「青赤と青黒の激突」 J1リーグ第10節 ガンバ大阪vsFC東京 プレビュー
こんにちは、がちゃです。
J1リーグも第10節を迎えます。
前節終了時点で首位に立つ好調な東京と現在15位と苦しむガンバ大阪の対戦。
そんな今節の戦いの展望をFC東京目線で行っていきます。
1.耐えきれない・立て直せないガンバ
前節終了時の両チーム成績
まずは成績の数字を見ていきます。
こうして比べてみると得点数はほぼ同じ。
お互いに1試合平均で1,5を超えており、コンスタントに得点は取れています。
一方で大きく異なるのが失点数。
東京の6に対してガンバは19。1試合平均で2を上回っており、明らかに守備面が順位に影響している要因となっています。
直近3試合
東京は3連勝、ガンバは1分け2敗。
勢いの違いが表れるデータとなっています。
ここで注目したいのはガンバの失点数。
先ほど挙げたデータでは1試合平均2以上でしたが、直近3試合の結果だけ見ると守備が崩壊しているとまでは言えません。
しかし、ここで1つ気になるデータを一つ。
G大阪の失点時間
前半ー10
80'~終了までー8
その他ー1
計19
非常に偏ったデータが出ました。前半の失点が10と総数の半分以上を占め(そのうち開始10分以内での失点が4)、後半の失点に関してはラスト10分での時間に集中しています。
直近3試合も大量失点こそしていませんが、4点とも全て前半と終了間際です。
また、複数失点を喫した6試合のうち、3試合(横浜FM、神戸、広島)で10分以内での連続失点があります。
一度崩れたリズムを戻せないまま、ズルズルと相手ペースに引きずり込まれてしまうという傾向かもしれません。
東京からすると第7節鹿島戦のように(前半だけで3得点)前半のうちに勝負を決めきってしまうのが理想。最悪でもリスク管理を徹底して失点をせずに終盤に持ち込むといった展開に持ち込みたいところでしょう。
G大阪の得点時間
前半ー6
60'~75'ー5
その他ー3
計14
これまた面白いデータで注目すべきは真ん中の60分~75分で5点決めていること。
なぜここが注目すべきかというと、ガンバはこの時間帯での失点が0なのです。
データのみでの推測にはなりますが、自分たちが押している時間帯できっちり得点が取り切れているということなのではないでしょうか。
8節の大分戦では後半から押し込む時間を増やしてラッキーな形ではありましたが、実際71分に得点を取り切っています。
東京はボールを保持して試合をコントロールするチームではありませんから、おそらくガンバが押し込む時間帯は必ず訪れるはずです。
(※参考データ 9節までの支配率平均 FC東京ー44.8% G大阪ー51.0%)
その時間をいかにしのいで失点を防げるか。そこがポイントとなるかもしれません。
2.似た者同士の対決
予想スタメン
主な怪我人
G大阪ー藤春
FC東京ー(室屋、チャンヒョンス)
ホームのガンバは7節浦和戦で藤春が負傷し、長期離脱。
左SBにはこれまで通りオジェソクを予想。
CHには遠藤&今野のコンビが1stチョイスだと思いますが、矢島慎也の起用もあり得ます。
アウェイの東京は前節欠場の室屋と大事を取ってスタメンを回避したヒョンスをスタメン復帰予想。アウェイということもあって大事をとる可能性もありますが、その場合は前節同様右SBに小川、左SBに太田が濃厚でしょう。
システム
●G大阪
大分戦では5-4-1のような布陣を敷いたガンバですが、基本システムは4-4-2。
メンバーも怪我人を除けばCH以外はほぼ固定。
●FC東京
これまでの9試合全てで4-4-2を採用。
対戦相手や試合の展開に関係なく自分たちの形は崩しませんが、同じシステムの中でも微調整をして柔軟に戦います。
スタメンも怪我人が出ない限りは固定となっています。
両チームの特徴
強力2トップに加え、運動量豊富な両SHを中心とした攻撃。
カウンターでも遅攻でも攻撃を完結できるチームです。
中でも一番危険なのは2トップのカウンター。テクニックがあり、対峙するDFを剥がせるアデミウソンとスペースを与えたらガンガン突っ込んでくるファンウィジョ。この2人だけでカウンターを完結できてしまいます。
遅攻では左サイド中心。SH倉田とCH遠藤(矢島)に加えてアデミウソンがサイドまで流れてきて崩しを狙います。ここを崩しきれたら中でウィジョと小野瀬がフィニッシャーとして待ちます。
攻撃はディエゴオリヴェイラと永井の強力2トップと右SHの久保を中心としたロングカウンターが一番のストロング。
遅攻では左サイドが中心。CBの森重を起点に左SBの小川(太田)と左SH東のコンビネーションでフリーを作り出して2トップに供給していきます。
強力2トップを生かしたカウンターと左サイドでの遅攻が特徴の両チーム。大枠で見れば各ポジション選手の特徴も似た部分が多く、システムも同じ。
そんな似た者同士ではありますが、守備の方法は大きく異なると感じました。
一言でまとめると意識するものが違います。
両チームの守備での意識
G大阪ー人
FC東京ースペース
ガンバは人に強く付き、東京はスペースを埋める。そのような違いを感じました。
極端かもしれませんが、上図のようなイメージ。
中盤4枚の距離感が比較的広く、中央への縦パスコースが空きやすくなります。
しかしそこを通されて前を向かれるとまずいのでCBが人に強くついていくことで奪取や追い出すことを狙います。
