がちゃのメモ帳

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J1リーグ第25節 名古屋グランパスvsFC東京 レビュー

がちゃです。

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プレビューはこちら。

 

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スタメン

 

 

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東京は予想通り。田川がベンチ入り。

 

名古屋は吉田が負傷、和泉が発熱ということで欠場。 代わりに藤井と成瀬がスタメン。成瀬に関してはリーグ戦初出場。

おそらく緊急の対応だと思うが3-4-2-1(5-4-1)のフォーメーションを組んだ。

 

 

 

前半

 

予想通り名古屋がボールを持って東京がカウンターを狙う展開。

東京は奪ったら1~2タッチ程度で素早く2トップに当ててそこから縦に速い攻撃でカウンターを仕掛ける。逆に名古屋はそのスイッチとなるパスや収める選手に強く出ていくことで「ずっと俺のターン!」の状態にすることを目指す。

序盤はこのトランジション時に発生するバトルでどちらが勝つかという勝負が肝となり、名古屋に軍配が上がる場面が多かった。これによって名古屋がボールを持つ時間が長くなるわけだが、東京もそこまで守備で苦労はしなかったように思う。

 

ここで名古屋のボール保持を簡単にまとめる。

 

まずビルドアップは3バック+2CHの5枚が基本となり、そこにWBやシャドウが下りてサポートするようなイメージ。

中央の4枚(2CHと2シャドウ)はかなり流動的なポジショニングで頻繁に下りてきていた。これによって前線から人がいなくなり、ビルドアップから縦に速い攻撃を仕掛けることは難しくなったが、ボール保持を安定させて敵陣までボールを運ぶことが優先だったのかもしれない。

 

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※名古屋ビルドアップ極端なイメージ

 

敵陣まで押し込むと2CHを軸にしてパスを回し、東京守備ブロックに穴ができるのを待つといったところ。押し込んでも大外を使う意識はあまりなく中央突破を目指した攻撃だった。

右WBに入る成瀬は度々中に入る動きを見せていたが、こうなると東京左サイドは大外を気にせずに守ることができる。これをあまり良くないと感じたのか、途中から中谷が右SBのような動きを見せるようになる。しかしながらあまり効果的にははたらかず、むしろ後方を手薄にしてカウンターを受けやすくなっているように感じた。

 

 

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※イメージ

 

太田は大外にいるものの、そこへ出されてもスライドが間に合うのでクロスは上がらない。以前太田を3バックの左CBで起用していたのは前で一人ピン止めした外を駆け上がってフリーでクロスを上げさせたかったからではないかと思う。

 

 

もちろんネットやシミッチという優れた配球役がいるため、中央を締めていても通されてしまうシーンはあったのだが、外を使う意識が薄かったのは楽に守れた一つの理由だろう。縦パスの警戒に意識を割けるためボールを前向きで奪いやすい。カウンターに出やすくなることにも繋がっていた。

とは言え名古屋も両SB&SHのレギュラーが不在(前田はベンチ)であり外を使える選手がいなかったことを考えると中央突破を狙うのも必然的ではあった。名古屋サイドも宮原、吉田、和泉の3人が抜けてしまうとさすがに難しいなと感じたのではないだろうか。

 

ジョーという圧倒的な選手が中央にいることで東京DF陣が集中して守っていても何か起こされてしまう可能性は十分にある。前節札幌戦は”何かを起こされる”のを嫌ってジェイをゴールから遠ざけていた。今節は守備ブロックを下げても外からのクロス等でジョーに”何かを起こされる”可能性は低く、ブロックの上から殴られなければ大丈夫な状況となっていたのは助かっていた部分だろう。

 

 

セカンドボールの回収に苦しんでいた東京だったが、トランジションからの縦パスで前を向ければカウンターを打てていた。

26分はCKの流れから永井と東の位置が入れ替わった状態の守備からカウンターを仕掛けてディエゴがPKを獲得。ランゲラックに一度は止められるもののこぼれを押し込んで先制に成功。

1回目のカウンターチャンスでは永井の判断が遅れて止められていたので、東がトップ下に入ってカウンターができたことは結果的に功を奏した。

 

 

 前半まとめ

 

 名古屋にボールを持たれながらカウンターを狙うという予想通りな展開の中、思った通りのカウンターからPKを獲得し先制に成功。欲を言えばもう1点取れていた気もするが、十分な内容。

 

一つ指摘するならばボール保持について。

おそらくボール保持にこだわりを持たないゲームプランではあったと思うが、簡単にボールを捨てる場面が目立った。

これは単純に「もっとボールを大事に」というよりも前線に可能性を持たせた状態で送り込んでほしかったという感想である。

相手の陣形が崩れていない、そこまで強めにプレスをかけられていない状況でのロングボールが多かった。こうなると名古屋のCBも跳ね返しやすい上に最終ラインが整っているのでスペースも少ないため楽に回収されてしまう。

確かに相手にボールを持たせることでカウンターは打ちやすくなるが、自分たちのボール保持で名古屋の得意なフェーズの時間を削りつつ、チャンスメイクの可能性も高められるのではないかと感じた前半だった。

 

 

 

後半

 

両チームともに選手交代。

名古屋 成瀬→前田

東京 大森→三田

 

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それぞれ同じポジションでの交代。

名古屋はリーグ戦初出場の成瀬の攻守におけるポジションがやや曖昧になっていたところの修正に加えて、単純に攻撃力の強化ということろでの前田だろうか。

 

(大森→三田の交代について)

 「前線に絡んでいく動きを期待していたこともあるが、前半は大森自身は、よく頑張ってくれたが、もう少しできたかなと。攻撃のところで慌てずにボールを回すなど、三田は配球役になれる。」(長谷川監督)

FC東京公式HPより引用

https://fctokyo.co.jp/game/2019083001

 

 

 東京のこの交代で変化したのはボール保持のところ。後半は明らかにボール保持が安定し、名古屋に守らせる時間を作らせることに成功していた。

単純に「後半からはボール保持を安定させよう」といった方針だったかは不明だが、大森→三田の交代が大きな理由になったことは間違いないと思う。東京が後方でボールを持った時に三田は名古屋中盤ラインの間でパスコースを作ってくれていた。これによって名古屋の陣形を中央に絞らせる→外が使えるという流れでスペースと時間を作ることを提供。

大森も足元の技術は優れているが、ビルドアップ時にはボールに近づく動きが多く、”いい場所”でパスコースを作ることはあまり得意でないように感じる。ただ、彼には守備の安定やフリーランなどの献身性があり、監督が選手のどの特性を選ぶかという話である。後半からは三田のボール保持スキルを優先したのかもしれない。

これを狙って行えていたのであれば、非常に効果的な交代だったと言えるだろう。

 

 

後半に入っても展開はおおよそ変わっていなかったと思うが、前半よりも東京がこぼれ球を拾える場面が増えていた。右WBに前田が入った影響もあってかボール回収後に3バック脇が空いており、永井がそこに走りこむ攻撃を徹底する東京。

48分(公式記録は49分)の追加点はまさに永井が3バック脇から抜け出してPA内を攻略できたことで生まれた狙い通りの形だったと言えるだろう。

 

 

