がちゃのメモ帳

Jリーグをメインに、いろいろな感想を残していきます

2022 J1リーグ第17節 柏レイソルvsヴィッセル神戸 メモ

www.jleague.jp

youtu.be

 

スタメン

柏は佐々木と細谷がU-21日本代表招集中により欠場。キム・スンギュは移籍の噂があり、引き続きメンバー外。主力GK2人が不在と言うことで松本がJデビューで初先発。ドウグラスが負傷離脱中。

神戸は藤本、槙野、サンペールが負傷離脱中。扇原が第12節以来のメンバー入り。

 

流れ

7秒、ハーフウェイラインあたりから背後に送るボールで郷家が抜け出してプッシュするも枠外。松本が飛び出したが触れず。キックオフ直後にいきなりチャンス創出。初先発の松本の立ち上がりのプレーが今後に影響するか。

神戸は5バックスタート。武藤が最前線、イニエスタがトップ下のような5-3-2に近いセット。

3分、酒井が一発で左奥を取ってクロスまで。

神戸は3-1ビルドで、中盤の半列前に郷家と橋本が待つ。山口が相手2トップの間に立つ。

柏はサヴィオと戸嶋で中盤ラインをうまく突破し、前進できている。神戸は人を当ててプレスを掛けていくが、一回くぐられたら割り切って自陣で構える。

8分、シンプルなロングボールから武藤が古賀と入れ替わったが、松本がカバー。

柏はミドルゾーンでセットして入ってきたところで圧力を高めていくいつもの形。CBにはそこまで出ていかないので、神戸は持とうと思えば持てる。

神戸陣内でのプレーが続く展開。

13分、ここは柏はCBにプレッシャーを掛けて回収。神戸は後ろで回すが、結局長いボールを前に送ることが多い。

14分、小林のフィードに武藤が抜け出してシュートまで。ショートパスはあまり使わずにシンプルに武藤を目指す。

柏はCBまで出ていくことが多くなっているが、ボールを奪いに行くというよりも、追い出すようなイメージに見える。

16分、神戸が敵陣まで入って、最後は山口のミドル。神戸が久しぶりに攻撃のフェーズに移れた。

17分、神戸のカウンターを止めた椎橋に警告。次節出場停止。

神戸は前のプレッシングでどこをどう埋めるかの意思疎通がうまくいっていない印象。バックパスを消しに行ったのに、横を使われて逆へ展開されるなど。

21分、自陣での奪取からサヴィオが1人で運んでフィニッシュまで。

イーブンな接触に対しては寛容な基準に感じる。より激しく当たりに行く柏のほうが恩恵を受けやすいか。

神戸は武藤に加えて、両WBが高い位置に出て背後を狙う形が何度か見られる。

27分、神戸先制、0-1。酒井→武藤→イニエスタ→酒井で完全に背後を取ってから、ラストパスを橋本に送ってゲット。柏の圧力をなかなか外せずにいたが、酒井の個人での持ち運びと、無理な体勢でも質の高いパスを出してしまうイニエスタのスキルが存分に生かされた得点。

下りる武藤にはかなりタイトにつく柏CB陣。

32分、神戸の組み立て。郷家が菊池の前に入るサポート。戸嶋をおびき寄せておいて、空いた中央を使って外した。

33分、酒井がポケットを取って折り返すも柏がはね返す。

37分、柏同点、1-1。森が中央で起点を作ったところから三丸のクロス。小屋松が回収して落としたボールを椎橋が豪快に蹴り込んだ。神戸は人はそろっていたが、寄せ切れず。GKの仕事とも言えるかもしれないが、であれば制限が掛からなさ過ぎた。

39分、サヴィオのシュート。柏がゴールの勢いのままに攻め立てる。

40分、左に流れた小屋松と戸嶋、三丸の連係から戸嶋が相手のファウルを誘発。最初はPAギリギリ外のFKの判定だったが、オンフィールドレビューの末にPKに変更。PA内であれば取るには厳しすぎる判定にも思えるが…。そもそもファウルかどうかのところも含めて神戸は不満が残る判定になった。

45分、柏逆転、2-1。サヴィオがPKをきっちりと決めた。前川もコースは読んでいたが、ボールのスピードが上回った。

47分、三丸のクロスに森が合わせるも枠外。柏は山川を引き出してから素早く大外を使って、三丸に時間を与えられた。神戸は中にも人がいたが、はね返せず。ロティーナ監督らしい守備の安定がこの日はあまり見られない。

 

序盤から柏がゲームをコントロールした中で、先手を取ったのは神戸。個人の能力をうまく引き出したゴールで得意とするリードの展開に持ち込めたが、守備がなかなか安定せずに相手の勢いを受けて逆転まで持っていかれた。アンラッキーな判定もあったが、ロティーナ監督的には、そのギリギリの勝負に持ち込まれていること自体が良くないととらえているのではないだろうか。

柏は自分たちのペースで進めながら先制を許すといった嫌な流れになったが、その後も相手にペースを明け渡さずに辛抱強く攻めたことで、椎橋の同点ゴールが生まれる。そしてPA付近での攻撃で相手の守備組織に負荷をかけたことによりPKを獲得。ビハインドを背負いながらもプランを遂行し続けて逆にリードを持っての折り返しに成功した。

 

 

後半

神戸交代

菊池→汰木

システムを4-2-3-1に変更。

柏は相手SBにはIHがスライドで寄せて、WBは最終ラインで大外を埋める。

神戸は橋本がアンカーに近い役割で山口が少し前の役割分担に見える。柏は両ボランチをどう捕まえるかに少し困っているような印象。

立ち上がりは神戸ペースだったが、49分頃から柏も敵陣へ入ってチャンスを作り出す。

柏はIHが相手SBへのスライド、アンカーの椎橋が山口のマークに出ていくため、バイタルが空きやすい構造に。神戸はそこでイニエスタが受けられればチャンスを作れそうだが。

51分、汰木が左で収めてハーフスペースを取った酒井のクロスに武藤が合わせるも枠外。高さが合わなかったが、チャンスの質は高かった。

53分、イニエスタ→山口→武藤で神戸が完全に中央を崩したが、松本がファインセーブ。神戸がペースをつかむ。

55分、柏は小屋松を左に下ろす5-4-1セットに変更。

56分、汰木とイニエスタの連係からPAまで進むが柏が人数をかけて阻止。

56分、トランジションでの接触でサヴィオが痛み、一時中断。良い流れで攻めていた神戸は止められて不満げ。

得点が必要な神戸はガンガン人に出てくる中、柏は足元で食われるシーンが目立つ。中盤の頑張りで事なきをえているものの、球際を生み出さないつなぎを見せたいところ。

62分、柏交代

大南、森→川口、武藤

柏が5-4-1にしたあとは、CBの運びから前進を図る神戸。

64分、柏追加点、3-1。CKのこぼれ球を武藤雄がミドルでたたき込んだ。柏は後半で迫られる流れになっていた中で、雰囲気を一気に変える追加点。

66分、神戸交代

郷家→大迫

大迫がトップに入り、武藤嘉が右サイドへ。

69分、柏がサヴィオの間受けで前進。神戸は前線のプレスの統率が取れず、中盤のスペースをいとも簡単に使われた。

70分、リスタートの邪魔をした川口に警告。

71分、神戸交代

イニエスタ、山川→ボージャン、初瀬

初瀬が左に入り、酒井が右へ。

73分、神戸が敵陣で左右に揺さぶったところから武藤のシュート→こぼれ球を橋本がシュートと攻め立てる。

75分、汰木が左サイドの奥を取ったところから、大迫の落としを武藤が決めて得点と思われたが、ラインを割っていたとの判定で認められず。柏に人数をかけてスペースを埋められる前に素早く攻め切ったのは良かった。

76分、柏交代

ヴィオ→ドッジ

78分、左からのクロスが流れたところをしたたかに狙っていた武藤雄が合わせるも力が伝わらず前川が処理。

78分、柏交代

小屋松→三原

より守備に特長を持つ選手を中盤に増やしていく。三原と椎橋のダブルボランチ、右シャドーにドッジ、左シャドーに戸嶋とセントラルタイプを中盤に4枚並べる。

81-82分、自陣でのトランジションから武藤雄が一気に背後を取るも大﨑が対応。柏は守りを固めつつもボールを奪えれば敵陣へ入って時間を使う。

柏は5-4-1セットを崩さないことを優先させながら、前に出ていけそうなときは中盤の選手が前に出て時間を使う。奪われたときには最終ラインが人を捕まえつつ、下がらないようにしながら中盤が素早く持ち場に戻る。

89分、神戸が左からのクロスを中で合わせるも松本が好セーブ。

90分、戸嶋がPA内まで抜け出してラストパスを送るも神戸DFが戻ってなんとか阻止。戸嶋は自分でも打てた中、確実性を優先した選択が裏目に。

92分、柏の味方からのルーズボールが大迫に渡るも、松本がブロック。

時間を使う柏に対して、全然ボールに出ていけない神戸。

 

後半立ち上がりや汰木が入ってからは何度かチャンスを作り出した神戸だったが、柏が5-4-1に変えたあたりからはペースを落とされた。また、柏としては2点リードとなる武藤雄の追加点が非常に大きく。リードを守りに行くプランへ移行した中でも強いストレスを受けることなく守れる要因になったと言える。

柏は戦術の中核を担う細谷、そしてGKの主力2人を欠く中で大きな価値がある勝利。特に代わりに出た松本が好パフォーマンスを見せたこともポジティブな材料になった。

神戸は中断前までは、それなりに安定した守備を見せられていた中で、この日は組織を崩されるようなシーンが頻発。システム変更という変化はあったが、課題のレベルが一歩後退したような印象を受ける敗戦になった。

 

 

個人的MOM

★戸嶋 祥郎

攻守両面において最後まで運動量が落ちず、全体のバランスを崩さずに+1を作り出す働き。攻撃面では質や精度に課題は残るものの、「質が伴えば」と言えるところまで持ち込める回数を多く作れるのは彼の最大の良さと言える。

 

デビュー戦ながら多くのセーブでピンチを防いだ松本、強烈な同点弾でチームに勢いをもたらし、中盤での強度キープにも貢献した椎橋、直接得点にはつながらなかったものの、質の高いクロスを供給し続けた三丸も好評価。流れを変える追加点を決めた武藤雄も良い仕事をした。

神戸はいつもと同じく、武藤、イニエスタ、酒井ら元海外組が奮闘し、この日はそこに橋本も質の高さで加わった。途中出場の汰木も攻撃を活性化させたが、ゴールにはつながらず。

 

トピックス

試合後、三原が神戸ゴール裏へ挨拶。

柏は今季初の3連勝。

 

監督コメント

 (※Jリーグ公式サイトから引用)

[ ネルシーニョ監督 ]
試合前から非常に難しいゲームになるだろうと予想して入りました。今日の相手の神戸というのは、今季厳しい順位につけていて、なかなか思うような戦いができないシーズンを送っています。ただ、相手を分析すると、個々の部分で非常にクオリティーの高い経験のある選手がそろっていて、かつ非常に有望な若手がうまく融合された構成のチームなので、われわれとしては警戒して入らないといけないということを選手たちに伝えていました。

前半はどちらに転んでもおかしくないような内容だったと思いますし、現に相手に先制点を許してしまいました。ウチが気を緩めてしまった瞬間に許してしまった失点だと思います。ただ、相手に得点を許してからも、ウチは特に動じることなく、むしろしっかりと選手たちが状況をひっくり返す姿勢を最後まで貫いてくれました。そういった前半の戦い方ができたので、後半もうまく試合を進められたのではないかと思います。

 

[ ロティーナ監督 ]
一番大きな敗因は、前半に良いサッカーができなかったことだと思っています。準備していたことがうまくいかず、ボールをうまく持てず、守備でも苦しい時間帯が続いて相手に2点を決められてしまいました。後半はより良いプレーができたと思っています。また、大迫(勇也)の投入でエリアでの存在感もチームとして増すことができたと思いますが、大迫選手に関してはコンディションの問題もあり、プレーに制限時間がある中での起用になってしまいました。(後半に)CKからゴールを決められてしまいましたが、それを考慮しても、後半のチームのプレーには満足しています。

 

2022 J1リーグ第17節 ガンバ大阪vs横浜F・マリノス メモ

www.jleague.jp

youtu.be

スタメン

ガンバは東口が負傷明けで先発復帰。倉田も負傷明けでメンバー入り。髙尾も久々にメンバー入り。昌子は前節に続きメンバー外。宇佐美、福田、一森、山本が負傷離脱中。

マリノスはエウベルが負傷明けで先発復帰。ロペスが出場停止。藤田がU-21日本代表招集中により欠場。喜田、宮市、小池龍が負傷離脱中。畠中は久しぶりの先発復帰。

 

