやっていきたい。

--相手に脅威を与え切れていない要因について。
より具体的に相手に脅威を与えるには、個の部分も必要です。すべてを戦術で崩していくのは難しい。ただし、18歳の原にそれを任せるのは難しい。もちろん才能がある選手だが、そうした選手が育っていくには(時間が)もう少し必要。ただし、試合が迫ってくる中で時間がないことも事実です。選手の成長を待つと同時に、結果も出さなければいけない。

--前節・浦和戦でもあったが、クロスからの失点を減らすために必要なものは?
浦和戦の失点は集中力が足りていなかったからだと思います。今日については、高さのある選手がいながらも予測が足りていなかった。戦術もあるが、やはり個人の予測、危機察知能力が重要になるでしょう。

 

[ 黒田 剛監督 ]
私の生まれ故郷であるこの札幌でJリーグ最高峰の試合ができることをうれしく思っていました。約200名の町田サポーターの方々も駆けつけてくださったことに感謝の気持ちを伝えたいと思います。また、札幌のサポーターの皆さんが温かく迎えてくださったことに対しても感謝を申し上げます。

試合に関しては、われわれが2連勝していることに対して、半信半疑の声もあったかと思いますが、ここで3連勝につなげることが重要だと捉えながら臨みました。また、勝ち急がず、取り急がず、選手たちは守備から攻撃に移ってくれたと思っています。後半に向けては、ネジを巻き直しましたが、札幌さんは前節・浦和戦の後半の早い時間帯からかなり疲弊していた局面が見受けられたので、われわれが普段から培っている運動量やハードワークを発揮できれば必ず相手を上回れると入っていきました。後半に藤尾 翔太が先制点を決め、イボ(ドレシェヴィッチ)が追加点を決めてくれたことがチームに良い影響をもたらしてくれました。1点こそ取られましたが、この1失点を重く捉えて、この1失点を10失点ぐらいに捉え、町田に帰ってから反省し、またクリーンシートで勝てるようなチームを作っていきたいです。8分という長いアディショナルタイムの中、90分を走り切ってくれた選手たちに感謝したいです。次は代表ウィークにより1週間空きますが、もう一度初心に帰り、4連勝を勝ち取れるようにチームを再構築していきたいです。

--前半の20分ぐらいまでは札幌に対して、特にサイドの守備がハマっていないように見えました。その後は修正できていましたが、守備組織の問題点はどこにあったのでしょうか。
初先発の藤本 一輝はJ2で長くプレーしていたからか、あるいは緊張していたのか、後ろと連係がとれていなかったですし、ボールサイドに対する強度も足りていませんでした。ただ、試合中に厳しく要求することで次第にできるようになりました。持ち味であるドリブルも生きてきたので、改善はされていたと思います。あとは立ち上がりから札幌さんがかなり勢いを持って試合に入ってきたため、言葉は悪いですが、打ち合いになることも覚悟をしながら耐えていくことで糸口を見つけ、糸口が見つかれば効果的なカウンターを仕掛ける形が見え始めていました。それによって絶対にチャンスはできると伝えていました。何よりも先に失点をしないように、焦れずに戦うことを促していましたし、その中で後半は良いゲームができたと思っています。

 

2024 J1第4節 湘南ベルマーレvs浦和レッズ メモ

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スタメン

浦和は前節負傷交代したショルツが欠場。前田は問題なく先発。

 

流れ

小泉が列上げでプレスを掛けるタスク。前田は前目で、関根がやや下がり目。右上がりの4-4-2のような守備バランス。

湘南は昨季と同じプレス設計で、2トップが中央プロテクトで、相手がSBに出したときにIHがアタックに出ていってスイッチを入れる。WBがWGを、ボールサイドの中央のパスコースはアンカーが出ていってつぶす。

ホイブラーテンのフィードから高い位置に上がっていた酒井の頭での落とし。前田と酒井で杉岡のところに数的優位を作る。

浦和の2CBは開いて相手2トップの脇から運び出そうとする。そうするとIHは縦パスコース消しをするためにステイし、SBへのプレスはWBに変わる。湘南のプレス基準をずらすために、浦和はCBの運びでIHを引きつけようとしているか。

左FKのキッカーは前田が務める。

湘南のゴールキックからのつなぎを前からけん制をかける浦和。

湘南2トップがCBまでアタックに出てきたときはグスタフソンが背中を取って起点になる。湘南は基本2トップがアンカーを消すタスクなので、そこがずれるとマークの受け渡しで頭の負荷がかかる。

10分、浦和先制、0-1。右サイドのコンビネーションでグスタフソンからのワンタッチパスに抜け出した前田の折り返しを興梠が詰めてゲット。グスタフソンがビルドアップで浮いたところから押し上げて、最後の仕上げもグスタフソンが行う。

IHが内側から寄せてくるところを縦に運んで抜ける渡邊。IHより後ろは人を見て守っているので、そこを抜け出されるとホルダーがフリーになるか、マークがズレる。

浦和は小泉が大岩に出ていくタスク。右から前田、興梠、小泉が3バックにプレスを掛ける設計。

湘南は保持もトランジションルキアンが最前線で最終ラインと駆け引きし、鈴木章がその半列後ろでパスコース作り。

湘南は浦和のビルドアップを高い位置で防ぐ術を見いだせていない。伊藤がすぐ後ろに立つことで平岡はSBまですぐに寄せられず、ホルダーから時間を奪えない。

興梠はアンカー番。プレス時はキムミンテまで出ていくが、基本的にキムミンテはほぼ放置。

1点リードしたこともあって浦和は少しプレスラインを下げ、ブロック強めになった?前に出ていくより、経由地点を消すイメージが強くなった。

22分、湘南同点、1-1。浦和がサイドに人数を掛けてつぶしにきたところを抜け出し、田中→鈴木雄のスルーパスでポケット進入。折り返しから最後はルキアンが詰めてゲット。浦和はラインを下げたことが結果的に裏目に出た。

浦和はミドルゾーンではボールを奪いにいっていないので、非保持でマイボールになるのを待ち、保持の時間でチャンスを得るようなプランニング。カウンタープレスはかける。

ルキアンが最前線で張っているため、降りる鈴木章をタイトに見ることは難しい浦和。ライン間の圧縮を速めるようにしているが、そこが前に合わないとスピードアップを許す。

前田が前にプレスをかけたまま2トップ気味に残るため、伊藤が右SHのような守備タスクになる。

31分、湘南逆転、2-1。PA付近に人数をかけ、密集をコンビネーションと田中の個人技で抜けてシュート。鈴木章がコースを変えてゴールへ吸い込まれた。浦和は非保持でラインが下がり、押し返すタイミングが減っていて苦しい。保持では良いシーンが作れているので、どれだけ非保持の時間を減らせるかがコントロールのカギになるか。

33分、小泉に警告。

伊藤がIHの背後で浮くポイントを作り、グスタフソンとのつながりを作ろうとしているが、湘南2トップのプレスバックが早く、簡単には時間をもらえない。

SB→WGとサイドで縦につなぎ、内側にサポートして伊藤を浮かせる形。浦和は伊藤の受け方が前進のポイントになっている印象。

基本的には関根が鈴木雄のマークを持っているので、大岩までプレスに出ていくと鈴木雄が浮く。

浦和は非保持が安定していないため、保持でコントロールしたいように思うが、後方からのロングフィード多めで、あっさりロストするシーンが増えた。

グスタフソンが持ったときに前田と酒井の押し引きで背後へ出ていく形が何度か見られる。47分は前田が下りてCBを引き出して、空けたコースを通すスルーパスに酒井が斜めに抜けていく。