54分、名古屋選手交代。

アーリア→赤﨑

フォーメーションをおそらく4-4-2に変更。藤井を右SBにスライド。

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この後も東京は名古屋右サイドにあるスペースを使い続け、藤井や中谷に東京2トップとのバトルを仕掛ける。

 

 

東京もボールを持てるようになったとはいえ、やはりボール保持で優れるのは名古屋で持たれる時間は多くなる。

システム変更後からは名古屋の左サイドが少し不気味だなという印象があった。

 

前半は前で太田が詰まってしまっていたのに対し、システム変更後辺りから丸山の攻撃参加によってどちらか一枚が浮きやすくなるシーンが何度か出てきた。

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※イメージ

 

シャビエルが中に入ることで東京の陣形を内に意識させて二人が外で活動できるスペースを作る。そのスペースに太田と丸山の二人が入ることで三田のアプローチが遅れたり、マークの受け渡しが混乱したりする。そしてご存知の通りこの元FC東京の二人は左足のキックが非常にうまい。中の配置が整っていてもいいボールが上がってきたらどうにもできないケースもある。そういった意味でこの二人からゴール前に配球されるのは少し嫌なプレーにはなっていた。

 

 

63分頃、三田のシュートを受けたランゲラックが負傷し、武田に交代。ただでさえ欠場者の多い名古屋は満身創痍であった。

 

名古屋に持たれながらもカウンターでチャンスを演出する東京という流れが続く。

ゴール前まで迫られながらも決定機は作らせず比較的落ち着いた試合運びができていたが、82分に失点。カウンターの起点づくり失敗から前田のカットインミドルという王道パターンでねじ込まれた。

正面のシュートだったので、林に止めてもらいたかったというのが正直な気持ちではあるが、仮に完璧なコースに打たれていたらどのみち失点はしていたと思う。それよりもディエゴの落としに失敗したところがまずかった。

この場面に限らず、終盤はディエゴの不用意なロストが目立っていた。コンディションというよりもメンタル的な要因が大きかったようにも思うので下げても良かった気もする。ただ、両SHの交代でカードを2枚使っていたので永井を下げる以外の選択肢は取りづらかったか。

 

失点直後に永井を下げてジャエルを投入。この交代は少し疑問だった。

1点を守り切らなければいけない状態で守備が浮きがちなジャエルの投入。ジャエルを最前線に置き、フル出場のディエゴを4-4ブロックの前で名古屋の配球役を見る役割に。

個人的な意見だが、走り回ってボールの出所を少しでも塞ぐ、奪ってからサイドの広大なスペースで受けて時間を作る、という攻守両面で効きそうな田川をトップ下付近に。ディエゴは最前線で休みながら捨て球をマイボールにする役割でも良かったのでは?と思った。実際にジャエルの役割は疲れているディエゴでも務まりそうだった。

 

最後はゴール前に突っ込まれて「危ない!」というシーンも作られたが、なんとか逃げ切って3ポイント獲得。

 

名古屋1-2東京

 

感想・まとめ

 

アウェイでの勝利。この結果以上に語ることはないのかもしれない。

 

 しかしながら、理想的な展開で試合が進んでいたのにうかつな失点によって「最後は気持ち!」という終盤になってしまったことは反省点だ。

”守備は悪くなかったけど相手が上だった”という失点が生まれることも時にはある。それでも勝ち切れるスコアにしておくということは東京のスタイル的にも重要なことだろう。

 

もちろんポジティブな要素もあった。

この試合で言えば右SHの起用を挙げたい。

ここ2試合は疲労・試合の流れを考えたときに大森の交代が少し遅いのではないかと感じていたが、この試合では後半開始からスパッと代えた。そしてこれが良い効果をもたらした。三田の投入が直接的に得点には繋がっていないが、チャンスメイクや試合の流れを渡さないという部分では大きな貢献があったように思う。

まだ暑さも残る季節での疲労や試合の中で何かうまくいかないと感じることもあるだろう。長谷川監督の決断力は今後も問われるかもしれない。 

 

 

欠場者多数で満身創痍の名古屋が相手だったとはいえ、アウェイ8連戦で早めに勝ちを手にできたことは非常に大きい。このまま良い流れを持って戦っていきたい。

 

J1リーグ第25節 名古屋グランパスvsFC東京 プレビュー

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スタメン予想

 

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メンバー情報

FC東京

◦前節欠場していた室屋が復帰し、メンバー入りの見込み

◦小川の負傷状態が不明だが、メンバー外が濃厚

 

前節から岡崎→室屋の変更を予想。

 

 

名古屋

◦米本が長期離脱中

◦前節退場の宮原が出場停止

◦前節から丸山がメンバーに復帰

  

 ここまで全試合スタメンだった宮原が欠場のため、吉田を右に回して左に太田を入れる布陣を予想。

 

 

 

※追記

吉田が怪我という情報もあり、和泉が右SBの可能性あり。

 

名古屋簡易分析

 

 

ボール保持(&ネガトラ)

 

ビルドアップ

2CBと2CHの4枚を軸に行い、SBは少し高めの位置でサポートするようなイメージ。

2CHのシミッチとネットはかなり流動的に動いてボールを引き出して捌いてを繰り返す。一人が下りて3-1のようになることが多い印象。

 

 基本的にはシミッチ&ネットのWメトロノームからの展開・縦パスなどで攻撃を作っていくが、状況に応じて丸山からのロングパスや中谷の運ぶドリブル等も駆使する。

 

両CBともに攻撃参加するケースがあるが、ドリブルで運んでくることのある中谷の方がより前方に突進してくる。

単純に前線の枚数が増えるという点では厄介な攻撃参加ではあるが、その分SBが戻ってリスク管理をすることがないのでカウンターは打ちやすくなる。

前節(24節)のマリノス戦ではカウンターを受けたとき、最後方に丸山1人しかいないという状況があったりした。ゴール前を守る守備に関してはCBの個人能力に依存する部分が非常に強い名古屋なので、単純に中谷と丸山のCB2人に勝負で勝つことが得点を奪うことに繋がるだろう。

 

 

敵陣でのボール保持

敵陣でボールが持てるとSBを高い位置に上げて前線の枚数を増やしつつCH2人で捌きながら隙を伺う。吉田&宮原のSBセットの場合、吉田は最前線まで攻め上がる、宮原は外のスペースで待ちながら、クロスが上がれば大外に突っ込むようなタスク分けだった。吉田&太田のセットになった場合はここのタスクが変わってくる可能性は高い。

 

名古屋側が一番狙いたいのはPA内のジョーへ預けることと右SHの前田に仕掛けさせること。

ジョーに入ってしまうともうどうにもできない状態になってしまうので、中央を締めてまず入れさせないこと。前田は東京SHのサポートによって、広いスペースで1対1を作らせないことが重要だろう。

 

この他によくある攻撃としては左サイドでの崩しだろうか。ただし、今節はSBの組み合わせが変わる可能性が濃厚であるため、いつもとは違うコンビでの連携が求められる。 

 吉田も太田も全体のバランスを見るというよりも積極的に攻撃参加してくるタイプなので両チームにとってトランジションが重要なフェーズになることは間違いなさそうだ。

 

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※イメージ

 

ボール非保持

SHはやや高めにポジションを取るが基本セットは4-4-2ブロック。

前回対戦時のようにSHを前に上げた4-2-4ではなくなっているのは米本不在の影響もあるかもしれない。

 