流れ

1分、マリノスのファーストシュート。縦に素早く攻めて最後は岩田のミドル。ガンバはトランジションでバランスが崩れたところを一気に突かれた。

マリノスの保持が続く立ち上がり。ガンバはある程度高い位置から制限をかけていくが、マリノスがそれを逆手にとって疑似カウンター気味にゴールへ迫るシーンが何度か。

4分、ガンバが高い位置で奪って敵陣でFK獲得。受けに下りてきた西村をダワンが食った。西村が先にボールに触っているようには見えたが、判定は西村のファウル。ただ、ガンバが球際を作り出せたからこそ生まれた。

6分、ガンバ先制、1-0。マリノスの低い位置でのビルドアップをパトリックがカットしてダワンが無人のゴールへ流し込んだ。マリノスは危険な場所にバックパスを入れたことがあだとなる。リスクを恐れないからこそ、1つのミスが失点に直結してしまった。

9分、山見のチェイスで回収してから石毛のクロスまで。ガンバはプレス時に中盤にスペースを作りやすいが、ボランチのところで球際の勝負に持ち込めれば分は悪くない。

10分、クォンギョンウォンが痛んで一時中断。プレーは続行。

12分、敵陣へ攻め込んでダワンのシュートまで。ガンバがプレスでリズムを作って、マリノスに前進を許さない。マリノスは敵陣まで一気に入れるシーンも見せているが、ミスでの失点も多少影響してか、つなぎでのリスクをかけにくそうにしているようにも見える。

14分、小野瀬のインスイングクロスにパトリックが合わせるも高丘が好セーブ。ガンバが一気に畳みかける。

17分、水沼のクロスからチャンスメイク。ガンバは保持からのロストで左サイドの守備のセットがやや遅れた。

19分、セアラのシュートがネットを揺らすもオフサイドの判定。エウベルがシュートコースに入っており、プレーに関与したというジャッジ。ガンバは命拾い。ガンバは2トプが相手2CB、ボランチがそのままボランチマンマーク気味についていた中、西村にクッションを作られてうまく前進を許した。CBが強く当たってつぶしきれないと、中盤のスペースを差し出しているような状態になってしまう。

ガンバのボランチがかなり前に出て人を捕まえにいくので、マリノスはその背後で動く西村のポイント作りが肝。

24分、スローインのリスタートの邪魔をしたパトリックに警告。そこまで危険なシーンではなかったのでもったいないイエロー。

26分、中盤でルーズボールを回収したあと左サイドで打開を図るガンバ。低くて速いボールをゴール前に送ってチャンス創出。

27-28分、素早くゴール前まで運んだマリノスが水沼の左足クロスまで。

29分、ガンバミドルカウンターで小野瀬のシュートまで。最後は畠中と松原がギリギリで寄せて自由にさせなかった。ガンバはダワンを軸に中盤でボールが奪えると良い流れで攻撃に移れる。

32分、西村が起点になって連係から抜け出しを図るがガンバ守備陣が阻止。

36分、マンツー気味のマークをギリギリで外してエウベルで前進してクロスまで。ガンバは奪えればカウンターに移りやすいが、外されるとスペースを与えてしまうので、ハイリスクハイリターンな戦い方。

37分、トランジションから奥野が右奥のスペースへ抜け出して、最後は山見のカットインシュートまで。ここはリターンが良い感じで出た。

40分、渡辺の鋭いパスからエウベルがサイドを抜けてスペースにクロスを送るもガンバ守備陣がカット。ガンバもピンチ自体は何度もあるが、最後のところはフリーにさせていない。

43分、ダワンの奪取からカウンターで山見のフィニッシュまで。ダワンの奪取能力が効きまくっており、戦術の中で欠かせない存在になっている。

45分、松原から一本のパスで西村が抜け出してシュートまで。ガンバはDFが最後まで制限して東口の守備範囲内に収めた。

47分、髙尾と小野瀬の連係で右ポケットを攻略してクロスまで。パトリックの折り返しには誰も入れず。

 

ガンバがリスクを負った積極的なプランで入り、1点リードでの折り返しに成功。ガンバのマンツーマン気味のプレスに対してマリノスもさすがのパス回しでシュートシーンは多く作ったものの、最後を外す作業までは至らず。ガンバは進入を許したあとの2CBを中心としたゴール前での粘りが素晴らしかった。また、ダワンの個人での奪取能力がかなり際立ち、カウンターのきっかけは大体そこでの奪取。山見のアジリティーもカウンターで良く生きた。

マリノスは構造上浮きやすい西村がうまく顔を出して起点になった。ガンバもCBを深くまで押し上げて対応させたが、なかなか捕まえ切れず。

ここまで自分たちのプランに近い形で進められているのはガンバのほうだと思うが、ゲームをコントロールできているといった戦い方ではないので、守り切るよりも追加点を取ることが重要になるはず。マリノスは逆転に持ち込めるだけのチャンスは作れており、ガンバが引き続き前に出てくるやり方でくるならば、短時間で逆転まで持ち込む流れに持っていくことも難しくないだろう。

 

 

後半

後半も前半と構図は似た感じ。ガンバは自陣でもマンツー気味で、ボランチがどんどん人に出てくる。

49分、左からのインスイングFKをダワンがファーで合わせるも枠外へ。

52分、セアラとの1対1で奪い切る三浦。この戦術でやっていく中でCBが1対1で互角以上にやれているのが大きい。

54分、マリノスがカウンターから決定機。水沼のクロスをファーで西村がフリーで合わせるも枠へ飛ばせず。バウンドが上がってきたところだったので、やや難しいミートになってしまった。

55分、マリノス同点、1-1。右からのクロスをエウベルが合わせたシュートは東口がセーブ。そのこぼれ球を渡辺が拾い、マイナスで待っていた西村が落ち着いて流し込んだ。トランジションでオープン気味になる展開の中、右サイドからの攻撃で刺しきった。

57分、ガンバ交代

奥野、髙尾→齊藤、柳澤

58分、山見と藤春の連係で左サイドを抜け出し、折り返すも、石毛にはわずかにズレて打ち切れず。

60分、マリノス逆転、1-2。エウベルのインスイングのラストパスを水沼が受けて流し込んだ。ガンバは出所も塞げず、ファーも埋めきれず。そこを突いたマリノスの質の高さもお見事。

62-63分、ガンバが球際を作って一気にゴール前まで。

ガンバのプレスがはまるか、マリノスの前進が成功するかのバトルで、上回ったほうが一気にチャンスを作り出す構図。いまはマリノスが上回り、敵陣へ押し込む時間を増やす。水沼のクロスがメイン。

66分~齊藤のPA内でのハンドを巡って一時中断。オンフィールドレビューの結果、ノーハンド。

68分、マリノス交代

セアラ、エウベル→マルコス、仲川

71分、ガンバ交代

山見、パトリック、シウバ、ペレイラ

74分、マルコスに深いタックルを見舞ったクォンギョンウォンに警告。ガンバは球際を作り出しても回収し切れない場面が出てきて、どうしてもファウルが増えてしまう。また、トランジションで落ちつける時間が作れず、セットしてプレスを掛けるような流れに持ち込めない。

76分、右で作って永戸のミドルまで。

78分、右の追い越しをおとりに使って右からマルコスの左足コントロールショット。マリノスが攻め立てる。

79分、抜け出しかけた西村を手を使って止めた齊藤に警告。ガンバは後手に回る時間が続く。

82分、自陣からスムーズに運び出してマルコスのシュートまで。マルコスはシュートの質自体はそこそこ高く、キックのフィーリングは悪くなさそう。

84分~、久しぶりにガンバが敵陣で攻める。クロスでペレイラを狙うもCBは越せず。

85分、マリノス交代

水沼、永戸→樺山、小池裕

永戸が足をつったため、急きょ小池裕も追加された模様。

86分、ロングスローの流れから、こぼれ球をダワンが狙うも高丘の正面。ここにきて決定機が訪れるも決め切れず。

89分、背後に抜け出しかけた渡辺を止めたクォンギョンウォンが2枚目の警告で退場。手で止めた感じではなかったが、チームとして抜け出された時点で彼が責任を取るしかなかった。ガンバは少しずつチャンスを作り出していたタイミングで、水を差すような退場になってしまった。

92分、マリノス交代

渡辺→山根

 

前半はガンバが粘りを利かせながらプランを遂行し切って1点のリードを得たものの、後半はマリノスが主導権を握って逆転まで持っていった。一気にゴールへ迫る攻撃もあったが、敵陣で保持する時間を伸ばした上でトランジションで上回ってすぐに回収することで、つなぎでのリスクを減らすアプローチがうまくいったことで、ガンバにチャンスを与えずに進められた。3点目を取るチャンスも多かったため、2点差をつけられるとなお良かった。

ガンバは後半は思うようにチャンスを作れず、防戦一方のような展開に。トランジションでの落ち着きどころを作れなかったことで自陣でのプレータイムが伸びてしまい、プレッシングから一気に相手ゴールを脅かすようなシーンも、時間の経過とともにほとんど見られなくなっていった。終盤に訪れたダワンの決定機やクロスからペレイラを目指した攻撃で、少ないチャンスを決め切れていれば勝点1のチャンスは十分にあったものの、決め切れず。

 

 

個人的MOM

★水沼 宏太

後半は彼のクロスからチャンスを量産。1点目の起点、そして逆転弾を自らが決める活躍で勝利に大きく貢献した。

 

前半で起点になり続け、同点弾を決めた西村、相手にポイントを作らせず、カウンターの芽を摘んだ角田、苦しい時間帯に余計な失点を許さなかった高丘も好評価。

ガンバはダワンが得点も含めて出色の出来だったが、勝点にはつながらず。後半途中までは三浦とクォンギョンウォンの守備対応も粘り強さが目立ったが、結果的に守り切れなかった。

 

トピックス

マリノスは二度目の3連勝。

ガンバは3連敗。

 

 

監督コメント

 (※Jリーグ公式サイトから引用)

[ 片野坂 知宏監督 ]
中断明け最初で首位・マリノスさん相手のゲームで、まず準備してきたところを選手は臆せず、良いチャレンジをしてくれたと思います。そして前半の早い時間に先制点を取れましたし、内容的に決して下を向く、悲観する内容ではなかったと思います。ただ、結果は1-2で悔しい逆転負けをしました。たくさんのファン・サポーターが今日のゲームを楽しみにこられた中、ホームで悔しい思いをさせてしまったことは私自身も申し訳なく思いますし、非常に悔しい思いをしております。

いま選手がチャレンジしていることを信じて、本当に切らさずに戦ってくれたと思います。ただ、後半の5分間で2失点という、そこはやっぱり自分たちが課題としていた失点してからの姿勢、そして取り返すところのパワーがまだ首位のマリノスさん相手にはかなわなかったなと思います。

皆さんがどう思われているか分からないですが、先発の11人だけではこれからのリーグを含めて、勝つためにはやっぱり戦力が非常に必要です。そして代わった選手、途中から出る選手がどれだけチームの勝利に貢献できるか、それまで戦ってくれた選手のぶんまで走れるか、戦えるか。そういったところが今後も非常に大事になると思うので、しっかりと選手全員でまた次のリーグ戦は札幌戦、そして天皇杯のアウェイ・大分戦に向けてチャレンジしていきたいと思います。

--今日見せてくれたような前からアグレッシブに守備に行ってというスタイルが、中断期間中に共通認識として持ったものだったのでしょうか。
守備に関しては、やはり敵陣で奪うようにすることがすごく大事だと思いますし、いまわれわれがチャレンジしているところだと思います。そこは選手もやっぱり前から奪いにいきたいという思いの中で、共通していたのでそこをトライするようにしました。ただ、本当に前から行くということで、やっぱりリスクはあると思いますけど、そのリスクも十分に分かった中でトライしています。実際今日も首位のマリノスさん相手に前からプレスに行って、奪って得点を挙げて、その得点というところも、どういう得点だろうがあの得点は僕にとっては素晴らしい得点だったと思いますし、狙いがしっかりとあった得点だったと思います。

ああいう守備をやはり90分切らさずに、最後までどれだけできるかが今後の課題になるでしょうし、いま私自身がそういうところにトライしているので、選手の意識も高めながら、そして先ほども言ったように11人だけではその強度、狙いは最後まで合わせることができないので、代わる選手を含めて、そういった高い意識、高い強度をハイテンポでできるゲームをやれるようにしていきたいと思います。

