がちゃのメモ帳

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【FC東京】 J1リーグ第5節 vs浦和レッズ レビュー

こんにちは、がちゃです。

 

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プレビューはこちら。

brgacha.hatenablog.com

 

 

プレビューでも書いた通り、埼スタでの浦和戦はFC東京にとっては鬼門。

首位に立つ勢いで鬼門を突破できるか、という1試合です。

 

早速スタメン。

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プレビューの予想とは違いが1点。

久保ではなく大森が右SHに入ります。

浦和の戦い方が読めないことや、まずは守備の安定させるという意図があったかもしれません。

 

浦和は試合前の予想通り。

フォーメーションを4バックに変更し、青木と武藤が復帰。

 

 

~前半~

 

前半45分はボールを持つ浦和と自陣で引いて構える東京という構図が強くなりました。

前が詰まればバックパスでやり直す浦和に対して、東京は縦・前という選択肢を選ぶことが非常に多かったです。

 

 

浦和ボール保持vs東京守備

 

浦和は中盤の選手が非常に流動的に動いてくる印象でしたが、主に2パターンでのビルドアップを行っているように見えました。

 

①青木を中央固定し、柏木・長澤の2トップ脇移動

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※イメージ図

 

最初に言うと、東京は前から追わずにCBはほぼ放置に近かったです。

 

アンカーの青木は中央にとどまり、2トップを真ん中に張り付けるようなポジション取り。そして長澤と柏木が脇に下りてきてそこから展開していきたいという意図が見えました。また、柏木が下りることでエヴェルトンは高い位置に移動します。

そして両SBは大外に張ってWBのような振る舞いになります。

もし、2トップが下りてきた選手についていけば青木のマークが弱まり、そっちを使いやすくなるので、どう対応してくるかを探っていた部分もあったと思います。

 

これに対しての東京の策はSHが迎撃すること。

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※イメージ図

 

東京SHが下りて受けようとする選手にプレスをかけて、前を向かせないようにします。バックパスが出たらプレスのスイッチon。SHがのまま前に追いかけていき全体が連動してパスコースを消していきます。

出しどころに困った浦和CBはサイドに流れるFWへボールを出しますが、こうなれば自由な攻撃は抑えられ、それなりに回収もできました。

 

②青木を下ろして3バック化

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※イメージ図

 

10分過ぎからは青木が下りて3バック化の形も頻繁に使ってきます。

そうなったときは中盤が3枚横並びに近くなり3-5-2のようなフォーメーションとなります。

 

どちらの形にせよ浦和は右サイドにいる森脇を起点に攻撃を組み立てようとします。

対して東京はどの形を取られても4-4-2を崩さず、あくまでも自分たちのシステムを崩さずバランスを整えることを重視します。

 

東京の中央に固まる4-4-2に対して、大外に張る森脇を使うことで選手間の距離を広げることを狙ったのだと思います。また、森脇は技術のある選手ですから、起点にもなれる上、中盤とのパス回しにも参加できます。

 

前半、攻撃が右に偏っていたのは宇賀神よりも森脇の方が攻撃の起点になれると考えたからではないでしょうか。

 

 

東京ボール保持vs浦和守備

 

そもそも東京がボールを保持する時間が多くありませんでしたが一応。

 

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※イメージ図

最初の探り合いの時間では浦和は4-3-1-2でセットしました。橋本・髙萩が下りて後ろの数的優位を作った際に中央のCHに繋がれないようにトップ下の柏木がマークにつきます。

 

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※イメージ図

中央からSBへボールが渡るとエヴェルトン・長澤がSH化して4-4-2のようになります。

柏木はCHを自由にしないようについていきます。

 

10分くらいからは柏木をCHの位置に下ろした4-4-2で守りをわかりやすくしました。

 

東京はCBからパスを繋ぐというよりはフリーになった選手が裏へ蹴りこんで2トップ(+大森)を走らせるという単調な攻撃が多かったです。

 

 

★浦和のネガティブトランジション

浦和は主に右サイドで複数人が近づいてショートパスを回す攻撃が中心となりました。

これはFWも含めてパス回しが上手な選手が多い特徴もあると思いますが、東京のカウンターを阻止する狙いもあったのではないかと思います。

選手が近くにいれば奪われた後にボールホルダーにプレスをかけやすく、考える時間を奪えます。実際に浦和はネガトラからのプレスが速く、東京は奪ってから効果的なカウンターはほとんどできませんでした。(永井が単独で抜け出した1回くらい?)