2トップで中央に規制をかけてから中盤4枚で追い返してボールを捨てさせる、もしくは奪ってカウンターが狙いだと思われる。

この時にパス回しで2トップとSHのプレスを掻い潜ると4-4-2の4-2間が空きやすくなる。2トップは最初は追いかけるものの、プレスバック意識は高くないので1回外すことができれば東京のCHがボールを持てるスペースができそうだ。

 

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※イメージ

このエリアで髙萩や橋本、東らがフリーで持つことができれば裏の永井に一発!という攻撃もいくらかできるだろう。

 

4-4ブロックはゾーン基調で守るが、上記の理由からブロックの前のボールホルダーにプレッシャーがかからないケースがよく見られる。 ボールにプレッシャーがかかっていないゾーンDFは脆さが出るので、間にパスを通されるのだが、カバーエリアの広い両CBを中心に個人の守備でなんとかしてしまうことで傷をえぐられないようにしていることが多い印象。あとは残念そこはランゲラック。

 

非保持には脆さが見える名古屋だが、そもそも東京がボールを持てる時間があまり作れないことが予想される。東京側が自分たちでボールを持つということに対してどのような意識で試合に入るかどうかは一つのポイントになるだろう。

 

 

展望

 おそらく全員がそう思っているだろうが、名古屋がボール保持で東京のブロックを壊すのが先か、東京がカウンターで刺すのが先かという試合になるだろう。

名古屋のストレートが東京のガードごとぶち破るか、東京のカウンターパンチが名古屋の顔面にヒットするか。それだけである。

 

 

 さすがにもう少し細かい話をしよう。

前節の札幌戦ではジェイを消すためにラインを高めに設定し、ボール保持の時間も多くした。今節もジョーという強烈なキャラクターがいるので、その部分を継続するのか元に戻すのかという判断がありそう。札幌には鈴木武蔵がいたのに対して名古屋の前線にはボールプレイヤーが多く、裏抜けを得意とする選手は少ない(赤﨑がスタメンで出てくると厄介だが)。そう考えるとラインを高くする選択肢も取りやすいのかもしれない。

 

 

また、ここではスタメン予想で右SHに大森を予想しているが、三田やサンホのスタメンも十分にアリだと考える。

太田との1対1を仕掛けたりカウンターで突進できるサンホ、浮き球で裏のスペースへパスを出せる三田というストロングが生かせる展開になりそうという理由。

名古屋のメンバー選考にも多少左右されるが、東京右SHの起用法も試合前の見どころになる。

 

 

 

 スタイルこそ違うものの「どっちのグーが強いか勝負だ!」という対決。

こうなると大事なのはゲームプランや戦術よりもメンタルなのかもしれない。

 

かつて東京に在籍していた選手が多くいる名古屋。 お互いに選手たちの心には燃えるものもあるだろう。

バッチバチの試合を期待したい。

 

J1リーグ第24節 北海道コンサドーレ札幌vsFC東京 レビュー

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 プレビューはこちら。

 

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スタメン

 

 

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札幌は予想通りの布陣。

東京は室屋がベンチ外となり(おそらく軽度の負傷)、代わりに岡崎が右SBに入る。岡崎は室屋のように上下動や突破はできないが、ボールが持てて守備に安定感がある。最近ではCBでの起用が多かったが、昨年は右SBとして数試合スタメンで出場している。

 

 

前半

 

いつもより高い最終ライン

開始早々東京はハイプレスを仕掛けた。

その後もガンガンハイプレス!とはいかなかったが、札幌ドームという快適な状況下も影響してか、ここ数試合よりもライン設定を高くする。

これは相手に空中戦が強いジェイがいるため、彼をゴールから遠ざけたいという狙いがあったと思う。ラインを高くすることで鈴木武蔵らの裏抜けの脅威は生まれてしまうが、ジェイがいるゴール前でクロスを跳ね返す守備よりも裏抜けの方が危険度が低いという判断だったのだろう。

 

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それに対して札幌はシンプルに東京DFライン背後へのパスやサイドチェンジからチャンスを伺う。

福森とチャナティップというキック精度が高く、一発でサイドチェンジできる選手が左に2人いたことから左→右の展開で大外を使う。4:30頃にはサイドチェンジから大外で受ける右WBの白井はワンタッチでDFラインーGK間に流し込んでチャンスを演出。味方同士の接触であわや失点というシーンだったが、GK林がなんとか足に当てて事なきを得る。

 

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これは前回対戦でもよく見られた形で、FC東京の守り方がシーズンを通してぶれていないことから、この試合においても狙っていたパターンだと思う。これに加えてプレビューでも触れた、1対1を作り出してから後ろのCB進藤にバックパス→ダイレクトでファーへのクロスという形も持っていた。

 

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※プレビュー時に挙げたイメージ図(実際は進藤→菅だった)

 

福森は大森が前に立つことができればある程度消せる雰囲気はあったが、チャナティップからの配球を制限することがなかなか難しかった。元々のポジションから下りて受けに来るため、マークにつきづらく、さらに寄せが少しでも甘ければ個人でマークを剥がすことも簡単にしてくる。速攻でも遅攻でも札幌の攻撃でチャナティップを経由させないということはこの試合における最重要テーマだったような気がする。

 

 

ボールを持てる東京

札幌がボールを奪いに来なかったことやカウンター狙いの意識が強かったことから東京はボールを持つ時間が長くなった。先ほど触れたようにここでもジェイを消したいという意図もあったと思う。

東京が狙いたかったのは札幌5-2-3の2のエリアとマンマーク基調からラインにギャップができやすいところ。東京のボール保持でキーマンだったのは髙萩・東・ディエゴの3人だったと私は考える。

 

東京が後ろで回していると札幌は少しずつ前に出てくる。そして5-2-3の2のエリア、つまり札幌ブロックの中盤のエリアには人が少なくなり、中盤の空洞化が起こっていた。

これによって札幌DFはここで受けようとする東京の選手について行き、DFラインにはギャップが生まれる。ということで中盤エリアより先に入れされたくない札幌は中央で選手間の距離を縮めることでパスコースを消そうとしていたが、髙萩がその間を通すことで空洞化した中盤を使うことができていた(パスカットされて被カウンターというシーンもあったが)。

そこのギャップを頻繁に狙っていたのが東。ベースポジションは左だが、頻繁に右に流れてきて裏抜けや間受けを狙い、ボールを引き出す。

 

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また、猛威を振るっていたのがディエゴ・オリヴェイラだ。どの試合でも彼が強烈なのは間違いないが、人についてくる札幌に対して後ろ向きで受けても絶対に対面の選手を剥がす兵器と化していた。しかしながら下りすぎてゴールから離れてしまい、剥がしてもまだDFがいる、という状況に陥りがちだったようにも見えた。

ただ、38分に先制点を生んだFKを獲得したのは彼の突破から。直接的に得点には絡めなかったが、珍しくボールを持てた東京にとって彼の存在は大きな意味があったと思う。

 

 

構えてカウンター機会を伺う札幌

 札幌は東京のボール保持に対して奪いに来ない。始めの方こそ福森やチャナティップの展開からチャンスをうかがっていたが、前半はカウンター主体の攻撃になっていた。

 

