がちゃのメモ帳

Jリーグをメインに、いろいろな感想を残していきます

FC東京 2019シーズン 選手評 MF編

 

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MF

 

橋本 拳人

おそらく健太トーキョーで最も成長した選手。もともと攻撃センスがあり、BOXtoBOXのようなタイプだったが、長谷川健太監督が手綱をつけて、中盤をコントロールできるようになった。しっかりとリスク管理ができるようになったことに加え、技術も大きく向上。相手に取られそうで取られないボールキープは現バルセロナのフレンキー・デ・ヨングを彷彿させることも。

 

とにかくビルドアップと攻撃時のリスク管理は彼に頼る部分が大きく、欠かせない存在すぎるあまり、代表活動もあるハードな日程の中でで休ませることができなかった。今季はフルタイム出場を記録と、鉄人的な部分を見せたが、明らかに蓄積された疲労を感じる試合もあり、この記録がチームとして良かったとは言いきれないところはある。

 

海外移籍の雰囲気も十分にあるが、そうなると彼の代わりを探すのは非常に難しい。年齢的にもラストチャンスになりそうだが、オファーや本人の意志が気になるところである。

 

ちなみにコーヒーが好きで、中でもタンザニア産・コロンビア産の豆から挽いたものがお口に合うらしい。利きコーヒー企画を見る限り味の違いはあまりわかっていなさそう。

 

髙萩 洋次郎

洋次郎様。東京サポの多くがそう呼ぶほど尊い存在である。

もともとストロングポイントだった変態的なパスセンスに加え、韓国で身につけた優れた守備のバランス感覚で中盤を支えた。外から見るとパスばかりに目が行きがちだが、最終ラインへの守備サポートとか、人を動かせる感覚などもとても素晴らしいので注目してほしい。

橋本とともに欠かせない存在で、出場停止だった1試合を除く33試合で先発出場。ボールを持たされて困ったときは彼になんとかしてもらっていた。

また、守備時の危ない場面では彼が身を切って相手を止める(いわゆるプロフェッショナルファウル)ことでDFの負担を減らすことも多々あった。彼が6度の警告を受けるかわりにCBの警告は森重の2のみ(うち1回は異議によるものなので実質1)に収まった。

 

契約更新済

 

アルトゥール・シルバ

通称アル。入団時はそれなりに期待値が高かったものの、開幕してみると主戦場はJ3に。突然先発出場したアウェイ神戸戦では自分でも驚いた顔をみせるくらいスーペルゴラッソを決めて勝利に貢献したが、やはり外国籍枠を1つ使っていると考えたら物足りないのは間違いない。

 

フィジカルと球際の強さでボールを奪い取る能力は申し分ないのだが、橋本&高萩ほど器用にカバーリングができず、自陣でのつなぎもちょっと怖いときがある。

おそらく一番の課題はボールを持ったときの判断力。前に出せるタイミングで出せない、不要なリスクを犯して危険なロストをする、主にこの2点が克服できないとプレー時間も伸びない気がする。

ただし、ポテンシャルは感じるので、目標である(らしい)レオ・シルバのようなスケールの大きい選手になってほしいところ。

 

期限付き移籍から完全移籍に切り替えが発表済

 

三田 啓貴

帰ってきたタマ。ずっと青赤の血が流れていたということで夏に復帰し、念願(?)の背番号7をゲット。加入後は途中出場がメインだったが、徐々に先発出場も増えてセットプレーのキッカーとしても存在感を示した。

守備面だと大森には劣るが、そのテクニックやキック精度はさすがであり、攻撃面で違いを作れる選手に。CHもこなせる選手だが、今季の起用法を見ると健太さんはCHとしては考えていない雰囲気。

ACLも並行する来季は確実に出場機会も増えるはずなので、今季以上のフィットを期待したい。

 

東 慶悟

今季からキャプテンの肩書きと背番号10を背負ったFC東京の顔である。数年前を考えると彼がキャプテンを務めていることは非常に意外なのだが、いまでは適任は彼しかいないと思うほどの存在になった。FC東京のエモの象徴とも言えるだろうか。

 

攻撃面では絶妙なスルーパスから得点を演出したり、ビルドアップのサポートで貢献。守備面でも(主に)左サイドで穴をあけないようにハードワークを忘れない献身性を見せた。あとは決定力をつけてくれれば、なにもいうことはないんだよ!

健太さんの下で輝きが増した選手の一人。プレー面でもメンタル面でもより一層チームを支えてほしい。

 

大森 晃太郎

一家に一台のモリモリ。G大阪時代から健太さんとやっているだけあって信頼が厚い選手。

特に守備での貢献度がすこぶる高い。前に出てプレスを掛ける、戻ってSBのサポートをする動きを一切サボらないし、タイミングも間違えない。大森を投入するだけでサイドの守備問題が一気に解決することが普通にあるので、もっと評価されるべき選手である。

一方で課題は得点力やカウンター時の貢献があげられるだろうか。守備でこれだけやってくれているので、ここまで求めるのは酷ではあるのだが、健太サッカーのSHはそれが求められるポジション。シーズンで4~5点は取ってほしい。

 

内田 宅哉

FC東京アカデミー出身のドリブラー。小柄で相手の脇をスルリと抜けていくドリブルが特徴的。カップ戦の出場がメインだったが、終盤はJ1のメンバー入りも経験した。状況に助けられた形ではあったが、アウェイ神戸戦ではボールスキルの高さを発揮して、クローズに貢献。

ハードワークもできそうで、健太式SHにハマるイメージはできる。来季は彼の成長が層の厚みにつながる可能性もある。

現在はシーズン終わり間際のケガによりリハビリ中。

 

契約更新済

 

宮崎 幾笑

新加入の左利きアタッカーはケガの影響もあり、J3の出場のみ。

健太サッカーに必要な“得点に絡めるSH”になれる選手であり、期待値は非常に高い。J2ではすでに結果を残しており、J3で起用するにはもったいないので、なんとかメンバーに食い込んできてほしいものである。

 

契約更新済

 

品田 愛斗

FC東京アカデミー出身のCH。球捌きの良さが特徴で、後方から前線に配球していくようなタイプの選手。

ロマンがある選手だが、CHで使うにはまだ強さが足りないかなという印象がある。特にトップチームが非保持型で守備力を求められるだけにいまは厳しい状況に置かれているのかもしれない。ここで一皮むければ、どこに行っても通用する選手になれるぞ!

