2022 J1リーグ第23節 サンフレッチェ広島vsFC東京 メモ
スタメン
広島
代表帰りの野津田がメンバー外。
塩谷が3試合ぶりに復帰。代わりに野上がメンバー外に。
エゼキエウが負傷明けでメンバー入り。
鮎川、ヴィエイラが負傷離脱中。
レアンドロ、スウォビィク、渡邊がメンバー外。コロナトラブルか。
肩を痛めていたとみられるアダイウトンが3試合ぶりにメンバー復帰。
波多野は初先発。三田が久しぶりの先発。
林、トレヴィザン、青木、中村が負傷離脱中。
流れ
ともに前からプレスを掛け、無理せずダイレクトに前へ送っていく立ち上がり。東京は木本→紺野のホットライン、広島はベンカリファの強さをパターンとして持つ。
東京はディエゴが最前線で追い回し、WGとIHの4枚で1枚目の壁を作るようなイメージの守備。
2分、松木とディエゴで左に起点を作り、上がってきたバングーナガンデを使ってクロスまで。
4分、長友がインサイドに入って木本の縦パスを受けて前進し、敵陣でFK獲得。
→5分、三田が直接狙うも枠外。
東京が保持する展開。広島は前からプレスは掛けているが、前の強度はそこまで上げていない。ただ、中盤での強度は高い。
10分、右で持った広島。相手SBを引っ張り出した背後に森島が走って起点作り。東京はWGが外を切るのか、SBが出ていくのかが曖昧になっていた。
東京は縦に当ててから落として前を向かせるパス回しができている。
13分、広島のビルドアップミスを突いてディエゴがシュートも、角度がなく大迫の正面へ。
14-15分、広島が自陣でのパス交換でプレスを外し、オープンな局面から最後は藤井のカットインシュートまで。
東京が落ち着いたプレス回避でボールを持つ構図にはなっているが、広島もピンチを迎えるシーンはなく、拮抗した状況。
17分、藤井のところがぽっかりと空き、ドリブルからクロスまで。
15分あたりから広島も保持の時間を作り始めている。
19分、三田が指にテーピングを巻いて処置をしている。突き指かなにかがあったか。
20分、東京が左インサイドの連係で三田がポケットに抜け出して折り返し。安部がフリーで合わせたがシュートが浮いてしまい枠外へ。枠内へ飛ばしていれば1点。超決定機。
22分、飲水タイム。ボールを持って主導権を握っているのは東京のほうだが、広島も特に慌てることはなく、カウンターで押し返すシーンも見せる。東京は超決定機を作ったが決め切れず。東京はビルドアップが安定しており、余計なロストや消耗がないことはポジティブにとらえられる。
26分、広島が左でプレスを外してから逆で待つ藤井に展開。
東慶や安部がベースポジションからズレたときに、長友はIHのような立ち位置を取って縦パスを受ける役になる。木本→長友で前進するパターンが何度か見られる。
東京はディエゴが少し下りて中央にポイントを作るタスクをもつぶん、IHが背後に抜け出していく。
広島は守備時にベンカリファをボールサイドに寄せておき、トランジションで前にポイントを作る。自陣守備に参加せず、トランジションの準備をしておく。
31-32分、前から追う東京に対してプレスを外していく広島。背後を狙ったボールが通らなかったが、安定したプレス回避を見せた。
33分、連続トランジションから川村が鋭く縦に刺して広島がスピードアップ。満田の強引なドリブルからベンカリファ→波多野がはじいて東俊が詰めにいくも、再び波多野が飛び込んで阻止。広島はこの試合で一番のチャンスだったか。
36分、東俊が左でスペースをもらい、右足でシュート。ここ5分くらいは広島の時間。
37分、紺野がスペースに出ていき、ゴールへ向かうもパスはカットされる。逆でディエゴがフリーになっていたが、広島DFがうまくパスコースを消しながら選択肢を狭めた。
38分、CKの混戦から東京が押し込みに行ったが、大迫がキャッチ。最後の押し込みにパワーが足りず。
39分、広島先制、0-1。左で密集をくぐってバイタルの森島に預けると、遠目から右足を振り抜いてゲット。東京も中盤がずらされて空いていたが、ゴラッソといっていいスーパーなシュートだった。
東京は自陣でのポジトラは多少のリスクがあってもショートパスでつないで打開しようとする。単純に前へ送っても広島の屈強なCBにはね返される計算で、押し返すためにはこうするしかないということだろうか。
飲水前までは東京ペース、飲水後からは広島ペースといったような試合展開。両者にチャンスがあった中で決め切った広島が1点リードで折り返し。東京にも超決定機が1つあったので、それが決まっていれば違った展開になっていたかもしれない。
東京はプレス回避を安定させてボール保持の時間を長く作れたこと、コンビネーションから決定機を作れたことは好材料。一方で持たれたときの守備のバランスはまだまだな印象で、サイドの選手のマークの受け渡しや、バイタルエリアのスペース管理には課題が残った。
広島は立ち上がりこそ、プレスでボールを奪えずに思ったような展開に持ち込めなかったと考えられるが、その中でも慌てず、相手に多くのチャンスを作らせない堅さが光った。自分たちの時間になると、サイドをうまく使いながらゴールへ迫り、先制に成功。ゴラッソではあったが、攻撃の作りの質は評価できるポイントだろう。
後半
ハーフタイムあたりから雨と風が強くなってきたとリポートがあり、画面ごしでもかなりの風の強さを感じる。
47分、CKの流れから佐々木のクロス→川村でチャンスも枠外。
広島は後半からプレスの行き方を変えた?ベンカリファが東慶、シャドーで2CB、ボランチがIHとマンツー気味でマークをつけているように見える。
後半の立ち上がりは広島ペースで進む。
51分、CKに荒木がニアで合わせて枠内へ飛ばしたが、波多野が好セーブでかき出す。
51分~、広島が連続セットプレーで押し込む。
最終ラインのサポートに入る東慶にはついていかないベンカリファ。どこにいっても突いて行くわけではない模様。
56分、PA内でシュートを打とうとしたディエゴが痛む。シュートブロックの際に接触があったか?