東京は敵陣まで押し込むとSBが高い位置まで上がっていることが多く、髙萩も頻繁に高い位置で攻撃参加する。そうすると奪われたときにカウンタープレスで奪いきれないと後方の枚数が少ないまま対応しなければならなくなっていた。

奪ったら縦に速く攻めたい札幌vs奪われたらすぐに取り返したい東京、という構図。東京が取り切れれば二次攻撃、札幌がプレスを交わせばカウンター発動となるため、前半であるにもかかわらずかなり速い展開になりやすかった。

 

 

 38分、東のFKから渡辺が合わせて先制し、東京が1点リードで折り返し。

 

 前半まとめ

 

東京の方がボール保持率が高く、敵陣でもプレーができてシュートも一定数打てていたことから一見東京ペースにも見えたが、決定機の数で言えばおそらく札幌の方が多かった。札幌もプラン通りにはいっていなかったのだとは思うが。

札幌はゴール前でパスやコントロールがずれたことで決定機を逸していた印象でその部分がフィットしていたらゴールを割られていた可能性が高かったように思う。

対して東京のシュートはPA外のミドルや相手DFにコースを制限されているケースが多く、ゴールを決めるには圧倒的な決定力を見せる必要があったように思う。

 

実際にいいプレーはたくさんあったのは事実だが、そういった面で一概に良い内容だったとも言い難い展開だったと感じた。

しかしながら、先制に成功してリードで折り返せたことは非常にポジティブに捉えるべきだろう。

 

 

後半

 

前半の貯金を無効化する同点弾

 後半も開始から東京がエネルギー高めで入るが、開始から1分(公式記録は47分)で同点弾を浴びる。

前に重心をかけたところで奪われてスペースで待っていたチャナティップへ。東京は2人がかりで対応するがチャナティップにとってはプレッシャーに含まれない程度の寄せにしかならなかった。人数自体は揃っていたが、スペースに入れられて鈴木武蔵にシュートを許す。シュートは林の目の前でジェイに当たってコースが変わりゴールへ。

確かに最後は事故要素が強かったかもしれないが、チャナティップに繋がれてからカウンターを決められたことを考えれば事故での失点だから仕方ないで済ますべきシーンではないように思う。最も警戒すべきチャナティップ起点のカウンターを許したことに対してはしっかりと向き合うべきだろう。

 

早くから殴り合いモードに

 

 後半は両者ともに速い攻撃を志向する。それもあって全体が間延びしやすくなっていた。

 60分近辺からボールが行ったり来たりすることが多くなる。

これは札幌の前に人数を割く攻撃に対して、東京も殴り合い上等の構えを取ったから。

 両者ともにオープンな展開を許容した上で、どちらが先に点を取れるかといった攻防が繰り広げられた。

それぞれチャンス自体は同等に作り出していたように思うが、ゴールゲッター(札幌ならジェイと武蔵、東京ならディエゴと永井)以外にボールを運べて時間の貯金を潰さない選手の有無によってカウンターの質に差が出ていたように思う。

札幌には前線の選手をうまく使いこなせるチャナティップという圧倒的な猛獣使いに加えて両WBにも推進力がある。

対して東京はカウンターでも前に出てこれる室屋が不在、大森はおそらく疲弊状態と2トップを生かせる”+1”になる選手がいなかった。それによって2トップが出し手に回るケースが増え、それぞれがストロングを生かす役割になりにくくなっていた。

 

流れと逆行してしまった選手交代

 

選手交代。

71分

札幌 白井→ルーカス・フェルナンデス

東京 大森→ナ・サンホ

 

さらに札幌は直後に宮澤→深井でCHを交代。

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意外にも最近はWBの交代がパターン化してなかった札幌だが、白井を早めに下げてルーカスを投入。フレッシュな選手を入れたかったというところか。

東京はおそらくオープンになったことと大森の疲労を考えてサンホを投入。サンホはラストパスを出すタイプではないものの、独力で長い距離を運べるのでそういった意味で+1を求めての投入だったと思われる。

 

しかし、サンホを入れた後はオープンな展開であったボーナスタイムは終了しており、サンホはその恩恵を受けることができなかった。

 

81分、東京が2枚目の交代。ディエゴ→ジャエル。

ある程度ボールを持った時間も作れそうな流れであったため、見かけによらず足元のテクニックがあるジャエルを入れて打開しようという狙いだったように思う。

ここで予想外だったのは交代が永井ではなくディエゴだったこと。交代前のプレーを見ると疲労が交代理由だったと思うが、ブラジル人同士のフィーリングからジャエルと連携度が高いディエゴを下げたことで攻撃を難しくしてしまった。

 

そしてこちらもジャエルを入れた後にボールを持つ時間が減った。ジャエルは札幌のジェイと似たようなイメージで守備で効く選手ではなく、そこまでカウンター向きでもない。そうなるとジャエルが生きる時間は少なくなった。

 

83分、札幌最後の選手交代。菅→中野。両WBをフレッシュな選手に。

 

88分東京最後のカード。東→三田。

 

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最終盤もオープン気味な展開になる。チャナティップと武蔵に加えて推進力があってフレッシュな両WBがいる札幌には勢いがある。東京はフレッシュなサンホが入っているもののディエゴが交代しており、カウンター型の陣容ではなかった。そうなると分が悪く最後はひたすら押し込まれたが、決定機は作らせず試合終了。

 

札幌1-1FC東京

 

感想・まとめ

 

東京からすると、前半は頻繁にカウンターを食らいながらも、やりたいことはある程度できていた感覚だろう。しかし、後半は早々の失点も影響してゲームのコントロールが上手くいかなかった。交代カードと試合の流れが逆行してしまったのも悔やまれる。

 

非常に難しい試合にはなってしまったが、なんだかんだ言って堅い守備陣の頑張りもあって追加点は許さず勝ち点1を取れたことはポジティブ要素だろう。

 

 これを言うと怒る人もいるかもしれないが、これまでのリーグ戦の中で最も久保建英を欲する試合だった。彼自身がスーパーであることは言うまでもないが、今回の試合にいれば圧倒的な存在感を放っていたことだろう。後半の殴り合った時間帯に得点を取れていたイメージもできる。

しかしながら、誰もがご存知の通り、彼はもういない。

彼がいない中でもこのような展開をものにできるチームにならなければならない。

 

 

首位に立ってはいるものの、まだまだ試練はここから。

多くの課題を乗り越えたときに頂は見えてくる。

 

 

J1リーグ第24節 北海道コンサドーレ札幌vsFC東京 プレビュー

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スタメン予想

 

 

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メンバー情報

FC東京

◦ユ・インスが負傷離脱中。

◦小川の負傷状況が不明でメンバー外の可能性が濃厚。

 

 

札幌

◦駒井が怪我により長期離脱中。

アンデルソン・ロペスが2試合続けてベンチ外。この試合でもメンバー入りが不透明。

 

 

札幌も東京も前節と同じメンバーを予想。

札幌との前回対戦から変更となっているのはトップがジェイ、右WBが白井という部分。CHの1stチョイスが深井ではなく宮澤と荒野になっているのも変更点。

白井が好調ということもそうだが、メンバーにジェイが加わったことは大きな変化となる。

 

札幌簡易分析

 

ボール保持

 

