2022 J1リーグ第1節 清水エスパルスvs北海道コンサドーレ札幌 メモ
スタメン
流れ
最終ライン左に下りる高嶺と宮澤、アンカー位置の駒井の3人でのビルドアップ。左右のCBは低い位置に残らない。
札幌はシャビエルと興梠の前2枚でチェイシング。プレスで小柏を最前線に行いのは意外だった。
札幌が持って清水が受ける形だが、清水は引かずに前から圧力を掛ける序盤。ただ、それによってDF-MF間が広く空き、そこを興梠に入られている印象。
5分、ルーカスのシュートはポスト。右サイドの連係から駒井が個人でPA内に進入すると、ファーに抜けてきたところでルーカス。
清水が高い位置からけん制してくる場合には菅野を加えた3バックビルドになる札幌。清水は中央を閉めているため、大外へ展開されると、対応が間に合わない。札幌は一度展開したあと、さらに逆サイドを狙う外→外の攻撃でチャンスをうかがう。
10分、組み立てで竹内を下ろし始める清水。札幌側は、最終ラインまで下りるボランチは捕まえに出ていかず、マークがズレるのでやや対応しづらそうにしているか。
14分、ルーカスのゴールで札幌先制。ロングフィードのこぼれを小柏が回収してPA付近まで運んで金子へ。フリーの田中からのクロスのクリアをルーカスがボレーで合わせきった。
清水はビルドアップがまた不安定になり始め、最終ラインから先のパスがつながりにくい状況。
17分、札幌のビルドアップミスを突いて清水のカウンター。札幌はかなり攻撃的なビルドアップをしているため、ロストしてしまうと一気にゴールまで迫られる。
20分、田中のクロスにシャビエルが合わせるも枠外。清水は出ていった背中を順番に使われて、簡単に陣形が崩されている。
札幌は自陣で受ける場面でも興梠に預けられればポイントを作れる。小柏とシャビエルの3人で敵陣まで運べるため、カウンターの脅威も見せられている。
24分、左から金子への展開でスピードアップ。札幌は高嶺と福森の展開力に長けるタイプが左に2人いるため、左から右への流れが多い。
28分、福森のＣＫに宮澤がファーでフリーで合わせるも権田の正面。
29分、ロングボールのはね返しを拾ったところから清水がはやい攻撃。札幌のマークが1つズレてしまえば、一気にチャンスを作れる。
30分、神谷のキープから鈴木唯への縦パス→流して片山。札幌は興梠が深くまで戻っていた影響でプレスを掛けられるバランスを整えられておらず、そ清水がの隙を突いた形。
興梠はかなりボランチの近辺をうろうろする。縦パスを受ける準備とライン間へもぐる動き直しが目立つ。
34分、金子の縦突破からマイナスの折り返しに興梠が合わせて立田の手にヒット。ハンドの判定で札幌がＰＫ獲得。清水は落としのパスが相手に渡ったところが痛恨だった。
ルーカスのキックは権田がセーブ。完全にコースを読み切った。
38分、札幌のマンツーをかいくぐる清水。「縦につけて」と「落として」を組み合わせながら細かくつないでマークを外し、原が中央に入ることでフリーを作り出した。山原が1対1を縦に抜こうとしたが、クロスが決まらず。
前半終了が見えてきた時間で札幌のプレスの勢いがかなり落ちた印象。清水のボールホルダーに明らかに余裕が生まれてきている。
44分、右サイドのスペースを生かしてゴール近くへ進入し、最後は山原のシュートも枠外。
札幌がボールを持ち、サイドを生かした攻撃で清水ゴールへ迫ったが、奪えたのは1点のみ。ルーカスのPK失敗やポスト直撃シュートなど、チャンスは多かっただけに1点では物足りない内容と言える。また、前半終わり際からエネルギーが落ち始めたことを踏まえると、選手交代を駆使しながらパワーを注入しないと厳しくなりそう。
清水はサイドの対応と中央で起点になる興梠を止められず、プレスがなかなか決まらなず。ただ、竹内や原のポジション移動などで工夫を凝らし、マンツーをくぐろうとしたのは面白かった。右で作って山原を走らせるパターンはうまくいっている印象なだけにそこから何が起こせるかに期待。
後半
清水交代
中山→コロリ
コロリが2トップに入り、神谷が右SHへ。
49分、白崎が背後へ飛び出し、チャンスもラストパスが札幌DFに阻まれる。マンツーで大きなスペースが生まれる札幌のウィークをうまく突けたシーン。
札幌は相変わらず金子と田中の右サイドを軸に攻める。金子に2人がつくと後方の田中がフリーになり、そこからワンタッチでクロスが入ってくる。
後半立ち上がりも札幌ペース。非保持の怪しさは出始めているが、攻撃は変わらず。
54分、鈴木唯の持ち運びから左の連係で山原がPA内へ進入。横に流したパスを白崎がフリーで合わせるも菅野がセーブ。
55分、コロリが背後に抜け出してGKと1対1を作ったが、菅野が好セーブ。清水は自分たちの時間に持ち込めている。
59分、左奥に流れた鈴木唯が個人で突破し、クロス。札幌はホルダーへの寄せがワンテンポ遅い。
61分、札幌交代
シャビエル→菅
菅が左WB、ルーカスが右WB、金子が右シャドーに入る。
62分、清水交代
山原、神谷→髙橋、滝
67分、鈴木唯のゴールで清水同点。札幌はSBへのプレッシャーが弱くなり、背後のスペースへ余裕をもって送られた。ただ、鈴木唯の動き出しや角度のないところからの落ち着いたフィニッシュもお見事。