湘南は同サイドに人が寄るため、浦和は逆サイドに展開で切れば保持のエリアを押し上げられる。

 

浦和は保持の局面において、早い段階で湘南のプレス構造を認識し、基準をずらす、もしくは迷わせる形をとって主導権を握る。CBが広く取り、IHがIHの裏に潜ることでポジショニングを迷わせ、時間を得ることができた。その流れで右サイドを崩し、先制に成功。ただ、その後からプレスよりもブロック形成に軸足を置いた雰囲気があり、ラインが下がると湘南に反撃を許す。2点とも田中のスーパーなプレーがあったとはいえ、非保持で脆さが見え、湘南が逆転に成功。その後も浦和が最初に見せていた保持の形を出せなくなり、前線への長いボールが増えると、そこからのロストから非保持の時間が増加。ブロック守備がハマっていないので、苦しい時間が長くなるという負のサイクルができた。湘南はルキアンで相手最終ラインをコントロールしながらIHと鈴木章がライン間へもぐり、両WBが高く出ていくことで各レーンで人を引き出して攻めた。浦和が得点後から重心を下げ、攻撃をもろに食らうことで自信がなくなったこともあるかもしれないが、湘南が初期基準からずれた際にもマークの受け渡しがズレにくい連係を取れているのはさすが。

 

後半

浦和交代

小泉、興梠→岩尾、松尾

45分、湘南追加点、3-1。1stプレーでホイブラーテン→佐藤の横パスを狙ってカット。そのままミドルを突き刺してゲット。選手交代で流れを変えに図った浦和が最初のプレーで痛恨の失点。

ミドルセットではなく、前から行っている湘南。浦和のCBは時間をもらえなくなり、SBがIHに捕まるようになった。1つ飛ばして伊藤を狙うも、湘南の後ろからのアプローチが早い。

浦和はクロスに対して3~4枚中に入ってくる。

前半からグスタフソンはワンタッチで仕上げのパスを出す役割。WG、IH、SBが押し引きの動きから背後を狙う。

CKキッカーは岩尾。

54分、浦和得点、3-2。CKのこぼれ球を松尾がプッシュしてゲット。浦和は最終ラインに時間がもらえたところから前に蹴って回収して前進。そこから敵陣保持に移る流れを作ったところからセットプレーで取れた。

湘南が前からのプレスを強め、ボールの回収及びプレーエリアの押し上げを図る。浦和の最終ラインから時間を奪えれば、ショートパスによる前進は防げている。

63分、浦和同点、3-3。自陣から抜け出してスピードアップすると前田がオープン局面で受け、縦突破からニア上ズドンでゲット。湘南がエリア押し上げに困っているうちに浦和が押し切る。

65分、浦和交代

前田、伊藤→サンタナ、中島

サンタナがトップに入り、松尾が左WG、関根が右WGにそれぞれ移動。

岩尾がアンカー位置に入ってグスタフソンが前目になった?敵陣保持時に岩尾がバイタルのリスク管理役になっている。

67分、湘南交代

池田、杉岡→奥野、畑

自陣での組み立てでは岩尾とグスタフソンのダブルボランチ

関根は守備意識高めで大外の守備に戻る。これは左右どちらでも同じ。

浦和は自陣で4-2+関根で守っているようなイメージ。松尾が最前線のサイドに流れて待っており、サンタナも中島もそこまで深い位置まで戻らない。

73分、湘南勝ち越し、4-3。田中のミドルがポストに当たり、跳ね返ってきたボールをルキアンが押し込んだ。CBも上げてサイド攻撃に厚みをもたせてきた湘南に対し、浦和はバイタルのスペースを埋めきれず、田中にシュートを許した。

湘南はルキアンを最前線に残し、陣地回復要員に。

80分、浦和同点、4-4。松尾が仕掛けてPAで混戦を作り、こぼれたところをグスタフソンが狙うとディフレクションでゴールへ吸い込まれる。湘南は自陣で間延びしたところで仕掛けられる流れが続いており、耐え切れず。

湘南はかなり疲労の色が見られ、自陣でホルダーに圧力がかからず、ライン間の圧縮のパワーもかなり下がった。バイタルで前を向いて仕掛け等で違いを出せる中島と松尾の躍動感が増した。

83分、湘南交代

鈴木章、平岡→阿部、鈴木淳

中島は自陣守備時、バイタルで待ってトランジションから運び出す役。

湘南は阿部の投入で前プレとプレスバックがいくらか戻ったが、5-3と2の間がかなり間延びしており、浦和はサイドに当てて前を向けずとも、大きく空いた第2バイタルを経由して簡単に陣地を押し上げられる。

90分、松尾に警告。

浦和はアタッカーを前線に残り気味にしながらオープンで殴りにいく。湘南もある程度攻撃に人数を掛けつつ、カウンターは後ろのリスク管理部隊で対応。オープン局面では運びは許すが、最後のところはなんとかしている。

 

後半から湘南がしっかりと前からプレスを掛けるようになり、1stプレーで追加点をゲット。そのあともプレスを続けていくも、寄せが少し遅れると浦和の最終ラインからロングボールを供給され、セカンド回収から自陣守備に。自陣での守備が続くと押し返すフェーズをなかなか作れなくなり、また、保持でもコントロールする時間を作れずに、我慢の時間になった湘南。そこで我慢が利かず、2失点。ただ、そのあとに保持で押し込む局面を作って勝ち越し。終盤はともに疲労が出てオープン気味になると、浦和の推進力があるアタッカー陣が躍動。浦和は最低限の人数で自陣ブロックを作り、中島と松尾でカウンターを狙う。湘南はそれぞれのライン間の間延びと圧縮力の低下が顕著になり、バイタルケアが難しくなると、松尾の仕掛け起点から浦和が得点。湘南は選手交代でコンパクトさの復活を図るも、5-3と2の間は埋められず、浦和はそこから容易に前進できた。浦和が質の高いチャンスを作るも富居の好セーブなどもあり、引き分けで決着。湘南はプレスがハマるときは自分たちの土俵に持ち込めるが、少し遅れると後手を踏む流れになって苦しかった。浦和はカウンターの色気をけっこう出している分、ブロック守備の堅さが担保できず、薄くなったところから失点を許した。互いに敵陣の攻撃ではある程度狙った形が出せていたように見えたが、各局面での守備はうまいバランスを見つけられなかった印象が残った。

 

個人的MOM

★田中 聡

3得点に関与。得点に絡める場所でのプレーの質は圧巻で、明確に違いを生み出した。また、守備でも持ち前の当たりの強さでつぶし役として機能。

 

浦和はグスタフソンのラストパスが攻撃に色を付けており、先制点を生んだスルーパスを始め、右サイドの崩しの出し手として何度も質の高いパスを供給した。

 

監督コメント

 (※Jリーグ公式サイトから引用)

[ 山口 智監督 ]
前半は、立ち上がりは非常に苦労した守備になってしまいましたが、15分、20分経った頃からは良い距離感の中、良い守備ができたと思います。逆転できたことは良かったです。後半に関しても入りは良かったですけど、それ以降に課題が残る試合で、勝点2を落としてしまった試合になりました。

