がちゃのメモ帳

Jリーグをメインに、いろいろな感想を残していきます

J1リーグ第21節 FC東京vsセレッソ大阪 プレビュー

がちゃです。

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スタメン予想

 

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両チームともに負傷者が出なければスタメンは固定気味という状況が続いている。

 

セレッソは奥埜→高木、木本→山下(山下をCBに入れて瀬古をCHへスライド)という交代カードの切り方が定番化されている。

 

※追記

小川の負傷により東京の左SBにはオ・ジェソクが入る可能性がある。

 

 

メンバー情報

FC東京

◦田川が練習に復帰しているがメンバー入りは不透明。

◦ユ・インスが負傷離脱中。

◦前節欠場したナ・サンホがおそらく復帰。

 

C大阪

◦都倉が長期離脱中。

◦ソウザが練習に復帰しているがメンバー入りは不透明。

 

 

 

C大阪簡易分析

 

ボール保持

 

基本的にはボールを大事にするが、状況に応じて後方からロングボールを入れるなど臨機応変に攻撃を展開する。

 

ビルドアップ

 4-4-2のFC東京に対しては最終ラインを3バックのように変形してくるパターンが予想される。

主に使用するのは以下の2パターン。

①松田を内に入れる

②藤田を一列下ろす

 

 ルヴァンカップで対戦した際にもこの可変を行っていた。

 

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①イメージ

左右非対称の3-4-3のような配置イメージ。

 

 

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②イメージ
 両SHがIHのように内に絞ってくることが多い印象で3-5-2のような配置イメージ。

 

 

セレッソのビルドアップは相手の動き方を見て変えてくる。

例えば相手SBが下りるSHに対してついてくるのであれば、その裏を2トップが狙うダイレクトな展開。逆にゾーン基調で引いて守るのであれば後ろから丁寧に繋いで前進する。

 

 

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※SB裏に2トップが走る

 

 

右は水沼が外に張り、松田が内側のレーンから外に出ていくことが多いのに対して、左は清武が内に入って丸橋が外を上下する。また、清武はボール保持時のポジショニングにおそらく自由が与えられていて、SBのような位置に下りてきたり、トップ下のように振舞うこともある。それぞれのキャラクターに合わせた役割を任せることで左右で構造が異なっている。


 

 

チャンスメイクパターン

 

◦メンデスの裏抜け一発

◦サイドからのクロス2トップ+1狙い

◦清武からの配球・展開 

 

 主にこの3つが多いと感じる。

 

メンデスは前向きでスペースを使わせると非常に上手く危険。相方の奥埜もスペースを見つける感覚は持っている。セレッソの2トップには圧倒的な高さやフィジカルはないものの、クロスのターゲットになり得る選手。そして両サイドにはクロッサーが揃っている(水沼、松田、丸橋)ため、セレッソもここから得点が取りたいはず。

とはいえ、東京守備陣は配置が整ってさえいれば跳ね返すことはできるはずなので単純に放り込まれるだけであれば問題はない。早いタイミングでのクロスを上げさせないこと、PA脇へ侵入させてしまうことを防ぐような守備を意識したい。

 

 

 また、清武が最大の要注意人物と言えるだろう。ゴールに近づけそうなプレーを選べるセンスがあり、ボールを持った際に時間を与えてしまうと非常に危険である。ルヴァンカップの2ndlegでは一瞬の隙から先制点の起点にしてしまった。

自由に動く彼をどこまで捕まえに行くかは一つのポイントになるかもしれない。

 

 

ボール非保持

 

4-4-2セットがベース。

2トップも積極的に守備に参加し、オートマティックで非常に強固な守備を築く。失点数もリーグ最少の12(20試合)。直近5試合で言えば1失点しかしていない。

 

ガンガン前から追うというよりも中盤エリアで構えてから相手が前に出てきたところを捕まえに来る。陣形を崩すよりも危険な場所をしっかり埋めようという考えなのだろう。無理して出ていかないということでボールを大事にするタイプのチームが相手だと保持率が下がる傾向。

 

 

個人の見え方ではあるが、ボールホルダーに対して縦だけでなく横方向もしっかり塞ぐような立ち方をするような印象がある。

 

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SBにボールが出るとSHが内側から寄せる。

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縦に出して来たらSBがまず寄せに行き、横向きのスペースはCHが埋めることで2方向を塞ぐ。この守り方だとボール付近に人数がかかるので、2トップ(特に奥埜)は中盤のエリアを埋めに下がってくる動きがみられる。特に19節の名古屋戦ではこの守備が徹底されていたように感じた。

この守備に対しては斜めのパスや突破で2人の門をくぐって起点を作れるとチャンスにつながるかもしれない。
 

 

 

ネガティブトランジション

 セレッソで最も特徴的な部分は攻から守への切り替え、いわゆるネガティブトランジションだと感じた。ボールを失った時に素早く取り返しに行くよりも自陣に素早く戻って陣形を整える。

 

 

 基本的に攻撃へ多い人数を割かないため、ほとんどの場面で自陣に4~6人(DFライン4人+CH2人)が揃っている。さらに4+2の配置につくスピードが非常に速く、カウンターで素早く攻撃しようとしても使えるスペースが少ない!といった状況がほとんど。自陣での撤退守備においては自信があることでリスクを負わず素早く配置を整えることを優先する。

 

 SHと2トップについては迅速な帰陣をそこまで求められておらず、特に清武はそこへエネルギーを割かせないようにしているかもしれない。

 

ここの部分を徹底していることでカウンターはほとんどハマらないと考えたほうがいいのかもしれない。

 

 

展望

前回対戦はお互いにゴール前のシーンが少ない展開の中で後半に松田からのアーリークロスをメンデスに潜り込まれ0-1での敗戦を喫した。失点までの時間で何度も左右に揺さぶられて体力を消耗したことが失点理由の一つに挙がるだろう。気候的にも90分戦うのは厳しい環境だったことも影響した。

 

梅雨が明けたこともあって今回の対戦も非常に暑い状況での戦いが強いられるだろう。そうなると前回のようにボールを回される時間は極力減らしたいところ。無理にボールを奪いに行かないまでも、ボール保持の時間はある程度確保したい。

 

セレッソリスク管理を優先するので前項で記述したとおり簡単にカウンターは決まらないはず。そしてセット守備も非常に堅く、流れの中から得点を奪うことは難しい。セットプレー等から得点が取れれば理想的だが、終盤勝負になりそうだと考える。

前節の清水戦同様に永井・ディエゴの2トップコンビに頑張ってもらい、敵陣でのボール保持時間を作って守備での消耗を減らすとともに相手DFを消耗させる。そして終盤になったらジャエルを投入して馬力で攻める。そうなればセレッソは山下を入れて対応してくるだろうがそれを上回れるかどうか試される。

直近でセレッソが失点しているのは18節広島戦でパトリックのヘディングから。それに近い形で取れれば御の字というところ。

セレッソも終盤には走力のある高木を投入してくるはずなので、どちらが仕留められるかの争いだろう。

 

0-0上等くらいの気持ちで望むべきかもしれない。セレッソに先制を許すとそこからこじ開ける難易度はさらに増す。ホームで勝ち点3を取りたいのはもちろんだが、勝ち筋を残す時間を長くすることが大事になると思う。

 

 

 直近5試合負けなしでチームが仕上がってきた雰囲気のあるセレッソを叩ければ大きな自信にも繋がる。アウェイでの借りはホームで返したい。

 

 

J1リーグ第20節 FC東京vs清水エスパルス レビュー

がちゃです。

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プレビューはこちら。

 

brgacha.hatenablog.com

 