ビルドアップ

 前回対戦時と同様に2CHのうち一枚を下ろして4バック化しWBを高い位置まで押し上げる4-1-5のような形。いわゆる「ミシャ式」というやつだ。4-1の5枚+GKを中心に行い、状況に応じてチャナティップも参加する。

 

 

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※配置イメージ 

 

札幌側から見て中盤より前は多くの配置的なミスマッチが発生する。東京がこのミスマッチにどう対応するかが最初のポイントだろう。東京2トップの守備基準をどこに置くか、下りるチャナティップをどこまで捕まえに行くかは最初の見どころかもしれない。

 

 

 

ここ数試合を見た限りでは東京は重心を低くして相手に持たせることが予想されるが、試合会場が比較的涼しい札幌、かつ日差しを浴びないドームでのゲームとなることからこれまでより多少前プレを行う可能性もある。そうした場合に最も気を付けなければならないのがジェイの存在だろう。

前から人を捕まえる守備を行えば必然的に後ろのスペースは空く。その状況でジェイにロングボールを入れられてこぼれ球を拾われると一気にピンチを招き、迅速な撤退が強いられてしまう。

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※ジェイへのロングボールイメージ

 

 

 

ただ、札幌がこのプレス回避を持っているのはわかっているはずなので、これまで通り後ろに重心を置いた戦い方がベースになるだろう。広島戦同様にSHがWBを見るような守り方が考えられる。

 

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※イメージ

 

この場合に気を付けなければならないのが高い位置で攻撃参加してくるCBの福森と進藤。

広島の左右CBは野上・佐々木とどちらかというと”守備の選手”である選手起用であったことに対し、札幌の左右CBは攻撃性能が非常に高い。福森は言うまでもなくJリーグ屈指のキック精度を持つ選手であり、進藤もフリーで持たせたらそれなりの精度のクロスを入れる能力はある。さらに中央にはジェイという圧倒的ターゲットがおり、空中戦に強い森重や渡辺でも競り勝つのはなかなか難しい。そうなるとやはり簡単にクロスを入れさせたくはない。

 

 

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※ジェイや東京SB裏に飛び込むWBを狙ってくるクロスを狙ってきそう

 

このようにクロスを上げさせないために重要なポイントとなるのは東京SBの1対1守備とSHのハードワーク&ポジショニング判断だと考える。

前節は佐々木や野上は放置気味にする対応が多かったが、札幌戦ではそうもいかないことが多くなるはず。状況に応じて東京SHが札幌CBを抑える判断もしなければならない。前節よりも自陣守備でのSHのタスクが増えると言える。

 

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※札幌左サイドへの対応イメージ

 

 

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※イメージ②

 

上図のような対応を続けられることが理想ではあるが、CBも意識しなければならないとなると札幌WBvs東京SBの1対1が発生する状況も出てくる。そうなったときに室屋とジェソクの両SBが対面のWBに突破させない、クロスを許さない守備ができるかは重要になる。

 

 

 

 また、WBが高い位置を取ってSBを引き付けておいてから内に入り、空けたスペースにCBが飛び込んでくるパターンもある。

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※イメージ

 

こうなった場合も誰がどこを守るのか整理する必要がある。

 

 

 

チャンスメイクパターンとしてはやはりWBの突破や左右CBからのクロス供給からがメイン。ビルドアップで相手を前に引き出して中盤を空洞化させ、強力な1トップ2シャドウの3人+WBを絡めた縦に速い攻撃もある。

 

前述したようにクロス対応はSBとSHの状況判断ないし、1対1での勝利が重要。札幌ビルドアップにおいては中途半端な前プレを行わないこと。

前節では一度の隙を突かれて敗戦を喫した。一試合を通じて一貫した守備ができるかどうかは勝敗を左右するだろう。

 

 

 

ボール非保持

 

 基本は5-4-1、または5-2-3でのセット守備。機動力に長けるタイプではないジェイが1トップにいることもあってか前から強めのプレスはそこまでかけてこない印象。

その代わりではないが、1トップ脇に簡単に入られることはきらって、中盤の選手が前に出てくる守備を行う。ここは広島と少しだけ似ている部分かもしれない。

 

 

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※イメージ

 

 札幌の2CHもおそらく役割が分担されており、安っぽい言い方をすると荒野は前め、宮澤は後ろめを担当。荒野はプレススイッチ的な役割もありそう。宮澤は中盤底のスペースを埋める意識も強く、ベースポジションがやや低めでそこから人に出ていくイメージがある。

 

 

特徴的なのが最終ラインにいる選手の人についてくる意識が非常に強いこと。ここ数試合の札幌を見る限りはJ1の中でマンツーマン要素が最も強いチームかもしれない。

中でもCB福森はかなり深くまでついてくる。時には味方の中盤のラインより前に来ることも。

このマンツーマン守備によってラインコントロールやスペース管理はかなりアバウト。東京としては最終ラインのギャップが一番突いて行きたい部分になりそうだ。

さらに東京の2トップは裏抜けを繰り返せる永井と下りて受けられるディエゴのコンビ。ここの押し引きでうまいことスペースを作りたいところ。

 

 また、この2トップ役を生かす配球役もカギを握る。おそらく小川は欠場が見込まれるため、最終ラインでは森重、少し前で髙萩、相手DF-MFライン間では東とパスを出せる選手が3人がいる。彼らがどれだけ2トップにパスを供給できるかは非常に重要なポイントだ。

 

 

 

まとめ

要注意ポイント

◇ジェイへのロングボール並びにクロス

◇フリーになりやすい福森や進藤からのクロス供給

◇WB(特に好調の白井)の仕掛け

チャナティップの下りる動きへの対応

★福森のセットプレー

 

狙いたいポイント 

◇バランスが崩れやすい配置を突くカウンター

◇人に強く出てくる守備の利用

◇(比較的)涼しく快適な環境でのコンディション勝負

 

 

展望

 ホーム三連戦(セレッソ、仙台、広島)での試合とは異なり、おそらく前半から両者ともに仕掛けていく時間もでてくると思われる。

東京が前からプレスに行けばジェイを使ったダイレクトなビルドアップ、東京が引いて構えれば後方からショートパスで繋ぎ、コンビネーションを使った崩しやクロスを札幌は狙ってくるだろう。

前者であればジェイに収めさせない、セカンドボールを回収するということ、後者であれば押し込まれすぎず、中盤エリアで追い返すことがポイントになりそう。

最も重要であり、両方に共通することは相手が焦れてバランスを崩したときにカウンターを決めきること。札幌もそこのリスク管理は行うはずだが、攻撃に重点を置く札幌相手では必ず何度かチャンスは訪れるはずだ。

 

万が一先制を許しても札幌は追加点を取りに来て全体のバランスを崩すことがある。先制を許した後にボールを持たれたとしても慌てず相手の隙を伺う戦い方でも良さそうだ。

ただし隙がある分、追加点を取られる確率も高まるので、早い時間帯での複数失点は避けたいところ。

点を取りに行かなければいけない→前から追う→プレスを外される→前線のタレントで殴られる、という展開になってしまうと前節清水vs札幌の0-8のようなスコアが起こり得る流れになってしまう。

 

 札幌は撤退守備に強みがあるチームではないため、こちらのボール保持でもチャンスはあるはず。どのようにスコアが動いても焦れずに戦うことが重要だろう。

 

