2022 J1リーグ第20節 川崎フロンターレvsサガン鳥栖 メモ
スタメン
川崎
前節先発復帰した登里が欠場。
前節身内の不幸により離脱していたソンリョンが先発復帰。
前節に続き、チャナティップもメンバー外が続く。
前々節で負傷したダミアンも引き続き欠場。
宮代が契約上の理由で出場できず。それにともなって垣田が久しぶりの先発。
小泉が出場停止明け。
古巣対戦の森谷が5試合ぶりの先発。
流れ
立ち上がりから志高くつなぐ鳥栖。川崎が前からきても意味なく前へ蹴ることはしない。
川崎も前から強めに追っていったが、鳥栖はそれよりももう一段くらい強度を上げてハイプレスに出てきている。確実に90分は持たないペースで、多少剥がされてもスプリントでカバーしていくようなイメージ。
3分、川崎が高い位置でボールを奪うも、シュートまでは持ち込めず。
4分、川崎の敵陣での保持。ビルドアップの局面にならなければ敵陣で持てる時間を作れる。
5分、長沼の縦の仕掛けでCK獲得。
立ち上がりを見るに、鳥栖は前半で勝負を決めにきている雰囲気。川崎は前半で失点さえしなければ十分な結果といえそう。
鳥栖はボランチ相手が1トップ周りをうろうろしながらサポート。中野はインサイドを取ってライン間で受ける。
8分、山根のクロスがきわどいところに入るが、合わせきれず。川崎はビルドアップでうまくプレスを外して浮いた家長のところで前進成功。鳥栖はハメ切れずに、構造上の穴を強度でカバーできず。
立ち上がり早々は鳥栖のハイプレスに面食らうような川崎だったが、時間の経過とともにビルドアップが安定してきて敵陣でのプレータイムも増えてきた。
鳥栖は森谷がシミッチにマンマーク。垣田がサイドを制限して、SHが外切りでCBへプレスを掛けていく形。対して川崎はシミッチの落としを使いながら相手のSHを外して浮きやすいSBへ届ける。
16分、敵陣で奪った鳥栖。原田が前向きにパスを送るがつながらず。
16分、知念が背後へ抜け出しかけるが、ジエゴがカバーして対応。
18分、脇坂と山根のインサイドでのパス交換から右の家長へ展開。クロスのこぼれ球を車屋が狙うも枠外。CKに。
鳥栖は5分を超えたあたりからプレスもハマらないようになり、ほとんどボールを持たせてもらえない。
19分、右へ流れた脇坂の速いクロスは朴がクリア。知念が飛び込んでいたが触れず。
21分、垣田がポケットで引き出してキープするが、川崎守備陣が複数で対応。
鳥栖はプレスは続けているが、立ち上がりのようになんでもかんでも行くというよりは、セットしてから明確にスイッチを入れるような切り替え。
23分、飲水タイム。立ち上がりは鳥栖が超ハイプレスで奇襲をかけて奏功したが、川崎もかなり早い適応でゲームをコントロール。鳥栖のやりたいことを出させないように、テンポが上げすぎないよう、意識しているようにも見える。
25分、川崎先制、1-0。鳥栖のビルドアップミスを前向きでカットしてショートカウンター。家長の右足クロスをニアで知念が合わせてゲット。飲水タイムの直後に早速ゴールが生まれた。
27分、ライン間で受けた橘田からマルシーニョへ送って深さ作り。
29分、長沼がプレスを掛けて奪うが、ロストした車屋がそのままついていって対応。さすがの対人の強さ。
飲水後も展開はほとんど変わらず、川崎がテンポよくパスを回してゲームをコントロールし続けている。
30分、右サイドでの連係から脇坂がポケットに入って折り返すも鳥栖もクリア。
31分、ファンソッコに警告。抜け出しかけたマルシーニョを止め切れず倒す。
鳥栖はうまくいかないこともあってか、岩崎と長沼がサイドを入れ替え、中野とジエゴがCBとSBを入れ替えた。左はジエゴが幅を取り、長沼がインサイドに入る。変則3バックっぽい?保持時は原田とファンソッコの2CBのようになる。
38分、右での作りから知念の左足ミドル。
39分、福田の縦パスを受けた垣田がシュートまで。ソンリョンがセーブ。鳥栖は初めての惜しいチャンス。