「いまチャレンジしている」という高い位置での積極的な守備が前半は機能したが、後半は相手にうまくコントロールされてしまった。「狙いがしっかりとあった得点だった」の言葉のとおり、うまくいった部分もあり、「悲観する内容ではなかった」という言葉に間違いはないと感じた。

[ ケヴィン マスカット監督 ]
率直にうれしい気分でいっぱいです。まずはグループとして本当に努力を見せた素晴らしい試合内容として、良い結果が残せました。前半はG大阪に押し込まれてしまったり、プレスのところでそうですし、簡単にボールを奪われてしまい、相手にチャンスを作らせてしまう場面があったと思いますが、後半は自分たちが支配し、ゲームをコントロールした。本当に強いキャラクターをグループとして見せた結果、このような素晴らしい内容でできたと思いますし、本当に素晴らしい内容で選手たちが取り組んだ結果が勝利に導いたと思います。

--前半はG大阪が積極的にプレスに来たが予想外だったのか、そして後半どう修正して試合を支配できたのでしょうか。
後半は本当にアグレッシブにやれていた部分は大きいですし、ボールを要求する部分をもっともっと出していこうと、勇敢な気持ちを持ってやれば自分たちはできるんだというところで、しっかりと選手たちはそれを見せてくれたと思います。

もちろん相手が前からプレスに、リスクを負って前から来ていた部分はあるかもしれませんが、そうなったとしてもそのアグレッシブさをしっかりと利用して、自分たちが前を向いてターンできればもっとチャンスは作れるとハーフタイムに言いました。そういうところでもしっかりと選手たちがピッチ上で見せてくれたと思います。

そして後半は特にたくさんのチャンスを作りましたし、本当に選手の努力と勇敢な気持ちを持ってしっかりとやれた。そして、このアウェイの地に自分たちのチームのサポーターも駆けつけてくれました。そういう人たちに一試合一試合強くなっていくというところも見せることができましたし、選手を誇りに思います。

 

2022 J1リーグ第17節 サンフレッチェ広島vsセレッソ大阪 メモ

www.jleague.jp

youtu.be

スタメン

広島はエゼキエウ、鮎川が負傷離脱中。ヴィエイラが久々のメンバー入り。

セレッソは西尾が負傷明け。山中、丸橋が負傷離脱中。

 

流れ

1分、ジンヒョンからのフィードで一気に前進。セレッソは素早いカウンタープレスですぐに奪いに行く。

セレッソはGKと2CBと原川でひし形を作って組み立て。

3分、横からのパスを原川がワンタッチで背後へ。広島は森島を原川につける。

立ち上がりはセレッソペース。保持も非保持もある程度狙いを持って進められている。

広島は3-1ビルド。セレッソは4-4-2ブロックで構える。

広島が藤井をシンプルに使ってくるのに対し、セレッソは対人に優れた西尾を左SBに入れてふたをする。

6分、ゴールキックをハメに来た広島を、ジンヒョンのキックから清武がフリースペースで受けてプレス回避。ジンヒョンが的確につなげるため、広島は得意のハイプレスでなかなか奪えない。

セレッソの非保持は、奪いに行くよりもセットがベース。

12分、広島の保持からバイタルへもぐりこんだ森島のシュート。

セレッソは原川が中盤での組み立てに関与し、奥埜が背後へ抜け出すなど、前目での働きに回る。原川の脇にサポートに入るのは2列目の選手で、奥埜は深さを取る役割。

16分、サントスの個人の仕掛けから、東のクロス→逆まで流れて藤井のカットインシュートまで。

18分、PA内での満田の仕掛け。トランジションでの球際に勝てるようになってきた広島が敵陣まで入る回数を増やしてきた。

21分、セレッソが3バックの左右に対してSHを押し上げてプレスを掛けるため、そこのずれを利用してWBを走らせる広島。

セレッソはビルドアップでのミスは少ないが、序盤よりも広島が球際での勝負に持ち込めるようになっている。

23分、塩谷に警告。奥埜に対してアフターで突っ込んでしまった。

25-26分、野津田→満田で左の深い位置を取ってから、東につないでクロスを狙うもセレッソがはね返す。広島がクロスからゴールを狙う中、セレッソも最後のところは堅い。

30-31分、素早いリスタートから藤井→森島でポケットを取ってクロス。ベンカリファが合わせるも枠外。やや下がりながらのヘッドで難しかった。

セレッソはサントスやベンカリファに対してCBは早めに寄せる、中盤は素早くプレスバックする意識が強め。

セレッソはライン間で受けるところまでは何度か行けているが、そのあとになかなかシュートまで持ち込めない。

32分、広島がカウンターからサントスのミドルまで。

33分、奥埜がうまく背後を取ったところからメンデスのシュートまで。セレッソはここまでで一番質の高いチャンスだったか。久しぶりにうまく攻めきれた。

満田と森島は2トップとSHの間に顔を出す。

35分、サントスを手を使って止めた鳥海に警告。距離を詰めることを意識している中で、ファウルが多くなって前半のうちに警告をもらってしまった。かなり意識して強く出ていっている印象を受けるので、カードトラブルに注意したい。

39分、広島が敵陣でパスを回しながら最後は東のミドル。ジンヒョンが好セーブ。

40分、CK守備から清武がカウンターに出ていこうとするが、広島が素早い切り替えで阻止し、逆にFKを獲得。相手を自陣から出させない広島。

42分、広島がロングカウンターから藤井のクロスまで持ち込むも、セレッソがシュートは打たせず。セレッソは縦に速く攻めたときに人数をかけていくため、トランジションでスペースを空けやすい傾向があるか。

セレッソが保持で時間を作れなくなってきて、広島が一気に攻め立てるような流れに。

 

立ち上がりこそセレッソが保持を安定させながら広島のプレスをくぐって自分たちの時間を作っていたが、徐々に広島がペースを取り返し、チャンスを多く作り出す。ただ、セレッソも最後のところはやらせずにスコアレスでの折り返し。

セレッソは2列目の選手のポイント作りと、高く上げた奥埜の深さ取りで前進までは巧く行けるシーンも見られたが、そこからシュートまで持ち込む術があまり見いだせず。広島が戻り切る前に攻め切るスピード感を見せられれば、もっとシュートに持ち込めそうだが。

広島は保持が安定している上に、途中からは球際での勝負や切り替えの速さで上回って主導権を掌握。セットプレーも含めてシンプルなクロスで勝負するシーンが多いが、それだけだとなかなか簡単にはゴールは取れなさそう。もう1つ内側を攻略してチャンスを質を高めたいところ。

 

後半

46分、左サイドからのインスイングクロスをファーで毎熊が合わせるも枠へ飛ばせず。バウンドの上がりどころで合わせるのが難しかったが、フリーだったので悔やまれる。ゴールまで3対3の同数を作り出せた良いシーン。クロスの質も高かった。

47分、左サイドの連係からポケットを取って折り返すも、セレッソDFが対応。進入までは良かったので、あとは中での入り方、合わせ方。

53分、セレッソ先制、0-1。為田のインスイングクロスにメンデスが合わせてゲット。後半早々に作ったチャンスと同じような形で、1対1の駆け引きで上回ったメンデス。

54分、森島のクロスを東が折り返して、ファーでベンカリファが押し込んだがギリギリオフサイドで認められず。セレッソはSHが上がって空けたスペースをうまく使われたが、命拾い。

セレッソは前進を許した際に、4-2ブロックになってしまうことが多く、SHが戻ってくるまでに時間がかかる。広島はそこが間に合う前にボランチを外して攻め切れるかがポイントになるか。

60分~、広島保持、セレッソ非保持の構図が続くが、セレッソがうまく後ろから人を押し出しながら起点を作らせないように守れている。

64分、藤井の強引な縦突破からクロス。そこから押し込んで広島の敵陣でのアタッキングフェイズ。セレッソは2トップも深くまで戻って守備を固める。

広島は両IHがボールを受けたときに時間をもらえればあっさり前進できる。セレッソはそれを防ぐためにはボランチのつぶしと前4枚で間を閉めることが重要。

67分、セレッソ交代

メンデス→加藤

68分、広島交代

サントス→ヴィエイラ

69分、ジンヒョンがゴール前でファンブルするもかき出す。広島は敵陣で攻勢を強め、セレッソは我慢の時間。安定して守れているというよりも、ゴール前で粘りを見せているといった状況に変わってきた。

71分、右サイドからのインスイングクロスが誰も触らずにファーへ流れてきたが、ジンヒョンがファインセーブ。広島がカウンタープレスを掛けてきた際に、セレッソは収めどころがないので、防戦一方になってしまう。

74分、東のクロスにファーであまっていたベンカリファがシュートを狙うも枠外。狙うにはやや角度がなかった。

74分、セレッソ交代

為田→進藤

なかなか攻撃に移れないセレッソは、割り切って1点を守り切るプランに入るか。3バックに変更。右から進藤、ヨニッチ、鳥海。5-4-1セットで守る。

77分、広島同点、1-1。敵陣までスムーズに入り込んだ中、野津田がミドルシュートを見事に突き刺した。セレッソは若干寄せが甘くなったとも言えるが、この距離ならジンヒョンが止め切れるという判断があったかもしれない。それを上回る野津田のシュート。追いつかれた中でセレッソはプランをどう切り替えるか。

1-1になったあとも、広島が敵陣へ押し込んでセレッソが我慢する構図は大きく変わらず。

82分、ヴィエイラがPKを獲得。ヨニッチがクリアしに行ったが、ワンテンポ遅れて結果的にヴィエイラを倒す形になってしまった。

84分、広島逆転、2-1。ヴィエイラが落ちついてPKを沈めてゲット。ジンヒョンもコースは読んでいたが、スピードとコースが上回った。

85分、セレッソ交代

鳥海→パトリッキ

一度は最終ラインを増やして守りに入ったセレッソだが、1点を追い掛ける展開になり、再び4バックに戻す。西尾を左CB、進藤を左SBへ移す。

広島はリードを得たこともあって、重心をある程度下げる。ただ、深くし過ぎず、一度スイッチを入れてからは全体を押し上げていく。

セレッソが保持から攻めようとするが、なかなか前進できない。広島は徐々にプレスラインを上げて蹴らせることに成功している。2トップのキープ力と中盤の推進力を生かしながら時間を使う。

95-96分、中盤での攻防を制した広島が満田のシュートまで。時間を使う選択肢もあったが、追加点を匂わせつつプレーを切るほうを選択した。

97分、加藤のシュートは大迫がキャッチ。角度がないところからでも積極的に狙った。

 

前半はフィニッシュまで行き切れなかったセレッソが立ち上がりに質の高いチャンスを作って、二度目で刺したが、簡単には逃げ切れず広島が逆転勝利。広島が攻勢を強めて前に出てきた時間帯で、押し返す術を見せられず、進藤を入れて1点の逃げ切り態勢に入った中、70分台に追いつかれて苦しくなった。パワータイプのFWがいない中で、パス交換や個人のテクニックで外して自分たちの時間を作りたかったが、ボールを捨てるだけに終始。広島の圧力が上回ったという言い方もできるか。

広島は失点シーンなどはゴール前で同数になっており、リスク管理やバランスの取り方が悪い方向へ出てしまったが、長い時間で主導権を握り、逆転まで持ち込める力を持っていることも証明。リーグ、カップともに良い流れが続いている。

 

 

個人的MOM

★野津田 岳人

彼にしか打てないようなミドルシュートで同点弾を決める。1点を追う状況において、間違いなく大きな追い風となる1点になり、逆転を呼び込んだ。また、中盤の底から的確な球出して保持のテンポ作り、スピードアップに貢献した部分も評価ポイント。

 

森島と満田もライン間で起点を作り、トランジション時の寄せでも存在感を見せた。

 

セレッソは2失点を喫したものの、ジンヒョンが好セーブは光った。先制ゴールを生み出した為田のクロスもgood。

 

トピックス

復帰戦で決勝点を挙げたヴィエイラが涙のヒーローインタビュー。

 

監督コメント

 (※Jリーグ公式サイトから引用)

[ ミヒャエル スキッベ監督 ]
Jリーグの中でも、素晴らしい試合を見せることができたと思います。戦術的にもスピード的にも素晴らしかった。特に今日は自分たちのチームを誇りに思います。1点を取られたあとのパフォーマンスについては満足しています。難しい試合ではありましたが、勝ちに値するゲームだったと思います。

--リーグ戦では今季初出場となったドウグラス ヴィエイラ選手を起用した理由について。
ゴール前に行くところまではできていました。そこから、ペナルティーエリア内で仕事ができるFWが必要になりました。それが理由です。ジュニオール(サントス)に関しては、裏を取る選手で、その長所も生かされましたが、ドウグラス ヴィエイラに関しては、ペナルティーエリア内での仕事ができます。そうした理由で代えました。