この試合で期待したいベンチメンバーはナ・サンホ。東京に来てからはSHの位置で出場してドリブルを仕掛ける印象が強いが、元々はDFラインと駆け引きできるタイプの選手(昨年の韓国リーグ2部での映像が参考)。

永井がバテて代えざるを得なくなった時に性質上スペースを空けやすい札幌DFに対してサンホをFWでぶつけるのは有効だと考える。

 

また、福森番を任されるであろう右SHの大森と三田のハードワークと好調の白井と対峙するであろうジェソクの守備も重要。彼らが少しでもサボると失点する確率が高まる。

結局健太トーキョーで最も重要なことはハードワーク。そこで上回り、勝利をつかむことを期待したい。

 

 

自由研究 シェフィールド・ユナイテッド

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今回は珍しくプレミアリーグの試合について。

シェフィールド・ユナイテッドが面白いよ!ということを聞いて見てみたらけっこう特殊なサッカーしてたのでそれについて簡単にまとめます。

 

 

 

対象試合:プレミアリーグ第2節 シェフィールド・ユナイテッドvsクリスタル・パレス

 

 

 

フォーメーション図

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シェフィールド:5-3-2(3-1-4-2)

パレス:4-4-2

 

 

ボール非保持

 

ベースは5-3-2ブロック。

 

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※イメージ

 

パレスは2CBと2CHのボックスビルドアップ+大外で両SBがサポートという形。

 

基本セットは5-3-2だが、左右で守備基準が異なっていた。

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※イメージ

 

パレスの左SBへは右のIHが横スライドで対応(RIHがRWBに「俺が行くから前に出てくるな」というような合図をしていた)。対して右SBへは左WBが前に出て対応。ここのマーク対象はおそらく試合開始前からはっきりと決めていたのだろう。左WBはこのタスクを持っていたのでベースポジションがやや高く、4-4-2でセットしているように見える場面もあった。

シェフィールド側からするとこの中盤エリアで蓋をしたいという思惑があったように感じる。

 

パレスとしてはシェフィールドの左WBのところに複数のマーク対象を作り出して混乱させようとしていたが、背後にいる相手選手のマーク受け渡しができていたことや左IHのサポートによってこの守備基準が崩されることは少なかった。

 

 

一つ気になったのは自陣に撤退を強いられたときの守備。

5-3ブロックをベースで守るのだが、WBが相手選手にピン止めされると中盤3枚が大きくスライドしなければならない。

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※イメージ

 

そうなると上図のように逆サイドの中盤を守り切れなくなるのだが、その時には2トップのうち一人が戻ってきてそこを埋める。ここのプレスバックが遅れるとCBがつり出されてそのスペースをFWに走られていた。(パスは通らなかったが)

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※イメージ

 

 

ボール保持

今回のメインテーマはこちら。

 

おそらくシェフィールド・Uは速い攻撃よりも後ろから繋いで得点を取りたいチーム。他のチームではほとんど見られないような攻撃方法を取る。

 

ビルドアップ

ベースは3-1-4-2で3バック+アンカー、加えてIHも下りてきたりする。GKはビルドアップに参加しない。

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※ベース配置

 

そのままの配置の時でも左右のCBは比較的大きく広がる印象を受けた。

 

上記ではベースと記述したが、おおよそはここから派生したビルドアップになっていることが多かった。

 

おそらく最も多用していたのは右CBをサイドに張らせてSBのような位置に置く形。ただし、これをやると相手2トップに対して最終ラインが同数になってしまうので、アンカーの選手が右CBの空けた2トップ脇に移動してくる。

 

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※イメージ

 

このようにして右に数的優位を作り出して前進を狙う。

CB→大外の選手(右ならRCB、左ならLWB)にパスが通ったときに相手のSHの背後を取れていればそのまま素早く縦に運んで相手SBに数的優位を突き付ける。

 

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※イメージ

 

この形まで持ち込めれば、相手SBがWBを見るならそのまま突破してクロス、ボールに出てくるならWBが背後を狙うといった攻撃ができる。

 

 

また、CB→WBと単純に預けてからWBが少し内に入り、空けた外側をCBがオーバーラップしてくる形も頻発していた。

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※イメージ

 

この時にWBが大外で相手SBを引き付けていた場合ならCBが相手CB-SB間(いわゆるチャンネル)をインナーラップしたりもする。なりきりSBである。

 

図示は右サイドだけだが、CBの攻撃参加は両サイドでほぼほぼ同じように行われる。

 

 

 ちなみにこのCB攻撃参加が片方のサイドで行われてから、逆サイドに展開するとそっち側もCBがオーバーラップしてくることがある。そして元々攻撃参加していたCBも守備に戻らない。

一度落ち着いて頭を整理してもらいたいのだが、この時点で3バックのうち二人は敵陣深くまで出てきている。

ピッチ全体が画面に映らないため最後方の状況が確認できなかったが、どういうリスクマネジメントの仕方をしているのかは非常に気になった。

補足すると、これが起きたのはスコアレス時の前半。なんだこのクレイジーチームは。

 

これだけバランスを崩した配置を取る分、攻から守への切り替え(ネガティブトランジション)での帰陣意識はかなり高そうだった。

 

 

ボール近辺の選手がボールを追い越していくという動きがチーム内の共有(ゲームモデル?プレーモデル?)にありそうだが、そこまで細かくは深掘りできなかったので誰かに研究をお願いしたい。

 

 

右CBの位置の取り方について、あえてJリーグで例えるなら大分の岩田あたりが近いかもしれない。ただし、タイミングを見計らった攻撃参加というイメージの岩田よりもシェフィールド・Uの方が良くも悪くもかなりクレイジーな攻撃参加に見える。

 

 

 

以上でまとめ終了。

いかがだっただろうか。

これを読んだあなたは今後シェフィールド・ユナイテッドについて少しだけ通ぶることができるはずだ。

これから段々と積極的に攻撃参加するCBの気分になっていくだろう。

気づいたときにはもう外側を駆け上がらずにはいられない体になる。

通学・通勤時等、私生活からガンガンオーバーラップを仕掛けていってほしいと思う。(煽り運転はだめだよ!)(交通ルール・マナーは守ろう!)

 

 

J1リーグ第23節 FC東京vsサンフレッチェ広島 レビュー

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brgacha.hatenablog.com

プレビューはこちら。

 

 アウェイ8連戦を直前に控える前のホーム3連戦最終戦となる広島戦を振り返っていく。

 

スタメン

 

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東京は右SHが三田ではなく2日前の天皇杯で90分出場している大森が先発。広島のストロングサイドの左を塞ぐために守備での信頼度が高い大森を置きたいといった意図だろうか。

広島は右シャドウに野津田ではなく東俊希が入る。

 

それ以外は予想通りの布陣。

 

前半

まず、開始後の雰囲気からこの試合でも前半は抑えめで進めるというプランが感じられた。

 

広島保持に対する東京の守備基準

広島はCHを中盤にとどめてベースポジションをおおよそ守った3-4-2-1でのビルドアップ。これに対して東京はいつも通り4-4-2ブロックを組む。

東京はここ数試合と同じように右SHの大森が対面のCB佐々木にプレスをかけることと、大外のWB柏を見るという役割を任される。自陣撤退時には5バック気味になってでも柏へついて行くくらいの守り方であった。逆サイドの東は中央を閉じながらWBハイネルを見ていくことがメイン(数回だけCBへプレスをかけていた)。