 

契約更新済

 

鈴木 喜丈

FC東京アカデミー出身のCH。フィジカルの強さがあり、CBをこなすこともあった。健太さんがわりと好きなタイプなんじゃないかなと思う。

最近は長期離脱が続いており、プレーを見る機会がなかなかない。かなり素材型っぽさが強く、彼が良いコンディションでトップチームに絡んでくればCHの選手層問題もかなり解決しそうな雰囲気だが、実戦から離れすぎているためどれだけやれるかかが未知数である。

 

契約更新済

 

平川 怜

FC東京アカデミーが生んだ天才ゲームメーカー。ただその天才もまだ花は開かず、今季は夏から鹿児島に期限付き移籍。ポゼッション志向だった鹿児島が残留争いに巻き込まれたことで、勝点優先のサッカーに切り替えたことで出場機会は激減した。

J3ではSHとして出ていたが、どのように育てていくか。個人的には中央で見たい選手であり、髙萩から変態の称号を受け継いでほしい。

 

安部 柊斗

明治大学在学中に特別指定選手として登録&来季内定。大学との兼ね合いもあってJ1での出場は途中出場の1試合のみだったが、CHが手薄だった今季は彼がメンバーにいてほしい試合が何度あったことか。

上下の運動量に加えてボール奪取能力が高く、橋本や髙萩とも異なるタイプで住みわけもできそう。来季は確実に多くの出場機会があると思う。

 

 

次回はFW編!

 

FC東京 2019シーズン 選手評 DF編

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GK編はこちら。

 

 

DF

森重 真人

文句のつけどころがなく、自分が見てきたなかでは間違いなくキャリアハイのパフォーマンスだった。贔屓目かもしれないけど、ベストイレブンも妥当。

日本代表でスタメンを張っていた実力者は、本業の守備はもちろんのこと、ボール保持においても絶大なる貢献度を誇った。相手に寄せられても慌てないメンタルと技術でカウンターの出発点にもなり、一気に逆サイドへ展開できる正確で速いフィードはチームの大きな武器となっていたFC東京ビルドアップ三銃士の1人。

 

健太サッカーでCBが持ち場から極力離れなくなったことで、無理な負担が減って存在感が増した印象。 

最古参選手となり、彼と優勝したいというサポーターも多い。

 

契約更新済

 

渡辺 剛

今季一番の成長株。中央大から加入したルーキーはチャン・ヒョンスが中東へ移籍した夏からスタメンに定着し、元韓国代表が抜けた穴を感じさせない活躍を見せた。粗削りな部分はあれど、並外れた跳躍力を生かした空中戦の強さと、前田大然を止めるほどのスピードを持ち合わせる。セットプレー時にはターゲットになり、2得点を記録。

渡辺が相手の強いFWと競り合うことで、森重はカバーリングの準備を整えることもできた。この補完性の良さが今季の失点の少なさにつながった理由の1つにもなっているはずだ。

 

ルーキーイヤーにして日本代表にも選出されており、今後のさらなる活躍が期待される。

 

契約更新済(12/30追記)

 

岡崎 慎

東京の弟マコ。わんぱくな子どもっぽい愛くるしさがあり、ユ・インスと並ぶ弟キャラ2トップ。

 

今季はCB、SB、CHのポジションで出場しており、ポリバレントさを発揮。ただ、どこか器用貧乏っぽさもあり、どこで起用するのかはっきりさせてあげたほうがよさそうな気もする。チームはCBで考えてそうだけど、個人的には右SBがいい!でもSBは飽和状態なんだよな!くそう!

 

足元の技術があり、配球には優れるタイプだが、湘南のプレスには完全に食われていた。チーム全体でビルドアップをもっと整理してあげたら良さを引き出せそう。残って欲しいけど、J2の保持型チームの中でもまれて、成長してほしい気持ちもある。

 

アンダーの代表にも選ばれていて、将来はFC東京を引っ張っていってほしい存在である。

 

丹羽 大輝

人格者ダイキ・ニワ。

昨季、健太コネクションで加わったDFはカップ戦数試合の出場に終わり、CBの序列としても(チャン・ヒョンスが抜けたあとは)4番手といった状況だった。

しかしながら、公式Twitterなどで上がってくる動画などを見る限り、良い兄貴役としてチーム全体のモチベーション向上に貢献しているように感じる。

 

今オフの去就は微妙なところだが、このたった1年半だけで東京サポの胸に名前を残した素晴らしい選手である。ガンバサポからの人気もすごかったし、在籍したチーム全部でこんな感じなんだと思う。純粋に人としてすごい。

 

山田 将之

今季は町田にレンタルから夏に福岡へ再レンタルという少し特殊なことをしていた。町田ではほとんど試合に絡めず、福岡でもレギュラーだったとは言い難い。試合に出て経験を積ませたかったはずだが、チームとしても山田本人としても思うようにいかなかった1年だっただろう。

 