--4得点を決めた攻撃面の評価は?
相手をしっかり見れていた時間もありました。ボールの動かし方で自分たちの優位性をどう作るかはトライしている部分。距離感もそうですし、タイミングの取り方もそうですし、誰がどうとか、ここに立つとかそういうことではなく、共通認識の中で(プレーを)選ぶことが今日は良かったと思います。何よりボールに対しての意識が高かった。

 

[ ペア マティアス ヘグモ監督 ]
立ち上がりの20分間は素晴らしかったと思います。ビッグチャンスがたくさんあったので、そこでしっかりと得点しないといけません。そのあと、プレスを掛けなければいけない場面で受け身になってしまった時間がありました。ハーフタイムの時点で1-2とリードされていましたが、選手たちには「後半で3、4点取れるぞ」という話をしました。その直後に1-3に広げられましたが、選手たちは勇敢さを見せて追いつくところまで戦いました。

そして、ベンチスタートの選手たちも良い仕事をしてくれたと思います。最後は5点目を取れそうな場面もありました。チアゴサンタナ)のチャンス、そして(佐藤)瑶大のチャンスがありました。

選手たちが見せた気質は非常に大事なものだったと思います。今後、トレーニングしていかないといけないのは安定性のところと、試合を通してプレスを掛けるところだと思います。本日はこのような素晴らしいシュートを打てるチームと対戦して負けなかったことが大事だったと思います。相手のシュートは良かったのですが、失点をすることはわれわれの望んでいるところではありません。

--守備について、縦パスで中盤の5人の間をかなり通されていて、抜けた先でも捕まえられなかった。これでは世界中のどんなチームも守れないと思うが?
そのとおりだと思います。自分たちがボールを持ったときも、ロングボールが多くなってあまりつながなくなってしまい、相手にイニシアチブを渡してしまうことになりました。そしてプレスも、われわれのディフェンスラインの前にスペースを空けてしまう形になってしまいました。

そこで、よりバランスがとれるように(岩尾)憲を投入し、フィジカル的な強さも上げようとしました。中盤を経由しながら前に行くと同時に、松尾(佑介)を入れることによって、よりダイレクトに背後のスペースを狙うことを試みました。

--今日は控えメンバーにCBを入れていなかったが、早い時間帯でCBに負傷者が出ていたらどう解決しようと考えていたか。
オプションは3つありました。1つは(伊藤)敦樹、もう1つは(酒井)宏樹をCBにして(大畑)歩夢をSBで起用する。何かあったときにこの2つを用いる可能性が高かったですが、もう1つのオプションとして憲をCBで使うものもありました。

--チームが立ち上がって間もないこの時期に、興梠 慎三選手や岩尾選手のようなベテランはどのようにご自身の力になっているか。
慎三は前半とても良かったです。得点もそうですし、ビルドアップに絡むプレーができていました。憲の性格はあらゆるところに表れていましたので、去年あれだけ多くの試合でプレーした理由が分かります。そして、憲はアンカーとインサイドハーフの間くらいの役割を行えますし、そこに順応しています。

 

2024 J1第4節 柏レイソルvs名古屋グランパス メモ

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スタメン

名古屋は米本が出場停止明けで先発。

 

流れ

名古屋は非保持セットが5-4-1に見える。永井が最前線の山岸が右シャドー。

名古屋の中盤が後ろに近づきすぎて、はね返しても拾う選手がいない。中盤のところにルーズボールを作れば、柏が回収しやすい。名古屋マイボールにするにはプレッシャー下でもつなぐ選択が必要。

名古屋のビルドアップに対し、細谷が強度を上げてチェイシング。柏は攻守両方でハイテンションな入り。名古屋はロングボールで押し上げを図る。

ともにプレッシャー下では前線の選手をスペースに走らせて、深さを作りにいく。収め切れずとも、FWの走力をきらってタッチへ逃げてくれればOK。

ヴィオがシャドーの脇に下りてきてスルーパスを入れる形。

ヴィオのインスイングクロスをファーで関根が折り返す。久保とのマッチアップになれば高さでミスマッチを作り、上回れる。

名古屋は中盤でボールを持てても判断が少し遅れると囲まれてロストする流れ。柏は各方向からのプレスが速い。名古屋はボールを持てても選択肢を削られて、アバウトに蹴るしかない状況が多い。

名古屋はシャドーがCBへのアタックをにらみ、WBがSBまでスライドして出てくる。プレスを掛けている際は、下りてくるサヴィオには内田が深くまでついて行く。

17分、名古屋先制、0-1。森島のFKをハチャンレが競り勝ち、永井が押し込んでゲット。柏は高嶺が後ろからきている永井に気づかず、GKに任せようとしたところをかっさらわれた。名古屋は1stチャンスでゴールまで結び付けた。柏は立ち上がりからずっと試合をコントロールしていただけに手痛いミス。

20分、高嶺が接触でひざのあたりを痛める。土屋が準備。

高嶺が状態を確認している間、柏は一時的に1人少ない状況に。名古屋は積極的にプレスを掛けて主導権を握りにいく。

23分、柏交代

高嶺→土屋

高嶺は負傷交代。

25分、名古屋がロングボールから山岸がうまくすらして和泉が抜け出し、PA内で倒されて主審がPKスポットを指さすも、オフサイドの判定。立ち上がりから柏ペースで進んでいたものの、得点が動いてから名古屋がペースをつかみ始めた。

28分、ハチャンレに警告。序盤は柏が全体のハードワークで球際の優位性を出していたが、名古屋も切り替えの強度を上げた印象。ホルダーに対して複数で寄せていく。

名古屋のWBが前に出ていくとその背後を狙う小屋松。

ジエゴで久保、サヴィオで内田を前に引き出してその背後に走る小屋松。ハチャンレがカバーでスライドしてくる。

名古屋はプレスを受けると右のタッチ際にロングボールを蹴る。

名古屋は永井がボランチ1枚を見て、もうひとりは稲垣が前に出てきてチェック。受け手を消すマーク。柏は小屋松が下りてクッション役となり、サヴィオとのスイッチから広大なスペースへ出ていく。名古屋は人を捕まえに出てくるぶん、スペースは空きやすい。

36分、久保に警告。立ち上がりから見せていたサヴィオのシャドー脇折りからのスルーパスジエゴがうまく抜け出そうとしたところから。サヴィオは低い場所でもフリーにするとチャンスを作ってくる。

関根のシュート、セットプレーから犬飼のヘッドとポストを叩く柏。いっときは名古屋に傾きかけていた流れが再び柏に。ただ、フィニッシュがわずかに内側へ入り切らない。すべてのチャンスはサヴィオから。

柏は組み立てはすべて左から。ジエゴのところに人を引きつけて裏を狙う形。

46分、三國に警告。柏が珍しく右からの組み立て。細谷が下りてクッション役になりスピードアップを図ったところで三國が強引に止めた。

名古屋はミドルブロックのフェーズに入ると森島が横幅を見て久保を前に出さないように調整。

三國は警告を受けたことで下りる細谷に対して強く当たることを躊躇しているように見える。

 