--ケガが長く、苦しい思いをしている姿を見てきたと思うが?
彼の復帰は、彼自身、そしてクラブ全体にとって、ポジティブに作用していると思います。去年の11月にひざの手術をして、手術が明けたら筋肉系のケガをして。やっとフィットしてきて、練習の中で彼自身できるというパフォーマンスを見せてくれていました。戻ってこれたことをうれしく思います。家族もブラジルから呼ぶことができて、奥様と娘と全員そろったことで、良い状態にあるのかなと思います。

 

[ 小菊 昭雄監督 ]
前半は、相手の守備のやり方を分析した中で、2人、3人でのショートパスとロングパスを使い分けて、自分たちの時間帯も多かったと思います。前半の30分以降、相手の強度も高くなり、ボールを奪われて危ないシーンもあったのですが、前半はしのいで後半勝負に持ち込めました。先制点までは、良い狙いでゲームプランどおりに進みました。得点を決めたあと、相手の強い矢印、重心が前にかかってきたところで、10分、15分、厳しい時間が続きました。

その中で相手の立ち位置とわれわれの守備がハマらず、幅を使われて、再三、クロスを入れられるシーンがあったので、思い切ってシステムを変えました。そこで少し落ち着いたように見えたのですが、素晴らしいミドルシュートで追いつかれてからは、少しゲームの流れが相手に傾いたと思います。残念な結果でしたが、選手たちは最後まで、ゲームプランどおりに戦ってくれました。この敗戦で、私自身もしっかりと反省して、チームとしても強くなっていけるように取り組んでいきたいと思います。

--左SBに西尾 隆矢選手を起用した理由は?
西尾に関しては、守備での対人能力、予測力、守備の能力が高い選手であり、ビルドアップでの技術、判断も高い選手です。昨年も数回、あのポジションでやっており、練習でも高いパフォーマンスでした。舩木(翔)という素晴らしいSBもいるのですが、広島のストロングポイントを分析した中で、彼を選びました。慣れないポジションでしたが、よくやってくれたと思います。ケガ明けでコンディションも万全ではない中、90分、チームのために戦ってくれたと思っています。

--終盤の3バックへの変更について、振り返って思うことはありますか?
クロスの対応は、進藤(亮佑)を入れて、高さ対策やマークの役割はハッキリしたのですが、後ろに人数がかかったぶん、少し中盤でのプレスが弱くなり、野津田(岳人)選手に素晴らしいミドルシュートを決められてしまいました。私がチョイスした3バックで、選手たちの重心を下げてしまったと思います。

押し返す術が見つけられない中で、1点を守りにいく3バック変更は決して悪い手ではなかったが、野津田にスペースを与える引き金になってしまったのは事実。ただ、あれはシュートを褒めるべきだろう。

2022 J1リーグ第17節 川崎フロンターレvs北海道コンサドーレ札幌 メモ

www.jleague.jp

youtu.be

スタメン

※途中で遠野とチャナティップのポジションを入れ替え

 

川崎は大島とチャナティップが負傷明けで先発復帰。あまりいじらなかった最終ラインを変更し、橘田が左SBに。登里が負傷離脱中。

札幌は興梠が天皇杯で復帰し、この日も先発。田中駿が負傷明けで先発復帰。福森が出場停止明け。シャビエルが出場停止。中島がU-21日本代表招集中により欠場。菅野、高嶺、小柏が負傷離脱中。

 

流れ

川崎が持って攻める立ち上がり。

右サイドからのFKを脇坂が直接狙うもバー直撃。中野は意表を突かれたが命拾い。

札幌は青木が大島番。興梠と駒井でCBまで出ていく。

札幌が奪い取れるシーンもあるが、奪ったあとにつなげるところがまだ安定しない。

札幌のDFが下りるマーカーにかなり深くまでついてくることから、前の選手が下りて後ろの選手が出ていく動きでスペースを取ろうとする川崎。

7分、福森のインスイングFKに複数の選手が飛び込むも、荒野がオフサイド。やはり福森のボールからは得点の匂いを感じさせる。

徐々にボールを持つ時間を作って押し返し始める札幌。

8-9分、金子の仕掛けを生かしながらコンビネーションで打開を図る。ここまでは右サイドでの作りが多い印象の札幌。

10分、マンツーマンを逆手にとって背後のスペースを取りかけた川崎だが、札幌がギリギリで対応。札幌は人を当てて出ていっているが、ホルダーへの寄せが少し遅い印象。特に川崎の選手たちに対してだとプレッシャーになっていないときも。

13-14分、のらりくらりとパスを回しながら、一気にスピードを上げて右サイドでのワンタッチから右サイドを突破する川崎。マンツーでつかれていてもダイレクトでつなげれば、食われにくい。

15分、駒井がスイッチを入れて高い位置で奪取する札幌。直線的にゴールへは迎えなかったが、深い位置でのFKを獲得。川崎はアンカーが大島なので、トランジションから広いスペースで晒されると弱みが出やすくなる。

18分、札幌が低い位置からつなぎに行くが、川崎のプレスの前に前進失敗。

19分、川崎のテンポの良いパス交換から最後は上がってきた橘田のシュートまで。札幌守備陣は速いスピードで目線をずらされてマークが難しそう。

札幌は各所のコンビネーションレベルは高いが、中盤中央でのサポートがやや遅いように見える。カウンターでも保持でも中央で持って選択肢を考えている間に戻られてしまっている。

24分、中盤でルーズボールを回収した札幌がスピードを上げて金子の進入から折り返しまで。かなりゴールへ近づいたが、川崎守備陣も落ち着いて対応。

25分、大島が密集を抜け出したところから川崎が疑似カウンターを仕掛けたが、チャナティップのところで選択肢が狭まって囲まれる。完結はできなかったが、マンツーマンは1枚剥がせば一気に局面を打開できるというところを見せた。

27分、札幌先制、0-1。下からの作りで興梠が縦パスを引き出してからスピードアップし、大島の足に当たったこぼれ球を青木が反応してうまく流し込んだ。川崎はプレスがはまり切らず、中盤のスペースを的確に突かれてしまった。最後はアンラッキーなところもあったが、そこまでの過程は見直さなければならない部分。

30分~、札幌の時間。川崎がボールを前に運べなくなり、札幌が敵陣で持つ時間を増やす。

33分、左での作りで山根が中央に入ってきて起点づくり。2CB+アンカー大島はある程度固定されているが、それ以外はかなり流動的に動いてマンツーずらしを狙っている川崎。

川崎はやはり中盤にできるスペースが守備のネックになっている印象。遠野ががんばって戻ってきているシーンをよく見るが、逆にそうしないといけないとも言える。

38分~、川崎の時間。敵陣でのパス交換を続けながら相手の穴を探し出す。

41分、川崎同点、1-1。知念がターンして前を向いたところで宮澤が触ったボールが家長の下へ転がり、家長がGKとの駆け引きを制してゲット。札幌の得点と同様に味方が触ったボールがゴール前の相手に渡ってしまうというまったく同じパターン。

大島の縦パスを知念が受けるパターンが何度か見られるようになってきた。

 

それぞれが自分たちの時間を作り合った前半。互いに1点を取り合ってイーブンで折り返したのは妥当な結果だっとように思う。札幌のマンツーに対して、全体を流動的に動かして、うまく前向きの選手を作って背後を突こうとした川崎。また、ダイレクトパスでスピードを上げて、マークのつき直しが追いつかないようにするアプローチも多かった。

札幌は相手を引き出した状態でうまく中盤でポイントを作りだし、スピードを上げた攻撃でゴールへ迫れた。90分のプランを含めて強度はそこまで上げなかったことで川崎のつなぎを許した部分もあるが、タイスコアで折り返せたことは悪くない。川崎が全体的に広く動くため、消耗を抑えるには保持の時間をもっと増やしたいところ。

 

 

後半

46-47分、右で回収してから左の遠野に展開し、カットインシュートまで。後半立ち上がりも前半とおおよそ同じような流れ。

川崎は前半よりもプレッシャーの強度を上げて寄せていく。

48分、遠野が左から内側へ入っていきミドル。プレスの勢いそのままに川崎がシュートの数を増やしていく。

52分、興梠が下りて落ち着きどころを作る札幌。やはり狙いどころをは中盤のスペース。

遠野のシュートからはなかなかゴール前までは入れなくなっているが、川崎がボール保持の時間は増やしている。

雨の影響もあってか、ラストパスが少し伸びて追い付かないシーンが両軍ともに何度か見られる。

55分、知念がボールと関係ないところで座り込む。担架で外に運び出される。

56分、川崎交代

知念→小林

札幌交代

宮澤、興梠→深井、オリヴェイラ

59分、金子に警告。遠野に後ろからチャレンジして倒してしまった。

59分、脇坂のFKから混戦のこぼれ球を大島が押し込みに行くが、中野がブロック。川崎はセットプレーのリスタートが早い。

60分、チャナティップに足裏で飛び込んだ深井に警告。川崎の素早いパス交換の前に、札幌は結果的に遅れて突っ込んでしまう場面が増えてしまっている。

札幌はなかなか攻撃のフェーズに移れなくなっている。

63分、チャナティップのターンでマーカーを外したところからスピードアップ。川崎がオープンな状況で3対2の局面を作り出したが、フィニッシュまでは持ち込めず。

64分、札幌が素早い攻撃からクロス→金子の仕掛けまで。互いに自由に動くので、トランジションで球際を制すれば、オープンな状況での攻撃に持ち込める。

65分、札幌勝ち越し、1-2。福森のCKを荒野が合わせてゲット。札幌は攻撃の試行回数を少しずつ増やし始めた段階での大きな1点。川崎はオープンな局面での攻めを許して与えたCKが失点につながってしまった。

67分、チャナティップの突破を防いだ荒野に警告。札幌は中盤に警告持ちが増えたので、カードトラブルには注意したいところ。

68分、川崎同点、2-2。右サイドでのコンビネーションからイレギュラーにゴール前に入ってきたボールを小林がボレーで流し込んだ。

70分、右サイドを抜け出した駒井が高速クロスでゴール前へ送るもソンリョンがクリア。70分にして早くもオープンな殴り合いのような展開に。

72分、チャナティップがパスで中盤で2枚を外してから家長のシュートまで。

73分、川崎交代

チャナティップ→マルシーニョ

オープン気味になってきたところでスピードでちぎれるマルシーニョは生かしやすいと踏んだか。

札幌交代

駒井→西

74分、ルーズボールの回収から菅が運んでクロスを送るも中に飛び込む西には合わず。結果的にオフサイド。オープンバトルでどちらがゴール前の勝負強さで上回れるかの勝負。

77分、札幌のカウンターをマルシーニョの戻りで阻止し、小林→大島でシュートまで。札幌の中央がぽっかり空いてしまったが、シュートは枠へ飛ばず、命拾い。

81分、川崎交代

遠野、脇坂→ダミアン、シミッチ

81分、金子の仕掛けでCK獲得。

札幌は押し込まれたら人数をかけて自陣で守りを固める。

85分、川崎逆転、3-2。札幌がゴール前でつなぎに行ったところをアタッカーで強めに追い掛け、マルシーニョがさらうと、一度は防がれたが、小林が押し込んでゲット。札幌は我慢を続けていた中で手痛い安い失点。

途中出場で元気なダミアンが前線で追い回して出所を制限してくれる。

88分、川崎追加点、4-2。またしても前線のチェイシングから相手のつなぎのミスを誘発し、小林が右で収めたところから家長が追い越してGKの股を抜くシュートでゲット。

90分、福森のFKから混戦を作り出してプッシュするもソンリョンがビッグセーブ。

ボールを持って攻める札幌に対し、川崎は自陣に人数をかけて守る。

92分、橘田とのマッチアップ時に肩を痛めた様子を見せる荒野。プレーは続行。

93分、札幌交代

荒野→中村

95分、川崎追加点、5-2。自陣からのロングカウンターをマルシーニョが1人で決め切った。札幌は得点を取りにいくためにリスクをかけていたので、ある種仕方ない失点。2人を完全にちぎって交わしたマルシーニョもお見事。

 

途中までは一進一退の攻防が続いたものの、最後は前線のエネルギーを高めた川崎が一気に押し切って勝利。札幌も勝つチャンスがなかったわけではないが、同点で自陣でのビルドアップミスから勝ち越しを許してしまったのは痛恨の極み。また、マンツーマンで出ていってスペースを空けやすくしている一方、前で奪って一気にショートカウンターというシーンもほとんど見せられず、“リターン”のうまみがあまり出せなかったのも難しくさせた部分か。

川崎は二度のビハインドを背負いながらも、時間を置かずにタイスコアに戻せたことでメンタルの平静を保つことができたと言える。また、どちらに転ぶか、といった展開の中で、途中出場のダミアンのチェイシングで相手に落ち着いたつなぎを許さず、一気に流れを引き寄せられたところがターニングポイントになった。

 

 

個人的MOM

★小林 悠

戦術的というよりも、知念のアクシデントによる投入になった中、失点直後の同点弾、拮抗した状況の中での勝ち越し弾、突き放す4点目のお膳立てと、重要な得点に多く関与。これまでの流れ、そしてこの試合の流れを一変させる大きな価値のある活躍を見せた。

 

ゴール前で異常な落ちつきを見せて2ゴールを奪った家長、途中出場からチェイシングで絶大な貢献を見せたダミアン、マンツー打開に効いたチャナティップ、運び役やプレスバックで全体のバランスを整えた遠野も好評価。3点目を与えなかったソンリョンのビッグセーブも見逃せない要素。

札幌は青木が動きの良さを見せ、ゴールのシュート精度も高かったが、もっと攻撃で流れを変えられるとよりよかった。

 

トピックス

知念が負傷交代。表情的にはそこまで深刻ではなさそうだが、足首あたりを抑えていた?