ただ、出場した最終節ではストロングポイントのヘディングで決勝点を決めていた。

2018のカップ戦で現地へ行ったときに驚いたのは、彼のヘディングだけボールを跳ね返すときの音が違うこと。「あの選手はヘディングの音が違う」というのをたまに聞くことはあるが、本当にいることを実感させてくれた選手である。

タイプやCBの層を考えると復帰が規定路線な気はするがどうだろうか。と書いていたら来季は金沢への期限付き移籍が決まった。柳下さんの4-4-2は健太トーキョーにつながる部分も多そうなので、たくさん吸収してきてほしい。

 

室屋 成

90分スプリントを繰り返せる走力とタイミングよく裏へ抜け出す動きがストロングポイントの日本代表常連SB。今季は上記の特徴に加え、守備面での成長も披露した。もともと粘っこく、しつこくくっついていくタフさはあったが、スペースありきの1対1守備が劇的に向上したように思う。

半身で下がりながら相手との間合いを見定めて、ボールのタッチが少し大きくなったタイミングでタックルを仕掛ける。これが非常にうまいのでぜひ注目して欲しい。

ホーム鳥栖戦で金崎の突破を一人で止めたのは圧巻だった。

 

いくらか「オラつき癖」があって、けっこう簡単に挑発にのってしまう。今季33節・浦和戦は累積警告リーチの状態にもかかわらず、興梠の挑発に乗って黄色いやつをもらい最終節出場停止に。なにやってんだ!

闘争心むき出しなのはいいけど、スイッチはコントロールしてくれよな!

 

今夏までに海外移籍の可能性もありそうだが、去就やいかに。

 

小川 諒也

長年レギュラーを務めていた太田宏介を退けて開幕から左SBのスタメンを奪取。左足のキック精度はもちろん、攻撃参加で内外の両方のスペースを使えることも魅力の1つだ。守備では高さと強さを生かし、リーグ前半戦はボールの奪いどころとして機能した。FC東京ビルドアップ三銃士の1人。

 

課題としては守備のポジショニングがややフワッとするときがあり、間接的に失点の遠因になることがちらほら。

ただ、まだ22歳と若く、その課題を差し引いても起用する理由はよくわかる選手である。

 

とにかく交通事故のリリースが多すぎるので、教習所に通い直して欲しい。

 

契約更新済

 

オ・ジェソク

今季夏にG大阪からレンタルで加わった職人型SBはすぐ戦力に。加入してすぐに左SBでレギュラーだった小川がケガで離脱し、その間スタメン出場を続けた。

強く当たれることはもちろん、ポジションの取り方がうまく、立ち位置で相手の攻撃を抑えられる。また、攻撃時にも特出したテクニックやフィジカルこそないが、全体的にポジショニングに気を遣っている印象で、ビルドアップの貢献やタイミングの良い攻撃参加がみられた。

圧倒的な武器がないことを理解してか、自分にできることを最大限発揮する意識をしている感じがとても好感度を上げる。

 

丹羽と同じく人格者であり、韓国籍選手の気の良い兄ちゃんとしてもチームの雰囲気を明るくした。最終節の言動やシーズンオフの報道を見る限り退団が濃厚な空気だが、半年だけでも東京サポに刺さる選手だったことは間違いない。

 

中村 拓海

東福岡高から加入した高卒ルーキー。うまいタイプのSBで右足からは正確なクロスがゴール前に入る。

今年はJ3で経験を積んだ。まだまだ粗削りなところもあるため、あと2年くらいでトップに絡んでくればと思う。

 

ずっと髪の毛を伸ばしっぱなしみたいな髪型で、前髪が目にかかりまくっているのがとても気になった。それ、プレーに支障はないの!でも髪の毛サラサラでいいね!

 

契約更新済(12/30追記)

 

柳 貴博

山形へ武者修行に出て、リーグ後半戦は右WBとしてレギュラーの座を獲得。もともとCBもこなせるフィジカル能力の高さに加え、相手DFがいやがるような場所へ流し込めるクロスで得点も演出した。

ACLがあることを考えればおそらく復帰が規定路線だと思う。

ユース上がりの柳も来季で5年目となり、経験を積ませるという時期は終わったのかもしれない。J1でも戦力になるということを証明して欲しいところだ。

 

バングーナガンデ佳史扶

来季からトップチーム昇格が決まったユース戦士。いろいろとわけがあってSBが全然いなくなってしまったルヴァンカッププライムステージでは左SBとして2試合にスタメンで出場した。

さすがに高校生がJ1(その試合はG大阪)のアタッカーを相手するのはなかなか厳しかったが、その中でもやれる部分をいくらか見せることはでき、今後に期待を持たせた。

 

FC東京の応援番組であるF.C.TOKYO COLORSの番組リポーター鈴木えりかさんと1対1でインタビューを受けたとき、めっちゃ緊張してた。たぶんかわいい女の子を目の前にするとうまく話せなくなるタイプだと思う。

 

木村 誠二

来季からトップチーム昇格が決まったユース戦士。

J3で多くの時間出場していたが、正直あまり見ることができていないので、特徴はわからない。

CBでリーダー気質がありそうなので、将来のまとめ役として期待したい。

 

 

 

次回はMF編を予定!

 ↓更新!

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FC東京 2019シーズン 選手評 GK編

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さて、もう来季が近づいてきてたが、超絶独断と偏見の2019年簡易選手評をやっていこう。

 

GK

 

林彰洋

今季のチームMVPと言っても反論してくる人は少ないのではないだろうか。

彼の予測・準備の良さから生まれる好セーブや、195cmの上背を生かしたハイボール処理(キャッチ)で幾多のピンチを防いだ。自陣深くにブロックを敷いて守る東京にとっては欠かせない存在。

 

味方がPKを蹴るときは、自陣のゴール方向を向いて祈っている。万が一カウンター食らったら怖いから見ててほしいんだぜ!