立ち上がりは強度を高めて球際、セカンド回収で優位に立ち、主導権を掌握。保持の時間を増やして敵陣でプレー。ただ、名古屋が相手の一瞬の隙を突いて先制に成功した。柏はペースを握っていた中での手痛い失点。そこから勢いをつけた名古屋が自分たちの時間を作り出すも、柏がサヴィオの個人での打開から押し返しを見せると、再び柏がゲームを掌握。ジエゴ起点の配球から左サイドでの打開を狙い、サヴィオの抜け出しやスルーパスからチャンスを演出した。その流れで関根のシュート、犬飼のヘッドと質の高いチャンスを作り出すもネットは揺らせず。内容では柏のゲームだが、名古屋が1点リードで折り返し。ただ、ハチャンレと三國が警告を受けている上、守勢に回っていることから攻撃的な守備を行って押し返しを図ることの難易度は上がっている。柏は左サイドからの突破という明確なストロングパターンがあり、終盤には右からの前進も見せたのに対し、名古屋は明確に「このパターン」という攻撃の形はあまり見えない。

 

後半

名古屋交代

久保→野上

名古屋は右サイドを破られるシーンが目立ったことからそこの手当て?久保が警告を受けていることもあり、カードトラブルのリスク回避もあると思われる。

野上が3バックの右に入り、内田がWBに移る。

人を当てて前からプレスを掛ける名古屋。シャドーがCB、1トップがボランチをケア。柏はボランチをシャドーの近辺に下りて守備基準ずらしを図る。名古屋はWBがSBまで出てくるが、スライドに時間がかかってワンテンポ遅れる。

ビハインドの柏も前からプレスを掛ける。全体が押し上げてきたところで森島がボランチ脇に流れてきてランゲラックからパスを受けて回避。

永井1人でみられないボランチのもう1人は米本か稲垣が出てきてマーク。バイタルにスペースができるので、そこへタイミングよく降りて起点になろうとする小屋松。名古屋もつぶしに出てくる。

54分、和泉が座り込む。どこかを痛めた模様。すぐに山中が準備。

一時的に1人少なくなった名古屋は山岸が左WBを埋める。サヴィオからのサイドチェンジで関根に渡す形で対応を強いられる。

57分、名古屋交代

和泉→山中

61分、名古屋追加点、0-2。山中のアウトスイングCKで混戦を作り出し、最後はハチャンレのプッシュでゲット。名古屋は再三永井がサイドのスペースへ出ていって深さを作っていた攻撃が得点につながる。

62分、柏交代

山田、小屋松→島村、山本

山中が入ったことで左からアーリー気味のクロスが入るように。中もそれに合わせて準備し、複数人がターゲットになれるようにゴール前に入る。

前からくる名古屋に対し、アップバックからのワンタッチでバイタルに入れて起点を作ろうとする柏。山本が受けに下りてくる。

名古屋は自陣守備時に永井を最前線に残し、アバウト目なボールでも追ってもらって、陣地回復を狙う。

まずは3トップで横幅を管理し、スライドが間に合わないところはWBが少し高い位置に出てから寄せていく形で対応する名古屋。下りるサヴィオにはけっこう深くまでついて行く野上。

73分、柏交代

細谷、ジエゴ→木下、片山

74分、永井が足を攣る。攻守両面でかなり走っていたのでさすがに疲れが来た。ユンカーが準備。

75分、名古屋交代

永井→ユンカー

名古屋は撤退時は5-4-1ブロック。中央3レーンを4-1で管理し、大外のSBにはWBがスライドで対応。最終ラインはそれに連動してボールサイドへスライド。

82分、島村に警告。

名古屋は左の山中からのクロスが攻撃のほとんどを占める。シンプルに上げて、中で合うときを待つ。大外から上げても低くて速いボールが飛んでくるので、柏のDFは嫌がっている感じがある。

名古屋がゴール前中央に人数を欠けて守る中、柏は中央に人を増やしてコンビネーションからの打開を図る。

木下がチェイシング強度を高めて名古屋の最終ラインにプレッシャーを掛ける。名古屋は無理につながず、前へ蹴る。山岸のところにいれれば、個人で収めてくれるシーンも。

トランジションではユンカーが相手最終ラインを駆け引きし、ラインブレイクを狙う。ただ、スペースで保持がっているのに対し、足元に入って合わないシーンが何度か。

90分、内田が足を攣る。

91分、名古屋交代

米本、内田→椎橋、中山

右も左もファーポストへのクロスを狙う柏。両SBに高さがあるので、彼らを折り返し役にする。

 

ペースは柏にありながらも1点リードで折り返した名古屋が後半立ち上がりは人をはっきりさせてプレスを掛ける。柏も白井を下ろしてシャドーを迷わせようと調整し、空いたバイタルを使おうとしたが、名古屋の迎撃やプレスバックをかいくぐれる回数はそこまで多く作れず。名古屋はプレスから前向きの奪取を増やし、そこからの押し上げでプレーエリアを上げる。また、最前線で残る永井がトランジションでスプリントを掛けてキープ、もしくは相手DFにプレッシャーを掛けることで、柏に後ろ向きの判断を強いる。そこからセットプレーで2点目を奪取。基本はプレスに出ていく姿勢だが、掛かり切らなければ撤退に切り替える2段構えで守備を安定させ、奪ったら個人の推進力で押し上げる。柏は左はサヴィオ、右は島村からインスイングクロス→ファーで高いSBが折り返しというパターンを軸にゴールへ迫るも、名古屋が最後のところはやらせず。名古屋も充実の内容とは言えなかったが、リードする展開に持ち込めさえすれば、手堅い戦いができることを示した。

 

個人的MOM

★ハ チャンレ

Jリーグ初得点に加え、ゴール前のシュートブロッカーとして機能。早いタイミングで警告を受けてしまったのは課題だが、そこからファウルトラブルもなくつぶしをこなしていたのは効いていた。

 

トピックス

高嶺が負傷交代。ハチャンレとの接触の際にひざのあたりを痛めた模様で、一度状態をチェックしていたようだが、そのまま交代。

和泉が負傷交代。足のどこかを痛めた?

 

監督コメント

 (※Jリーグ公式サイトから引用)

[ 井原 正巳監督 ]
名古屋さんはここまで3試合勝利がない状況でわれわれと対戦するということで、勝つために必死で試合に入るだろうという予想をしていました。自分たちはここ3戦を終えて2連勝で戻ってきたということで、気持ちの緩さがまだあったのかなと思います。試合の中でチャンスなどは何度か作れたと思いますが、ちょっとしたセカンドボールや球際、競り合い、反応というところで名古屋さんの意識が上回っていたと思います。まだまだ自分たちには力がないということをもう一度認識して、ブレイク期間で3月末の試合に向けてしっかりと準備していきたいと思っています。

--後半の戦いについて。
後半は名古屋さんのほうも、後ろに引いた守備をして、そこからのカウンターに徹したところがあると思います。その守備を崩していくところで、自分たちのクオリティーやアイディアを含めて、少し足りなかったところがあると思います。終盤に少しチャンスを作れたと思いますが、相手が守った陣形になったときにどうやって崩すかは、まだまだ自分たちが改善しないといけない部分だと思っています。先行される展開は今季初めてでしたが、そこをもう一度自分たちでどう崩していくか、選手の交代カードなどを含めて、しっかりと整理してやらないといけないと思っています。

 