40分、マルシーニョが原田から奪ってゴール前へ送り、最後は知念のシュートまで。フリーになったが枠外。ニア上を狙ったか。
44分、中央でのパス交換から山根のスルーパスにマルシーニョが抜け出して、落ち着いてGKとの1対1を制したが、オフサイド。鳥栖はホルダーにプレッシャーがかからず、後ろが1枚ずつずらされるような形になってしまった。鳥栖は命拾い。
47分、川崎が不意だ利サイドで奪ってカウンター。車屋が運ぶ。
立ち上がりの5分以外はおおよそ川崎のペース。鳥栖はプレスをかけるもまったくボールを奪えず、ビルドアップでも効果的に前進する術を見つけられなかった。
川崎は最初こそ鳥栖のプレスに焦る感じもあったが、アジャストさせてゲームを掌握。テンポの良いパス回しで相手のプレスをていねいに外し、敵陣でもスピード感のあるパス交換でPA内を攻略した。
鳥栖は1失点ですんだことをポジティブにとらえるしかない。飲水後あたりからシステムを変えて手を打ったが、流れは変わらず。まずは相手からボールを奪う手段を見つけ、保持率を高める展開に持ち込みたい。
後半
鳥栖交代
垣田、岩崎→本田、西川
一番ゴールを計算できそうな2人をスパッと替えてきた。
鳥栖は4バックに戻し、西川が最前線、本田が左SH。
45分、ロングボールを知念が競り勝って家長が抜け出す。ゴール前へ仕掛けてCK獲得。
46分、川崎追加点、2-0。脇坂のCKをシミッチが合わせてゲット。川崎が後半の1stチャンスで決め切り、リードを2点に。鳥栖はかなり苦しい状況になった。
47分、本田と西川の連係で本田がPA内へ入り込むも、川崎守備陣が対応。
48分、前プレから長沼が引っかけるも、川崎も素早いプレスバックですぐに奪い返す。→マルシーニョがワンツーで抜け出しかけるも、パスが少し長くなって間に合わず。
川崎は2点目が入って、よりゲームスピードを落とそうとしているように見える。
51分、ファンソッコの家長に対するファウル。山本主審から注意を受ける。すでに警告を受けているため、ここからより一層ファウルトラブルには気をつけなければならない。
51分、左からのFKにジェジエウが合わせるも朴が好セーブ。
52分、脇坂がPA手前からシュートも朴が好セーブ。鳥栖の守備陣は脇坂の前を完全に空けてしまっていた。
53分、CKの流れからマルシーニョがヘッドで狙うも枠外。
鳥栖はまだ保持を安定させられない。
55分、鳥栖交代
福田→小野
55分、川崎追加点、3-0。鳥栖のFKをはね返してから脇坂が背後のスペースへ送り、マルシーニョが抜け出す。前へ出ていた朴の位置を見てからループシュートで狙い、ネットを揺らした。脇坂のラストパス、マルシーニョシュートの質が高かったことは間違いないが、鳥栖のリスク管理はどうだったか。
58分、小野と西川の連係で前線に起点を作ってカウンター。本田が左でもって崩しを狙うも進入できず。ただ、小野の投入の効果は1つ出た。
60分、右でのパス交換で密集を抜け出し、左の本田へ展開してからカットインミドル。可能性のあるシュートは見せた。
60分前後から、ようやく鳥栖がボールを持てるようになってきた。
62分、前線でルーズボールをマルシーニョが回収しかけるが、鳥栖のDFもギリギリで対応。マルシーニョが前線で1人残るだけでも、鳥栖の最終ラインにかなりのストレスをかけることができている。
63分、川崎交代
マルシーニョ、脇坂→宮城、大島
点差が付いたことと連戦を考慮してか主力を早めに下げた。
鳥栖交代
森谷→菊地
65分、右へ流れて受けた西川がカットインからミドル。相手の守備を崩すまでは至っていないが、シュートまで持ち込める回数は増えている。
鳥栖は小泉がアンカー気味になり、その前を西川、小野、菊地が流動的に動くようなオーガナイズ。
69分、左サイドの連係から宮城が深さをとって仕掛けるもラインを割る。