スタイルの良さもあってめっちゃオシャレ。オシャレな人しかかけない丸い眼鏡が標準装備。

 

契約更新済

 

 

児玉剛

今季から加入したが林の壁は分厚く、カップ戦の出場のみにとどまった。控えのGKとしては十分すぎる実力者だとは思うが、昨年まで大久保択生が控えていたことと比べてしまうと物足りなさも否めないところ。

正直、ほとんどプレーを見ていないが、J2時代のプレー集を見た限りでは至近距離からのシュートに強く、パワーがあるタイプのGKなんじゃないかなと思う。

 

見た目は板前。活気があるタイプの寿司屋にいそう。

誰とでも楽しげに話している印象があり、おそらくコミュ力おばけ。出場機会がなくてもロッカールームで必要な選手になっていそう。

 

契約更新済み

 

 

波多野豪

FC東京アカデミー出身の世代別代表歴も持つ長身GK。2017のルヴァンカップで当時東京に在籍していた大久保択生(現清水)が突然退場し、ルーキーながら急きょ出場することとなったが、18歳とは思えぬ落ち着きぶりと好セーブを見せてポテンシャルの高さを見せた。

 

開幕時には2ndGKとしてベンチ入りしたが、主戦場はJ3の正GKに落ち着く。

 

圧倒的ムードメーカーではあるのだが、その声はとにかくうるさく、「バモバモ!」という音付きの息を発する。

試合後のインタビューを行っているときに後ろでうるさいのは大体この人。おまわりさん、騒音発生場所はここです。

 

契約更新済

 

 

廣末陸

今季は期限付き移籍で山口へ武者修行に出たものの、出場はなし。移籍が決まった直後は山口の海で大好きな釣りができるとウキウキだった気がするのだが、その面では満喫できたのだろうか。

試合に出ていないとはいえ、それなりに良い評判を聞く霜田山口でいろいろなものを吸収していると信じている。逆に、外に出て吸収できるものが薄かったのであれば、J3で試合に出続けている波多野との差は広がって、なかなか厳しそう。

今年もFC東京に残るのであれば、2020はおそらく勝負の年になる。と先に書いていたら来季は町田へ期限付き移籍することが発表された。どちらにせよ、勝負の年になることは間違いない。

 

 

次回はDF編!を予定!

↓更新!

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 ↓MF編も更新!

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J1リーグ第34節 横浜F・マリノスvsFC東京 レビュー

 

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プレビューはこちら。

 

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レビューというよりもレポート、感想文なので悪しからず。

ネガティブな表現も含むため、それがイヤだと感じる方は回れ右でお願いしたく。

 

スタメン

 

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横浜FM

出場停止の扇原に代わって和田拓也がCHの位置で先発。エジガル・ジュニオが復帰する可能性もあったようだが、ベンチ外となった。

布陣はいつもの[4-2-1-3]。

 

 

FC東京

前節・浦和戦でディエゴ・オリヴェイラと永井が負傷。永井はなんとか間に合わせた(シーズン終了後に手術を行うことを発表)ものの、ディエゴは間に合わず。加えて室屋が累積警告により出場停止で、複数のメンバー変更を余儀なくされた。

室屋のところにはオ・ジェソクが入り、アルトゥール・シルバをCH、ナ・サンホを左SHで起用。

いつもの[4-4-2]ではなく、高萩をトップ下に置く[4-2-3-1]で臨む。

 

 

前半

 

 開始から点を取りに行くしかない東京は前から強めに追っていく。走力のあるサンホ、強さのあるシルバの起用は、圧力を強めたいという意味合いを込めていたかもしれない。

 普段であれば永井がスイッチを入れたところから全体が連動していく流れが主だが、この試合ではその後ろに入る高萩がコントロールしていたように見えた。
序盤は元気なこともあって、特攻プレスがハマるシーンや、マリノスの苦し紛れのパスを出させるシーンを作り出すことに成功。最初の決定機も東京のほうに訪れた。
しかし、永井が決めきれない。少なくとも4得点が必要な条件の中で、この1つ目のミスは結果的に試合のスコアに影響したとも言えるだろう。
この試合のメンバーを見たとき、さらに高いラインを敷く横浜FMが相手だと考えたときに、得点を決めるべき選手は間違いなく永井だと思う。その永井が決めきれないのであればセットプレーに祈る以外に得点を取る手段は思い付かなかった。
 
 
先制のチャンスを逃すとあっさりと失点を喫した。
林からサイドへ出した浮球のパスをカットされると、その流れからティーラトンにミドルシュートを許す。必死に戻った右SHの東がシュートブロックに入ったが、不幸にもその足に当たったボールが弧を描いてゴールマウスに吸い込まれる。
 
シュートが枠内に飛んでしまったこと自体はアンラッキーだったが、そこまでの流れは避けなければならなかったように思う。
GKからサイドの高さを生かすロングボールは比較的小柄な選手が多い横浜FMに対しては有効な手段だ。ただ、失点場面は比較的上背がある松原にカットされている。
このカットで左SB小川をはじめ、数選手が置き去りにされる。東京はいつものブロックが組めず、東のスライドが間に合わなかった結果手痛い一発を食らった。
 

 

 この1点はスコア的な意味でもダメージが大きいものだったが、それ以上に自分たちの戦い方をより崩される引き金にもなっていたと感じる。

それは2失点目につながってくる部分でもあった。

2失点目を振り返ると、間延びした中盤をフリーマンのマルコスに使われたところからエリア付近で待つエリキへのパスを許してシュートを打たれた。

失点した時間は公式記録で44分だったが、30分を過ぎたあたりから明らかに激しいプレスを掛けられなくなった。推測になるが、「行ってもボールを取れない!」というよりも、「(心身ともに)ボールを奪いきれるほど強くいける力が残っていない!」といった要素のほうが強かったのではないかと思う。