荒野が肩を負傷。見た感じでは脱臼ではなさそうだが、違和感を感じている模様。

 

監督コメント

 (※Jリーグ公式サイトから引用)

[ 鬼木 達監督 ]
中断明けで勝ちたい試合だった中で、途中から追いかけるゲームとなったが、我慢強く自分たちのサッカーを続けてくれた。また、雨の中でそれを支えてくれたサポーターも自分たちの力になった。スタートから出た選手も、あとから入った選手も、全員がパワーを与えてくれた。そういうゲームだったと思う。

--前に出ていく攻撃の迫力、それに遅攻でも速攻でも迫力を出せたが?
前に人数をかけていきたいとずっと話していた。単純にマイボールの時間を増やして、攻撃回数を増やしたかった。多少、後ろに重たくなった前半だったが、それでもボールを持ちながら進んでいけた。先制されたことで大変になったが、そのプレーを続けていたことが良かったと思う。人を追い越す動きなどが徐々に出てきたので、継続してやっていきたい。この2週間、やってきた形の守備もできていた。それを評価したい。

--大島 僚太がひさびさに入り、存在感を出したが?
彼が入ることによって、ゲームの展開の中で時間を作れるし、攻撃のビジョンがある。それが大きいと思う。ほかの選手も、京都戦には敗れたが、天皇杯からそこらへんの意識が高まってきた中で、いろいろな選手が帰ってきた。自分たちのサッカーってなんだろう、というのをやれたゲームなのかなと思っている。

--FWの選手たちが結果を出したが?
競争力のところだと思う。得点に全員がこだわったからこそ、迫力が出たと思う。誰が出てもいいというか、そういう思いでやってくれた。この2週間でコンディションの良い選手、あとはパワーのある選手がどんどんゲームに出た。それについての悔しさなど、いろんな選手の思いをぶつけられたゲームかなと思う。

 

[ ペトロヴィッチ監督 ]
今日のゲームは、両チームにとって良いゲームであったと思っています。川崎と対戦するときには、前からプレスを掛けて奪いにいく姿勢をもって戦う。その準備をゲームで出していくことを意識させて戦わせました。そういったシーンも、出せなかったシーンもあったが、非常に良いゲームをしてくれた。負けたあとに、どう感情を表現したらいいか分からないが、3点目を奪われるまでは非常に良いゲームを見せてくれたと思う。狙いとするところを選手たちは出してくれた。ただ、残りの5分で3失点。表現するならば、少しずつ牛から乳をしぼってバケツに貯めたミルクを最後に自らひっくり返してしまったゲーム。良いゲームをしていたが、最後にそれを壊してしまったゲームだったのじゃないかなと思います。

--2-2になってから、スローインなどでプレーを急いでいなかった。そのままのスコアで、という意図もありましたか?
われわれはもちろん、引き分けは狙っていない。勝利を目指して戦うチーム。フィジカル的に疲労が出てきた中で、自動的にそうなってしまったというのが理由だと思う。ケガ明けの田中 駿汰は最初のゲームだったが、経過とともに疲れが見えたし、試合終盤は疲労の色が濃く見えた。相手の交代で入った選手の質を見れば、質の差が出たのは事実。そのあたりが、後半の最後に差が出た1つの理由に挙げられると思う。

いま、5人の交代枠があるが、それが継続されると、資金力が豊富な、質の高い選手をそろえられるチームが有利にはなる。マンチェスター・シティレアル・マドリーバルセロナがそうであるように、そのチームは20人が代表選手。札幌は特別な資金力はないクラブ。5人交代枠が継続されて、差が生まれるのは仕方ないことでもある。その差を冷静に判断しないといけない。交代選手の中に、浦和にキャスパー ユンカーが、川崎Fにはレアンドロ ダミアンがいれば、交代による展開の差は生まれるだろう。それを言っても仕方ないが、60、70分までは良くても、5人交代による質の差が出るのは、こうやって終盤の結果として表れてしまう。残念ながら、それは事実だろうと思う。5人の交代枠があるのは、若い選手にとってチャンスがあると、日本ではそういう価値判断で良いと言われるかもしれない。もし、若い選手にそういうチャンスを与えられる状況のリーグならいいが、3人のブラジル国籍の選手が、そして小林 悠が途中から入ってきて、交代の差は明らかにあるだろう。

とにかく、私は65歳。交代枠がさらに広がるかもしれない。さらに資金力が力の差になるかもしれない。私が引退するまでそんなに長くないでしょうから、そういう意味では、5人の交代枠のままでいてくれたらと思う。サッカーはお金、資金力ある者に優位性がある世界で、それが進んでいくのかなと思う。

 

2022 J1リーグ第17節 浦和レッズvs名古屋グランパス メモ

www.jleague.jp

youtu.be

スタメン

 

浦和は鈴木がU-21日本代表招集中により欠場。酒井、犬飼が負傷離脱中。大久保が初先発。

名古屋は長澤、甲田、ランゲラックが負傷離脱中。石田、武田が初先発。東、豊田が初のメンバー入り。チアゴが出場停止明けでメンバー入り。

 

流れ

立ち上がりの浦和の保持は宮本が高く上がって、大畑が内側へ絞るような右肩上がりの形。

右のCKキッカーは大久保が務める。

1分、浦和がCKの流れから伊藤のクロスを江坂が合わせるもややミートミス。ファーストシュート。

2分、CKからファーで丸山が合わせるもうまく折り返せず。浦和は西川が飛び出していたので、うまくあわされていたら危なかった。

3分、左からのクロスに宮本が飛び込むが合わせきれず。ともに深くまで入り込むシーンが多くみられる立ち上がり。

4分、マテウスが左の深い位置へ出ていき、鋭い折り返しに稲垣が飛び込んで合わせるも浦和守備陣がギリギリブロック。ともに質の高いチャンスを作り出す。

浦和は相手の3バックビルドに対し、SHを押し上げてサイドで圧縮する狙い。SBが連動して背後を空けることから、ワンテンポ遅れると2トップに起点を作られてしまうため、タイミングが肝。

8-9分、大久保が仕掛けてシュートまで。かなりキレの良さを感じるドリブル。

名古屋は石田がアンカー位置に入る岩尾を監視し、マテウスが1トップ気味で方向付けをするような役割分担。

10分、名古屋が被シュートから武田が素早く背後へ走るマテウスロングフィードを送るもショルツが対応。カバーが間に合ってはいるが、マテウスに走られるのは嫌なはず。

5分過ぎからは浦和がボールを持つ構図ができ上がってきた。クリーンに敵陣まで運べている。

13分、岩波のフィードに明本が抜け出し、CK獲得。ショートパスでの前進がメインだったが、ここでダイレクトにゴールへ向かう手段も見せる。

15分、ショルツの運び出しからのワンツーでサイドを攻略。浦和が多彩な前進方法を見せる。

名古屋は保持も落ち着かず、カウンターの雰囲気もそこまで出せずと我慢の時間帯。

16分、名古屋がカウンターに出かけたところを浦和がプレスバックで回収し、明本のシュートまで。名古屋は判断が少し遅れると、もう効果的な攻撃は打てないような状況。

20分、浦和先制、1-0。CKをショルツが合わせてゲット。武田は目の前の選手にブロックされるような格好になって出られず、ゴールを守ることもできなかった。浦和は内容がスコアに反映されたゴール。「内容は良いのにゴールが奪えない」最近の流れを払拭する意味でも価値ある先制点。

得点後も浦和ペースは変わらず。名古屋は押し返す術を見せたいところだが…。

22分、浦和追加点、2-0。CKをニアで明本がすらし、ファーで待つ伊藤が押し込んだ。CKから連続ゴールで一気にペースをつかむ。名古屋はメンタル的にも戦術的にも後手に回っており、かなり苦しい。

名古屋の組み立てはCB→WBのところでふさがれて詰まってしまう場面が目立つ。相馬に渡った時点で次の選択肢がない。

25分、名古屋交代

石田→阿部

どうにもうまくいかない名古屋が前半での選手交代を敢行。アクシデントではなく、戦術的な交代。初先発の石田は無念。マテウスを1トップ、阿部と仙頭のシャドーにする3-4-2-1に。

26分、トランジションから大久保が1人でシュートまで。大久保はボールを持てさえすれば取られる雰囲気がまったくないレベルで無双。名古屋はロストの仕方が悪く、中盤に誰もいない状態で攻めさせてしまった。

28分、名古屋が自陣で江坂にさらわれるも、中谷が粘りの対応でブロック。名古屋はどこに解決策を見いだせばいいか分からない状況。

29分、岩波に警告。セットプレーでのトランジションで稲垣の足をかけてしまった。意図的ではなかったようにも見えるが、主審からの見え方が良くなかったのかもしれない。

31分、マテウスの落としを阿部が受けるもハンド。ひょんなところからチャンスができかけた名古屋。

32分、相馬と宮本が競り合い時に頭をぶつけて一時中断。

34分、かなり久々に名古屋のボール保持。右から森下がスピードのあるクロスを入れるも合わず。

35分、浦和追加点、3-0。伊藤が中盤で奪い切ったところから、関根と伊藤の連係でPA内へ進入し、最後は関根がGKとの1対1を制した。球際でのバトル、相手の目線をずらすパス交換、その前の大久保のドリブルなど、いろいろな部分で良さが出た得点。名古屋は少しずつ自分たちの時間が作れそうになってきた中での失点。

37分、最終ラインからのフィードに森下が抜け出す。大畑とのマッチアップでゴールラインを割り、最初はゴールキック判定だったが、森下の猛抗議が実ってかCKに変更。序盤にも名古屋ボールが浦和の抗議によって浦和ボールに変わるシーンがあり、「抗議すればマイボールにできる」といった印象になっているのはコントロールの仕方として良くなさそうだが…。

40分、宮本の右からの高めのアーリークロスに関根が合わせるも枠外。ここではダイレクトにゴールを目指す浦和。

41分、マテウスに警告。ボールのコースに飛び込んだが、残り脚がアフター気味で岩波に入ってしまった。名古屋のプレスがワンテンポ遅れていてファウルが何度かあったことも考慮されたかもしれない。

44分、名古屋が後方でのつなぎから森下→マテウスで右奥を取る。浦和はしっかりとスライドしてズレはなかったが、森下への寄せ方がやや甘くなってしまったところで配球を許した。

46分、レオシルバが個人でマーカーを外して背後へ。名古屋は仕組みでなかなか外せていないので、個人技での打開も必要になる中、レオシルバのキープ力を外す能力は頼りにしたいところ。

 

立ち上がり早々こそ、名古屋も惜しいチャンスを作り出したが、10分手前あたりからゲームが落ち着き始めると浦和が圧倒。名古屋はプレスを掛けてもハマらずに前進を許し、セットプレーを与え続けたところでCKから連続被弾。自陣でのつなぎもままならず、トランジションも浦和が優位を取った。30分過ぎあたりから名古屋が少しずつボールを持たせてもらえるようになりそうな気配を感じたところで、浦和が3点目を奪って心を折りにかかる。

浦和は前進の手段が多彩で、ショートパスで外すこともできれば、早めにゴールを目指すこともできる。また、この日は大久保がキレキレで、個人の仕掛けからの打開も期待感があり、手札が多い。