札幌は明らかに寄せが遅く、後方もゾーンで守れていないので、ガンガンスペースを突かれる。
73分、札幌交代
宮澤、駒井→深井、荒野
高嶺がCBに入り、深井がビルドアップで最終ラインに入る役割のボランチに。
76分、小柏がPA内でシュートを放つもバーにはね返される。
78分、福森→興梠の縦パスから小柏→ルーカスで決定機も枠に飛ばず。札幌はボールを持てさえすれば、チャンスを作れる雰囲気は作り始めた。
82分、荒野が下りて後ろ3枚気味にし、パス交換で2トップを動かして前進。清水2トップの規制がうまくかからないため、中盤は中央を消さないといけなくなり、外のパスコースを塞げない。外を塞げば興梠への縦パスが入ってしまう。
札幌は深井と荒野の2枚替えから流れを取り戻した。清水は一転苦しい時間帯に。
83分、清水交代
竹内、原→宮本、岸本
85分、札幌交代
小柏、金子→青木、トゥチッチ
最終盤は互いにゴールへ迫る一進一退の攻防が続いたがスコアは動かず。1-1に違和感があるくらい、両軍ともに決定的なチャンスは多かった。
札幌は前半でもう1点、もしくは荒野と深井投入後の時間で勝ち越しができていれば理想だったが、あと一歩のところが足りず。清水は60分頃の確変タイムで逆転までいけていれば。両チームともに勝てた可能性を感じた試合で、決め切れなかった（GKがよく防いだ）ことで引き分けという結果に落ち着いた。
個人的MOM
★興梠 慎三
さすがミシャサッカーの体現者といったプレーで、昨季なかなか出場できなかった選手とは思えないような起点になる働き。スペースでもらう動きも下りてライン間で受ける動きも質が高く、彼の無理が効くことで札幌も保持の時間を長くできたと言える。
トピックス
41分、駒井の球際で粘り強い好奪取。
67分、菅野がかなり前へ出てきて、ロングパスを好カバー。
監督コメント
（※Jリーグ公式サイトから引用）
[ 平岡 宏章監督 ]
ひと言で言うと、どちらに転んでもおかしくない試合でした。十分に勝つチャンスがあったのかなと思います。前半立ち上がりのところ、相手の勢いに押し込まれて失点をしてしまいましたが、そのあと権田（修一）がPKを止めてくれたことで勢いというか、流れが変わったと思います。後半はプランどおりに進めていたので、そこで同点に追いついて、もう１つ仕留めるようになったら良かったと思います。－－ハーフタイムの具体的な指示は？
相手のワイドの選手にナーバスになり過ぎてラインが下がってしまっているので、そこをズルズル引かないこと。そして前からプレッシャーを掛けること。そこを確認しました。－－初戦としての手ごたえは？
悪くはないと思いますが、選手たちがロッカールームに帰ってきたところの顔を見ると、こういう試合を勝たなければいけないということを選手たちが感じていた。こういう試合を勝てるようになっていったら、目標のところに近づけると思います。－－鈴木 唯人がゴールを決めたが？
唯人はあれくらいやれると思っているので、もっとやってほしいし、ほかの選手たちも同じように期待しています。
[ ペトロヴィッチ監督 ]
やはり２カ月半公式戦がなかった期間から、ようやく開幕できたことをうれしく思っている。長い間公式戦がなかったことで、最初の試合というのは自分たちの状態が分からないゲームでした。試合に関しては、両チームともよく走り、戦う中で良いゲームができたと思います。前半は主導権を握り、多くのチャンスを作る中で、われわれが先制し、PKで追加点を取るチャンスもありましたが、それを外してしまった。それ以外にもわれわれが２点目、３点目を取るチャンスは十分に作れていたと思います。それが決め切れない中で、後半相手がよりアグレッシブに圧力を掛けてくる中で、自分たちが受け身になってしまったかなという印象を持っています。得点されたシーン以外でも、菅野 孝憲が２回ほど素晴らしいセーブで、相手の得点を阻止してくれましたけど、後半に関しては相手がよりアグレッシブに戦っていたと思います。その中で、われわれも選手交代も含めてもう一度盛り返して、小柏 剛選手のシュートがバーに当たったり、ルーカス フェルナンデス選手のシュートが得点になるチャンスだったり、追加点を取るチャンスはありましたが、なかなか決め切れない試合だったと思います。ただ、トータルして今日の試合を振り返ると、良いゲームができたと思っていますし、最初のゲームとしてはこうした内容のゲームができたことはよく戦ってくれたと思います。
－－ガブリエル シャビエル選手、興梠 慎三選手の２人を先発させましたが、彼らの評価をお願いします
両選手とも今日が１試合目でしたが、非常に良いプレーを見せてくれたと思います。興梠選手に関しては膝のケガの影響もあって、キャンプの間に満足のいくプレーができたというわけではないですけど、非常に良いプレーを見せてくれたと思います。ガブリエル シャビエル選手に関しても、ブラジルからの合流が遅れた中で、それほど多くの期間、チームとの練習に割く時間がなかったですけど、そういう状況のわりには２人ともチームの中で自分の役割をまっとうしてくれたし、良いプレーを見せてくれたと思います。２人は良いプレーをしてくれたという印象を持っています。まだ１試合目なので、まだまだ彼らは自分たちの能力をチームの中で発揮してくれると思います。