前述したが、主にプレスを先導していたのはおそらく高萩。彼が前からのプレスを自重する判断をしたのかもしれない。

30分過ぎの時点では前半で1点ビハインドの展開。本来の東京なら無理をせず、自陣でしっかり構える選択をするのではないかと考えられる。

しかし、この試合ではここから5点が必要。そうなれば、いくら自陣への撤退がそのときの最善策であったとしても、多方面からの視線を考えたときにその選択をするのはなかなか難しいだろう。

そういった「いまの最善策」と「多くの点を取りにいかなければならない現実」が混ざりあった結果、中途半端な守備組織が出来上がった。

 

横浜FMからすれば、これはボーナスタイムといっても過言ではないはず。フリーマンのマルコスや比較的自由に動くSBやCHにとって使えるスペースは大きくなる。

失点シーンは前線でパスコースを制限できず、CHのシルバもなんとなくボールへ寄せにいったことで、マルコスは水を得た魚となった。

 

前半まとめ

 先制点を奪われるまでは決して悪くなかったと思う。ただ、その「先制点を奪われた」事実が「4点差をつけて勝てば優勝」という夢物語から現実世界へ引き戻す痛烈な一撃になった。もちろん選手もスタッフもサポーターもあきらめてはいなかっただろうが、現実としてそれは受け入れなければならない。

 

後半

 後半頭から東京は2枚替え。

東→ユ・インス

ナ・サンホ→田川

前半に走れなくなってきたことを踏まえて、フレッシュかつ走れる選手を入れたのだと思う。妥当な判断だと思うが、ここにきて長谷川監督がキャプテンの東を下げたのは意外だった。

 

最初のほうは不確かだが、後半のどこかのタイミングでシステムを[4-3-1-2]気味に変えた。

2トップで2CB、トップ下で下りに受けるCHを捕まえにいけること、そしてフレッシュな選手を入れたことで再びボールを奪えるようになる。

田川が入って前線でボールを引き出す選手が2人に増え、ダイレクトな展開からサイドで起点づくりもできるように。

 

流れを取り戻しはしたが、決定打は打てず。永井が持ち前のスピードでGKパク・イルギュを退場に追い込んだが、そこからも20分以上得点が取れず。逆に素早いリスタートから遠藤にとどめを刺された。

 

まとめ・感想

 横浜FMの強みの1つは相手DFの間でパスを受けながら、WGを軸にスピードアップした攻撃を仕掛けること。

東京の強みの1つは[4-4]でしっかりブロックを組んでゴール前を手堅く守ること。

横浜FMの1点目は東京の強みが外されたところから生まれた。そして2点目は東京が自分から強みを捨てに行って、相手の強みを引き出した。

 

横浜FMのほうが単純に試合巧者だったのだと思う。

1つ目の壁を破られた時点で「グーだけで貫き通す」サッカーは通用しなくなった。こんな特殊な条件付きの試合を再びやることはないだろうが、横浜FMの「グー」が能動的であるのに対し、東京の「グー」が受動的であるからだ。これはどちらが良い悪いではないが、東京はシーズンを通じてビハインドを背負う展開を苦手としており、それはこの試合でも同じだった。

 

 

しかし、2年をかけて2位までたどり着いた。東京の「グー」が磨かれているのは間違いない。この「グー」のクオリティを保ったまま、なにか変化を加えることが必要になるだろう。その変化が「チョキ」を出せるようになることなのか、どのメンバーでも同じ質の「グー」を出せるようにすることなのかは分からない。

 

あと1段の階段を上るためにどうすればいいのか。

それが来季までの宿題である。

 

J1リーグ第34節 横浜F・マリノスvsFC東京 プレビュー

 

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 気づけば今季も残り1試合。その最後の試合は1位対2位の直接対決だ。

この一戦はただの勝ち負けを競うだけではなく、FC東京としては逆転優勝のために4点差をつけての勝利が必要な"条件付きのバトル"となる。


現在6連勝と大波に乗って突き進む横浜FMの戦い方を簡単に見ていきたい。

 

 

参考試合:30節・鳥栖戦、31節・札幌戦、33節・川崎F

 

 

 

前節のスタメン

 

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横浜FM

ここ数試合はスタメンが固定されている。仲川が負傷したときに遠藤が右WGに入っていたが、ケガ等がなければ選手の入れ換えはほとんどない。

 

しかし、今節は扇原が累積警告により出場停止。CHには渡辺や和田の起用が考えられる。

 

※3日時点での情報

 

 

FC東京

室屋が累積警告により出場停止。おそらくオ・ジェソクが右SBに入るだろう。

 

また、前節負傷したディエゴ・オリヴェイラと永井のメンバー入りも不透明。スタメンで3カ所の変更を強いられる可能性もある。

 

 

 

※便宜上、図は前節のメンバーで作成する

 

横浜FM簡易分析

 

ボール保持

 

ビルドアップ

 

 CBとWG以外はかなり流動的に動くので、パターンというパターンは見つけにくかった。

強いて言えば、SBとCHが位置を入れ換えてマークを混乱させたり、SBが内にしぼるorCHが下りることで3バック化させる動きが特徴的なところだろうか。

 

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※イメージ

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※イメージ

 

なんにせよ、1つ言えるのは全員の技術が高く、どこからでも配球できる。個人単位でもマークを剥がしてくるし、どのエリアからも縦パスが出てくる。自由にしても大丈夫な選手はいない。