 

 

スタメン

 

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東京は田川が怪我、ナ・サンホが理由不明でベンチ外となった。代わりに大森がスタメンで右SH、東が左に回る。

 

清水はファン・ソッコが出場停止明けだったが、立田が前節に続きスタメン。 

 

 

前半

まずはホーム清水ペースで試合が進む。

開始10分頃までで松原のシュート、ドウグラスのバイシクル、北川のGKとの1対1等、それなりのチャンスを作っていた。

 

おそらく序盤の清水は深い位置から大外へのクロスを狙っていたと思う。

 

 

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 ※1:30頃松原シュート時

 

松原のシュートはファー寄りにいたドウグラスへのクロスのこぼれから。ドウグラスのバイシクルもショートコーナーから大外のDFを超える位置を狙っていた。

東京の弱点からチャンスを作り出そうとし、それが決定機には結びついていたものの得点には至らず。

 

 清水左サイドの狙い

また、左の西澤・松原のところで東京のDFをずらそうという意図もいくらか見れた。

 

清水は東京の2トップに対して2CB+竹内の3人でパスを回す。

2対3になってしまうが、東京2トップが逆サイドのコースを切りながら寄せるという守り方ではなかったので片側のCBまでは見切れない。ということで外に開いた左CB二見に対しては大森が前に出て寄せに行くのだが、ここでずれが生じる。

 

大森が前に出たときに室屋も連動して前に出ていけばマークを外さずにチェックできるが、ここでカギを握ったのが西澤。

彼が松原を浮かせたり、室屋を最終ラインから引っ張り出す動きを見せていた。

 

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 ※イメージ

 

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※10分頃のプレーイメージ図

この西澤が下りる動きで室屋を引き連れたあと清水はバックパスで組み立てをやり直したが、その直後に篠田監督から「背後だろ!(背後を狙えということだと思われる)」と指示が飛んだというリポートが入っていた。

このシーンでは誰も室屋の背後に出ていかなかったが、室屋を引き出してからその後ろを松原が入るのは狙っている雰囲気があったので、清水側は一つの攻撃ポイントだったのかもしれない。

 

 

 

東京はボールを持っても2トップへのロングボールを中心に保持にこだわらなかったため、清水の保持で試合が進んでいた。

しかし、先制したのは東京。16分。ポジトラからディエゴが個人で突破し敵陣へ。スピードを落とされてカウンターは不発となったが、そこからの流れで大森がゴラッソ。

ディエゴのカウンターがきっかけ、とは言えるものの、狙ってもなかなかできないような思わぬ形で先制に成功。

大森は普段の練習から左足でのシュートを練習していたらしいので、その努力が報われる結果となった。

 

 

 

その後は東京ペースに。

ボールを奪ってからダイレクトな展開でカウンターでゴール前に迫る。また、保持の時間を長くすることで主導権を握る。敵陣では素早い切り替えでロスト後もカウンタープレスがハマり、即時奪回に成功したことが大きな要因だった。

 

何度か右の大森・室屋に加えて髙萩の3人が右サイドでのパス回しで崩しを狙うが、清水の守備組織を崩すまでは至らず。

30分にはその右サイド攻撃のやり直しから左へ展開し、小川のクロス→流れて逆サイドから室屋のクロスという連続クロスから永井の追加点が生まれる。

 

たまたまかもしれないが、これ以前からクロスはいずれもファーサイドに送られていた。清水がクロスからの失点が多く、DF同士の距離が空きやすい部分を狙っていたかもしれない。事実、室屋のクロスは合わなかったが、エウシーニョの前にスペースが空いており、誰かがそこへ飛び込んでいたらダイレクトに得点に結びついていたはずだ。

 

 

清水のシステム変更

2点ビハインドになった清水は35分頃にシステムを変更。4-4-2→4-1-4-1に。ヘナトに中盤底を任せてプレス部隊を増やす。プレス人数が増えること、プレスラインが高くなることで前向きの圧力は強まるが、中盤のフィルター役が減るため、DFラインが晒されることは多くなる。つまり、東京の攻撃陣が使える場所は増える。

これまでの試合でもオプションとして使用していたシステムで、ビハインド時に高い位置からプレスをかけるために使っていた印象。ここでも前半で流れを取り戻したい、1点返しておきたい、という意図でのシステム変更だったと思われる。

 

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 ※システム変更後

 

これによって東京も繋ぎでのミスを誘発されて清水がボールを取り上げることに成功した。しかし、東京も自陣で陣形を整えるスピードは速く、エウシーニョが東を交わしてシュートまで至ったシーン以外は危なげなく守れていた。

 

東京は保持時に相手のシステム変更によって空きやすくなった清水のアンカー脇を2トップの連携で狙っていた。4-1-4-1への変更に対して準備してきていた部分もあったように思うが、なかなかボール保持の時間を作れなくなったので、割り切って長いボールを2トップ狙いでokという方向性で試合を進めた。

 

お互いにゴール前でのシーンは作ったが、東京リードの0-2で折り返し。

 

 前半まとめ

 この試合は大森が清水CBの二見にプレスをかけに行くこともあり、前寄りな仕事を任されていたため、他の中盤の選手と分断するようになっていた。清水はそこを見抜いて右から左へ大きな展開を使うことで室屋に2対1を突き付けようとしたが、室屋がうまく対応してくれた(一つはファウルになったけど)。

 

また、西澤ー松原の左サイドコンビが内外・押し引きの動きで東京DFのマークや配置取りを混乱させようという意図が多く見られた。東京もここの対応は面倒だったと思うが、CHの一人がカバーすることで陣形が整っていれば特に問題なく守ることができた。

一方、右サイドでは河井がエウシーニョのサポート役のようになり、中に入りがちなエウシーニョのスペースを空けるために外にいることが多かった気がする。

 

 

東京は早い時間に先制したことで非常に楽な展開になった。ボールを持ったら慌てずに様子を伺いながら攻める、相手が前がかりになれば2トップでスペースを狙うという思惑通りの試合に持ち込める。清水のシステム変更も試合の流れこそ引き渡したが、東京が得点する確率は高まっていたはず。

 

 

清水は開始直後の勢いで得点できず、2点ビハインドに。システム変更後も得点は奪えず、内容と比べてうまくスコアに反映できなかったという感覚だったのではないだろうか。

 

 

後半

後半頭から西澤→中村慶太と清水は選手交代。ポジションはそのまま左SH。

前半、松原のスペースを作る役になっていた西澤よりもFK等セットプレー要素も含めて独力で得点が取れそうな中村を入れたということだろうか。

 

 

 後半も開始直後から清水が勢いを持って出てくる。

東京の体を張った守備によって決定機までは作れないが、明らかに早い時間で1点取ってやろうという意思を見せてきていた。

 

そこで効いていたのが永井とディエゴの2トップ。彼らの異次元的なスピードとキープ力によって流れを断ち切り、一方的に押し込まれる展開を防ぐことができた。

特に47分頃の永井が敵陣でファウルをもらったプレーは非常に大きかった。開始早々の清水の勢いに飲まれそうになっていたところで落ち着く時間を作ることに成功。あれで流れを渡すことを阻止できたと思う。

 

 

後半も左サイドで2対1を作ったところから松原を浮かせてクロスを狙う清水。

点を取るためにはボールが欲しいので当然前から追いかけてくる。東京は森重や橋本が絡むと強気につなぎに行く場面もあったが、基本的には無理せずロングボールでプレス回避していた。先ほど書いたばかりだが、ここでもディエゴ&永井がなんとかしてくれることで敵陣にて時間を使う・ゴールに近づくプレーをする時間を確保できた。