名古屋はマテウスをサイドに流したところから速いボールをゴール前に送るおなじみのやつが最も雰囲気を感じるが、なかなかそこまで持ち込めていない。また、プレスがはまらない上、ビルドアップの前進手段も見つからないとなると、最大のストロングであるマテウスを生かせる場面を作れず、必然的に自陣で受け続ける展開になってしまった。

 

 

後半

45分、PA内に大畑が背後に抜け出して森下が倒したようにも見えたが、おとがめなし。元鳥栖マッチアップ。

浦和が敵陣まで運び出し、トランジションでは素早く押し上げて即時回収。

49分、森下を押し出し、それに連動して中谷も前に出てきたところをワンツーで外す浦和。名古屋の出方に対して有効な策をしっかりと見せていく。

50分、名古屋交代

仙頭→内田

51分、マテウスが強引な仕掛けで密集を突破し、ファウルを獲得。名古屋は個人での打開がないと苦しい。

52分、名古屋のビルドアップミスから浦和のミドルカウンター。名古屋は1つ中に刺すボールを狙ったところで少しのずれが被カウンターにつながってしまった。

57分、高い位置からのプレスを狙う名古屋だが、GKを含めた浦和のビルドアップをハメ切れない。

59分、名古屋がプレスをハメ切ってショートカウンターに出るもフィニッシュまでは行けず。逆に浦和にカウンターを食らってクロスまで持ち込まれた。

60分、右に流れたマテウスの強引な突破から折り返しを阿部が合わせるも浦和DFがブロック。名古屋もようやく良い形ができてきた。

63分、名古屋の良い組み立てから森下が抜け出してクロスまで。その流れからレオシルバのループシュート。名古屋が攻撃的なWBを生かす良い攻撃が続く。

65分、最終ラインのつなぎから左に流れるマテウスへ送って深さ取り。浦和は中盤で止め切れなくなってきた。

68分、浦和交代

伊藤、大畑→柴戸、シャルク

シャルクは前線に入り、明本が左SBへ移る。名古屋がペースをつかみ始めたことも鑑みて選手交代で流れを引き戻したい意図があるか。

70分、相馬に預けてから内田→阿部の連係でクロスまで。

71分、トランジションから縦パス1本でマテウスが前を向いてPAに入るが、浦和が粘りの守備で対応。名古屋がボールを持って主導権を握る時間。

72分、浦和交代

大久保→松崎

73分、名古屋交代

レオシルバ→柿谷

柿谷が最前線に入り、マテウスがシャドー、内田がボランチに下りる。レオシルバも個人のところで良い働きを見せていたが、切り替え時にスプリントが利かなくなっている印象があり、疲労が出ていたか。

76分、久しぶりに浦和の攻撃。左サイドからの大きなクロスにファーに宮本が飛び込むも合わず。宮本は前半から逆サイドの飛び込み役にもなっている。

79分、浦和交代

関根→モーベルグ

モーベルグが右に入り、松崎が左へ移る。

名古屋は右の連係で森下が出ていく形が一番安定している。

83分、CKの流れからマテウスのシュートまで。

名古屋が持つ構図は変わらないが、浦和は選手交代から安易にラインを下げなくなった印象。中盤で奪ってカウンターに出る回数も増えた。

85分、中谷のフィードで阿部が抜け出して折り返すも、西川がキャッチ。ゴール前には柿谷が飛び込んできていた。

85分、宮本が足をつる。浦和は交代を使い切っているため、代えられない。

88分、江坂のミドル。名古屋は安易なロストから被カウンター。浦和がプレスラインを挙げたことで中盤で引っかかる回数が増えた名古屋。

88分、トランジションから相馬に預け、カットインからシュートまで。可能性を感じるシュートではあった。

90分、先ほど足をつっていた宮本が高い位置まで上がってきたクロスを上げる。驚異的な走力。

90-91分、シャルクの背負ったキープからモーベルグとの連係でフィニッシュを狙ったが、名古屋DFが対応。2人だけでCK獲得まで持っていった。

91分、CKの流れから岩尾のクロスを中で合わせるもバー直撃。

93分、浦和がCKの守備からロングカウンターで松崎のシュートまで。ポストに当たった跳ね返りをモーベルグが押し込みに行くも武田に当ててしまう。

 

浦和が完勝。名古屋は最初の5分と60分以降にしか自分たちの時間を作れず。相手にペースを持っていかれた中で3失点を喫してしまっては勝点を取るのは難しい。60~70分くらいに一気に圧力を高めてボールを奪うシーンが何度か見られたが、浦和のビルドアップの質を考えれば、前半からリスクを負って強く出ていかなければならなかっただろう。保持を強みとしていないだけに、非保持の局面から脅威を示せなかったことが苦しくさせた要因といえる。

浦和は終盤こそシュートを打たれる場面が増えたが、多くの時間でやりたいことができていた。ビルドアップの安定は元々あった中で、それによって押し込んで得たセットプレーでゴールをこじ開けられたことが大きかった。また、押され始めたところで選手交代をして押し返せたのもポイントの1つ。4点目こそ奪えなかったが、カウンターから迫力ある攻撃を見せてあわやというシーンは作れた。

 

 

個人的MOM

★伊藤 敦樹

1ゴール1アシストの数字だけでなく、中盤での強度アップに大きく貢献し、切り替えですぐに回収できる流れを作り上げた。1アシストを記録した場面も彼の奪取から始まっているはず。相手の組み立てとの相性もあるだろうが、この試合ではゼロックスで見せたような中盤の高強度を感じさせた。

 

前線では深さ作り&体を張ったキープでポイントを作り、終盤は左SBもこなすなどマルチに貢献した明本、抜群のキレで圧倒的な突破力とキープ力を見せた大久保、体の軽さを感じさせて1ゴールを記録した関根ら全体的に躍動が目立った。

名古屋は展開もあって、個人での打開ができるマテウスとレオシルバが孤軍奮闘といった印象に。

 

トピックス

大畑が試合開始からフェイスガードなしに。

宮本は足をつりながらも、何事もなかったかのようにプレー続行し、SBの位置から普通に攻撃参加する。足をつるとは。

 

 

監督コメント

 (※Jリーグ公式サイトから引用)

[ リカルド ロドリゲス監督 ]
今日は完全な試合ができたと思います。特に前半は相手にダメージを与えることができたと思います。縦に仕掛ける部分は非常に大事だと思っていたので良かったと思いますし、そういった形でいくつかチャンスを作ることができました。チャンスを作る中で獲得したセットプレーを生かすこともできました。3点目が入ってチームに落ち着きが出ましたし、無失点で終えることもできて、非常に良い前半でした。

後半は、前半に比べると落ちた部分もありますが、それでもチームは追加点を目指していましたし、無失点で終えることができました。チーム全体が非常に頑張ってくれて、前半ほどではないにしても、良いプレーをしてくれたと思います。

--中断期間のトレーニングの成果はどのくらい発揮されたと感じているか?
これについては終わることがない、常に完璧になることがない部分ですが、今日のプレーの中でわれわれが中断期間にやっていたことが見て取れたのではないかと思っています。いくつかピッチの中で表現されていましたし、3点目に関しても、狙っていた形の1つでした。セットプレーについても、(これまでも)データの部分では良い数字を出していましたが、得点することができました。セットプレーでのセカンドボールの質も高めることができました。もちろん修正点はありますが、これまで足りなかった部分がこの試合の中で反映されたかと思います。ただ先ほども言ったとおり、終わりのない部分ですので、さらに積み上げて質を高めていければと思います。

--後半は運動量が落ちたようにも見えたが、前半ほどうまくいかなかった要因は?
試合のリズム、ここまで試合をしていなかったところは影響したと思います。そして今日の試合の中での展開もありました。前半は非常に強度を高くプレーしていて、前線の江坂(任)と明本(考浩)、サイドの関根(貴大)、大久保(智明)と、戦って走って激しくプレーをしていましたので、1試合を通して強度を保ち続けるのは難しいと思います。名古屋にボールを持たれた理由も、そのあたりが反映されていたと思います。選手を交代しながら修正しようとしましたが、うまくいったところと改善すべきところがありました。特にカウンターを許してしまったところは改善点ですが、そういった中でも得点チャンスは作れていたので、そこは良かったと思います。

 

[ 長谷川 健太監督 ]
相手があのメンバーで来たということは、圧力を掛けてくるだろうと予想していたのですが、若干、立ち上がりから持っていかれたのかなと。前半なかなか良い形ができなかったので阿部(浩之)を入れ、だんだんと落ち着きを取り戻しました。後半も(攻撃に)いきながらも相手のカウンターのケアというところでは、何回か危ない場面もありましたが、しっかりと対応できたという意味では、内容は悲観することはないと思います。今回は浦和に敗れましたが、しっかり切り替えて次の試合に向けて準備したいと思います。

--1点の遠い試合だったが、攻撃面での反省点は?
サイドを崩すところまではいっているので、最後の部分だと思います。もう少し中に入るところやクロスの精度が上がってくると、あわやというシーンが増えると思います。まったく崩せなかったわけではないので、今日は(得点を)取れなかったですが、それを続けていくことが得点に近づくと思います。

--阿部選手の投入の目的は?
一発のある選手ですし、石田(凌太郎)も今日は初先発ということで頑張ってくれたと思いますが、若干スタジアムの雰囲気と、先制されたことで自分らしさが出せませんでした。阿部は足元もしっかりしていますので、ゲーム自体を落ち着かせたいと思いました。

阿部の投入は保持を落ち着かせたい意図が大きかったようだが、ほとんどその思惑どおりにいかず。そこで落ちつかせて、せめて2失点で抑えたかったということだろうが、結果的に流れは変えられなかった。

2022 J1リーグ第17節 ジュビロ磐田vsサガン鳥栖 メモ

www.jleague.jp

youtu.be

スタメン

磐田は吉長が初先発。山本康が負傷明けでメンバー入り。小川、高野、山田が負傷離脱中。

鳥栖は相良が初のメンバー入り。

 

流れ

鳥栖がGKを含めながらショートパスでの前進を図る。磐田は人を当てるというよりも、パスコースを消しながら寄せて、ぼかしたポジションを取る。

逆に鳥栖は相手のビルドアップに対して人をはっきり当てる形でプレスを掛ける。

低い位置からつないで組み立てる鳥栖に対し、磐田は非保持での押し上げでプレーエリアを高く保ちたい様子。強度をそこまであげているわけではないが、安易にラインが下がらないようにしている。

7分、磐田先制、1-0。鳥栖がCKを始めようとしたところで上原がつつき、背後へ送ると朴がカバー。ルーズボールを磐田がダイレクトで前へ送り、ゴンザレスが抜け出して無人のゴールへ突っ込んでゲット。鳥栖は猛抗議も実らず。CK時、鳥栖のわずかなタッチを見逃さずにボールへ寄せにいった上原がお見事。西村主審もよく見ていた。

11分、左サイドからのクロスに原田が飛び込むも磐田DFがはね返す。鳥栖は大外で張る岩崎をジエゴがサポートする形でクロスまで持ち込めている。

12分、磐田追加点、2-0。右でのコンビネーションからポケットを取り、こぼれ球を折り返してゴンザレスがゲット。ゴンザレスは先発起用に応える2得点。鳥栖がボールを持つ立ち上がりだったが、磐田がうまくゲームをコントロールしながら要所で勝負強さを見せる。

磐田は2点リードを得たこともあってか、少しラインを下げたように見える。

17分、磐田のクロス攻撃。左から右からシンプルにクロスを入れる。ゴンザレスがいるので、ピンポイントで来なくても雰囲気はある。

磐田がラインを下げたぶん、鳥栖は安定して敵陣へは入れるようになっているが、人数をかけて守られることで深い位置でのスペースはなかなか使えない。ターゲットタイプがいないので、かなり繊細な崩しが要求される状態。

23分、素早く縦につないでから岩崎がGK-DF間にグラウンダ―クロス。磐田のスライドが少し遅れたところを逃さずにスピードアップ。やはり鳥栖は、シンプルな攻撃では難しいので、攻撃のスピード感を意識していそう。

26分、磐田追加点、3-0。右サイドを抜け出した上原のクロスを鹿沼が合わせてゲット。ゴンザレスがニアに入ったことで空けたスペースにうまく入り込んだ。鹿沼は2点目同様、要所でゴール前に入ってきているのが好印象。

3失点後、鳥栖は配置変更。右SBに岩崎、左SHにジエゴ、左SBに原田というポジションに変える。岩崎はベースポジションこそ右SBだが、タスク振りとしては大外担当の右WGのイメージ。

30分、磐田が左サイドでのコンビネーションで崩しを狙うがわずかに合わず。

31分、中盤で奪った磐田がゴンザレスを背後に走らせてカウンター。磐田はラインを下げてスペースを消すプランへ変えた中、シュートを許さずにうまくコントロールできている。ゴンザレスという個があることで、カウンターも匂わせられる。

鳥栖はロスト時のバランスが悪いシーンが多いように見える。また、切り替えも囲い込めるときは速いが、1人が遅らせて時間を作るような守備はできていないイメージ。

36分、大森が中盤で1枚剥がして右へスルーパス。吉長がクロスを上げるも中と合わず。質が伴えば1点というような良いシーンだった。

40分、鳥栖が敵陣でパスを回し、左からのクロスまで。低いインスイングクロスで高さがなくても合わせればゴールにつながりそうなボールを入れているが、もう一工夫欲しいところ。

43分、磐田が自陣で奪ったところからゴンザレスを背後に走らせるも朴がカバー。磐田の狙いははっきりしている。

鳥栖は前線の選手が下りることで磐田のDFを動かしにかかっているが、出し手がフリー×受け手がスペースに抜け出せるシチュエーションはなかなか作り出せない。

44分、小野が左ポケットを抜け出すも磐田守備陣が対応。鳥栖は内側まで入れたのは初めて?

