J1リーグ第33節 FC東京vs浦和レッズ プレビュー
参考試合:31節・広島戦、30節・鹿島戦、32節・川崎戦(日程調整があったため、節の順序がバラバラ)
前節のスタメン
前節は渡辺のケガで岡崎、小川がケガ明け、戦術的な理由などで大森がスタメンに入った。
前節はベンチだった渡辺が今節からスタメンに復帰の可能性も。
浦和
図は直近のACL時のメンバー。おそらくこのセットが現段階での1stチョイス。
リーグ戦では過密日程やACLのためのターンオーバーをしていたため、メンバーが非常に流動的だった。
浦和簡易分析
ボール保持
ビルドアップ
フォーメーションから配置は大きく動かさず、後ろは[3-2]で組むことが基本。
3バックはワイドに大きく開き、場合によっては中央にCHが下りてくることもある。
後ろで細かくつなぐ傾向もあるが、前進パターンとしては
左右に開くCBからWBへのパス
CBからダイレクトに裏
ロングボールのこぼれを拾う
の3つがメインだと思われる。
ショートパスでのつなぎに関してはCH青木への依存度が高いのかなといった印象で、前々節に対戦した磐田のようにスペースの作り方や使い方が共有されている雰囲気はあまりないように感じた。
前節・湘南戦のように中盤で間延びする状況が起きなければ、ショートパス主体のつなぎから脅威を与えられることは少ないのではないかと思う。
前述したCBからダイレクトに裏への展開だが、[4-4-2]で守るFC東京に対しての攻撃として予想されるのは以下の2つ。
※イメージ
槙野からダイレクトでサイド奥のスペースを狙うパス。これは数年前から続けている形だ。
左WBを一度低い位置に下ろすことで背後にスペースを作り、パスが出てくるタイミングに合わせて走り込む。慣れ親しんだ形だからなのか、なかなか高確率で成功していた。
これに対応するのは室屋だが、走力に定評のある彼ならそこまで問題はないと思う。この形があるということが頭に入っていれば、多少出足で負けても致命的なダメージを負うことはないだろう。
※イメージ
次に右CB(の位置)から出てくる裏へのボール。
先ほどの槙野のパターンと同じように、WBでSBを引き出してからその裏を狙う。
シャドウが走ったり、トップが走ったりするが、これが最もうまいのは興梠だろう。マークが甘ければ抜け出されるし、タイトについていけば、中盤のスペースが空く。空いたところにタイミングよく入ってくる抜け目ない彼の動きには注意したい。
本来はシャドウにこの仕事をしてほしそうだが、武藤を欠いているいま、適役がいない雰囲気だ。強いて言えばマルティノスあたりができなくもなさそうだが、おそらく彼の序列はあまり高くない。武藤の不在はかゆいところに手が届かない状況にさせているように感じた。
チャンスメークパターンとしては、WBからのクロスと裏抜けから手数をかけない攻撃。
興梠との駆け引き勝負になると、どのDFでもかなり厳しいので、危ないクロスを入れさせないことに力を入れたい。
ボール非保持
基本戦術:[5-4-1]で自陣撤退で迎撃
前節の湘南もフォーメーション自体は同じだったが、湘南の場合はどちらかと言うと[5-2-3]、もしくは[3-4-3]の配置に近い。対して浦和はビハインドにならなければ基本的に[5-4-1]でブロックをしっかり敷いてくることがほとんど。
おそらく東京ボールになれば落ち着いて持てることが予想される。ただ、逆に考えると敵陣には人が多くいるため、ゴールに近づくのに多くのDFをどけていく必要がある。
※浦和のブロック
東京がボールを持ったときに狙いたいのはシャドウのファブリシオ。当日、どのようなメンバーを組むかは不明だが、出てきたら彼のところをつっついていきたい。
浦和はそこまでプレスをかけてこないが、浦和のシャドウは相手のCBとSBを主に見る。
ファブリシオはここのマークが非常に曖昧で、どっちにつくのか、またはどのタイミングで出ていくのかがはっきりしないことが多い。
自由なファブリシオの動きに周りが合わせる必要が出てくると、ほかの選手の頭脳的な負荷が高まる。そうなるとマークやスペース管理のミスも生まれやすくなってくる。
また、前からプレスをかけたときもファブリシオだけ明らかに寄せが遅く、ハマらないケースがある。そこを起点にプレスを空転させることができれば、一気に2トップがスペースを享受した攻撃が可能となるはずだ。
ただし、自由がゆえに意図せず攻め残りのような形になったりもするので、カウンターには注意したいところ。
また、[5-4-1]でのセット時に狙いたいポイントは潰しに出てきたCBの背中。
5バックのチームにはよく見られる傾向だが、左右のCBが下りる選手を捕まえに出ていくとWBと中央のCBとの距離が開き、ここの間を縫われてエリア内に進入されてピンチを招く。
ここは室屋に狙わせたい。大外に張ったところから斜めに裏へ走り、ボールを引き出す。彼も得意としてる動きだ。
出し手は橋本、高萩、大森(三田)など多くいるはずなので、誰かしらをフリーにするようなボール回しができたらいい。
※イメージ
展望
ゲーム自体で言えば、おそらく湘南戦のようにバッチバチのバトルにはならないことが予想される。スコアが動かなくても焦れずに勝負どころを待つ必要があるだろう。
ボール保持が得意とは言えない東京が、人数をかけて自陣を守る浦和を崩すのはなかなか難しいと考えられる。前節の森重のゴラッソとまでは言わないが、セットプレーだったり、相手のミスだったり、一個の隙を突かないとこじ開けられないかもしれない。
とにかく点が取れればいい!という、いつもどおりの精神で臨みたい。
リーグも最終盤となり、残り2試合。相手はリーグ戦の成績で見れば、今季絶不調とも言える浦和。
いくら東京が浦和を苦手にしているとはいえ、ここは確実に勝たなければならない。勝てないのであれば優勝するに相応しくないチームと言われても仕方ないだろう。
優勝へのドラマは揃っている。
これが美しい初優勝のエピソードとなるか、苦い記憶となるかは自分たち次第。
"勝負弱い東京"から卒業できるか試されるときだ。