 

66分のシーンではCBの二見が左サイドをオーバーラップしてくる程、攻撃に重心を置いてきた清水だが、ここも髙萩のサポート&室屋の対応によって防ぐ。

 

 

67分に両者交代。

清水 竹内→六平

東京 ディエゴ→三田

 

清水は同ポジションでの交代。竹内が後半に少し熱くなってイエローカードをもらっていたので、そこが気になったか。

 

東京はシステムを微調整。三田を右SHに入れて、大森を左SH、東をトップ下にスライド。4-4-2ベースから4-2-3-1ベースに。元々ディエゴを下ろした4-4-1-1っぽくはなっていたが、2点リードということでトップに永井のスピードという脅威を残しつつ、より守備の安定を図ろうといったところだろう。

 

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※67分交代後

 

三田の投入により中盤タイプの選手が増えて敵陣でのパス回しにテンポが出た。久保建英がいたときに行っていた、逆サイドにまで顔を出すポジションチェンジも多く、人数をかけて保持する時間を作る。奪われたら素早いカウンタープレスを仕掛けて奪い返す。この保持&即時奪回がうまく決まったことで、攻めたい清水に対して保持する時間を削ることに成功した。

 

 

清水は80分に河井→滝の交代。この交代でまたシステムを変更。3-4-3気味に。

中村をCHというやや強引なシステムだが、失点覚悟で前に出ようという意思表示だと思われる。

 

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※滝投入&システム変更

 

 

これ以降も東京はロングボールでプレス回避→セカンド回収というような流れで時間を使っていく。

 

89分に永井→ジャエル、90+2分に東→アルトゥール・シルバの交代を行いクローズに入る。

ジャエルが想像以上にコンディションが上がっており、個人でアバウトなボールが収められるようになっていた。ディエゴの枠としてそこそこ計算できそうになっていたのは非常にポジティブである。

 

 

試合はそのまま危なげなく終了。

 

 

清水0-2東京

 

 

 

感想・まとめ

 やはり先制できると強いチームであるということは証明できた。

先制して落ち着いてボールを持ち、相手が出てくればカウンターを狙う。これぞ健太トーキョーといったサッカーだったのではないだろうか。最初の得点こそ大森のゴラッソだが、自分たちのサッカーがまっとうできた試合という感想に尽きると思う。

 

欠場理由は不明だが、サンホがいたところに最近は控えに回っていた大森が入り結果を出した。新加入の三田が合流後すぐにでもチームに入れた、怪我明けのジャエルがこれから必要な戦力になりそう、というチームの底上げが見れたことも大きなトピックになるだろう。

 

 

 唯一気になった点としては右サイドの守備で室屋への依存度が高くはないか?という疑問である。大森が高い位置の監視役もやっていたことから、対面の松原に早く走りこまれると戻りが間に合わず、室屋が(結果的にはマークを捨てるが)実質2人を見なければならない状況になることがあった。最近の室屋は守備の安定感が増しており、間合いを見極めるのに長けているため、なんとかなっているが、ここの守り方が室屋ありきの考え方なのかは非常に気になるところ。守備力に定評があるオ・ジェソクが加入したことで彼が出ても大きな問題はないと思うが、構造的に少し不安が残った。

 

 

 

この試合においての清水は論理的にどうこうというよりも勢いがあった時間帯に得点を取れるかどうかだったと思う。東京が無理に繋いでこないということもあり、得意のショートカウンターも発動できなかったので、圧力をかけて押し込めたときにどうにかしてこじ開けたかった。

逆に言えば、(何度も繰り返すが、)その押し込んだ時間を作らせないようにできた永井&ディエゴ、もっと言えばしっかりキャッチングで対応できたGK林の貢献度は非常に大きかっただろう。

 

 

 

 

前節大きなショックを受けた多摩川クラシコでの敗戦だったが、この試合では長谷川健太FC東京を見せることができた。

大森が素晴らしいゴールを決めてくれた今節のように、今後も誰かが試合を動かす何かを見せなければ頂点を目指すのは難しいのかもしれない。田川も練習に復帰してきてメンバーが揃いつつある今、多くのヒーローが出てくることを期待したい。

 

 

Happy Birthday!  東慶悟! 

J1リーグ第20節 FC東京vs清水エスパルス プレビュー

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スタメン予想

 

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主な欠場者

FC東京

◦田川(怪我)※練習には復帰

 

 

 

清水

◦六反(怪我)

◦石毛(怪我)

 

 

 

 

 

東京は前節と同じ。()内は個人的希望スタメン。理由は後述する。

 

清水は4-2-3-1(4-4-1-1)がベース。オプションとして試合途中から4-1-4-1に変更することが多い。

ファン・ソッコが出場停止から復帰。16節から西澤がスタメンに定着し、右は金子と河井の併用のような起用法になっている。

 

 

清水簡易分析

 

まず前回対戦からヨンソン→篠田と監督交代が行われている。

チームとして土台は変えていないが、選手起用やフォーメーションの使い分けなど、少しだけ篠田監督が自分の色を加えようとしているだろうか。

 

ボール保持

 

ビルドアップ

 基本フォーメーションとなる4-2-3-1からそこまで崩さずに配置を取る。

左右のCBが横に大きく開き、低い位置ではGKがその間に入るような形。CHの2人は極力下りずに中盤にとどまる。

SBは高い位置に行きすぎず、CBのところで詰まりそうであればサポートできるようにする。

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※イメージ

 

 松原・西澤と仕掛けるタイプが並ぶ左サイドよりもエウシーニョ・金子(河井)とボール扱いに長けるタイプが並ぶ右サイドの方が保持に落ち着きがあるように思う。

どちらかというとボール保持に比重を置いていないので、CBからドウグラスにロングボールを入れることもある。

 CHは極力下りないと書いたが、CBから先に進めなさそうであれば列を下ろしてサポートする。また、CBが前に運んで行ったとき等はヘナトが最終ラインの場所を埋めるために下りたりもする。

 

このヘナト(竹内も)のポジション取りがなかなか重要。SBも積極的に攻撃参加するため、保持時に誰かが気を利かせていないと被カウンターで2CBが晒されてしまう。

逆の立場から言うと清水のネガトラは狙いどころになりそうだ。

 

得点パターン

◦(主に右サイドからの)クロスで中の2トップに合わせる

 ◦エウシーニョのカットインからPA付近でコンビネーションからの崩し

◦西澤の仕掛けからのシュート・クロス

 等

 

 

 エウシーニョのカットインは非常に厄介なのだが、トランジションで元のポジションに戻り切れないという側面がある。

 

 

東京視点

2トップが強烈。ゴール前に突っ込まれると何か起こせるパワーがあるのでクロスを入れさせないようにしたい。

また、竹内からの配球も怖いので、そこへのプレスはしっかりかけるべき。

 

エウシーニョとヘナトが一緒に攻撃参加してくることがあり、そこをしのぎ切ったときはチャンス。一気にカウンターを仕掛けたい。

 

 

ボール非保持

 4-2-3-1(4-4-1-1)で組んだところからプレッシングをかけていく。

ドウグラスは一番前でそこまで守備に参加しない。

北川が相手CBのボールホルダーに対して横から寄せていき、片方のサイドに限定する。ホルダーが前にパスを出したところで選手間を狭めてパスカットし、直線的なカウンターを行うのが一番の狙い。

 

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※イメージ

 