46分、鳥栖が大きな展開から右サイドを岩崎が抜け出してクロス。ファーで完全にフリーになった堀米のダイレクトの折り返しを磐田DFがクリアし切れず、宮代が体で押し込むもハンドの判定でゴールは認められず。攻撃自体は磐田の陣形が整う前に攻め切った良い形だったが、ここでは運がなかった。得点は認められなかったが、磐田は失点したくない時間で隙を見せてしまったのは反省点。

 

終始鳥栖が握る展開ながら、磐田が要所を押さえた試合運びで3点をリード。あまりリスクをかけるスタイルではないだけに、早めにリードを得て、重心を下げられたことは大きかった。また、鳥栖に1人で組織を壊せるようなタイプがいないので、スペースを与えない戦い方は非常に効いている。ゴンザレスを最前線に残すことでカウンターの脅威を残せているのも大きい。

鳥栖はボールを握って敵陣へ入ることはできているが、5-4ブロックでスペースを埋められると崩すのはなかなか難しい。前半終了間際に二度ほど深い位置まで入れたシーンがあったので、その回数を増やして1対1の局面を極力つくらない攻撃でゴールを奪いたい。

 

 

後半

鳥栖交代

堀米、ファンソッコ、岩崎→本田、中野伸、垣田

鳥栖は左からジエゴ、中野伸、田代、原田の4バックに。小泉を最終ラインサポートに加え、SBを押し上げるビルドアップ。

3点ビハインドを受けて鳥栖が怒りの3枚替えを敢行。

46分、ゴンザレスに警告。笛が鳴ったあとにボールを大きく蹴りだし、遅延行為を取られたか。必死に笛の音が聞こえなかったというアクションをしているゴンザレス。

48分、左サイドでの連係からジエゴが抜け出し、外のレーンにパスを送るが本田が間に合わず。

鳥栖が握って、磐田が自陣で受ける構図は変わらず。

52分、鳥栖得点、3-1。左サイドでの作りから垣田がポケットに抜け出して折り返しを宮代が押し込んだ。鳥栖は選手交代とシステム変更によって、連係がスムーズになり、いテンポの良いパス交換から、深い位置を取れる回数が増えてきたところで、1点を返した。

磐田は引きすぎてもゴール前に送られるリスクが高まり、行き過ぎるとスペースを空けてしまうといった状況になり、ボールへの寄せを迷っているような印象を受ける。

55分、久々に磐田がボールを持つも、時間を使うのかゴールへ向かうのかの意思疎通が曖昧であっさりロスト。

56分、小野のクロスをファーで原田が合わせるも三浦がセーブ。前半にもあったような大外からのクロスを大外で浮かす攻め方。

58分、磐田が保持からゴンザレスの抜け出しで敵陣へ進入。

58分、大森の個人での突破から松本の折り返しにゴンザレスが飛び込む。鳥栖は攻撃的に来ていることもあって、中盤の守備に甘さがある。

62分、鳥栖交代

福田→菊地

磐田交代

遠藤、大森→山本康、ジャーメイン

65分、セットプレーの流れから吉長が右サイド奥を取るもクロスはブロックされる。鳥栖のエネルギーが少しずつ落ち始め、磐田が押し返す時間を作れてきている。

66分、敵陣での切り替えで素早く回収し、鹿沼→ジャーメインで決定機を作るもシュートはギリギリ枠外へ。チャンスを作りだすところまでは完璧だったが…。

68分、入れ替わって抜け出しかけたジャーメインを手で止めた田代に警告。カバーがいたことで助かったが、周りの状況次第ではドグソにもなりえるシーンだった。

70分、垣田と本田の連係からシュートまで。磐田は前半はゴールから遠い位置で回させているというイメージだったが、後半はPA付近まで多く入られており、危なげなく守れている感じではなくなってきている。

74分、鳥栖交代

小野→森谷

磐田交代

ゴンザレス→杉本

76分、右で作ってからポケットを取って折り返し、逆まで流れたところの折り返しを菊地が狙うも枠外。鳥栖は質の高い崩しでゴールへ迫るもフィニッシュ精度が伴わず。

77分、小泉が足を痛めた模様。一度ピッチの外に出るが、戻ってくる。鳥栖は交代枠・回数ともに使い切っているので代えられない。

80分、磐田交代

吉長、上原→大井、金子

大井を右CBに入れて、山本義を右WBに移す。

84分、山本義道が足をつる。磐田も交代は終了しているので、代えられない。山本義は一度担架で外へ運び出される。山本康が右WBに入って応急処置。

ピッチに戻った山本義は最終ラインへは入らず、最前線で場所を埋めるような役割。

鳥栖がずっとボールを持っているが、なかなか深い位置までは入れなくなっている。

鳥栖は複数人での連係のレベルは高いが、クロスを送った先に人が待ち構えている状況。磐田は大井を入れた効果が出ているように感じる。はね返しのところの安定感が増したような気がする。

94分、磐田がセットプレーの流れからジャーメインに決定機が訪れるも、うまくヒットできず。ジャーメインは二度目のチャンスだったが…。

 

前半は磐田、後半は鳥栖が主導権を握ってゲームを進めた中、鳥栖が後半で押し切れずに磐田が逃げ切り成功。前半には攻撃の打開策をなかなか見つけられなかった鳥栖が、連係のスピード感を高めたことで質の高いチャンスの創出につなげ、早い時間帯に1点を返したが、反撃はそこまでだった。チャンスを全部決め切れていれば勝点獲得のチャンスがなかったわけではないが、前半の安易な3失点に、ビッグチャンスを決め切れないシーンが出てくるとなるとそれは難しい。

磐田はジャーメインが追加点を決めていればより明確に「とどめを刺す」展開に持ち込めたが、1失点後にズルズルいかず2点差を保てたことで落ちついてクローズできた。後半にラインが下がりすぎて危険なシーンを作られてしまったことや、ゴンザレスでカウンターの雰囲気を出せなかったことは反省点だが、前半をおおよそプランどおりに進め、おそらく想定以上の3点リードで折り返せたことはそれ以上に評価すべきポイントだろう。

 

 

個人的MOM

★上原 力也

先制点につながるCK奪取、3点目をアシストするクロスと、自身のゴールはなかったものの、重要な得点に関与。早い時間帯での得点を生み出したことで重心を下げたプランに持ち込めたことを考えると、彼の働きは非常に大きかった。

 

先発起用に応える2得点を挙げたゴンザレス、積極的にゴール前に入り込むプレーで1得点1アシストを記録した鹿沼、攻撃参加で2点目のチャンスを作り出した山本義も好評価。クローザーとして守備を安定させた大井の働きも見逃せない。

 

鳥栖は途中出場の垣田が中央で起点を作るプレーで違いを見せ、1アシストを記録。ただ、もう少しスタジアムの空気を変えられるようなプレーを見せられるとなおよかった。

 

トピックス

警告を受けた田代が次節出場停止。

 

 

監督コメント

 (※Jリーグ公式サイトから引用)

[ 伊藤 彰監督 ]
まずはファン・サポーターとこの喜びを味わえたことをうれしく思っています。前半の入りからアグレッシブに行くという部分で前への意識を強く持ちましょうというところからすごく良い入りをしてくれたと思います。1点目も相手にとっては不運だったかもしれませんが、あそこをしっかりと狙いながらラッソ(ファビアン ゴンザレス)が最後は詰めてくれたことは素晴らしかった。その後の右サイドでクロスから崩しながら、われわれがしっかりと作ってきたことが今回、相手のことをフォーカスしたポイントで得点が取れたので、本当に選手がプランを遂行してくれた中で、前半に3-0というゲームをしてくれたことが素晴らしかったと思います。

ただ、後半に入って1点を取られましたが、途中で受け入れてしまったことが後半戦に向けて課題になってくると思います。前半に3-0というスコアだからこそ、もっと気を引き締めてわれわれがもう1点取りにいく姿勢を見せなければいけない。これは選手たちもすごく分かっていると思います。そこは次のゲームに向けて引き締めてやっていかなければいけない。

リーグではまだ連勝が足りないので、次のゲームは王者・川崎Fですが、ホームで良いゲームもできましたし、アウェイで一泡吹かせるくらいのチャレンジができるような良い状況を作っていきたいと思います。

--特に前半は中断期間で準備してきたことの良い部分がたくさん見られました。その中で最も評価しているポイントはどこですか?
2点目、3点目ですね。後ろから湧き出るようにボール保持者を追い越していくこと。われわれとしては前半戦に足りなかったところで、それを思い切ってできたこと。これは今日だけではなく、ルヴァンカップも、天皇杯に出場したメンバーが示してくれたことをリーグ戦に出ている選手たちも体現してくれた。チームとしてできたことがすごく良かったと思っています。

 

[ 川井 健太監督 ]
残念な結果にはなりました。磐田まで来ていただいた鳥栖サポーターの期待に応えたかったですが、申し訳ないと思っています。また次はホームでできるので、しっかりと修正して臨みたいと思います。

--立ち上がりに失点が続きましたが、選手たちの動きはどうでしたか?
悪くなかったと思います。ただ、ひさびさの公式戦というところと、試合にうまく入っていけなかったという思いはありますが、それは磐田さんも同じなので言い訳にはならない。次に向けてやることが大事だと思います。

--リスタートからの失点が続いてしまった点について。
試合が止まって頭も止まってしまったという印象はあります。なくさなければいけないことは分かっていますが、それよりもその後の1点を取っていればというところにこだわっていきたい。

--岩崎 悠人選手と原田 亘選手の立ち位置を変えたことについて。
僕からの指示です。狙いは少しうまくいっていないところと、失点もしてしまったので、われわれからアクションを起こす回数や選手から見える景色を変えてあげたかった。

 

2022 J1リーグ第17節 鹿島アントラーズvs京都サンガF.C. メモ

www.jleague.jp

youtu.be

スタメン

鹿島は鈴木が出場停止。上田はケガによる代表からの離脱が発表されていたが、間に合って先発。仲間がカップ戦で復帰を果たしており、先発に。松村、名古、荒木が負傷離脱中。

京都はアピアタウィアが出場停止。山田がU-21日本代表招集中により欠場。松田が不在。武田が久しぶりにベンチスタート。長井右CB、飯田右SBと今季では初めて見る珍しい組み合わせ。

 

流れ

立ち上がりは両者ともに球際バチバチの激しい展開。京都がフルパワーで出ていく。

1分、中盤の攻防を制した鹿島がカイキのシュートまで。

3分、CKをウタカが合わせるもスンテが好セーブ。デザインされたCKでうまくフリーを作り出した。その後のCKも動き方が連動している印象で、鹿島は中の選手が動かされている。

鹿島は前に送ったボールに対して全体の押し上げがかなり早く、セカンド回収の意識が高い。

7分、京都のビルドアップにはピトゥカを上げて2-1でハメに行く鹿島。

9分、スローインから素早く左サイドで運んだ京都が荒木のクロスまで。精度は伴わなかったが、素早いリスタートからうまく前進できた。荻原の追い越しもスピード感が合って京都らしさが見える。

11分、関川の後方からのフィードに一発で抜け出す和泉。オフサイドになったが、良い狙い。京都も極力ラインを上げようとしてくる中で、関川のフィードでジャブを打つ意味でも効果があるはず。

ともに球際での激しさを前面に出していくスタイルなだけに、トランジション時の攻防は非常に激しい。そこを制したほうが主導権を握れるような展開になっている。

15分、荒木のシュート性のクロスでCK獲得。ここまでは京都の勢いのほうがいくらか上回っており、敵陣でのプレータイムを伸ばしている。

鹿島はゲームをコントロールするよりもゴールを目指すことを優先。ボールをロストしてもかまわないといった感じで縦に素早く攻めるシーンが多い。

17分、競り合い時に長井が痛める。京都は一時的に数的不利で戦う。井上が下がって応急処置。

20分、長井がピッチに戻る。

22分、荒木のシュート。京都が混戦から抜け出せる強さを見せる。鹿島は非決定機こそないが、競り合いで後手に回って進入を許すシーンが多い。

27分、カイキが一発で背後へ抜け出してシュートも上福元が前に出てブロック。京都はライン設定を高くしている中、ホルダーにもプレッシャーがかからず、CBもついていけずで危険なシーンだった。鹿島は後ろに配球できる選手がいるだけに、一発での裏抜けは狙いどころ。

ウタカが左サイドに流れることが増えた?