となると、取るべき選択肢は2つ。危険なパスが出ないようにボールホルダーにプレッシャーを掛け続けるか、危険なゴール前のエリアを徹底的に埋めるかのどちらかである。


いつもであれば東京は後者を選ぶところだが、少なくとも4点を取りに行かなければならない状況下では前者を選択する可能性も高い。

試合の入り方は1つの注目ポイントになるだろう。

 

 

チャンスメイク

 基本的には裏抜け一発か、WGの仕掛けからグラウンダークロスを中で合わせるパターンが王道。

両翼に入る仲川とマテウスの突破力の高さと、自由に動くマルコスとエリキの機動力を生かす。それをCHやSBが後方支援していく形だ。

 

東京も攻撃的に戦うことが予想される中、ある程度スペースは生まれて1対1はどうしても増えるだろう。

正直なところ、そうなってしまったら「守備がんばれ!」「シュート止めてくれ(外してくれ)!」と願うしかない。この条件をくぐり抜けて勝つには、ギリギリのところでシュートブロックに入る気持ちに加えて、運も必要になることは間違いない。

 

みんなで祈りを届けるのだ。


 

ボール非保持

 

[4-2-1-3]のような陣形で、とにかくエネルギッシュに前から追いかけてくる。

ハイラインを敷いて全体をコンパクトにし、前の[1-3]の圧力で奪い取る、もしくは前に蹴らせての回収が狙いだと思われる。

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自陣に大きく空くスペースはGKの朴とCB2人の身体能力で埋める。裏のスペースが狙いどころになるのは間違いないが、中央付近はこの3人のカバーでなんとかなってしまう。

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それよりも狙いたいのは大外レーンの裏だ。

ここはGKの朴が飛び出しにくく、CBも比較的距離が遠いため、対応が難しい。攻撃の起点を作るのであれば、狙う場所はここになってくるだろう。特に逆サイドからの大きな展開は効果的だ。

 

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起点を作ったらDFとGKの間に入れるクロスやマイナスの折り返しを入れたい。マリノスのディフェンスは跳ね返すよりも出所をつぶしにいく傾向が強い。そのため、パスを出すことができれば、エリア内で勝負することはできるはずだ。

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※イメージ



もう1つ特徴を挙げると、マリノスはボールが下がるとこまめにラインを上げてくる。コンパクトにすることが狙いだろうが、こうするとどうしても重心が前向きになる。

バックパスの受け手がワンタッチで背後にパスを出すと、マリノスのDFは前に向いた重心の逆を取られることになり、スタートで出遅れてしまうのだ。

札幌や川崎にはこのデメリットを頻繁に狙われていた。まず敵陣深くでボールを持つことが前提にはなってしまうが、ここもマリノス守備の狙うべきポイントになる。

 

 

展望

 

 何度も言うようだが、この試合は4点差以上をつけての勝利が必要な"条件付きのバトル"だ。ただ勝てばいいわけではないので、どうにかして相手を慌てさせる必要がある。

湘南が東京に見せてきたプレスのように、スタートからフルスロットルで圧力を掛けるのが最も簡単な答えにはなるが、なにもしなくても攻めてくるであろうマリノスが相手だと考えるといつもどおり戦う可能性もある。

 

 どう戦うにしてもどれだけ早く1点目を取れるか。先制点を取った時間が勝負の行方を分ける。



無駄な失点を最小限に抑える戦いをしてきた東京だが、この試合に限っては相手の土俵で戦わざるを得ない。相手のホーム、そして相手の土俵で勝負した上で"条件"をクリアできたならば、それは首位に立つべきチームである証明にもなるはずだ。




難しい状況に置かれているのは間違いないが、東も話していたように誰も諦めてはいない。


奇跡は信じた者のもとに訪れる。

 

J1リーグ第33節 FC東京vs浦和レッズ レビュー

 

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プレビューはこちら。

 

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首位横浜FMを勝点差1で追いかける2位のFC東京

最終節に直接対決を控えており、自力で優勝できる権利を残している。その大一番を迎える前に、まずは鬼門の浦和戦に挑んだ。

  

スタメン

 

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FC東京

前節からの変更は2か所。

岡崎→渡辺

大森→三田

渡辺はケガ明けでスタメン復帰。右SHは戦術的な理由だと思われる。 

 

 

浦和

ACLのメンバーから大幅に変更した。

橋岡→森脇

関根→山中

ファブリシオマルティノス

長澤→柏木

柏木以外はACLではベンチ外だった選手。

ターンオーバーとはいえ、J1でスタメンを張っていてもおかしくない名前がそろう。

 

前半

 

意図しない東京の土俵勝負

浦和はボールを持ちたそうなメンバーにしてきたこともあり、いつものようにブロックを敷く守備ではなく、それなりに前から追いかけてボールを奪いにきた。

東京はつなぐところと長いボールで逃げるところを判断しながら、空いたスペースを使って2トップを生かしていく。

 

湘南戦と異なり、永井がスペースで受けられる回数が明らかに増えたが、これには理由がいくつかあると考えられる。

①浦和のWBが攻守に高い位置を取ることと②CHが前に上がって中盤を留守にすること、そして③裏をケアするために最終ラインが下がることだ。

なぜこれらによって2トップが生きるかと言うと、中盤が空くことで浦和の3バックが東京の2トップの対応だけに集中できないからである。

空洞と化した中盤には元々中央でのプレーを得意とするSHの三田や東が入っていた。彼らがボールホルダーとなることで2トップはゴール前に入るという本来の仕事に専念できる。加えて浦和の3バックがボールホルダーとスペースに走る2トップの両方へ意識を向けなければならないとなれば、難しい対応になるのは必然だろう。

 

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※イメージ

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※イメージ

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※イメージ

 

 