ここで奪うことができればトランジション時に最前線にドウグラス、その後ろに北川がいる状態を作れるのでカウンターが決まりやすい。

 

ここでスタメン予想に挙げた個人的希望の話をしたい。

清水のこの守り方に対しては内と外の両方にパスコースを作ることが重要だと考えている。SHが内でSBが外。この両方を作ることで清水の中盤選手を中に固めさせ、SBが高い位置を取りやすくなる。逆に外を塞ぎに来るのであれば内を使えるだろう。

この内のコースを作るのはサンホより東の方がうまい。確かにエウシーニョにサンホをぶつけるのは有益な考え方なのだが、序盤のボール保持で主導権を握るためには左に東、右に大森の方が良いというのが個人的な考えだ。

サンホは状況を見ながら後半から出して、エウシーニョにぶつければよりその突破力を発揮できるはず。

 

 

話を戻す。

相手SBが低い位置で受けようとすればそこに対してはSHが前に出てプレスをかける。前から積極的に奪いに行きたいことからSHは高めの位置取りをし、場合によってはCHの1枚も人にかなりついてくる。そのため、そこを剥がしさえすれば4バックが晒された状態になりやすい。

また、前プレを交わされると2トップはほとんど守備には参加せず、4-4のブロックで守る。ここは東京と似ているポイント。

 

弱点としては東京とほぼ同じでCHがSB-CB間のカバーやサイドのサポートに行くとバイタルが空きやすくなること、逆サイド大外へのクロスに後手を踏むこと、サイドでのバックパスに対してプレッシャーが遅れること等だろうか。

 

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※各イメージ

 

 

 また、クロスからの失点も多く、同サイドのCB(右サイドからのクロスなら二見、左からならソッコ)を超えることができれば得点率はかなり上がってくるだろう。

 

 

 

東京視点

やはり狙うべきはクロスとバイタル攻略。敵陣に押し込めたら永井はクロスのターゲットとして中に残り、クロスを供給していきたい。

 

 

★ストロングポイント

 間違いなくポジティブトランジションからの速いカウンター。奪ったらすぐにドウグラスに預けて北川とのコンビから打開を図る。ドウグラス単体でも敵陣深くまで突撃できるため、北川がフィニッシュ役やアシスト役としてどのように振舞えるかが重要になる。

 

東京視点

ただ単に2トップに預けるだけというよりは、その中でもショートパスでの細かい繋ぎをしてくる。潰しに行くとワンタッチで外される可能性があるので、適度な距離を保ちながら対応したい。2トップに渡る前の段階で潰せたらベスト。

 

 

展望

前回対戦は今回清水非保持時の弱点として挙げたバックパスへの寄せのところを突かれて失点したが、サンホとジャエルの投入で馬力攻めして逆転に成功した。清水も勝ちに来ていたので、そこの刺し合いを制したと言うべきだろうか 

 

両者ともにカウンターがストロングのチーム。非保持時に2トップの攻め残りをどこまで許容し、4-4の8人でいかに守り切れるかの駆け引き。

 

東京の保持は清水の中盤にいかに捕まらないようにするか、清水の保持ではどこまで後ろのリスク管理要員を残すかというところがポイントになると考える。

おそらく清水の方が積極的にプレスをかけてくるだろう。東京が川崎戦同様に後ろからのボール保持でチャレンジするのか前に蹴っ飛ばして2トップを生かすのか。序盤でその試合の方向性が見えてくると思う。

清水はホームという立場でどこまで点を取りに来るのか。あまり消極的な姿勢は見せられないだろう。前に出てくれば来るほど東京のカウンターはハマる。リスク管理とホームで勝たなければいけないというメンタルのバランスをどれだけ取れるのかは見ていきたいところだ。

 

 

もちろん先制点を取って、そこからはカウンターを狙っていく展開が理想だが、川崎戦と違い、先に失点してもボールを持つ時間は作れると思う。矢島(やジャエル)を投入して前回対戦同様に馬力勝負に持ち込めば十分に逆転できるチャンスは作れる。

 また、エウシーニョのところに仕掛けられる選手を当ててそこのごり押しで攻めるのも一つの手になるかもしれない。

 

 

 

 

 

 打倒篠田エスパルス

 

【FC東京】 三田啓貴の帰還

 

 

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FC東京にとって大きなニュースが出てきた。

青赤戦士三田啓貴の帰還である。

 

今回はその三田選手と現在のFC東京への組み込み方について少し話をしていきたい。

 

 

どんな選手?

 

長らくFC東京Jリーグを見ている人には説明不要だと思うが、簡単に書いていく。

 

経歴

FC東京の下部組織から明治大学を経由してトップチームに加入。2015年まで在籍していたが、出場機会に恵まれなかったこともあり仙台へ移籍(2016~17在籍)。その後神戸に移籍するも昨季のイニエスタや今季のサンペール加入、そして監督交代の影響などもあり、再び出場機会が減ってきていたところで東京へ戻ってきた。

 

ポジション

~2015東京ではSHやトップ下などでの出場が多かった記憶だが、仙台・神戸ではCHがメインポジションとなっていた。適正的には中盤であればどこでもできる能力はあると思う。

 

特徴

攻撃面では前への推進力や強烈なキックが印象的。スペースが空いていればドリブルで運ぶことができるし、レンジの広いミドルシュートも魅力。

守備面ではボールに激しくチャレンジする球際での迫力がある。気持ちが熱くなりやすいタイプなのでそれが裏目に出てしまうこともあるのだが、今の東京のスタイルを考えると守備の強度を持つ選手は歓迎である。長谷川監督や周りの選手が彼の感情をコントロールできればい良いとこ取りができるだろう。

 

 

どのように起用する?

 

橋本と髙萩しかスタメンを張れる選手がおらず手薄状態だったCHが第一となるだろう。状況に応じてSHでの起用も十分に考えられる。

 

CHを主力3枚(橋本・髙萩・三田)と計算すれば過負荷であったこのポジションの疲労軽減にもなり、SHとして考えればサンホをFWに回すこともできるようになる。

 

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CHであれば髙萩のところ。図では元々の配置上、右になっているが、左右はどちらでもできると思う。三田はビルドアップ関与させるよりも前めでボールに関わってほしい。

SHであれば右。左利きの彼が中央寄りで仕事をするには逆足サイドの方が良いだろう。

 

どちらに配置しても今の東京になかった、PA外からのミドルシュートやゴールに近づく軌道のクロス等は生かされる。

また、久保・太田が抜けたうえに小川のキック精度があまり上がってこないことで一つの悩みの種になっていたセットプレーキッカーも務められる。CKやFKからの得点が増やせれば勝ち点3を積める確率は上がっていくはずだ。

 

 

不安な要素

ボール保持に重きを置いていた神戸から、非保持に強みを持つ東京への移籍ということで少なからずスタイルの違いに適応させる時間は必要になると思われる。

2015年にはマッシモ・フィッカデンティの元で守備的なサッカーも経験しているので、0から仕込むわけではないが、長谷川健太式にどれだけ速く馴染めるかは重要な要素になる。

SHとしてハードワークする面では大きな不安はないが、東京のCHとしてはやや不安要素がある。前に出ていく動きは問題ないだろうが、SB-CB間のカバーやバイタルの危険な場所を埋める配置取りなどはやや不得意なイメージだ。実際に神戸でもそこの守備は相方の山口にまかせっきりだったように見えた。

 

長谷川監督の中でそこの不安が拭えた時にはスタメンに名前が入ってくるだろう。

 

 

 