これによって東京の一番のストロングである2トップ中心のカウンターを発動させないとともに浦和がボールを持つ時間が増えました。

 

 

前半まとめ

 

◦浦和の狙い

幅をとる森脇を起点にした右サイドからの攻撃

 

◦東京の狙い

2トップ(+大森)の裏狙い

 

SH-SBの連携やCHのカバーリングのバランスが良く、東京の守備がしっかりしていたことでセットプレー以外に危険なシーンは作らせませんでした。

しかし、浦和のネガトラの良さからこちらのチャンスもほとんどないシュートの少ない展開に。

浦和の切り替えからのプレスで自由を奪われたのが大きな要因ではあると思いますが、ボールを持てたときにも簡単に2トップに入れる攻撃しかできず、単調な攻撃に終始しました。また、浦和の2CBは背後を取られないように少し深さを作って対応しているように見えました。かつ、ライン間で受ける動きに対しても潰しに行ってボールの収まりどころをすべて潰された印象です。

久保がいなかったことも一つの理由になると思いますが、ビルドアップの手札が少ないことで攻撃が裏狙い(事故狙い)一辺倒に見えたのかもしれません。

あと気になったのはスローイン。こちらのプレスから得たスローインも投げた瞬間に捨てるような格好となり、すぐに相手ボールとなる場面が目立ちました。

 

 

失点はしないように、という意識が強かったように見えたので前半を0-0で折り返せたことはプラン通りだと思いますが、少し捨てすぎ・持たせすぎじゃないかという感想でした。

 

 

 

 ~後半~

 

46'  浦和 柏木→マルティノス

 

前半終了間際から足を痛めているのではないかという情報のあった柏木が負傷交代。マルティノスが入ります。

 

この交代によって前半よりも4-4-2の形が強まりました。

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マルティノスの突破能力と大森のサポート

 

マルティノスが左SHに入ることで左の幅取り役が彼になってSBの宇賀神は後ろのハーフスペースあたりでサポートします。

マルティノスは仕掛けてくるタイプの選手。ここからの突破を許したくない東京は対峙する室屋に加えて大森もサポートに入ります。

となると2対1を作ることができる反面、後ろの宇賀神は浮きます。2人で縦突破とカットインを抑止するため、宇賀神へのバックパスコースは塞ぐことができません。

 

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※イメージ図

 

大森のサポートによってマルティノスの突破はほぼ完璧に封じましたが、大森の運動量及び負担が大きくなったとも言えます。

一部の切り取りでしかありませんが、守備面で大森を代えにくいのはこういったことを愚直に続けられるからだと感じます。

 

 

久保の投入

 

61'  永井→久保

 

スコアに変化が出ない中、先に動いたのは東京。控えに眠らせておいた久保建英を呼び起こします。

大森との交代かと思いましたが、FWの永井が下がります。

中盤より後ろの守備バランスを崩さず、攻撃にアクセントを加える狙いでしょう。

 

後半も55'~からはボールを持たれて守備が続く展開。永井が下がったことでスピードの脅威は無くなりましたが、久保が入ったことで中盤での収まりどころができます。

奪ってから彼に届けることができれば、巧みな足元の技術でキープし、コース取りのうまいドリブルで前進します。久保投入後の攻撃は彼が完全に中心となっていました。

 

75分、ついに試合が動きます。

左サイドから中央へ入れたパスをカットし、それがそのまま久保のもとへ。一度はディエゴへのパスが失敗するもリカバリーして、上がってきた東へ素晴らしいスルーパス。東が中央へ出したクロスをディエゴが沈めて先制。

久保を投入した効果が出たカウンターとなりました。

 

 

浦和の2枚代え

 

82' 青木→杉本 宇賀神→山中

先制された浦和は攻撃にシフトする2枚代え。中盤を一枚減らしてFWを増やし、左SBはより攻撃的なキャラクターに。

山中が大外役になったことでマルティノスが内寄りに移動。ちょくちょく中央でゲームメイク役をやらされていてすごくやりづらそうでした。

 

山中のキャノン砲FKがバー直撃など、攻勢は強めるものの得点は取れない浦和。ひたすら時間を稼ぐ東京。

 

93分まで東京がリードしてましたが、何か不思議な力によって試合終了後は1-1になっていました。(現実逃避)

詳しくはハイライトでも見てください。←

 

ちゃんと書くと、ラストプレーで最初で最後の流れからの決定機を決められて、追いつかれました。

 

 

まとめ

 

