田んぼサッカーを乗り越えての公式戦2試合目。ようやくちゃんとしたサッカーを見るチャンスだ!
(リアタイ観戦一発勝負なので内容の粗さはご容赦を)
スタメン
(本記事の図は▲ Jun Kanomataさんhttps://twitter.com/jun_kanomataのTACTICAListaを使用しました!)
試合前は[3-1-4-2]のような形が予想されていたが、実際は[3-4-2-1]ベースであった。ざっと調べたところだと昨季は4バックベースのシステムを採用していたため、もしかすると予想外の布陣だったかもしれない。
今季から取り組み始めた[4-3-3]をプレーオフに続きこの試合でも採用。前回の試合が田んぼサッカーだったことから、実質的に初お披露目となる。
前半
ボール保持
3トップに預けて個人技やコンビネーションから打開を狙う
→レアンドロを出し手にして、3トップは流動的にポジションを入れ替える
ボール保持では3トップが下りてきたり、中に入ってきたり、非常に自由なポジション取り。基本はスタメン図の配置だが、前の3人は様々に位置を変えながら動く。特にレアンドロはWGのポジションながら内側に入ってくることが通常運転になっており、おそらくトップ下のような役回りを任されていた。
レアンドロにボールを持たせてフィニッシュまでいきたい計算だっただろうが、ブラジル籍トリオがフリーダムすぎるからか、効率的な攻撃ができている印象は持てず。ロジカルに崩していくよりも、アタッカー陣にアイディアを出してもらうといったところ。
ボール非保持
前から強く追わず、3トップで中を切りながらIHで外に蓋をする
→前線の負荷を減らす代わりに中盤の負担が増える
3トップは中央の3レーンを埋めながら相手の3バックに寄せていく。CB→WBのパスを出されたときにはIH(特に安部)が大外まで出ていって監視する。
※イメージ
前線3枚の負担を極力減らす反面、IHの担当エリアがすこぶる広い設計。大卒ルーキーの安部が驚異的な運動量で穴を空けないように動いていたが、ほかの選手にも同じことができるかと言えば疑問は残る。
本来は中央のエリアを埋めなければならない東京IHが、相手WBも見なければならない構造の隙を蔚山は狙う。
※イメージ
中盤は中央のスペースを消すためにボールサイドに寄っていくが、そうすると当然逆サイドにいるWBへはマークにつくことができない。蔚山もそれが分かっていて、東京側の前線でのプレスが甘ければサイドチェンジを狙う。これに対してIHのスライドが間に合うはずもなく、フリーのWBに持ち運ばれてアーリークロスがゴール前へ。クロスバーに助けられたシーンも含め、危険なシーンを2,3回作られたことは大きな課題と言っていいだろう。
後半
お互いにメンバー交代は無し。
前半に多発したサイドチェンジからのアーリークロス攻撃を防ぐために東京は守備を修正。右WGのディエゴをやや低い位置に下げた左右非対称の[4-3-3]のような配置で守るようになり、レアンドロとアダイウトンの変則2トップが積極的なプレッシングで相手3バックを追いかける。
※イメージ
アダイウトンとレアンドロは左側から右側へ追い込むようなコースを取ってプレスを掛ける。前半のフワッとした最前線の守備とは異なり、後半は意図を持った追い方をするようになったことでIHの負担も軽減され、WBのところから前進を許すこともなくなった。
蔚山も後方からのビルドアップを細かく仕込んでいる雰囲気がなく蹴っ飛ばしてきたため、森重&渡辺の盤石CBコンビで跳ね返し&回収が可能に。前でうまく追い込めると後ろの選手もやることがはっきりし、縦パスを潰す機会も増える。前向きで奪うことができれば3トップも高い位置にいる状態から攻撃が開始できて、このシステムにしている意味が出てきた。この布陣でやりたいことは、ボール保持よりも中盤で奪ってからのカウンターなのではないか。実際に得点場面はレアンドロが高い位置で持てたところから始まっている。
最前線の個人守備で言うとアダイウトンに関しては、やることを明確にすれば守備タスクを遂行できるレベルにはあるように感じたが、レアンドロはまだまだ追い込み方が上手いとは言えず、手綱をつける必要性があるかもしれない。
1点リードで終盤を迎えた東京だが、82分にセットプレーで失点。スタメンの攻撃陣と比べると、攻撃のギアを上げるカードは持っていなかった東京はバランスを整えることを選択した。アダイウトンを下げて三田を投入し、ディエゴを1トップに置く[4-5-1]気味にシステムを変更。一発には期待しつつ、最低でも1ポイントは持ち帰ろうという考えだった。
そのまま終了のホイッスルが鳴って1-1のドロー決着。勝てた試合ではあったが、完成度が高まっていない(実質)初陣で勝点1を取れたことは悪くない。
まとめ・感想
新システムのお披露目になったが、率直に言うとうまくいっていたとは言い難い。新たなチャレンジということもあり、今後も悩みながらつき合っていくことになりそうだ。
前半からの反省を踏まえて後半に守備の修正を施した点は評価すべきだが、ディエゴを低い位置に下ろしてまで守備のバランスを取りにいった部分は本末転倒にも感じる。攻撃的にいきたいのか守備のバランスを重視したいのか。3トップシステムを採用していくのであれば、守り方はもう少し工夫する必要があるだろう。
多くの課題が見えた一方で大きな浪漫も感じたことは間違いない。ここからの進化に期待して見届けていこう。
↓補足記事
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