なんにせよ彼の加入は非常にポジティブな話題である。

青赤戦士の”タマ”こと三田啓貴の復帰を歓迎し、活躍を期待していきたい。

「情熱をぶつけろ、優勝掴み取れ。」J1リーグ第19節 FC東京vs川崎フロンターレ ”多摩川クラシコ” レビュー

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スタメン予想を外しまくっているプレビューはこちら。

 

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 東京が首位として迎えた多摩川クラシコ

先に結果から言ってしまうと0-3の完敗。

非常にダメージの大きい敗戦だったが、それを受け止めて振り返りを行っていきたい。

 

 

スタメン

 

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東京は前節と同じ。

ジャエルがメンバーから外れた。

 

川崎は脇坂→中村憲剛、大島→下田、家長→阿部、長谷川→齋藤と、かなりメンバーをいじってきた。

 また、SB車屋と登里のサイドを左右逆にして登里が右、車屋が左と配置も変更。左は単独で突破できる齋藤の後ろに対人の強い車屋、右はコンビネーションで打開できそうな阿部と登里のペアという意図だろうか。

そして守田がベンチ外。

 

前半

 

川崎保持vs東京守備

川崎ボールでのキックオフ。その直後から保持時の配置はおおよそ決まっていた。

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CHの田中がCBの間に入る3バック化。これはプレビューでも触れていた形だ。

加えて下田が2CBの左脇に下りるパターンもあった。中村は自由に動き回る。

 

この自由に動く中村に対して東京は髙萩をマンマーク気味につけて対応していた。

 

東京のセット守備としては2トップでアンカー位置に入る選手(田中か下田)を見て、バックパスが出たところや髙萩が下りる中村へのプレスに行ったところからスイッチが入る。髙萩は2度追い3度追いをして川崎から時間を奪おうとした。

対して川崎はSBを少し下ろしたり、CHや中村を下ろして後ろの枚数を確保することでプレス回避を狙う。

 

東京のプレスは全体を押し上げて人を捕まえるというよりは、2トップ+髙萩で圧力をかけて窮屈にな状態で出したパスを引っかける狙いに見えた。奪った直後に決定的なパスを供給できる髙萩が高い位置にいる状況を作り出せるということでプレス担当になったと考えられる。

 

川崎側から見ると、髙萩が前に出てくることで最終ライン付近でのプレッシャーは受けやすくなるが、東京の中盤エリアは狙いやすくなる。

 

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※イメージ

 

髙萩が中村についていくと橋本は中盤の広いエリアを見なければならなくなる。阿部は内側に入る動きを多く見せる。

 

また、4-4ブロックを組む東京はボールホルダーに対してCHが前に出て対応するが、その時に空く穴も良く見ていた。

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※イメージ

 

川崎の保持ではパス回しからこの2つを狙っていたように思う。

 

 

東京保持vs川崎の前プレ

東京はいつも通り森重・小川・橋本を中心にしたビルドアップ。

 川崎は中村を上げて2トップにした4-4-2ベースでのプレス。

東京は橋本を下ろして数的優位を作ろうとしても、中村が逆サイドの渡辺を捨てて橋本についてくることで出しどころが作れない。


川崎は2トップで中央を制限しながらボールホルダーに寄せていき、SHとCHで近くの人を捕まえる。

東京が森重・小川がいる左サイドで作っていきたかったが、対面にいるのは阿部と田中で前向きの圧力は非常に強く、ここはかなり塞がれている感覚があったと思う。

 

 川崎のプレスに対して前方に繋げない東京だったが、簡単に前に蹴っ飛ばさずにGK林へ戻す。GKまで追ってきたときには阿部と登里に対して高さで優位性を持てる左SB小川へ浮き球で届けるか、ショートパスで外すチャレンジをして疑似カウンターへ移行する。

8分のディエゴのシュートはGKからの繋ぎでプレスを外したところから始まった攻撃だった。


 困ったときには東が自分のポジションから大きく移動してきてボール周りのサポートをする動きを見せていた。2CH+東の配置取りでもう少し川崎のプレスをくぐりたかったが、そうもうまくはいかなかった。


 

長所のぶつけ合い

東京が保持して攻める時間もあったが、いつもより前からプレスに行っていたので能動的な守備からボールを奪って縦に速い攻撃で仕留めることにウエイトを置いていただろう。

 

東京は奪った後の選択肢として第一は縦に速く、難しそうなら後ろに戻して保持の時間を作る。相手にボールを渡してしまうのではなく、持てるのであれば保持して攻めようとしていた。

敵陣でロストした場合には深い位置まで追っていき、素早い回収からショートカウンターを狙う。

 

 

序盤の攻防としては以下の3つ。

 

①川崎のビルドアップvs東京前プレからのカウンター

②東京の敵陣即時奪回vs川崎プレス回避からのカウンター

③川崎の前プレvs東京の疑似カウンター

 

 

 

単純に自陣からロングボールを前に蹴っても空中戦に強い谷口&ジェジエウに簡単に回収されることは予想できた(実際にもそうだった)ので、川崎CBと競り合いを作らないように前で取り切るか、相手の前プレを繋ぎで外すことで隙を伺った。

 

東京の前プレがハマるか、川崎のプレス回避が上回るかのどちらかで試合が動きそうな展開だったが、先に仕留めたのは川崎。東京の即時奪回を外したカウンターから得たCKを小林が沈めた。

5分前にもCKからジェジエウのシュートで決定機を作られており、2度目は逃してくれなかった。

 

CKという間接的な形にはなったが、きっかけは敵陣での即時奪回に失敗したところ。上記で挙げた②の勝負で東京は川崎に負けたと言えるだろう。

 

 

冷静に我慢する東京

失点後、東京は無理に出ていかず、2点目を取られないことに重点を置きながら隙を伺う。川崎も東京のカウンターを一番警戒しているはずで、無理に人数をかけない。

ということで川崎がボールを持ち、東京が自陣で守る時間が増える。

 

川崎はボールを持つことができれば安全に時間を使えるのでボールを取り上げに来る。川崎としてもカウンターで2点目を取るより失点をしないことの方が重要なので、守備へリソースを積極的に使っていた。

 

 

東京もCK等からシュートチャンスは作ったものの、流れの中の攻撃は川崎の素早い切り替えの前に時間を与えてもらえず沈黙。先制後から小林のプレスバックは鬼気迫るものがあった。

 

 

 

 前半まとめ

 マリノス戦では東京がCKからのカウンターを2回目で決めたように、川崎もCKは「2度目の正直」で決めてきた。

 このCKのきっかけになったのが中村憲剛のプレスを外すパス。コンディションがまだ上がってきていないのではないかという予想もしていたが、この試合において中村憲剛中村憲剛だった。

 

 東京としては10分までにあった決定機2回(永井・ディエゴのシュート1回ずつ)を沈めていれば、主導権を握った上での撤退守備ができたと思うが、ただの”たられば”である。

 

 

後半

 

後半に入ってからも流れは大きく変わらないが、敵陣でのプレスによって高い位置で奪いたい意思は感じた。しかしながら、46分には敵陣からのゆるゆるプレスをあっさり外されて被決定機を迎えるという目を覆いたくなるシーンも。


また、川崎の2トップ脇あたりから髙萩・小川の東京2大砲台が裏を狙うパス等、ダイレクトな展開も増えたように思う。これが意外と可能性を感じるもので、「コネコネ回すよりディエゴに任せりゃいいんだよ!」でゴール前まで迫る。

ただ、ジェジエウ、谷口、時には登里の対応でシュートは打たせてもらえず。

 

 