逃がしどころは整えど、精度が伴わない浦和の組み立て

浦和は3バックでビルドアップを行い、東京はいつもの対3バック用のプレスを掛けていく。SHが左右のCBに出ていき、SBがそれに連動してWBを捕まえに行く形だ。

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※イメージ

 

それに対して浦和はWBのところを軸にして、東京のプレスを回避しようとする。

右の森脇と左の山中ともに、ボールを受けたときに内側へコントロールすることで縦方向から迫る東京SBの圧力を逃がしていた。東京はSBが前に出るとCHがそのカバーに入る傾向がある。浦和のWBが内側に入ってくると、そこに迎撃できる選手が不在になりがちで、捕まえることが難しい。

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※イメージ

 

この回避方法によって東京は、球際で奪ってショートカウンター!という展開にはできなかったが、浦和はここからの精度があまり伴わずにスピードが上がらない、またはロストするシーンが目立つ。そして前述したように、浦和はボールを失ったあとの配置が整っていないことが多かった。それゆえにこちらが意図したタイミングで奪えなくとも、スムーズな流れでカウンターに移行することができていた。

 
 
決定機は幾度となく訪れたが、西川のセーブや鈴木大輔カバーリングによってゴールネットを揺らすことはできない。
チャンスを生かせないでいると、しっぺ返しを食らうのがサッカーのオカルト要素だ。
そのオカルトがこの試合でも適用され、圧倒的に東京ペースで進みながらも先制点を奪ったのは浦和。CKから用意してきたであろう形から山中に得意のミドルシュートを許し、こぼれ球をマルティノスに押し込まれた。
 
得点に絡んだ2人が、東京と優勝を争っている横浜FM出身というのがなんとも皮肉な失点。

 

そして前半終了前にディエゴが接触プレーで負傷し、交代。予期せぬタイミングでエースが離脱してしまった。

 

前半まとめ

 

 プランどおりと言うよりも、浦和がスペースを空けてくれたことで東京が得意な展開に持ち込めた印象。とはいえ、隙があれば徹底的に2トップでぶん殴り続けられる現実は、今季の東京が勝点を積み上げられている理由でもあるだろう。

 

ただし、前述したようにいくら決定機を作り出しても得点が生まれなければ意味はない。サッカーとは決定機を作るスポーツではなく、得点を取るスポーツなのである。その意味では0-1のスコアを見たときに、「前半うまくいったのは浦和」という結論になってしまった。

 

決定力不足を突きつけられた上で、ディエゴを欠く東京が残り45分で3ポイントを狙って戦う。

 

 

後半

 

後半はディエゴがいなくなったぶん、FWはサイドのスペースに斜めに出ていく動きが増える。その動きで前半から鈴木をちぎって猛威を振るっていた永井だが、後半の早い段階で負傷。ナ・サンホとの交代を余儀なくされた。

2トップを両方とも負傷で欠き、1点を追いかけなければならない頭の痛い展開に。

 


その後、スタミナの低下を感じながらも、中盤が必死に走ることでボールを回収し、敵陣でのプレー時間も作るが、後方のマネジメントはどうしても難しくなっていた。

攻→守の切り替えでも、東京は中盤にCH1枚しか残らない、[4-1]のような形になっていた。浦和はシャドウに入った柏木とマルティノス、もしくは下りてきた興梠が手薄な東京CHの脇で受けて、カウンターを狙う。ヒヤリとするシーンもあったが、少ない人数でうまく守れてはいた。



今季の得点源を2人も欠いた東京だったが、セットプレーから田川の今季初ゴールで追いつく。

やはり困ったときはセットプレー。リーグ後半は、キッカー三田の存在が本当に大きい。



ここから一気に流れに乗りたい東京だったが、前半から飛ばした影響もあり、圧力は強められず。残留を確定させたい浦和も他会場の経過も見た上でか、最終盤は絶対勝利!というよりも最低でも1ポイントを優先した戦いにシフトしたように見えた。


ゴール前までは迫っていたが、そこからの1点は遠く、無情にも笛の音が響いて試合終了。


FC東京1-1浦和


まとめ・感想

前半で圧力を強めて畳み掛ける「東京スタイル」を出すことはできたが、先制点は目の前にあるように見えて、手の届かない位置に置かれてるようだった。前半は結果的に「東京スタイル」を出しただけで「必勝パターン」には持ち込めなかった。

この試合で3ポイントをゲットできなかった要因を挙げるならば、そこが一番になるだろう。



横浜FMが勝利を収めたことで勝点差は3、得失点差は7まで開いた。逆転優勝のためには、最終節の直接対決で4点差をつけての勝利が必要。

非常に難しいシチュエーションではあるが、可能性は残っている。

湘南戦、浦和戦とホーム2連戦で引き分けが続いたのが痛恨なのは間違いないが、この可能性を残したのは森重のゴールであり、田川のゴールでもある。



浦和戦では追いついたものの、最後まで「必要な1点」を取るだけの決定力を見つけることはできなかった。だが、最終節は少なくとも4得点が必要になる。


横浜の地で「決定力」を見つけ、ホームでの2引き分けを価値のあるものに変える戦いへ挑む。

J1リーグ第33節 FC東京vs浦和レッズ プレビュー

 

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参考試合:31節・広島戦、30節・鹿島戦、32節・川崎戦(日程調整があったため、節の順序がバラバラ)

 

 

 

前節のスタメン

 

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FC東京 

前節は渡辺のケガで岡崎、小川がケガ明け、戦術的な理由などで大森がスタメンに入った。

前節はベンチだった渡辺が今節からスタメンに復帰の可能性も。

 

浦和

図は直近のACL時のメンバー。おそらくこのセットが現段階での1stチョイス。

リーグ戦では過密日程やACLのためのターンオーバーをしていたため、メンバーが非常に流動的だった。

 