浦和にボールを持たれながらも、後半もしっかり守れました。そして久保が入ってからはカウンターでの脅威も見せました。

しかし、久保がいない時間帯での振る舞いにこれまでの4試合と違いがあったように思います。

ボールを奪った後に明確に収まるポイントがなく、2トップへの依存度が高まっていました。浦和はネガトラでボールホルダーにしっかりプレッシャーをかけたことによって2トップへの質の高いパスを出させず、槙野・マウリシオの2CBも東京2トップにうまく対策を練ってきました。2トップを消されると攻撃ができず、守備に追われることに。

 

大森が入ったことで守備の組みやすさはありましたが、久保がいないことで攻撃の手札は減りました。全員は出せないので何かを手に入れるには何かを失うということ。

今後の選手起用法、同じメンバーでの戦術拡大には注目していきたいところです。

 

 

 

失点についてのたられば

 

ここからお気持ちの文章だけが続くので覚悟してください。笑

 

たらればを言っても仕方ないのですが、最後のワンプレーを確認して思ったことを。(ネットが揺れる瞬間だけは見てません)

最初に見たときは疲労からスライドが間に合わなかったのだと思ってました。

ただ、実際は大森も室屋もいるべき場所にいて(主観)、ボールが出てからもしっかりスライドしてました。が、配置的にプレーを制限できずにパスを通されました。

山中に渡った後、室屋は一番危険なゴール側へのシュート・クロスを切る。CBはゴール前に飛び込むFWにマーク。橋本は深くなったDFラインの前をカバー。髙萩はボールと逆サイドのCB脇をカバー。

全員対応が間違っていたようには見えませんでした。また、疲労から足が動いていなかったとも思いません。

 

橋本があと一歩後ろにいたら、シュートを打たせなかったかもしれない。髙萩があと一歩内寄りにいたら、シュートブロックができていたかもしれない。そもそも中央のエヴェルトンに展開されなければチャンスにもなっていないかもしれない。

 

本当に全部がひとかけらずつ足りなかったことで防げなかったように思います。逆に言えばそれだけ最後の浦和の攻撃は抜け目がなかったです。

 

ただ、山中のFKを見せられていることもあり、セットプレーは与えたくない、ファウルはしたくない心理があったからこそ、強く当たれずにエヴェルトンへの展開を許したと思います。

ある意味そこにはチームとしての意思統一があったのだと思います。

 

たらればに戻りますが、途中で交代枠を使って時間を消費できればあのプレーは生まれなかったかもしれません。長谷川監督自身も試合後のインタビューで触れていて、非常に迷った末の選択だったはずです。

この展開であれば守備的な選手を入れるところですが、東京のベンチには守備的な選手がCB渡辺くらいしかいませんでした。CHの控えに関しては不在。5バックにするのも1つの手ですが、長谷川監督の哲学的にそれはやらないのでしょう。でもそれは決して悪いことではなく4-4-2で守れれば全く問題ないです。

SH起用のできるナサンホも使われず。大森&東コンビの守備バランスへ絶対的な信頼があり、疲労を考慮するよりバランスを崩すことを嫌ったのだと思います。

FWにはジャエルと田川がいました。80分過ぎからはカウンターもちらつかせるのか、もう絶対1点を守り切るのか、が見えづらく監督の迷いもあったのかもしれません。

結果論ですが、田川を入れて前でひたすら走ってもらい、球の出所に制限をかける。そして奪ったらスペースに出してスピード勝負。相手がスローインに逃げたら時間が使える。そんな狙いも良かったのかもしれません。

 

最前線でファウルをもらってくれる前田や中盤でボールを奪える米本。皮肉にも、直近で移籍してしまった選手を欲するという状況でした。

 

時間を使いたい、と考えていても長谷川監督の中ですぐ決断できるメンバー構成ではなかったということでしょう。

好き放題たらればを言いましたが、配置取りで一歩が足りなかったこと、選手交代に踏み切れなかったこと、全てひっくるめてこれが現チームの最善だったと思います。

 

 

 

私の意見を含めたFC東京ファン・サポーター全員のたらればは最後に決められたからこそ生まれたもの。シュートが枠外だったら「決まらなくてよかったー!」だけで終わって、みんながここまで考えていなかったはずです。

このたった1回の失点で選手・スタッフ・サポーターのクラブ全体が現在のFC東京を考える時間が取れたのではないでしょうか。

 

 

まだ5節が終わっただけ。この悔しい1試合が最後笑えるネタになるといいですね。

 

お気持ち要素が強くなりましたがこの辺で。

 

それではまた!