 

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※守備基準

 

室屋は最終ラインでハーフスペースを守る位置をベースとするが、大森が佐々木へプレスに行ったときは連動して前へ行き柏を捕まえる。その時背後のスペースは渡辺に任せる。

 

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※イメージ

 

 東京としては自陣での守備時間を減らしたいため、上記のような右サイドからのプレスで前進を抑止する、またはそこから回収して自分たちの保持時間を作りたかったと思うが、下りてくる森島によってそれが上手くいかなかったように見えた。

 

森島はCH髙萩とSH大森の間を取るように下りてくる。5分のシーンでは大森の左脇で受けた森島に単独で突破されかけた。ここでは渡辺のカバーリングによって対応したが、このような展開は作られたくない。

そんな東京は森島の間受けを意識する必要があるが、そうなると佐々木へのプレッシャーをかけにくくなる。ボールホルダーにプレスがかかっていなければ室屋も裏のスペースを空けにくく、大森が佐々木・柏・森島の3人を意識した守備をすることになる。

 

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※イメージ

 

頭に負荷がかかりそうな大森だが、森島が下りてきたときには佐々木を捨てて守り、バックパスが出たら佐々木にプレス、という動きができていたことで前進を防ぐことはある程度できていたように思う。一方でボールを回収するという面については広島のミス待ち要素が大きかった。

 

 

東京のボール保持

開始直後から橋本が1列下りる3バック化を頻繁に行う。いつもと変わらず、左サイドはCB森重を中心に、右サイドは大森が下りてきたり髙萩が流れたりして起点となる。右CBの渡辺は基本的に誰かに預けるのみの役割。

 

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※イメージ

 

東京両SHはあまり中央には入らず、大外で待機していることが多かった。WBを引き付けて、大外を空ける狙いだったかもしれない。

また、ボールとは逆サイドのSHが流れて崩しに絡む動きが20分過ぎに両サイドで行われた。この際には突破に成功し、チャンスを作れていた。

 

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※イメージ

 

これのメリットとしてはSHが崩しにおける+1の選手になることでマークにつきづらくなる。加えて2トップがゴール前へ入る動きに専念できる。

デメリットはバランスが崩れているのでベースポジションまで戻るのに時間がかかり、ボールを奪われたときの切り替え、いわゆるネガティブトランジションでの消耗が大きくなることだろう。デメリット部分に関しては2CHとボールと逆サイドのSBが上がりを自重することでバランスを保っていたように見えた。

 

 

お互いにチャンスもシュートも少ない展開が続き前半はスコアレスで終了。

 

 前半まとめ

 

 東京はセレッソ戦、仙台戦の2試合と比べると比較的早い段階で前から行く守備も見せていたが、「前から取りに行く!」という雰囲気でもなく、どこか中途半端な印象があった。特に8:55あたりのシーンではPA付近まで深く追いに行ったのにあっさり中央から繋がれて結局撤退、という流れでチームとしてのプレスに行った意図が伝わりづらかった。

 

「前半は、前からボールを奪えるチャンスがあれば、全体でプレッシャーをかけに行こうと話していた。何度か奪いに行ったが、なかなかうまくボールを奪えず、ボールを持たれる形になった」(橋本)

FC東京公式HPより引用

https://fctokyo.co.jp/game/2019081703

 

コメントを見る限りでは、選手からすると奪いに行ってはいたが、うまいこと奪えなかったということのよう。とはいえ連動性が弱かったので、全体での意思共有の不足や疲労の影響などがあったのかもしれない。

 

 

広島のストロングサイドである左をほぼ完ぺきに抑え込んだことはプラン通りだったはず。渡辺のカバーリングは完璧でスペースに飛び込んできた選手はことごとく潰せていた。

 

 

0-0というスコアはおそらく両チームにとって想定通りの展開だっただろう。

 

後半

 

前に出る東京

後半から東京は前への圧力を少し強める。

前半までは右SHの大森のみ前向きのプレスを行っていたが、後半からは東も少しベースポジションを上げて人を捕まえに出ていた。このように形を変えた影響で広島の大外に張る選手(主にWB)を東京のSBが見なければならない状況が増える。

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※イメージ

 

また、東京CHの連動が遅れることもあった。前の選手で背後へのパスコースも消せないので広島のCHは浮きやすく、そこから空いたスペースへの配球を簡単に許すシーンが見られた。

 

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※52分のシーン 

 

 

57分広島は東俊希に代えて青山を投入。もう少し早く入れたかったのかもしれないが、コンディションを考えて出場時間30分目途だったのだろう。

 

青山がCHに入り、川辺がシャドウにスライド。

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※青山投入後

 

広島の得点場面振り返り

その直後の60分(公式記録は61分)に広島が先制する。プレビューでも触れたが、最も注意しなければならない広島左サイド、それもハーフスペースへのランニングからの失点だった。

この失点について原因を考えていきたい。

 

このシーンの印象としては、

①室屋がついていけなかった

②大森がついていけなかった

③橋本や渡辺のカバーが遅かった

④林に止めてほしかった

等が挙げられるのではないかと思う。

 

ただ、ここではもう少し前のところに注目したい。

 

まずは大森のポジショニング。

映像は各自で見直していただけたらと思うが、柏がボールを持っているときに大森の立ち位置がDFラインより少しだけ高い。これによって川辺がハーフスペースで受けられるスペースを作り出してしまっている。

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※イメージ

 

これがあと数メートル後ろであればパスコースは塞げていたはず。実際に前半開始直後には柏からハーフスペースに走る森島へのパスを室屋がポジショニングによってカットできている。

 

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※失点シーン立ち位置の理想

 

この微妙な立ち位置の違いで防げた失点だったのではないかと思う。

 

 

次に大外の柏へアプローチに行ったのがSBの室屋だったこと。ここが一番触れたいポイントだ。

この試合では配置が整っていれば広島WBへは東京SHが1stDFとしてついていた。失点場面でも大森がシャドウの川辺に意識が行っていたものの大外へのスライドも十分に間に合ったのではないかと思う。

ではなぜ行けなかったのか。

考えられる理由としては単純に疲労的な部分が大きかったのではないかと思う。大森は天皇杯フル出場から中二日での先発かつこの試合は気温の高い環境。さらに大森はピッチに立つ11人の中でもおそらく最も多くのタスクを与えられていた選手だと感じた。

天皇杯でメンバー外となっていた比較的フレッシュな三田がベンチに控えていたので、後半開始から入れるくらい思い切っても良かったと思うが、皮肉にも交代が行われる直前に失点を喫した。(失点したから交代カードを切ったのかもしれないが)

 

ここの交代が早ければSHがボールに寄せてSB室屋が元々のポジションを取ることでパスコースを消せていたかもしれない。

たらればかもしれないが、この交代タイミングが明暗を分けたと思っている。

 

 

失点直後東京は2枚替え。

大森→三田

永井→ジャエル

その後も東慶悟→ナ・サンホと得点を取りに行く姿勢を見せる。

 

広島はドウグラスヴィエイラレアンドロペレイラの交代を行った後にハイネルが負傷しサロモンソンを投入。

お互いに交代カードをすべて使いきった上で残り15分に臨む。

 