そんな中、先に仕掛けたのは東京。

53分 髙萩→大森

以下のように配置を変更。

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大森を左SHに入れてサンホを右へ回し、東をCHに。

 

この交代も虚しく、1分後に川崎に追加点が入る。

自陣でのスローインをロストしてすぐ、守備陣形が揃っていないところをあっさり崩された。

 

この失点の影響もあったのかはわからないが、個人的には早い時間から髙萩を下げてまで大森を投入した意図は最後までよくわからなかった。より得点を取れそうな選手を増やしたかったのか、機動力を加えたかったのか、それとも単純にフレッシュな選手を入れたかったのか。

ベンチメンバーに攻撃で変化をつけられそうな選手がいなかったので長谷川監督に同情の余地はあるのだが。

 

 

 右からのクロス大作戦

2失点目を喫した東京だが、55分~65分頃は敵陣でのプレー時間を作れていた。

 

右サイドからのクロスをメインで攻めようとしていたが、普通に入れても待ち構えるのは谷口とジェジエウ。跳ね返しならお手の物である。東京は飛び込むのが2トップと大森になるので点で合わせなければいけない。一度だけ大森に点で合いそうになったが、「おぉっ!」となったのはそのシーンくらいだろう。

 

 

その後69分に阿部の追加点を食らって0-3。敗戦が濃厚になる一撃だった。

 

70分以降、選手交代諸々あったが、特に試合に影響はなかったので割愛。

 

東京0-3川崎

 

 

感想・まとめ

 完敗。

CKから先制点を許してしまったことで苦しくなり、川崎が手にした主導権を覆せず。

試合後会見の鬼木監督のコメントを見る限りでは、セットプレーに多くの時間を割いてきたようで、してやられた。得点場面については下田のキックと小林の駆け引きが良かっただけかもしれないけど。

前半のうちに逆転できた直近の2試合とは違い、川崎はこちらに攻撃する隙をほとんど与えてくれなかった。

 

プレビューの展望で書いていたが、先制されるとパス回しのうまい川崎相手に奪い返しに行くフェーズを作らないといけなくなるため難しくなる、という展開がそのまま表れる内容・結果に。

 

さらに川崎は中村憲剛と阿部が加わったこともあってか前プレのハマり方が前節までとは明らかに違い、真の姿を現したようだった。2点目3点目のパスワークも完璧というほかなく、スーパーな得点。

今までであればどうにかして致命傷を逃れてきたであろうシーンでも、川崎は逃してくれなかった。

 

 

前半まとめの項に続き、たらればを並べてしまうが、この試合勝つとしたら10分までの決定機を決めて先制するしかなかったと思う。また、2失点目以降に訪れた東京の時間で事故でもなんでも1点返せていれば引き分けの芽があったかもしれない。

 

逆に言えばその2つくらいしか付け入る隙は無く、90分通して川崎のゲームだった。

 

 

 

 終わりに

試合終了後の選手挨拶時に響いた「首位トーキョー」コール。そう、まだ我々FC東京は首位に立っている。極端な話ではあるが、ここから全試合勝利すれば追いつけるチームは存在しないのだ。

確かに大事な試合に負けてしまったのは事実。しかし、こんなところで立ち止まっている暇などない。前を向いて戦い続けるだけだ。

 

 

なにがあろうと”東京こそ全て”であり、東京が”俺らを熱くする”。

 

情熱をぶつけろ、優勝掴み取れ。

 

J1リーグ第19節 FC東京vs川崎フロンターレ ”多摩川クラシコ” プレビュー

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スタメン予想

 

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主な欠場者(見込み)

FC東京

◦田川(怪我)

チャン・ヒョンス(移籍の可能性)

 

 

川崎

◦奈良(怪我)

◦馬渡(怪我?)

◦大島(前節途中交代)

 

 

東京はヒョンスは前節から理由不明の欠場。移籍の可能性があるためと考えられる。

川崎は前節大島が負傷により、途中交代。怪我の大きさは不明だが、メンバー入り回避の可能性は大いに考えられる。また、前節より中村憲剛が復帰してきている。

 

 

 

東京は前節と同じメンバー。

川崎は大島→守田の変更を予想。今年は2トップを採用した4-4-2も併用していたが、最近は脇坂をトップ下に置く4-2-3-1がメイン。

 

 

川崎分析

 

ボール保持

 

ビルドアップ

 2トップ相手にはCHを一枚下げた3バック化でビルドアップを行う。

 

前節の鳥栖戦(鳥栖は4-4-2)では田中を下ろした3バック化がメインだった。相方となっていた大島の方が配球力があることで前めに置きたいのだろう。守田と組んでもおそらく役割の入れ替えはないと思われる。

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 2トップが中央を締めた場合にはSBの幅や、家長・脇坂のサポートを使いながら前進する。脇坂は前進に困ると顔を出すようなイメージがあるが、家長はかなり自由で、気分によって下りてくる。よくわからないタイミングでかなり低い位置にいたりするので、単純にボールに触って感覚を確かめたいのかもしれない。

 

 言うまでもなく川崎はシンプルにボール回しがうまいので、 前からボールを奪いに行くと連動したプレスでもけっこう簡単に外されるので注意が必要。

 プレスに行って中央を空けるとCBの位置からFW小林に当てて、その落としから展開という速い攻撃も食らう可能性がある。

 

★東京視点

積極的な前プレは控えたほうが吉と見る。今年は14節大分戦以外では強烈な前プレは行っていない。たまに発動する前プレも永井のスピードを生かしたものが多いので、いなされるときは非常にあっさりしている。

4-4-2でしっかり中央を固めたところから中盤で捕まえるのが理想。できれば2トップもいつもより守備に参加すべきかもしれない。

 

 

崩し

 川崎のストロングサイドは左。長谷川と登里のコンビは連携の成熟レベルが高く、両者ともに外も内も使えるといった印象。特に長谷川が持ったところから登里が内を抜けていくシーンが多く見られるように思う。

 

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※イメージ図
 

 ここを突破した後はゴール前に飛び込む小林、少しマイナスで脇坂やCH、稀にファーサイドに来ていた車屋というパターンのいずれかだろうか。

 

 左から右への大きな展開から車屋ファーサイドの長谷川というパターンもある。

 

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※イメージ図 

 

 

左がストロングと書いたが、現在の状況で言えば右サイドに逆足の選手が二人配置されていることも崩しが左に偏る理由の一つだろう。SHが内に絞ってSBが外を駆け上がっても車屋は左利きなので思うようなクロスは上げられない。SHとSBの配置が逆になっても同じことである。

 

家長はゴール前に突っ込むわけでもなく、脇坂のようにパス回しのサポート役として動くわけでもなく、困ったときの預けどころや個人での打開を期待したいときに使うピースのように思う。 

 

★東京視点

一番警戒したいのはDFラインがゴール前の配置につく前にパスを出されること。特に登里の内側抜けや右からファーの長谷川というパターンは対応が難しくなる。川崎は大外からシンプルなクロスはほとんどない(あっても跳ね返せる)ので、大外で持たれることを許容しながら、ハーフスペースを埋める作業は非常に重要なポイントになるはず。

 

 

ボール非保持

 トップ下の脇坂を前に出した4-4-2がベース。

 

 川崎と言えば前からのプレスでボールを取り上げて、ボール保持の時間を長く保つといった印象があるが、ここ最近の試合はあまりプレスがハマらないように見える。中村憲剛がいない影響もあるだろうが、それだけが理由なのかは不明。

 

 加えて家長のところは基準がふわっとしていて、不安定さが見える。鳥栖もしきりに家長のところを狙っていたように感じた。

さらに東京のストロングサイドは左。このサイドは得点を奪うための突破口になるはずだ。

 

