がちゃのメモ帳

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2023 J1リーグ第29節 FC東京vsガンバ大阪 メモ

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FC東京

東が出場停止。

 

流れ

3分、松木が最終ラインに下りて浮いた場所で受け、相手が2トップ気味になったところを数の優位性を生かしてエンリケをフリーにする。

4分、ガンバの敵陣保持。東京は両WGもSHのように守備に参加させ、4-4ブロックで守る。状況をみつつ、渡邊が中盤中央のサポートに入る。ディエゴのみが最前線に残ってトランジションの準備をする形。

7分、原川の左下りに対して、食野がプレッシャーを掛けてくる。そうなると東京は左サイドで数的優位が生まれ、髙尾はアダイウトンとバングーナガンデの2人を見なければならない状況になる。

10分、ガンバ陣内でのトランジションからロングカウンター。オープンスペースで受けた食野がエンリケを外してシュートを狙うも、PA付近でごちゃついてきれいに打ち切れず。東京はバランスが崩れたタイミングでボールを落ち着かせられず、カウンターを受ける流れに。特に左はSBが高い位置に出ていくので、不用意なロストがあるとサイドのスペースは突かれやすい。

14分、ディエゴの個人の突破からラストパス。縦に貫いて仲川が狙うも東口がセーブ。その後こぼれを連続で詰めに行くも押し込めず。最初の決定機。結果的に仲川の抜け出しがオフサイド

東京はゴールキックなど、深い位置からの組み立てに対しては前から人を当ててプレスを掛けていくが、ミドルゾーンあたりまで下がると4-4ブロックでバランスを崩さないことを優先。

16分、東京がディエゴと渡邊で相手2CBにプレスを掛けに行くも、東口→ラヴィのパスで起点を作って前進成功。その後右サイドの深い位置を取りに行くが、アダイウトンが戻ってきてクリア。明らかに両サイドアタッカーの守備意識がいつもより高く感じる。

ガンバは守備で前からそこまで強くいかないぶん、重要になるのが保持の局面。無理に縦に急ぐことはなく、時間をかけながら陣地を押し上げて、スペースができるのを待つようなイメージか。

19分、ガンバの保持。のらりくらりまわしつつ、左サイドでスペースが生まれると縦につけて宇佐美がシュートまで。ガンバ最初の決定機。

22分、ガンバ保持と東京プレス。東京のボランチがラヴィと山本をつぶしに行くが、うまくパス交換しながらダワンを経由して密集を抜け出す。ここでは仲川が対応にいったが、中盤中央は2対3でガンバのほうに数の優位性がある。

24分、ガンバのゴールキック。ここでは東京はアダイウトンが右CBへのアタックに出ていき、大外のケアはバングーナガンデが縦スライドで対応。個人の判断か、チームで微調整したのか。

26分、髙尾のカットインからのクロス。山本、食野、倉田がゴール前にいたが、いずれもターゲットタイプの選手ではないので、高さの脅威はあまりない。

30分、ロングボールを倉田がすらし、スペースで受けた黒川が1人で運んでシュートまで。シンプルな攻撃から少ない人数で完結させたが、枠へは飛ばせず。

33分、原川のインスイングCKをニアで渡邊が合わせるも東口が好セーブ。

35分、ガンバが自陣守備からロングカウンター。ボランチ不在のバイタルで前を向き、髙尾が右のスペースでフリーになるも、シュートはブロックに遭う。判断に時間がかかっているうちに、DFの戻りが間に合った。

36分、東京先制、1-0。右で時間を作り、松木が縦のランニングでバイタルへのパスコースを空けると、長友が中央へパス。ディエゴのスルー→仲川のタメからパスで原川が混戦を抜け出してシュートを決め切った。全体の連動がキレイにハマった形。

39分、森重の運びから仲川がインサイドに入って起点を作り、逆サイドへ展開。密集から抜け出して広いサイドへ展開し、前進する良い流れ。

40分、左からの縦パスを渡邊がフリックして原川が引き取り、前進成功。東京はCBが時間をもらって、運びから縦パスに持ち込めていることでストレスなく前進できるシーンが多い。

42分、東京追加点、2-0。アダイウトンの浮き球パスに反応したディエゴが相手DFとGKの間にうまく潜り込んでかっさらい、無人のゴールへ流し込んでゲット。2人の関係と、ガンバ側の対応のミスから生まれたゴール。良い時間帯の東京にとっては大きい追加点。ガンバは、内容的にもダメージがある失点。

46分、ディエゴが左で受けてから中央に走った仲川へパス。ゴールに直線的には向かえなかったが、時間を作ってから渡邊のシュートまで。

 

 

ガンバは守備セット4-2-3-1、東京の保持は2CB+2ボランチ+渡邊。中盤の3枚は流動的に列を移動しながらボールをピックアップしにくる。SBは基本的に高い位置取り。左サイドはアダイウトンが大外に張り、バングーナガンデがインサイドの高い位置(※逆になる場合もあり)で内外のパスコースをそれぞれ作る。右サイドは仲川が外から中に入ったり下りたりして相手SBを引きつけ、空けたスペースへ長友が走り込むといった左右での作りの違い。