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クロスやセットプレーからチャンスは作り出すも最後まで広島のブロックを破ることができず。東京の前線にエアバトラーがいないことと広島の3バックが跳ね返しに長けていることで単純なクロスやロングボールは完全に無力と化した。

 

感想・まとめ

 少なくとも引き分けには持ち込みたい展開ではあったが、こんな試合もあると割り切るべきだと思う。前節も前々節もうまいこと先制点が取れたからこその勝利。この試合では選手のコンディションやちょっとした駆け引きで上回られた。

 

 ビハインドを背負った時の得点へのアプローチは課題を残したが、ジャエルとサンホは攻撃の色を変えられる選手で、何かを起こしてくれそうな雰囲気はあった。ビハインドを背負わないことが最も重要ではあるが、苦しくなった時に彼らが何かを起こせるかどうかはここからのポイントになりそうだ。

 

 

 

痛い敗戦を喫してしまったわけだが、ここからカップ戦も含めて連戦は続いていく。下を向いている暇はない。

 

 

 

J1リーグ第23節 FC東京vsサンフレッチェ広島 プレビュー

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スタメン予想

 

 

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メンバー情報

FC東京

◦小川が天皇杯で負傷退場しておりメンバー入りが不透明

◦ユ・インスが負傷離脱中

 

広島

◦青山が21節札幌戦から復帰している(メンバー入りは16節川崎戦から)

 

 

 

水曜日に行われた天皇杯のメンバーから上図のメンバーを予想。

東京は前節と同じ。

広島は天皇杯で佐々木が出場無しで井林がフル出場していることから入れ替えを予想。

前回対戦時から広島は吉野→荒木、松本泰→稲垣、サロモンソン→ハイネル、柴﨑→森島と4か所変更となっている。(予想では)

 

 

広島簡易分析

 

ボール保持

 

3-4-2-1からの可変、もしくはそのままのポジションを保つ。

 

ビルドアップ

 3バック+2CHの5枚が基本。ベースポジションのまま3+2で行うパターンとCHを一枚下ろした4+1のパターンがある。

 

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※前回対戦時の4-1ビルドアップ

 

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※3-2ビルドアップイメージ

 

 

 また、左シャドウに入る森島が低い位置まで下りてくるケースが見られる。逆サイドの野津田はそこまで下りてこず前線にとどまる。

 

佐々木は昨年4バックのSBを務めていたことから運んでくる動きも見せることがあるが、他のCBは簡単に預けるパスが多いように見える。また、2CHもターンが上手いタイプではないのでライン間から抜け出してきてプレッシャーのかかりにくい場所へ下りる動きが多い。

 

 

相手がプレスをかけてくればいなして中央突破もあるが、基本的には突破力のある両WBへ預けるためのビルドアップと言えるかもしれない。

 

 

チャンスメイクパターン

 

 やはり一番のストロングは左サイドの柏。彼のドリブルから左サイドを切り裂いてシュート、またはゴール前にクロスを送る形が威力抜群。前回はSBとSHの二人で見ることで抑えることに成功したが、今回も同じように守れるかは注目ポイント。

 

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また、前回と異なるのは柏のサポート役になるのが柴﨑ではなく森島になったこと。大きく括ればタイプ的には似ているかもしれないが、柴﨑よりも内側を取る動きが多く、ここからのチャンスシーンが生まれやすい。

SBはWBへの対応に出ていきハーフスペースは空きやすくなるはずなので、東京の右CH(おそらく髙萩)がCB-SB間を埋める仕事をさぼらずに続けることは重要になるだろう。

 

 

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※森島のSB裏狙い 

 

森島がPA内の深い場所を取った後には稲垣がPA付近に飛び込んでくる。

4-4-2でCHがSB-CB間を埋める守り方をするとどうしても空きやすくなる場所に稲垣が入ってくることになるので、ここの埋め方ははっきりしたいところだ。

 

 

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※稲垣PA内突撃

 

ボール非保持

 

 5-4-1ベース。中盤の4は中央を固めて外に出たらWBが前に出てくる。

空きやすい1トップ脇は中盤4枚のうち一人が出てきて埋めるような守り方。

中盤の4人が前に出てくると穴が空きやすくなり、CBも人について出てくるため、人を引き出してスペースを作り出すような攻撃ができると理想。

 

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※使いたいスペース
 

 

ハイプレスをかけてくることもあるが、構えてから迎撃スタイルの方が多いだろうか。WBとCBが人に食いつく傾向があり、そこで奪ってカウンター!というのが狙いかもしれない。

 

 3CBが全員対人に優れ、跳ね返しもできるタイプなので、どのようにバトルを避けながらゴール前に迫れるかが得点への道筋になるかもしれない。

 

 

特徴

 

試合によってボール支配率の数字にばらつきがあるが、可能であればボールを持って攻撃したい、といったように見える。ボール保持ではWBを軸にサイドから攻撃を仕掛けてハーフスペースへの侵入を狙う。

サイドを塞がれるとトップのドウグラスヴィエイラを中心にしたコンビネーションからシュートを目指すといったところだろうか。

 

2CH(川辺と稲垣)が前向き矢印強めの選手なので、奪ってから縦に突っ切るカウンターは勢いがある。運びながら決定的なパスを供給できる森島を経由するカウンターは注意したい。

 

攻撃の中で最も厄介なのは1トップに入るドウグラスヴィエイラだろう。柔らかいタッチでしっかりとボールをコントロールし、懐の深い持ち方で相手DFにボールを触らせない。ボールの収まりが非常に良い選手。

自陣では守備に参加せず、最前線で攻撃に備える。困ったときは彼に預けておけばキープしてマイボールにしてくれる。

彼を徹底的にマークしてキープさせないディフェンスができれば満点だが、ある程度の割り切りも大事なのかもしれない。

 

 

展望

 

 セレッソ戦、仙台戦とここ2戦の前半の入り方を見るとこの試合でも重心を下げた戦い方を選ぶ可能性が高い。広島攻撃のカギを握る両WBをSHとSBの二人で蓋をしながらカウンターの機会を伺うような流れになると思われる。そうなると右SHは大森でスタートした方が良さそうと個人的には思うが、大森は天皇杯でフル出場しているのでベンチスタートが濃厚。三田がそのタスクをこなすことを期待したい。

 

広島の非保持はどちらかというとハイネルのサイドの方が崩しやすそうだが、東京がコンビネーションからの打開が図れそうなのはその逆のサイド。前節の仙台戦を見る限り、室屋と三田のところにもう一人(ディエゴや髙萩)が加わる良い連携は見られるかもしれない。

 

 

早い時間帯で2点以上のリードにならない限りはどこかで高い位置からのプレスをかけていく必要が出てくると思う。そうなった際に新加入の三田がうまく連動できるのか、天皇杯も出場しており休みの少ないCHがどこまでついていけるかは重要になる。この時に限っては森重・渡辺のCBコンビがドウグラスヴィエイラをシャットアウトしなければならない。

 

 

また、広島は得点も失点も75分以降に生まれてる試合が非常に多い。メンタル面も含めて最終盤はどちらがチームとして上なのかが試される時間になるだろう。

 

 5バックでの撤退守備が苦手な東京としては我慢比べの90分となりそうだ。