 

浦和簡易分析

 

ボール保持

 

ビルドアップ

フォーメーションから配置は大きく動かさず、後ろは[3-2]で組むことが基本。

3バックはワイドに大きく開き、場合によっては中央にCHが下りてくることもある。

 

後ろで細かくつなぐ傾向もあるが、前進パターンとしては

左右に開くCBからWBへのパス

CBからダイレクトに裏

ロングボールのこぼれを拾う

の3つがメインだと思われる。

 

ショートパスでのつなぎに関してはCH青木への依存度が高いのかなといった印象で、前々節に対戦した磐田のようにスペースの作り方や使い方が共有されている雰囲気はあまりないように感じた。

前節・湘南戦のように中盤で間延びする状況が起きなければ、ショートパス主体のつなぎから脅威を与えられることは少ないのではないかと思う。

 

 

前述したCBからダイレクトに裏への展開だが、[4-4-2]で守るFC東京に対しての攻撃として予想されるのは以下の2つ。

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※イメージ

槙野からダイレクトでサイド奥のスペースを狙うパス。これは数年前から続けている形だ。

左WBを一度低い位置に下ろすことで背後にスペースを作り、パスが出てくるタイミングに合わせて走り込む。慣れ親しんだ形だからなのか、なかなか高確率で成功していた。

これに対応するのは室屋だが、走力に定評のある彼ならそこまで問題はないと思う。この形があるということが頭に入っていれば、多少出足で負けても致命的なダメージを負うことはないだろう。

 

 

 

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※イメージ

次に右CB(の位置)から出てくる裏へのボール。

先ほどの槙野のパターンと同じように、WBでSBを引き出してからその裏を狙う。

 

シャドウが走ったり、トップが走ったりするが、これが最もうまいのは興梠だろう。マークが甘ければ抜け出されるし、タイトについていけば、中盤のスペースが空く。空いたところにタイミングよく入ってくる抜け目ない彼の動きには注意したい。

本来はシャドウにこの仕事をしてほしそうだが、武藤を欠いているいま、適役がいない雰囲気だ。強いて言えばマルティノスあたりができなくもなさそうだが、おそらく彼の序列はあまり高くない。武藤の不在はかゆいところに手が届かない状況にさせているように感じた。

 

 

チャンスメークパターンとしては、WBからのクロスと裏抜けから手数をかけない攻撃。

興梠との駆け引き勝負になると、どのDFでもかなり厳しいので、危ないクロスを入れさせないことに力を入れたい。

 

 

ボール非保持

基本戦術:[5-4-1]で自陣撤退で迎撃

 

前節の湘南もフォーメーション自体は同じだったが、湘南の場合はどちらかと言うと[5-2-3]、もしくは[3-4-3]の配置に近い。対して浦和はビハインドにならなければ基本的に[5-4-1]でブロックをしっかり敷いてくることがほとんど。

おそらく東京ボールになれば落ち着いて持てることが予想される。ただ、逆に考えると敵陣には人が多くいるため、ゴールに近づくのに多くのDFをどけていく必要がある。

 

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※浦和のブロック

 

東京がボールを持ったときに狙いたいのはシャドウのファブリシオ。当日、どのようなメンバーを組むかは不明だが、出てきたら彼のところをつっついていきたい。

 

浦和はそこまでプレスをかけてこないが、浦和のシャドウは相手のCBとSBを主に見る。

ファブリシオはここのマークが非常に曖昧で、どっちにつくのか、またはどのタイミングで出ていくのかがはっきりしないことが多い。

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自由なファブリシオの動きに周りが合わせる必要が出てくると、ほかの選手の頭脳的な負荷が高まる。そうなるとマークやスペース管理のミスも生まれやすくなってくる。

 

また、前からプレスをかけたときもファブリシオだけ明らかに寄せが遅く、ハマらないケースがある。そこを起点にプレスを空転させることができれば、一気に2トップがスペースを享受した攻撃が可能となるはずだ。

ただし、自由がゆえに意図せず攻め残りのような形になったりもするので、カウンターには注意したいところ。

 

 

 

また、[5-4-1]でのセット時に狙いたいポイントは潰しに出てきたCBの背中。

5バックのチームにはよく見られる傾向だが、左右のCBが下りる選手を捕まえに出ていくとWBと中央のCBとの距離が開き、ここの間を縫われてエリア内に進入されてピンチを招く。

 

ここは室屋に狙わせたい。大外に張ったところから斜めに裏へ走り、ボールを引き出す。彼も得意としてる動きだ。

出し手は橋本、高萩、大森(三田)など多くいるはずなので、誰かしらをフリーにするようなボール回しができたらいい。

 

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※イメージ


展望

ゲーム自体で言えば、おそらく湘南戦のようにバッチバチのバトルにはならないことが予想される。スコアが動かなくても焦れずに勝負どころを待つ必要があるだろう。

ボール保持が得意とは言えない東京が、人数をかけて自陣を守る浦和を崩すのはなかなか難しいと考えられる。前節の森重のゴラッソとまでは言わないが、セットプレーだったり、相手のミスだったり、一個の隙を突かないとこじ開けられないかもしれない。

とにかく点が取れればいい!という、いつもどおりの精神で臨みたい。

 

 

 

 

リーグも最終盤となり、残り2試合。相手はリーグ戦の成績で見れば、今季絶不調とも言える浦和。

いくら東京が浦和を苦手にしているとはいえ、ここは確実に勝たなければならない。勝てないのであれば優勝するに相応しくないチームと言われても仕方ないだろう。

 

優勝へのドラマは揃っている。

これが美しい初優勝のエピソードとなるか、苦い記憶となるかは自分たち次第。

"勝負弱い東京"から卒業できるか試されるときだ。