69分、飲水タイム。鳥栖は2枚替えで流れを変えにいったが、立ち上がり早々に2点目を奪われて意気消沈。その後もセットプレーのチャンスから一発でひっくり返されて3失点目。鳥栖が「前に出ていこう!」となったタイミングでことごとく川崎が心を折るゴールを決めているような流れ。60分ことからはようやく鳥栖が持つ時間もできてきたが、すでに3点ビハインドになっている。
72分、知念が足をつったようなそぶりを見せる。
73分、川崎交代
知念、ジェジエウ→小林、山村
ジェジエウは特にけがをしたような様子などは見られないので、疲労を考慮したか。
74分、PA付近でパスを回して追い越してきたシミッチのクロス。中で小林が飛び込んだが、わずかに高さが合わず。触れれば1点のシーンだった。
75分、宮城が強引に仕掛けてCK獲得。
またしても川崎ペースに。
76分、ショートコーナーの流れからシミッチがミドル。鳥栖守備陣は寄せ切れなかったが、朴がセーブ。
77分、左に流れてきた家長のクロスに小林が飛び込むが合わせきれず。
77分、西川がPA内へ抜け出すもコントロールしきれずクリアされる。
78分、長沼に警告。中盤を抜け出そうとした橘田を強引に止めた。
鳥栖は中盤の広いエリアを小泉1人で守っているような状況で、中に打ち込まれるとかなり苦しくなる。
鳥栖が前がかりになっているぶん、中盤はオープン気味になっている。
83分、宮城がカットインからミドル。DFに当たってゴール方向へ向かうが枠外。
84分、左からのクロスに小野がヘッドで合わせるも枠外。
85分、鳥栖交代
ジエゴ→平瀬
86分、川崎追加点、4-0。宮城が駆け引きでうまく背後へ抜け出し、折り返しのこぼれ球を大島が押し込んでゲット。鳥栖は車屋にプレッシャーを掛けられる余裕はないので、ある程度割り切るしかない。
87分、川崎交代
谷口→瀬古
瀬古がIHに入り、橘田が左SB、車屋が左CBへ移る。谷口も申し訳程度の休養ということだろう。
88-89分、宮城のカットインからのシュート。宮城のところで左サイドが活性化されてきた。
91分、家長のパスを小林がダイレクトで合わせるも枠外へ。決定機。
80分以上は川崎のペースで進み、スコアもそうだが、内容でも「完封勝利」と言っていいような試合だった。これで川崎は4連勝で暫定で首位に。
川崎はボールを持ってゲームをコントロールすることで、鳥栖にやりたいことをやらせず。ただ、強度をかなり上げて入ってきた鳥栖のプレスにすぐにアジャストした適応力や、圧力に屈しない技術とメンタルがあってこそ。もともと持っているベースの強さを極めた先にあった勝利だと感じた。
鳥栖は超ハイプレスで仕掛けたが、まったくボールを奪えずに、体力も精神も消耗だけして時間の経過とともにトーンダウンしていく流れになってしまった。志の高さは感じたが、川崎には通用せず。川崎相手だと「これではだめだ」という指標を得られたことをポジティブにとらえて、次へ向かうしかない。
個人的MOM
★脇坂 泰斗
2アシスト。それ以外にも多くのチャンスを作り出したほか、ビルドアップの局面でもクッション役になって組み立ての安定に貢献。脇坂が絡むとリズムも良くなる印象があった。
リード後の展開から前線で脅威になったマルシーニョも高評価。
鳥栖は4失点したものの、朴の好セーブも多かった。途中出場の西川や小野も一定の存在感は見せたが、決定的な仕事は果たせず。
トピックス
特別指定選手の平瀬がプロデビュー。
川崎は4連勝で暫定首位に浮上。
鳥栖は7試合ぶりの敗戦。
監督コメント
(※Jリーグ公式サイトから引用)
[ 鬼木 達監督 ]
連戦の中でも、選手が立ち上がりから攻守にわたってアグレッシブに、強気に攻めてくれたことで良いゲーム展開にもってこられた。彼らの姿勢をうれしく思う。多くのサポーターが駆けつけてくださったのも力になった。ゴールという形で選手たちが応えてくれた。最後まで失点ゼロで抑えたところなど、細かいところもやってくれたのをうれしく思う。またすぐ次がくるので、準備を怠らずに連戦を終えたい。--4-0という結果がついてきた中で、ゴールを決めた選手もそれぞれうれしい結果だったと思うが?