58分、東京が広島のマンツープレスをうまく外したが、スピードアップを狙うパスはうまく通らず。紺野が背負って受けてもキープできることが効いている。
59分、東京交代
三田、紺野→アダイウトン、フェリッピ
左からディエゴ、フェリッピ、アダイウトンの3トップ。
60分、木本が相手のプレスを折る運び出しで変化をつける。前進まではいけなかったが、良いトライ。
60分~、東京がボールを持つ展開。広島は一度前進を許したら、無理に出ていかず、自陣でセットする。
ディエゴはサイドで張るというよりも、インサイドに入ってきて相手守備陣の前でワンクッション作るような役どころ。大外役はバングーナガンデ。一方で右サイドはアダイウトンがサイドに張って、インサイドを長友が動き回るようなイメージ。
66分、東京同点、1-1。東京が自陣から素早く抜け出し、アダイウトンがドリブルでゴールへ向かう。一度は阻まれたが、ルーズボールを松木が拾って落とすと、ディエゴが左足を振り抜いてゲット。こちらもゴラッソで同点に。
67分、広島交代
ベンカリファ→サントス
68分、自陣からアダイウトンが個人で抜け出しを図るも、タッチが少し大きくなって荒木のカバーが間に合う。
69分、流れの中でかはっきり変えたかは不明だが、ディエゴとアダイウトンの左右が変わった。
70分、飲水タイム。60分あたりまでは広島が敵陣へ押し込んでペースをつかんでいたが、60分からは東京がボールを持つ展開に。ただ、流れとは裏腹に東京が自陣からの縦に速い攻撃で刺してタイスコアに戻した。
71分、東京交代
ディエゴ、安部→山下、塚川
山下はそのまま右WGの位置に入る。
72分、アダイウトンが仕掛けて1人でシュートまで持ち込むが枠外。外へ切り返したので少し角度がなくなった。
アダイウトンが入ったことで、東京は自陣から負荷をかけることなく押し返せるようになった。また、単騎攻撃でも質の高いチャンスが作れるように。
76分、広島交代
森島、満田→柴﨑、エゼキエウ
77分、ルーズボールを拾ったエゼキエウのミドル。1stシュートで思い切って狙った。
79分、エゼキエウがギャップを取って左サイドを抜け出し、折り返しが中に抜けて柴﨑に当たるがボールは枠外へ。
80分、右で作って、PA内でエゼキエウとサントスのワンツーでシュートまで持ち込んだが、枠外。かなり惜しいチャンス。ここ5分くらいは広島ペース。
81分、アダイウトンがカットインからシュート。枠外へ飛んだが、1つ押し返すシュート。
84分、広島交代
川村、東→今津、茶島
茶島が右WB、今津が右CBに入り、藤井が左WB、塩谷がボランチへ移る。
86分、藤井の仕掛けに対してさすがの対応で止める長友。見ごたえのあるマッチアップ。
87分、東京交代
東慶→木村
木村が最終ラインに入ってシステムを3バックに変更。5-2-3ブロックのようなオーガナイズ。どちらかというと山下は守備に戻り、アダイウトンを前に残す左右での違い。
92分、東京逆転、1-2。アダイウトンがハーフウェイラインあたりから仕掛けてクロス。おそらくキックミスが、良い感じに大迫の頭上を越えてゴールに吸い込まれた。
94分、塩谷のミドルは枠外へ。
前半の途中からは広島のペースで進むことが多かったが、アダイウトンが入ってからは東京が一気にゴールまで向かえる攻撃が増えた。そのアダイウトンがオープンスペースで強烈な存在感を示し、2得点に絡んで逆転まで。広島も代表帰りの選手が多いこともあって万全な印象ではなかったが、それでも負けなくてもいい内容のゲームだったと思われる。
東京は中央をうまく使いながら相手のプレスを外して全体を押し上げるシーンが見られ、ボール保持の向上を感じさせた。試合を決めたのは間違いなくアダイウトンの個の能力だったが、それまでの過程も評価できるポイントだったように感じた。
広島も思うようにボールを奪えずとも、途中まで安定したゲーム運びを見せたことは悪くなかった。ただ、同点に追い付かれたあたりのリスクマネジメントは改善点に挙げられるかもしれない。
個人的MOM
2得点に絡んで逆転勝利の立役者に。彼の個の能力がなければ成り立たなかった攻撃も多くあり、2点目のシーンはなにもないところからゴールまで奪うスーパーなプレーだった。
下りる動きで中央に起点を作る働き、そしてゴラッソで同点弾を挙げたディエゴ、保持ではインサイドに入って変化を加え、守備では安定した対応で穴を作らなかった長友、中盤の底でゲームをコントロールした東慶も高評価。新加入(復帰)のフェリッピ、塚川、木村もまだまだフィット不足感はありながらも自分らしいプレーは見せた。