[ 長谷川 健太監督 ]
選手が気持ちを出して戦ってくれた結果が、(今季)初得点と初勝利につながったと思っています。多くのファミリーの皆さんが来てくれた中、セットプレー絡みではありましたが、ゴールという結果をプレゼントすることができましたし、勝利という結果をプレゼントすることができました。選手が体を張って戦ってくれたおかげだと思っています。内容的にはまだまだな部分はありますが、今日は勝たないといけない、ゴールを取らないといけないという気持ちで選手がプレーしてくれました。ベンチに立っていて、頼もしさを感じていました。これから引き続きチームの内容をもっともっと良くするために準備していきたいと思っています。次の1勝がとても大事になると思います。長かった初ゴール初勝利でしたが、ここからはい上がっていけるようにしっかりと準備していきたいと思っています。

--今日の試合の攻撃面について。
柏のハイラインをどう突いていくかの1点で、メンバーと戦い方を決めました。選手がしっかりとそれを表現してくれたと思っています。セットプレーに関しては、今までなかなか良いボールが入らないここ3試合でした。映像を見せながら、トレーニング方法もコーチ陣と話をしてきました。やはりキッカーが良い筋で蹴るボールに対して、しっかりとパワーを持って入っていく。シンプルな形ですが、2点目に関しては山中(亮輔)の非常に良いボールから狙いどおりの形で点を取れたと思っています。

--今日の試合の守備面について。
柏には(マテウス)サヴィオや細谷(真大)というタレントがいるので、そこをどうやって抑えるかという準備をしました。(ハ)チャンレにしても、ケネ(三國 ケネディエブス)にしても、内田(宅哉)にしてもしっかりと表現してくれたと思っています。

 

2024 J1第4節 ガンバ大阪vsジュビロ磐田 メモ

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スタメン

ガンバはウェルトンが加入後初先発。三浦が欠場で福岡が先発に。2試合連続で先発だった三浦とアラーノがメンバー外。東口が初のメンバー入り。また、鈴木→ダワンに先発を変更。

磐田は3試合連続で同じ先発とサブメンバー。

流れ

磐田は4-4ブロックの前に山田がサポートに入る形。

磐田はいつもどおりSHをインサイドに入れて内側のパスコースを作る。

磐田のゴールキックに対し、ガンバがつながせないように前からプレスを掛ける。磐田はサイドで詰まったところからジャーメインへ蹴って時間を作ってもらおうとする。

3分、ガンバ先制、1-0。ガンバのプレスから自陣深くでつなぎにいったところを岸本がカットし、宇佐美が決め切った。磐田はまたしても自分たちのミスからの失点。

磐田は中村が最終ラインサポートに入り、上原がアンカータスク。その両脇に松本と平川が入ってくる。ガンバは2トップが背中でアンカーを消す。1点リードもあってか、そこまで前には出ていかなくなったように見える。

中村のポジション移動で宇佐美の守備をコントロールし、空いたところから背後への配球。

ラヴィがアンカー役、ダワンがその右をベース位置にする。

ジャーメインが相手最終ラインと常に駆け引き。ラインブレイクを狙う。

上原が右おりでウェルトンを引きつけ、SBを浮かせる。

一森は背後のカバー意識がかなり高く、かなり深い位置まで飛び出してくる。

降りる平川にラヴィがついて行けば、その背後に山田が潜り込む。ボランチと2列目の3人がうまくつながって中盤のラインを突破しようと図っている磐田。

ウェルトンの仕掛けには松本もサポートに戻る。マイナスの黒川にはスペースが生まれる。

ガンバは一森も加えてビルドアップ。無理に前へ送るのではなく、詰まったら何度もやり直す。磐田が前に出てきたら、バイタル近辺のフリースペースを使って前進を図る。

磐田はジャーメインの縦の裏抜けのほか、SHの斜めの裏抜けも見せる。

ウェルトンと岸本の左右が入れ替わっている。→元に戻った。

ラヴィがサリーで3バック化。CB→半田で相手SHを切ってスピードアップ。

平川が岸本の前に出てくることで守備基準を押し付け、CB→SBのコースを空ける。

ラヴィがサリーで3バック化するシーンが増えた。CBを開かせて半田を押し上げ、CB→SBでスピードアップを狙う形が何度か。

磐田は2トップで3バック化する選手にプレスを掛けて制限を掛けに行くが、逆まで送られて1stプレスを外される。

磐田はトランジションからカウンターに出て陣地回復及びゴールを狙うが、ガンバの切り替えが早く、時間を与えてもらえず、パス精度が上がらないため、ポイントが作れない。

半田が大外で高い位置を取る際は岸本がインサイドに入る。

36分、山田康に警告。

磐田は変わらず、岸本のところに守備基準を複数作って空いたところから前進していく。ジャーメインへの縦パスから落としてスピードアップを狙う。植村が大外の高い位置に出て、松本がポケットに走る形。

 

ガンバが立ち上がりに先制点を奪ったあとは、ともに保持とセット守備の構図。ガンバは一森を使ってやり直しながら、全体のポジションを流動的に動かして保持を安定させる。途中からはラヴィを最終ラインに下ろして3バック化し、半田を高く押し上げ、岸本にインサイドサポートさせる形での打開を図るシーンが多かったか。磐田は中村と上原が中盤と最終ラインの列移動を行いながら、それに合わせて2列目の選手がピックアップサポート。中村と平川で岸本の目線を集めておいて、CB→SBで前進する形が何度か見られた。また、敵陣での攻撃ではジャーメインの裏抜けを軸に、右サイドのコンビネーションが何度か。ともにアグレッシブに奪いにいくフェーズは少なく、静的なゲーム進行が多くなった。

 

後半

磐田交代

山田、平川→ペイショット、古川

47分、ウェルトンのスルーから振り向いての突破。足元で受けると思わせておいて植村を引き出し、その背後へ一気に抜け出す。

いつもどおりペイショットが最前線に入るとジャーメインはトップ下タスクに。ボランチ脇のスペースに入ってきて起点を作る。

互いにトランジションから中盤での球際の競り合いが激しくなっている。

51分、ウェルトンに警告。

磐田は2トップで2CBにアタックへ出ていくように。ガンバは山田がボランチ裏に潜り込んで起点作り。ジャーメインはプレスバックでボランチ前のスペースで時間を与えない。

磐田は相手SH-CH間に人を置いてそこからラインブレイクを狙う。ただ、ガンバのSHもプレスバックが早いので、少し迷うと食われる。

ウェルトンが植村とのマッチアップで優位性をとっている。

56分、ガンバ追加点、2-0。連続で攻め込んだ流れから宇佐美のクロスをダワンが合わせてゲット。磐田は中の人数は整っており、グラッサがマークについていたものの、強ターゲットのダワンに飛ばせてしまった時点で厳しい勝負になった。

59分、磐田得点、2-1。ジャーメインが背負ってキープしたところを起点にPA内でパス交換を始め、目線を揺さぶったところから左へ展開。クロスを後ろから入ってきたジャーメインがフリーで合わせてゲット。ガンバはDFが後ろに引いて空けたバイタルに愛られた。