今日のゲームだけではないが、ここ数試合、彼らだけでなく、どんどん自信をつけていて、ピッチに立つ頼もしさを感じる。知念(慶)、(大島)僚太も、久しぶりのゴールだった。ゲームを長くできてない中で、ゴールはかなり自信になる。どれだけ良いパフォーマンスをしても結果が欲しいのが選手だと思う。ジョアン(シミッチ)も、彼の1つの特徴を出した。自信になるプレーだったかなと思う。--鳥栖相手にボールを握ることができたと思うが、外すところ、運ぶところ、あるいは距離感? 試合前に何を伝えていたのか?
いまおっしゃられたところはかなり言いました。まず全員でボールに対して顔を出す。それに、今日に関しては流動性をもちながら、相手はどうやって守備してくるか。少しズラしながら戦っていこうと。短い中でもトレーニングの中ですごく良いプレーが随所に見られたので、期待して見ていた。そのとおり、やってくれたと思う。その流動性のところだと思う。--首位に立ったが?
一戦必勝で戦うだけ。試合数の違いで首位に立っているだけということなので、首位というふうには思っていません。ただ、常に自分たちは首位を目指して戦っているチーム。試合数を気にしなくていいのなら、望んでいるところに立っているとは思う。望んでいるところに立っているわけで、それをプレッシャーに感じず、ここからは自分次第だと思って戦っていきたい。
[ 川井 健太監督 ]
平日のナイターということでファン・サポーターの方々に来ていただいたが、彼らが望んでいたものを持って帰ってもらうことができずに申し訳なく思います。ただ、選手たちはファイトしてくれましたし、その中で失敗があったけど、それを引きずるのではなく、それをもう1つ前に持っていくようにやってくれたので、そこは評価したいと思います。--4失点について。
やり続けることに関して、意識は良かったと思います。それを表現されたかというと、表現されなかった。表現されなかったかつ、逆にそれが失点という形を生み出したのは残念ですが、こういう試合はあると思うので、このあとが大事。こういう試合を肌感覚で味わわないと上には行けないと思います。そういう意味では、さっき言ったようにそれでも前を向くという姿勢は評価したいと思います。--平瀬 大選手の評価を。
大学に在学中ですが、基本的な技術は備えていると思います。一番難しいシチュエーションで入りましたが、良いデビューが飾れたんじゃないかなと思います。--4バックで入って前から行きたいように見えましたが、難しくなっていった印象です。山根 視来選手や家長 昭博選手のところへの対応について考えていたものは?
そこは少し数的不利になる可能性があると想定していました。ただ、これはわれわれの選手が良くなかったというより、彼らの判断がそろっていたので。そういう意味ではなかなか難しかった。そこは1つありました。川崎Fさんが調子を上げている中で、対策を練って臨むというのも選択肢にありましたが、われわれは川崎Fさんを見習いたいと思っているので、ここでうまくかわしても何も残らない感じだなと思った。その中での差というのは埋められると思いますが、今日に関してはうまくいかなかった。それだけですね。