広島は前線での起点作りとゴラッソでの先制点で貢献した森島、強引な仕掛けから怖さを見せた満田、復帰戦で存在感を見せたエゼキエウらが印象的だった。
監督コメント
(※Jリーグ公式サイトから引用)
[ ミヒャエル スキッベ監督 ]
最後の最後でボールロストからカウンターを受けて、クロスが足に当たって入ってしまった。自分たちも最後にシュートを打てたけど、それは枠を捉えられなかった。そういう部分に象徴されるように不必要なロストからカウンターを受けて失点してしまった。追いつかれるまでは良いサッカーをできていたシーンはありましたけど、失点シーンが象徴するように少し残念な試合になってしまいました。--2失点目のきっかけはジュニオール サントスのロストからだったと思うが?
彼のミスは失点に直結するようなミスだったと思います。ただ、彼自身もミスを犯したことは分かっていますし、したかったミスではないということはハッキリさせておかないといけないです。彼のプレーに関して言えば、目的を失ったドリブルによって数10メートルとボールを持ち続けて、われわれがやろうとしている速いコンビネーションからかけ離れてしまったプレーをしてしまったことは大きなミスだったと思います。--EAFF E-1 サッカー選手権に選出された選手の多くを先発で起用したが?
E-1に出ていた代表選手たちは非常に良いパフォーマンスを見せてくれたと思います。佐々木 翔は安定した素晴らしいプレーをしていたと思いますし、荒木(隼人)もいつもどおりのプレーをしてくれたと思います。森島(司)のゴールに関しては言うことないと思います。
[ アルベル監督 ]
前半はわれわれがチームとしての成長を遂げていることを証明できたと思います。ボールを保持したい気持ちが十分に伝わってきたと思います。特に広島さんは激しいプレスを掛けてきて、良いサッカーをするチームです。その相手にボールを保持することは決して簡単ではありません。その中、前半に2つの決定的なチャンスがありました。ただ、ボールを持っていないときに守備で苦労した部分もあり、素晴らしいロングシュートで先制点を決められてしまいました。後半の最初も苦しむ時間帯が続きました。ボールを失ったときに苦しんでいたと思います。ただ、ベンチには試合の流れを変えられる選手が複数いました。選手交代で流れは大きく変わり、逆転がスタートしたと思います。ボールを保持するだけでなく決定力を表現できて、相手を怯えさせる展開になったと思います。
(塚川)孝輝と(山下)敬大を投入し、チームに良い流れをもたらしてくれると思いますし、決定機を複数作れていました。ただ、われわれが決定機を作った一方、相手に決定機を作らせてしまったことは課題として残ります。サッカーは決定機の数を競うのではなく、ゴールの数を競うスポーツです。今日、われわれは相手よりも多くのゴールを決める幸運に恵まれたと思います。
結果以上に、難しい試合の中でもボールを後ろからつないで前進しようとする意図を常に持ち続けながら、90分間プレーしてくれたことが私の心に一番残りました。直ちにグアルディオラのチームのようにプレーはできません。まだまだ伸びシロは残っています。ただ、選手たちがボールとともにプレーしようとしたことに誇りを感じました。新加入の3人も5日間の練習でうまく適応してくれたと思いますし、(波多野)豪のことも称えたいと思います。チームはまだ成長しないといけません。ただ、成長のプロセスを歩むのに勝利という追い風があったほうが進みやすいです。
最後に広島さんを称えたいと思います。新監督とともに良いサッカーを目指し、良いプレーをしていると思います。対戦できてとても光栄です。コロナから回復して直接戦えたことを光栄に思えます。
--リーグ初先発となった波多野 豪の評価をお願いします。
今までの豪は不安定な部分もあったと思います。1試合の中で素晴らしいプレーをする時間帯もあれば、不安定なプレーもする選手だったかと思います。GKは集中して安定感をチームに与えることが重要で、それをシーズンの最初から豪には伝えてきました。そして、今日は最初から素晴らしく集中したプレーをしていたと思います。足元のプレーも素晴らしかったです。私がGKに求めるのは足元の技術に加えて、止めるべきシュートを止めること。素晴らしいセーブをしてくれたら素晴らしいですけど、私が重視しているのは止めるべきシュートを止めることです。いま、豪は次の成長のフェーズに進んでいると思います。