61分、磐田交代

松本→藤川

磐田は敵陣に人数を掛けて攻める。それにともなってトランジションからサイドのスペースを突かれやすくなっているが、そのリスクは承知の上で出ていく。

磐田の得点から磐田のペース。

65分、ガンバ交代

ラヴィ、岸本→鈴木、倉田

2トップがプレスを掛けて、磐田の保持からの前進を簡単には許さないように出ていくガンバ。

ガンバがプレスからの回収で保持のフェーズを作り、カウンタープレスで回収し、コントロール下に置く時間を作る。

71分、藤川に警告。

71分、ガンバ交代

宇佐美→坂本

磐田は自陣4-4セットで、ジャーメインが中央の経由地つぶし及び、トランジション起点狙い、ペイショットが最前線残り。

74分、磐田交代

中村→ゴメス

ウェルトンが一度降りてから背後へ抜け出すなど、植村との駆け引きをずっと続けている。足元で受けるだけでなく、駆け引きの引き出しも多い。

ガンバは2トップが背中で中盤を消しながら坂本がプレススイッチを入れ、山田が横消しでサイド圧縮を図る。そうなるとボランチが人を捕まえに前へ出てくるため、磐田は2対2になっているジャーメインとペイショットを使って、2人の関係性から収めて押し上げる。

78分、磐田交代

植村→西久保

古川が入ってから古川が大外で1枚張って、松原がインサイドに入る偽SBタスクに近い配置になっている。

82分、ガンバ交代

山田→石毛

アバウトにでもペイショットへ預けておけば背負ってポイントを作ってくれる。

終盤に入ってかなりオープンな展開に。磐田はペイショットへシンプルに入れながら陣地を押し上げ、ゴール前に人数を掛けた状態でクロスなどからゴール前の圧力を高める。ガンバはウェルトンを高めにの押しておいてカウンターの脅威も残す。ガンバは個人で陣地回復できても、最終ラインが上げられず、ロストすると中盤に広大なスペースが生まれる。

89分、ダワンが足を攣る。

磐田が捨て身の攻撃でゴール前に人数を掛けて圧力を掛け続ける。ガンバはひたすら我慢の展開。

西久保のクロスをジャーメインが合わせて枠へ飛ばすも一森がファインセーブでかき出し、その後のパンチングで終了のホイッスル。

 

いつもどおり途中からペイショットを投入して、後方でつなぐよりも前線に増やしたターゲットのところへシンプルに送って前進を図る磐田。また、ドリブラーの古川が入ったことで松原が内側に入るタスクに変わった。その中でガンバが連続攻撃のチャンスを作って追加点を奪取。クロスに強いダワンをターゲットにできた良い攻撃。その直後にもビッグチャンスが訪れた中で3点目を決め切れず。そうすると磐田がチャンスを生かして1点差に。ジャーメインが収めとフィニッシュ役の両方を務めた。そこからは磐田のペース。ガンバが前から来なければ保持の陣地を押し上げて攻撃、前からくれば2対1になっているジャーメインとペイショットのところへシンプルに入れて、2人の関係性で起点を作る。磐田が捨て身で出てくるぶん、ガンバもカウンターを狙えるシーンもあったが、フィニッシュまで行けないシーンが多く、段々疲れが出てきたことと、守りたい意識が上がってきたことで防戦一方に近い展開に。磐田はゴール前に人数を増やしながらサイドからのクロスでゴール前の圧力を高め、混戦を作り出せたが押し込むまでは至らず。ガンバが最後のところは踏ん張り切った。

磐田は1stセットにゲームコントロール型の選手が多く、そこから選手交代でゲームチェンジしていくようなプランニングに見えるため、前半でリードを奪われると、勝機が薄くなってしまう。ペイショットの早めの投入で押し返すポイントを作り、ゴール前のパワーを出せたのは良かったが、それをタイスコア以上でできるようにしたいと思っているはず。

ガンバは早々にリードしてから保持と非保持でうまくゲームスピードを落とし、コントロールできていたが、終盤はどのように振る舞うかが曖昧になりがちなところがあった。ウェルトンで追加点を狙うのか、プレスで押し返しを図るのか、自陣セットで後ろに重くしてでも陣形を崩さないことを優先するのか。最終的には1点を守り切る体勢でしっかり守れたが、残り20分は苦しかった。ただ、ジャーメインとペイショットのコンビネーションがガンバの振る舞いを難しくさせたとも言える。

 

個人的MOM

★宇佐美 貴史

1ゴール1アシストで全得点に関与。ゴール前の最後の質を高める存在として、開幕からチームに勝点をもたらし続けている。

初先発のウェルトンもスピードと仕掛けで対面の植村をちぎりまくった。足元だけでなく、スペースに走る駆け引きもできるのが好印象。

 

磐田はジャーメインが最前線で体を張る役、ラインを引っ張る役、セカンドボールを回収する役、フィニッシャーになる役等、様々な役割を持ちながらすべてを高水準で遂行。いまの磐田に欠かせないアタッカーに。

 

トピックス

宇佐美は開幕から3試合連続ゴール。

 

監督コメント

 (※Jリーグ公式サイトから引用)

[ ダニエル ポヤトス監督 ]
60分まではしっかりと2-0で進めて、得点差も離していけるかなと思っていたのですが、ジャーメイン(良)選手、そして(マテウス)ペイショット選手に苦しんだところがありました。やはり3点目を決め切れていたらなというところがあります。失点シーンはエラーではないですが、ちょっと不運があったかなとも思っています。

それ以降はこぼれ球が相手に渡ったりして苦しみましたが、しっかりと全員で耐えてくれたと思っています。一人ひとりが役割を果たしてくれたなと思っています。この3ポイントを非常にうれしく思いますし、最後の一森(純)選手のところで良いアクション、ナイスセービングをしてくれたので良かったと思っています。この3ポイントをうれしく思っています。

--流れの中からゴールが決まったことも収穫だと思うが?
この流れからの得点をうれしく思っています。直近2試合はセットプレーからの得点でしたが、特に心配はしていませんでした。

新潟戦も今日の前後半でも、しっかりとした決定機は作れていましたので、あとは決め切るだけかなと思っていました。あとは後半でもう1点、追加点を入れることができたと思いますし、そこは心配していませんでした。私のプレースタイル、ガンバのプレースタイルでは、ファンの皆さまに、このパナソニック スタジアム 吹田に来ていただいた方々に喜んでもらうと同時に、選手たちも喜びをもってプレーしてもらうということが自分自身の信条である。それが達成できていると、いまのところ思っています。

--前半から即時奪回と切り替えの速さがハマっていたが、今後も継続するのか。さらに戦い方の幅を広げるのか?
切り替えは私たちの中ですごく重要な要素になっています。そこで相手に時間を与えない、相手にオーガナイズさせないというところで、ガンバと試合をしたら難しいという状態に常にもっていきたい。この切り替えを含めて、フィジカル的な要素がすごく要求されますが、そこも含めてチームとともに進んでいきたいと思っています。

本当に今日は3点目をしっかりと決めていたら、相手にきっちりとダメージを与えることができていましたし、試合を終わらせることができたと思っています。流れの中ではすべて切り替えを含めてできないときがあります。そういうときにはしっかりとコンパクトにしてから押し出すというところもありますが、やはり(相手を)待つ状態を作りたくない。そこから押し出したいのですが、押し出せないときもある。相手もしっかりと対策をしてくると思いますので、しっかりと今後もこういった形で長い時間を続けられるように、選手とともにやっていきたいと思っています。

昨年から、この待ちの状態にせず、自分たちから押し出していくアイディアを落とし込むのはなかなか難しかったのですが、今年は良い形で進んでいると自分の中で思っています。もちろん、このまま続けていきたいと思っています。

 