 

 

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※東京保持イメージ

 

川崎の4-4-2非保持に対して東京はおそらく橋本を下ろして3バック化すると考えられる。

少し触れた家長についてだが、ベースポジションを少し高めにとることが多い。これによって3バックの選手へアタックしやすいが、背後のスペースは空きやすくなる。

家長自身も背後のパスコースを消しながら出ていくのがそこまでうまい選手ではないので、このスペースは狙っていきたい。

 

 

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森重→小川のルートはそこまで困らなさそう。その先で何ができるかが重要。

CHがサイドまでスライドしてくれば中盤でどこかに穴が空く。車屋が前に出てくれば突破力のあるサンホにスペースが与えれる。

同サイドで崩せないとなったときの重要人物は間違いなく髙萩。 彼を経由して大外の室屋、中盤の空いたところに入れる東・ディエゴに届けられれば、遅攻でもチャンスは作れるはず。

 

また、左からのクロスで登里のところを狙うのも有効だろう。CBのどちらかを中央から引っ張り出すことができれば登里は内に絞って、よりゴールに近いところでの守備を強いられる。そこに永井やディエゴが飛び込めば優位性を作ることができる。

 

★東京視点

家長のところからどう侵入できるか。また、そこからの展開。サンホの能力を生かした突破なのか、髙萩を経由した展開なのか。 

 

 

展望

 

マリノス戦のチアゴ&畠中コンビもなかなか強烈でシンプルなカウンターでこじ開けるのはなかなか難しかったが、川崎の谷口&ジェジエウコンビもそれに匹敵するレベルだ。

つまり、単純なカウンターでこじ開けるのはそう簡単ではないだろう。となるとチャンスはマリノス戦同様に両CBが上がってくるであろう被セットプレーからの流れ。ここでのトランジションをいかに制するかが0-0で推移する時間では非常に重要になると思う。

 

先制さえできれば、川崎もおそらくバランスを崩して攻撃してくるため、カウンターは決まりやすくなるだろう。

理想は上記の被セットプレーからのカウンターでの得点で先制し、そこからはボールを持たせてひたすらカウンターを狙うこと。

どの試合においても先制点は重要だが、CBコンビが強烈な相手に対してはその重要性がグンと高まる。

 

 

逆に川崎に先制されると非常に厳しい展開となりそう。マリノス戦では失点直後に同点に持ち込めたので致命傷にはならなかったが、ボールを奪いに行かざるを得ない展開でプレスを外されて追加点を取られようものなら、試合が終わりかねない。リードした川崎は無理して攻めないだろうし、カウンターも簡単には許してくれないだろう。

 

ポゼッションがうまい川崎に対して、東京は永井の走力に依存したプレスをかけるしかない。もしくは川崎のパス回しに対して全体が気迫で完全に上回るプレスが行えるか(完全にお気持ち要素である)。となるとボールを取り上げるのもなかなか難しい。

 

 

個人的に0-0の時間はボールを大事にしながら攻めてほしいと思う。なぜなら川崎はセット守備にやや不安定さがあるから。とはいえ、相手のボールを無理に取り上げに行くのは自重すべき。東京は攻め急がず、バランスを保ちながら戦い続けていってほしいと思う。

 

 

 

 東京が首位、川崎が7ポイント差の(暫定)3位で迎える多摩川クラシコ

 ここ数年では終盤に失速する東京と後半に巻き返す川崎という両者だが、東京はそれを覆してリーグ中盤戦の主導権を握ることができるだろうか。

 

 

J1リーグ第18節 FC東京vsガンバ大阪 レビュー

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 プレビューはこちら。

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スタメン

 

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FC東京はCBチャン・ヒョンスに代わって渡辺が先発。

G大阪は右WB田中達也に代わって小野瀬が先発。

 

現段階での噂だとヒョンス、田中ともに移籍の可能性があるとのこと。

 

 

 補足情報

この日は一日中雨が降っており、試合中も多量の降雨があった。

ピッチは水浸しで、前半のガンバ陣内右サイドには水たまりができていた。 

 

 

前半

 

開始から数分はお互いに中盤でのバトルを中心に奪ったら縦に速く、という攻撃がメインで進む。

 

 

東京のプレス

開始3分のシーンで東京のプレスの狙いの一角がなんとなく現れたように思う。

まずは両者の噛み合わせを確認。

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ガンバ3-1-4-2でのビルドアップの対して東京は4-4-2での構え。
上図■の部分が形がかみ合わない4対4ができており、ここをどう合わせるかが最初のポイントとなる。

 

東京はSHを縦に押し出して左右のCBへプレスをかける。 

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※イメージ

対3バックには定番のパターンで後ろから強く当たれる小川のところで奪いたいという狙い。3分のシーンではファウルになってしまったが、全体がうまく連動できた良いシーンだった。 

 

 

ガンバ先制

まだどちらがボールを持つかも定まらない中で5分にガンバが先制。

トランジションが連続した流れで裏へ抜けだされた後、4-4ブロックの前で持った矢島から大外にいた小野瀬への配球で小川が対応を誤って失点。最近の被決定機でよくある形からやられた。

 

迅速な帰陣からの流れで配置に戻り、そこからのプレスだったのでなかなか難しい状況だったが、あそこで矢島をフリーにしたら危険なボールは出てくる。そして小川は外へ意識が行ってしまい、より重要な内側を明け渡してしまう対応ミスだった。

 

~中央圧縮と大外アプローチのバランス~

この試合からは少し話がそれるが、最近は中央を圧縮しているのに外への意識が強くなりすぎて内を使われるシーンが個人的には気になっている。

ex)ルヴァンカップ1stlegセレッソ

 

こちらが中央を狭めていれば相手は当然大外を意識した攻撃が多くなる。大外へパスが出ると東京のSBやSHはそこへアプローチへ出ていくのだが、そこへ出ていくのが速すぎると逆を取られてハーフスペースへの縦パスを許す。

中央を使わせないために内を狭めて守っているのに、空いた大外へのアプローチに意識が行き過ぎて中央を使われるという本末転倒がいくらか起きているように思う。

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※イメージ(この試合ではなかった)
 

 

小川本人の中でどのような考えがあったのかはわからないが、この失点シーンも先に外を意識して動き出した結果、小野瀬の内への動きに反応が間に合わず、重心が崩れたことでバランスを崩しているように見える。

 

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※失点シーン

 

 

もちろん外への寄せが遅すぎるとそこからアーリークロスが出てきてしまうので、寄せに出ていくタイミングは非常にナーバスなものであるが、もっと強固な守備を築くのにはここの向上は一つのポイントになるのかもしれない。

 

 

 

先制する前からだが、ガンバは東京が持っても全然取りに来ず、東京がボールを持つ展開が続く。

対してガンバは矢島→ウィジョのラインをメインにダイレクトにゴールを目指す。

 

 

自由を得る2トップ脇 

ガンバの非保持時基本システムは5-3-2。まずは配置を確認する。

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5-3-2だとどうしてもサイドのスペースが空きがちになり、東京は外に開いたCB森重やSBがプレッシャーを受けにくい状態になる。ガンバも2トップが中央に立つだけでそこまで制限をかけてこないのでより自由に持つことができた。

東京はここを起点として攻撃の組み立てを行う。左サイドでは足元がうまい森重や小川を、右サイドでは髙萩を軸にガンバの陣形に揺さぶりをかける。

 