もちろん東京のCBも人には付きますが、中盤4枚をコンパクトにしてそもそも縦パスを入れさせないように門を閉めます。
こうなると大外のSBは浮きますが、そこにはボールが出てからスライドで対応。
ガンバはよりカウンターに行きやすいですが、CBを中心に個人で潰しきれるかというところに依存した守備になりがち。
東京は一番危険な中央エリアを2ラインで閉めることにより守備バランスは整いやすいですが、その分カウンター時にSHやSBのポジションが低くなりがち。
どちらが良い悪いということではなく、それぞれに長所と短所があると思います。
東京が狙いたいポイント
攻撃 ~ボール保持へのチャレンジ~
支配率では低い数字が出ている東京ですが、この試合はボール保持の時間を長くしたいと考えます。
なぜならば、ガンバの人に強く付く守備はこちらがボールを持った時に弱点を見せやすいからです。
CBの背後
ガンバの守備については簡単に説明しましたが、この守備はカウンターの準備を整えられる一方で弱点ともなります。
人に強くついてくるということはスペースを空けるということです。
ディエゴの下りる動きに対して前を向かせないために三浦がついてきます。それに連動して東や永井が三浦の背後にあるスペースに飛び込む狙い。
上図ほどボールホルダーがフリーで持てるようになるとは限りませんが、これが一番ゴールへ近づく狙いになると思います。
今野を中央から消す
ガンバの守備の要は何といっても今野。昨年も彼が復帰してから長期的な連勝を作り出しました。
そんな彼を中央から消してしまおうという作戦。
2トップを2CBの近くに立たせて、中央から動きづらくします。
左SB小川が持った時に右SB米倉が寄せてきた場合、SB-CB間が大きく空きます。そのスペースにSHの東がランニングして今野をCHの位置から連れ出すと遠藤がスライドしてきます。(ここのスライドが甘い場合もあり。)
このとき逆SHの倉田が絞り切れていないケースが多く、遠藤の後ろが空きがちになります。2トップとのコンビネーションなどでスペースに入り込み、右SH久保やCHの位置から上がってきた髙萩・橋本がシュートを打つという狙い。
このとき2トップはあえて2CBの前で待つことでガンバDFラインの横スライドの判断を難しくできるかがポイント。
エリア内に3人目が飛び込む
また、傾向としてSHの守備の戻りにムラがあり、中盤の脇を使えるシーンも増える可能性があります。
そのときに狙いたいのが3人目の飛び込み。
右で久保が深さを作り、相手SBを引き付けます。
後ろからサポートに来た室屋へ渡し、時間をかけずにクロス。
2トップには2CBが対峙するようにし、2トップはあくまで囮役。空けたところに3人目が飛び込みます。CBがFWをマークする意識は強いですが、クロス対応に関してはそのほかの選手が相手のマークを外してしまうような印象を受けました。
上図では東がその役になっていますが、スコアによっては後半途中での交代カードで、SHにナサンホ、FWに矢島輝一という采配をしても面白いかなと思います。
守備 ~時にはファウルも使う~
やはり何といっても要注意選手はファンウィジョとアデミウソンの2トップでしょう。
ウィジョはDFラインと駆け引きし、アデミウソンは少し引いた位置で受けて運んできます。
ウィジョに対してはスペースを与えないこと、アデミウソンは早い段階で潰しきることが重要になるはずです。
ウィジョの得意なエリアは左サイド。スペースがある状態で持たれるとガンガン仕掛けてきてカットインからのシュート、縦に仕掛けてのシュート、どちらも打てます。
こうなってしまうと1対1で勝ってくれとしか言いようがなくなるので、左サイドのスペースで持たれるというシーンを作られないように事前段階の対応をしっかりしていきたいですね。
また、ウィジョより厄介なのがアデミウソン。彼は狭いエリアでも仕事ができる技術があります。敵陣でボールロストした際に彼が自由に持てないよう誰かがマンマークにつく必要があると感じます。
ただし、マンマークしていても特別なスキルを持つ彼の前では無力化される可能性はあります。そんな時にはイエローカード覚悟で止めなければならない場面も致し方なし。
勝つために何をすべきか。一撃で仕留める能力があるガンバ2トップに対して、そこの判断をを東京守備陣が間違えないことが重要になるでしょう。
3.試合展開予想
これまでの傾向から見ると前半に得点が入る可能性は高いですし、先ほど挙げたように個人的にはボール保持へのチャレンジをしてもいい試合だと思います。しかしながら、アウェイということ、ここまで守備重心で結果が出ていることを考えれば、長谷川監督は守備に重きを置いて試合に入ると思います。
そうなれば、FC東京からするとリスク管理を徹底したうえでカウンターやセットプレーから先制し、前半のうちにたたみ掛けて決めきりたいところ。
0-0のまま推移したとしてもガンバが苦手な終盤で勝負して1-0という展開に持ち込めればok。
もしビハインドとなってしまったらその時はボール保持をして攻めなければならなくなるため、前述したとおり、ナサンホや矢島輝一などゴール前での駆け引きで勝負できる選手を使いたいというのが個人的な考えです。
FC東京にとっては苦い思い出の多い吹パナソニックスタジアム吹田でのアウェイガンバ戦。
不調な相手とは言え決して侮れません。
今年はアウェイガンバ戦で勝ち点3を持ち帰れるか楽しみにしましょう。