[ 横内 昭展監督 ]
スタジアムに駆けつけてくれた1,200人以上のサポーターに勝利を届けることができなくて、非常に申し訳なく思っています。試合のほうは立ち上がりがすべてだったなと思っています。つまらない失点をしてしまって、非常に苦しい中で前半は思うように自分たちのゲームができなかった。ただ、後半は選手たちもこのままでは終われないという気持ちをピッチで表現してくれたと思っています。追加点は奪われましたが、最後まであきらめずに相手ゴールに向かっていったことはすごく評価します。

--後半にマテウス ペイショット選手を投入して、前線に起点ができた。その後は攻撃の回数が増えたが、彼の評価と攻撃の狙いは?
ペイショットを後半から投入して、得点を奪うためにセットプレーの高さでは上回れるかなというところ。あと流れでは前半にジャーメイン(良)がすごく1人で起点になっていたところにペイショットが入り、ジャーメインもボックスの中に入っていける狙いはありました。あとは古川(陽介)も同時に入れましたけど、横からのボールもペイショットに関しては期待していました。

--昨季は連敗がなかったが、連敗の受け止め方と今後については?
連敗はしたくないです。強いチームというのは多分、連敗をしないチーム。勝点を積み上げていけるチームも連敗をしないというのが僕の中ではありますが、そんなに簡単ではないリーグだとは思っています。このままズルズルといくわけにはいかないので、少し中断期間もありますし、しっかりと修正したいと思います。

 

2024 J1第4節 鹿島アントラーズvs川崎フロンターレ メモ

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スタメン

川崎は前節に続きエリソンが欠場。

 

流れ

チャヴリッチが左で名古が中央に入る。

山田がスイッチ役でサイドを制限していく。鹿島は佐野がアンカー位置に入り、知念が前目に出る。

植田の低弾道フィードで大外で張る藤井へ。そこから仕掛け。

右CKキッカーはアウトスイングの名古。

前節と同じく、橘田は保持時にボランチ位置へ移る。大外は家長が1人。

エリア内で受けようとした藤井をフィジカルで飛ばしたマルシーニョ。そこから個人の推進力で突破を図り、濃野を振り切るも今度は知念がフィジカルで飛ばす。各所のバトルバチバチの展開。

左CKも名古がキッカー。

最初はCKで知念をセカンド回収役にしていたが、ターゲット役に入れるパターンも見せる。

三浦が高い位置に張るときはマルシーニョがインサイドに入る。

チャヴリッチは大外の深いところまでは守備に参加しない?左サイドは知念がサイドサポートに出て、佐野が絞ってくるようにも見える。

藤井が背後へのランニングで川崎の最終ラインに脅威を与える。抜け出しまでは完璧だが、ラストパスが雑でフィニッシャーに余計なコントロールの手間が増えてしまっている。

鹿島は細かいパスでの組み立てにこだわっておらず、早めにサイドの高い位置へ出せるならそこへ送ってエリアを押し上げる。

山本が下りて3バック化。脇坂がボランチ脇に入ってクッション役になり、サイドの家長へはたく。

知念のサリーでWGを引き出してから外で浮く濃野へのフィード。

川崎は保持から徐々に押し上げて崩しのフェーズへ移行していくという攻撃で、鹿島は比較的スイッチを入れてからゴールへ素早く向かう攻撃が多め。

鹿島は無理に前に出ていかず、セットしたところから前向きに入ったパスのインターセプトを狙っている。また、保持では名古がアンカー脇に出てきて起点を作ろうとするパターンが出てきた。

鈴木は自分のラインを越されたあと、積極的にプレスバックに戻ってきて中盤の圧縮度を高める。

川崎は山田のプレスが届かないところに瀬古が出て4-4-2と4-3-3の使い分けのような守備。名古と鈴木がその空いたアンカー脇に入ってクッション役となり、前進を図る。

33分、ジェジエウに警告。

35分、川崎先制、0-1。ゴールキックのつなぎからプレス回避→疑似カウンターに持ち込み、脇坂からスペースに流すパスで家長が完全に抜け出してシュート。早川は一度止めるもこぼれ球をマルシーニョがプッシュしてゲット。鹿島は前からプレスを掛けに行ったが、サイドに人数をかけられたところを捕まえ切れず、背後のスペースを突かれた。

38分、トランジションから名古が運び出してクロス。ファーに鈴木が飛び込むもわずかに高く、合わせきれず。鹿島はトランジションから縦に速い展開でチャンスを作れているが、最後の精度のところが微妙にずれている。

家長の寄せが甘いとみるや運び出して前進する安西。家長が届かなくなると脇坂らが引き出されてズレる。

40分、右からのクロスに名古が合わせるもわずかに枠外。先発起用の名古がフィニッシュに絡むシーンがかなり多く出せている。形はできているので、あとは最後の質。

瀬古はボランチ番とCBの前に立つ役、脇坂は基本的にはボランチ監視役。

 

より際どいシーンを作れたのは鹿島だったように思うが、仕留め切ったのは川崎。立ち上がりは藤井の仕掛けと裏抜けでチャンスを作り、中盤以降もトランジションから縦に早く攻め切ってゴールへ近づいたが、ラストパス、フィニッシュの質が上がらず。川崎は鹿島がそこまでハイプレスでこないこともあり、保持の時間を作ってエリアを押し上げていく。とはいえ、鹿島が中盤の圧縮度を高めてくるため、そこまで自由に進めるわけではなく、崩せたシーンはあまり記憶にない。きわどいシーンを作れたのはセットプレーくらいだったか。ただ、その中でも一発の疑似カウンターを仕留め切れるところは鹿島戦で抜群の相性を誇るという要素もあるか。鹿島は保持でアンカー脇を起点に進入していく形など手札も見せていただけに、内容と比較してビハインドでの折り返しはギャップがあるかもしれない。

 

後半

鹿島は名古がアンカーを消しながらCBへ寄せる。脇坂が左サイドに出てフリーマンになる。三浦が内側から背後へ抜け出して深さ取り。

46分、鹿島同点、1-1。川崎がプレス回避からの疑似カウンターでチャンスを作った直後、鹿島がロングボールからチャヴリッチが抜け出してゲット。

49分、鹿島逆転、2-1。安西が家長の戻りの甘さから再び運び出し。チャヴリッチへのパスはズレたが、名古が二度追いでルーズボールを作り出し、サイドへ出ていったところからクロス。精度は上がらなかったが、ボールがバーをたたき、詰めていた鈴木が押しこんでゲット。

逆転後から、ホームの空気作りもあって一気に鹿島の雰囲気に。

52分、川崎交代

山本→佐々木

佐々木が右SBに入り、橘田がアンカーへ移る。

53分、マルシーニョに警告。鹿島の前向きの奪取が効果を出しており、奪われたマルシーニョが自分で責任を取った形。

58分、ジェジエウが足を攣る。

左に流れる瀬古と橘田がつながってマークを外しにかかる。鹿島はハメどころは作れないが、陣形は崩れず。

藤井でCBをつり出して、空けたところに佐野が入ってくる。瀬古がカバー。

62分、川崎交代

ジェジエウ、瀬古、山田→大南、遠野、小林

川崎は大南からロングフィードを蹴るが、セカンド回収の場所には誰もおらず、あっさり鹿島にはね返されてから回収される。

鈴木はサイドまでプレスバックに戻って出所をつぶす。ペースを相手に渡さないという強い意志が見える。

鹿島はミドルブロックで構え、奪ってから縦に速い攻撃でカウンター狙い。

66分、名古がかなり疲弊している模様で、交代してくれというアクションがあった模様。

68分、鹿島交代

名古→樋口

74分、マルシーニョに2枚目の警告で退場。川崎は保持で敵陣に入り始めた流れの中で逆風となる退場。

川崎は小林と家長の2トップで4-3-2。

80分、川崎交代

三浦→瀬川

鹿島はそこまでプレスを掛けず、4-4-2ブロックのコンパクトさを保つこと優先。川崎はボールは持てるが、どうやってブロックのラインを越えていくか。前の枚数は少ないので、前に進むほど選択肢が狭まる。