①小野瀬と高尾を外に引き出す

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解説の戸田さんも触れていた部分で、右WBの小野瀬が前に出た後、高尾がサイドへスライドするが、三浦との距離が開きがちになっていてそこを通すパスが何度か出ていた。

 

②中村をつり出して背後を狙う

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右サイドでは髙萩が絡むことやディエゴが下りることで人数をかけた崩しを狙った。

室屋と東で中村のマークを惑わせながら、3人目の動きでWBの背後を取りに行った。

 

③サンホvs高尾

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小川のマークは主に小野瀬となっていたが、ベースポジションの都合上寄せがやや遅れる。その少しの時間があれば小川はパスを捌くことができるので、外のサンホへ素早く渡す。そしてそこから仕掛けるという流れ。

途中から配置よりも質で勝負しようというこのパターンを狙い始め、38分に永井の同点弾を生んだ。

 

サンホの個人技から生まれた得点だが、三浦は中央にステイすることから高尾を抜くことができればカバーするDFはいないという性質を狙えた効果なのではないかと思う。

 

 

 

この得点からガンバはテンションを上げてきた。

それによって中盤のトランジションが増えたが、これの恩恵を受けたのは東京。

オープン気味になったことでWBの裏は空きやすく、サンホが仕掛けやすい状況ができる。

40分、小川のオーバーラップでのサポートを受けて一瞬フリーになったサンホから中へクロス。ゴール前の永井が先に触って追加点。前半のうちに逆転に成功した。

 

 

 前半まとめ

 5分の失点は濡れたピッチで滑ったことで事故にも見えがちだが、守備構造上生まれる意識による判断ミスといったようにも見えた。

ただし小川の対応だけでなく、全体に目を向けることが必要。4-4ブロックの前で持たれたときに精度の高いボールが入ってくるとかなり受動的な対応を強いられている。このやり方を徹底していくのであれば、そこへの寄せの甘さは極力減らしていかなければいけないだろう。

 

失点後は珍しく東京がボールを持つ時間が増えた。ガンバは先制してからウィジョのカウンター一本狙いで、それが失敗すればそのまま連動したプレスをかけることもなくすぐに撤退する。結果的にこれはなかなか裏目だったように思う。率直に言うと5-3-2で守るガンバには隙が多かった。

前述したが、2トップは攻撃に力を残すためか、あまりプレッシャーをかけてこず、ボールは比較的自由に持てる。しかしながら、選手間の距離が開きスペースを与えるということがよくあり、ゴール前にボールを送るシーンは多く作らせてくれた。

 

ウィジョのカウンターが1発決まっていればプラン通りだったのだろうが、渡辺がそれをうまく消すことに成功。

前節マリノス戦でもそうだったが、先制されてもすぐに逆転できるというメンタルがついて行きそうな非常にポジティブな前半となった。

 

 

 

後半

 後半開始からガンバが選手交代。

高江→遠藤

遠藤をアンカーに置き、矢島を一つ前へ。

機動力よりも配球役を増やすような意図だろうか。

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ビハインドになり、得点が必要になったガンバはボールを持ち、失ったら奪いに来る。

東京は守りを固めつつカウンターを軸に追加点を取る隙を伺う。

 

 

 

中村敬斗のアイソレーション
ガンバは中村のアイソレーションからチャンスを狙う。
アイソレーションとは主に1対1が得意な選手がいる場合にわざとその選手から離れることで孤立したような状況を作り出すもの。ガンバの選手は左WBの中村にボールが渡ると、そこからあえて離れることでDFを中村から遠ざける。
ガンバは突破力のある中村のところで1対1を制してゴールに近づこうとしているように見えた。

これに対して東京は室屋が1対1に負けないという前提は持ちつつ、CHやSHがカットインのコースを埋めることでサポートしていた。

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※イメージ

結論から言うと90分を通じてここの勝負は室屋の勝ち。ガンバが狙っていた個人での突破に蓋をすることができた。

 

 

 

東京は室屋vs中村の1対1、前プレから小川の刈り取り、中央圧縮での囲い込みの3つが主な奪いどころ、またはプレーを切る場所になっていた。

奪ったらシンプルに永井&ディエゴに預けることで陣地を回復する。

 

トランジションを制した追加点

60分、東京に追加点。

相手のスローインから敵陣でボールを奪い、髙萩→永井でPA奥を攻略し、空いたバイタルにディエゴが飛び込んでゲット。

ガンバの中盤がボールサイドに寄りすぎる傾向を突けた得点だったと思う。

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トランジションからの流れで中村の戻りが遅れたことでヨングォンは外につり出されており、永井を見るのが遠藤になっている。捕まえてはいるものの、やや出遅れていることで永井のパス出しに間に合っていない。

また、この時にサンホがニアに走りこんで三浦と高尾を引き付けて、その背後のスペースを空ける。

 

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それによって背後のディエゴは完全にフリーの状態に。

アンカーの遠藤が永井に引っ張られているので、バイタルを埋めるならばボールと逆サイドのIH矢島になると思うが、ボールサイドに寄っていた上、入っていくディエゴに対して完全に出負けている。自分が埋めなければいけないという意思をそこまで感じなかったので、その役割は振られていないのかもしれない。

 

 

2点リードした東京は守備重心を強める。2トップのラインを少し下げて、どちらか1人(主にディエゴ)は守備にしっかり参加するように。

この時間帯から非常に印象的だったのはカウンターの流れなどでバランスが崩れたときの対応。永井が東のところまで戻る、髙萩が小川の場所を埋めるなど、各個人で状況判断をしながら献身的に動いていた。

 

 

 

ガンバは前述した中村の仕掛けと左(中央)から右外(小川の外側)を狙う配球を中心に攻めるが、クロスに小川が被ってしまい林の好セーブに助けられた65分以外はそれほどピンチはなかった。

 

ガンバは70分前後に

小野瀬→福田

矢島慎也→食野

と交代カードを使うも、どちらも効果的な変化には至らず。小野瀬・矢島ともに天皇杯疲労を考慮したのかもしれないが、先制点を生んだコンビを下げることで中央を固める東京から得点を取るための選手を失ったようにも見えた。

 

東京は

サンホ→大森

永井→矢島輝一

ディエゴ→アルトゥール・シルバ

と前線をフレッシュにして締める。

個人的には髙萩か橋本を早めに下げてもいいのでは、と感じたが、連戦が終わるタイミングだったので、1%もこの試合における不安要素は作りたくなかったのだろう。

 

 

ガンバも必死に点を取りに来るが、途中で入ってきた大森や矢島(輝一)の自分の役割がわかったプレーぶりで時間を効率的に使ってそのまま終了。

 

感想・まとめ

 結果的に東京はディエゴ・永井だけを頼ったカウンターではなく、流れの中から3得点を奪った。1点はサンホの個人技、2点はトランジションを制したところから生まれた。

ガンバとの噛み合わせの相性もあっただろうが、新たな得点パターンが見れて、FWが点を取れたことは明るい兆しである。

 

逆にガンバは守備の弱点をこの試合でさらけ出してしまったように見える。次節は比較的東京に似たスタイルの清水なので、ここでの修正力は新システム後で一番試されるかもしれない。

 

 

 

 

終わりに 

神戸・仙台と連敗のあとホームで連勝。神戸には敗れたが、いまだホームでは圧倒的な強さを誇っている。

次節もホーム。相手はリーグ連覇を達成している王者川崎との多摩川クラシコ。17節横浜FM戦に続いて勝利に6ポイントの価値があるゲーム。

川崎に今季2つ目の黒星をつけることができるか。首位に立つのにふさわしいのがどちらか試されるゲームになるだろう。