ガンバは1トップの宇佐美がCBへ横からプレスを掛け、サイドを限定する役割。トップ下のような位置にいる山本はボランチケアがメインで、CBに対してはそこまで出てこない。そうなると東京のCBは片方が浮く形になる。かつ、宇佐美がそこまで強度を上げてこないため、CB→GK→逆のCBとつなぎ、ローリスクで逆サイドへボールを逃がすことも可能になっていた。そしてそこからCBが1トップの脇のスペースへ運び出し、外と内の2つの選択肢を持った状態でパスを送る。これを嫌ってか、食野が何度か前へ出て圧をかけるが、そうすれば大外への対応がSBの役割となって、髙尾への負担は大きくなった。

ガンバはプランニングとして、高い位置から深追いしすぎず、多少ラインが下がっても全体のコンパクトさを保つことを優先しているような守備。

 

後半

45分、松木がポケットに抜け出して折り返し。中に入ってきた仲川がシュートも東口が処理。こぼれ球を詰めに行って接触した仲川に警告が提示。1stプレーから東京にビッグチャンス。

49分、前から追った東京に対し、東口→黒川のロブパスでプレス回避を図るガンバ。東京は仲川と松木の素早いプレスバックでカバー。

50分、バックパスをさらったアダイウトンがちぎって折り返し。中で渡邊が合わせるもポスト。連続で決定機。

東京はロスト後に素早いカウンタープレスで取り返しに行く狙いを継続。

53分、ガンバが左サイドを崩して折り返すも原川がカット。そこからのトランジションでロングカウンター。最後はディエゴがシュートまで持ち込むも東口の守備範囲。東京が質の高いチャンスを量産。

54分、ガンバ交代

倉田→ジェバリ

ジェバリが1トップに入り、宇佐美が左へ移る。

55分、松木に警告。山本を後ろから手で止めた。

東京の守備はアダイウトンが大外のスペースで深くまで戻るのに対し、仲川は内寄りの高い位置を守っているイメージ。右サイドは長友と松木で囲み、仲川が逃げ道を封じるような守り方。左サイドは中の選手を動かさないように、2人で外を守るイメージ。

SBをデフォルトで高い位置に配置して攻撃的に出ていくガンバ。東京は前からプレスを掛けつつも、一度前進されたら自陣撤退で構える。相手のSBが不在となったスペースを生かしてロングカウンターを連発できている状況なので、撤退もポジティブにできていそう。

63分、ガンバ交代

ダワン、佐藤→石毛、福岡

65分、東京交代

アダイウトン→俵積田

67分、福岡に警告。トランジションで起点になろうとしたディエゴを後ろから倒した。警告はやや厳しめな印象。

68分、食野が痛む。ふくらはぎを抑えている。

71分、ガンバ交代

食野→福田

ガンバは宇佐美が左に回ってからは、黒川が高い位置に張り、その後ろに宇佐美が下りてピックアップするような形が増えた。

75分、東京交代

仲川、松木、バングーナガンデ→シルバ、小泉、白井

白井が右SBに入り、長友が左へ移る。

77分、東京追加点、3-0。長友のクリアを拾った俵積田が1人で左サイドを駆け上がり、2人の間を縫って突破。そのままシュートを決め切ってゲット。ガンバはジェバリがプレスバックで2対1を作ったが、あっさり交わされた。

80分、黒川のクロスを石毛がボレーで合わせるも枠外。

下りて受けに来るジェバリに対してはエンリケが徹底的にマークして自由を与えない。

85分、左サイドをワンツーで崩して黒川が突破。ガンバは左サイドの崩しが攻撃の肝になっている。

85分、宇佐美→ジェバリでPA左を取ってシュートもスウォビィクが好セーブ。やや角度がなくなった。

87分、ジェバリが抜け出してシュートを決めるもオフサイド

88分、東京交代

森重→木本

東京は3点リードだが、トランジションでサイドを突かれてカウンターを受ける場面が目立つ。

90分、石毛がPA外からミドル。ガンバは密集を前にしたミドルと左サイドからの折り返しくらいしか攻め手がない。

 

2点ビハインドのガンバが攻撃的に出てきた後半、東京は相手のビルドアップにけん制をかけつつも、前半同様、一度前進を許したら潔く撤退。ガンバのSBが高い位置に張り出しているため、トランジションではそのサイドのスペースを突き、カウンターへ移行。アダイウトンを軸にした陣地回復からのゴールへの突進が何度も刺さり、チャンスを量産。そこで得点こそ生まれなかったが、東京がゲームを安定させながら追加点のチャンスを作り出す理想的な試合運びができた。俵積田の個人技から3点目を取って勝負を決めたあともおおよそのプランは変わらず。迎撃守備とカウンタープレスを続けたことで、リードしているにもかかわらずカウンターを食らってしまったのは反省材料だが、そのぶん即時奪回と迎撃での起点つぶしが機能したことはポジティブな方向に作用したと言える。

東京はまずはプレス→自陣では4-4+1でブロック形成、トランジションではまずは前向きの選択、ビルドアップはやり直しをきかせながら1トップ脇からサイド攻略というプランニング。タイスコアでゲームスピードが上がりやすい展開ではガンバがカウンターからチャンスを作ったが、ギリギリのところで東京が凌ぎ、逆に東京が決め切ったことで自分たちがやりやすい土壌を作ることができた。仮にガンバが先手を取っていれば、後半で自陣撤退の時間を増やすことはできず、あそこまでカウンターを打てる場面もなかったはず。微調整を施した中で理想とするゲーム展開に持ち込めたことが大きかった。