83分、鹿島交代

藤井→松村

ビハインドの川崎は数的不利でも前からチェイシングを掛けてボールを奪いにいく。

88分、鹿島交代

チャヴリッチ→パレジ

鹿島は2トップの1角が背中を消しながらCBへ寄せてサイドを制限。もう1人か、スライドが間に合わなければボランチが同サイドの横を消す。川崎は最終ラインからの縦パスを狙うも、そこは鹿島も狙いを定められる場所で、インターセプトを狙える。

待っていてもボールが出てこないため、家長が下りて組み立てのパス交換に加わる。

上福元がかなり高い位置まで上がってきてビルドアップに加わる。

川崎は敵陣サイドまで運べたらシンプルにスペースを狙うクロスを入れる。中は薄いのでターゲットに当てるのは難しいが、何か起こそうというトライ。

94分、ロングカウンターからパレジ→安西とつないでクロス。中でフリーになった松村が合わせるも丸山がスーパーブロックで阻止。勝負を決められるチャンスで仕留めきれず。

川崎は一度のロストで大きなピンチを招くカウンターを受けるが、数的不利かつビハインドの状況なのでやむなし。

96分、パレジに警告。

 

後半立ち上がりにチャンスを迎えたのは川崎のほうだったが、それを決め切れずにカウンターを食らい、それを一発で仕留めた鹿島。その勢いのまま、相手の隙を突いた攻撃で一気に逆転。ホームの雰囲気も背中を押して鹿島ペースになると押し込む展開を作り出すも、追加点は奪えず。無理に出ていくことなく、ミドルブロックを組んで前に入れてきたところを押し返す守備からカウンターを狙う戦略でゲームを落ち着かせる。ゲームスピードを上げるのではなく、まずは陣形を崩さないことを優先。川崎はボランチ脇を起点にしながらサイドへ流してスペースを突こうとしたが、なかなか最後のところまでは割れず。マルシーニョが退場したこともあり、前線の枚数が確保できなくなると、サイドからクロスを入れても鹿島DFにストレスが掛からなかった。数的優位に立っても色気を出さず、徹底してミドルブロックからのカウンターでコントロールした鹿島が試合巧者だった。

 

 

個人的MOM

★名古 新太郎

逆転弾につながるボール奪取とクロス。直接的な得点の関与こそなかったものの、前線を活性化させる動きとチャンスクリエイトで存在感を発揮。長い時間スタミナが持たなかったことは次回への課題。

 

トピックス

マルシーニョが警告2枚で退場となり、次節出場停止。

鹿島はリーグ戦では2015年以来となる川崎戦の勝利。

 

監督コメント

 (※Jリーグ公式サイトから引用)

[ ランコ ポポヴィッチ監督 ]
まず前節、われわれはアウェイにもかかわらずサポーターの皆さんにあれだけ素晴らしい雰囲気を作ってもらい、大声援を送ってもらったにもかかわらず、鹿島のレベルでプレーできませんでした。われわれのすべてを出し切れませんでした。その意味で「あの試合でサポーターに借りを作ったよ」という話を選手にはしていました。今日、このスタジアムに足を踏み入れる前にサポーターの皆さんの姿を見て、本当に鳥肌が立ちますし、涙が溢れてくる。それぐらいサポーターの熱さ、愛情は伝わってきます。

それが逆に、その熱量やテンションがわれわれのプレッシャーになってはいけない。何人かの選手は今日の前半でも硬くなっていたと思います。試合の入りは素晴らしかったと思います。ただ、それでナーバスになっている部分がファーストパスの部分で見受けられました。力が入り過ぎているところから硬くなっていたり、ナーバスになっているところが見受けられました。

ハーフタイムでもそういう話はしました。われわれが川崎Fに力で上回られたからビハインドを背負っているのではない。自分たちを苦しめているのは、自分たちだ。良いプレーはできているから、このプレーを後半も続けていこう。ただ、より冷静に落ち着いていこうという話をしました。良かったのは後半の早い時間帯で同点ゴールを決めて、逆転に成功したこと。それは非常に良かったと思いますし、逆転したあともいくつか得点を決められそうなチャンスを作れていました。

重要なのはわれわれがやってきたこと。そして、われわれの力を信じて最後までやり切ったこと。そして、そのやり方で結果を得たことです。これからリーグ戦は続いていきます。ここから先もこういった素晴らしい雰囲気の中で、試合後に皆さんと喜び合えるシーンをたくさん増やせるようにやっていきたいと思います。

Jリーグの大きな魅力はスタジアムの雰囲気だと思います。今日もフロンターレサポーターの皆さんもすごく良い雰囲気を作っていたと思いますし、われわれのサポーターも選手を鼓舞し、後押しするような力強い声援を最後まで続けてくれました。非常に良い雰囲気でサッカーができる。これがJリーグの大きな魅力の1つだと私は感じています。

非常に良い試合ができたというふうに思っていますし、われわれが積み上げてきたことを見せられた上で結果を出せた試合だと思っています。これまで出場機会に恵まれなかった選手だったり、途中出場する回数が多かった選手も先発で出て、彼らの力をしっかり見せてくれましたし、チーム全員で勝ち取った勝利だと思っています。

 

[ 鬼木 達監督 ]
まず、この鹿嶋の地まで多くのサポーターが来てくださった中、勝てなかったこと、また先制していましたので、少なくとも勝点を拾って帰らなければいけないゲームだったと思いますが、それができなかったことを残念に思っています。また一番残念に思うのは、自分たちの戦い方を最後までできなかった。相手のサッカーと戦ってしまったこと。自分たちのゲームに持っていけなかったこと。それが一番悔やまれますので、気持ちのところで何回取られても自分たちのボールにするとか、相手の強みである高さで勝負するのではなく、そういうところをしっかりとやっていかなければいけないと思っています。

--なぜ自分たちのゲームができなかったのか?
何回かボールを引っかけられたこともあると思いますし、相手のロングボールの回収のところでパワーを使ったということもあると思いますが、マイボールになったときの判断の遅れというか、1つ外せればオープンになるシーンは多々ありましたが、その1つ目で圧を感じてしまって、蹴ってしまったり、ズレてしまったり。また自分たちのFK1つとっても、前半から随分遠くのところからセットしてやっていたと思いますし、それも含めてもっとボールを動かさなければいけないシーンだったと思いますが、このスタジアムの圧にも押されたと感じています。

--ビルドアップもなかなか思うようにできなかったと思うが、自信をつけられないことが出てしまったのか?
それはビルドアップというよりも、ボールを受けるほうと出すほうが強気でやれるかだと思います。もちろん形は必要だと思って取り組んでいるところもありますけど、何よりそれだけではなくて、自分たちが今までやってきたことの積み上げだと思います。一喜一憂することなくやっていかなければいけないと思っています。そこは覚悟を持って積み上げていくところだと思います。