鹿島は同サイドに人を集めて圧縮しにいっているが、京都にくぐられて逆へ展開される場面がちらほら。

34分、上田の起点作りから樋口のミドルまで。やはり鹿島はダイレクトにゴールへ迫っていく形がメイン。

35分、上田が背後へ抜け出してシュートも上福元がセーブ。結果的にオフサイドになったが、京都はGK-DF間のスペース管理がうまくできておらず、そこを突かれるシーンが目立つ。

38分、三竿→常本で背後を取ってシュートまで。スーパーラストパス。

40分、三竿から斜めに走り込んできた仲間に届けて、落としを上田がシュート。ヒットしなかったが、手数をかけずにフィニッシュまで行けており、形は悪くない。

42分、中盤での攻防を制した鹿島がピトゥカのラストパス。荻原がクリアをミスして上田がシュートを打ったが、上福元が顔面セーブで阻止。

45分、仲間のインスイングクロスに上田がすらすも枠外。長井がマークしていたので、角度ないところからの難易度高めのシュートになった。

 

強度を高めて球際や競り合いを制して狙った展開に持ち込めていたのは京都のほうだったように感じるが、鹿島も一発で背後を取ってゴールへ迫るなど、ゲーム内で何をすれば効果的なのかを考えて攻められていた印象。セットプレー獲得も含めて敵陣へ入っていく回数が多かったのはおそらく京都だが、チャンスの質が高かったのは鹿島という印象。ただ、時間の経過とともに京都のパワーが少しずつ落ちてくると鹿島も中盤での攻防を制するようになって、上田の怖さを見せ始めた。

前半に飛ばした京都としてはスコアレスでの折り返しは、今後の展開を難しくさせるかもしれない。京都目線だとより早い時間帯での先制点が重要になるように思える。

 

後半

47分、スンテ→右に流れた上田で起点を作り、仲間のつぶれからCK獲得まで。後半立ち上がりは鹿島ペース。

48分、鹿島先制、1-0。CKでフリーになったカイキが頭で合わせてゲット。京都はニアの選手が前に引っ張り出され、スペースを空けてしまったところに入られた。鹿島はペースをつかんだ立ち上がりにしっかりと得点に結び付けた。

50分、左を抜け出してからスルーパスに上田が抜け出しかけるが、上福元がカバー。鹿島が得点の勢いそのままに前へ出ていく。

53分、京都交

長井→武田

武田がIHに入り、川﨑と井上がそれぞれ1列ずつ下がる。

53分、セットプレーの流れから常本がボレーで狙うも井上がゴール前でブロック。鹿島が一方的に攻める展開が続き、京都は我慢の時間。

55分、クロスを至近距離から顔に受けた武田の状況をみて一時中断。本人はすぐにやりたがっているが、ドクターが入ってプレーを止める判断を下す。京都は一時的に1人少ない状況に。

交代で下がった長井が曺貴裁監督からいろいろと指導を受ける様子が映し出される。

58分、京都交

武田→福岡

武田は途中出場ながら無念の交代。脳震盪による交代のため、交代回数と枚数には計算されない。

63分、京都交

豊川→白井

白井が左SBに入り、荻原が右WGに移る。

64分、トランジションから素早くゴールへ向かった京都がウタカのシュートまで。接触に寛容な基準もあって、ファウルか微妙なプレーで一瞬止まってしまうようなシーンがともに何度かある。

67分、京都がまたしてもウタカを使った素早い攻撃。パターンとしてはこの形をいかに多く作れるかになっている。

互いに疲労の色が見えてきて、ゲームのテンポが落ちた。積極的にボールを奪いに行くシーンが少なくなり、攻守ともにセット状態からどうやって均衡を破るかという勝負が多くなる。

74分、鹿島交代

仲間→エヴェラウド

エヴェラウドが2トップに入って、和泉が右SHへ移る。

75分、京都交

荒木→イスマイラ

イスマイラが1トップに入り、ウタカが左WGに移る。

76分、リポートによると雨が降ってきた模様。

78分、鹿島交代

樋口→キム・ミンテ

そのままボランチに入る。

京都はウタカが左WGに移ったことで、守備で下がらなければならなくなり、トランジションでの迫力が薄れてしまった印象。

83分、前がかりになった京都の背後を突く鹿島。エヴェラウドが中央で起点を作ってから右奥に上田が抜け出し、折り返しを狙うも麻田が対応。京都は1点を取りにいく姿勢を見せているが、迫力に欠け、トランジション時もパワーがなくなってきているように見える。

88分、荻原のドリブル突破。1人や2人くらいなら間を縫っていけるが、外さなければならない数が多すぎる。

89分、白井のインスイングクロスにウタカとイスマイラが飛び込む。京都は久しぶりに惜しいチャンスを作りだした。

90分、鹿島交代

和泉、カイキ、ピトゥカ→染野、船橋、広瀬

鹿島は1点のリードを守り切るプラン。サイドの深いエリアに持っていって時間を使う。

 

終盤は京都が1点を奪いに行ったが、怖さを感じさせるシーンをほとんど作れないまま終了のホイッスルが鳴り、鹿島が逃げ切り成功。京都は荻原のドリブル、イスマイラの高さ、ウタカのうまさをストロングとしてゴールへ迫ろうとしたが、それらを効果的に生かせる場面は少なかった。

一方、鹿島も後半立ち上がりは良い入りで主導権を握ったものの、時間の経過とともにトーンダウン感は否めず。仲間や和泉といった1人で全体のエネルギーを高められる選手がともに先発だったため、途中出場からパワーアップできるタイプがサブに残っていなかった。

鹿島はルヴァンカップ敗退も含めて、勝利から遠ざかっていた(※ルヴァンPO第2戦目は試合には勝利も敗退決定)こともあり勝つことに大きな意味があったと思うが、内容は課題が残ったのではないだろうか。京都は松田の欠場や、武田のアクシデントによる交代など、活動量の多い選手が使えない状況になってしまったことが痛かったか。序盤こそ強度で上回ったものの、時間がたつにつれて主導権を握り返す術がなくなってしまった印象。

 

 

個人的MOM

★ディエゴ ピトゥカ

直接得点には結びつかなかったものの、前半には精度の高いラストパスを何度も送って、決定機を創出。受け手が決めてさえいれば2~3アシストがついていた可能性も。

 

京都は好セーブ連発で最後まで勝点獲得の可能性を残すことに貢献した上福元が好評価。左SBでは積極的な上がりで厚みをもたらし、右WGに移ってからは自らの仕掛けで違いを作ろうとした荻原も良かった。

 

トピックス

試合終了後に途中交代となった長井が号泣する姿が抜かれる。CBとしては初先発で期するものがあったのだろう。

 

 

監督コメント

 (※Jリーグ公式サイトから引用)

[ レネ ヴァイラー監督 ]
--久しぶりの無失点勝利をどう受け止めていますか?
まず、今日の試合を勝ったことがものすごく良かったと思います。クリーンシートで終えたこともプラスに捉えています。皆さんもご存じの通り、現状ではディフェンス面で苦しんでいたので、クリーンシートはチームにとってプラスになると思います。

--ディエゴ ピトゥカが下り目でゲームをコントロールしているように見えましたが、試合運びにはどのような狙いがありましたか?
彼のスタイルであるところもあると思います。ディフェンスの前に必ずしも2枚いてほしいとは言っていません。センターハーフに関してはボックストゥボックスということで、両方のボックス内で攻撃的な仕事も守備的な仕事もすることを求めています。攻守両面で決定的な仕事をしてほしいという思いがあります。ただ、今日はピトゥカ選手が引き気味でやってくれて、自分たちが苦しい時間帯にゲームをコントロールすることを意識してやってくれました。それが今日は良い影響を与えていたと思います。

--今日で前半戦が折り返しになる。順調にきていますか?
前半戦はチーム全体を通して良い出来だったと思います。ただ、順位表を見てもらえれば分かるとおりきっ抗したリーグなので、どのチームにも勝つチャンスはあります。その中で勝点を積み上げられたと思いますので、ポジティブな印象があります。

 

[ 曺 貴裁監督 ]
ルヴァンカップで敗退してから短い時間でしたけど、やっぱり自分たちがどういうプレーをしていくのか、どういうところを目指していくのかハッキリした。ただ自分たちの良さを出していくだけでは、この18チームの中で勝ち抜くのは難しいな、というのを選手も僕も分かったので、今日は鹿島さんの良さをできるだけ出させないように布陣も含めて組んだつもりです。

ポジションがちょっと違ったところで起用した選手もいましたけど、その意図を理解してやってくれたと思います。最初のCKが入っていればまた違うような展開になっていたかもしれないですし、その後のCKで入っていればまた違うような展開になっていたかもしれないですけど、やはりそこで決められない。試合経験のなさで済ましてはいけないんですけど、そういうツボを読む力はまだまだ足りないです。自分たちが最後のゴールの地点がいつか分かっている中でどう進むかということでいうと、1人も電車を降りずに進めていったと思いますし、その中でガタガタすることや、ちょっと前が見えなくて走りづらい状況でも、誰一人あきらめることなく最後まで戦ってくれた選手は非常に素晴らしかったと思います。

今日、最後にアントラーズさんのサポーターに挨拶したときに大きな拍手ももらいましたけど、それは監督の捉える目としては、ただ来たから拍手をしたというよりは、良い試合をしてくれてありがとうという意味で聞こえました。手前味噌ですけど、今日ぐらいのインテンシティーと、自分たちが目指すものがハッキリして勝点3を取りにいく気持ちはさらに強くなっていますし、さすがアントラーズさんだなと思う場面はたくさんありました。そこは学びながら自分たちが行く道、そういうものをハッキリさせて次の試合に向かいたいと思います。本当に選手たちは良かったと思います。

--メンバーを含めてここでチャレンジされた意図をお願いします。
メンバーを見て驚かれた方もたくさんいたと思いますけど、僕の中では日々の練習とか、今日で言うとアントラーズさんの強みがなんなのかといったときに、今日のメンバーがベストメンバーだと思います。もちろんケガをしている選手は選べないので、その中で自分たちが戦う、狙っている意図とか、相手のストロングを出させないとか、上福元(直人)が止めた場面がありましたけど、後手にならずに自分たちがそれをやっていく気概も感じました。

やっぱり上がってきたチームなので、試合ごとに相手の対策をしてカメレオンみたいにしちゃうと本質がブレちゃうところがあるんですけど、要はそこのバランス、相手の良さを消す、自分たちを出すというバランスを覚えないといまのサッカーは生き残っていけないと思いますし、それは日本代表でも同じかもしれません。自分たちのスタイルをただやるんだというところから、そういうものを意識しながら大人のというか、レベルを上げていくというところで言うと、今日の試合でレベルが1つ上がったな、という印象がある。あれで先制点を取って、2点目、3点目って取れるようになればめちゃくちゃハッピーでしたけど、そこの力がまだ足りないなと同時に思っている。

ただ、今日のメンバーのトライが次のメンバーにそのままスムーズにいくかどうかはまた別の話になります。また次の試合を見てメンバーを組んで、良い意味で相手に合わせて変えてるというよりは、自分たちの良さを加速するために相手をしっかり考えてやっていくという時期に入っていると思っています。それに関しては後悔はないです。

井上、金子、川﨑と、アンカー候補の選手たちを3枚同時起用したのは、鹿島の強度対策もあった模様。立ち上がりはそこの意図がうまくハマってペースを掴めたため、一定の評価はできる一方、難しい時間帯にペースをなかなか引き戻せなかったことは反省材料に挙げられるか。