がちゃのメモ帳

Jリーグをメインに、いろいろな感想を残していきます

2019年シーズン ここまでのFC東京について

 

こんにちは。がちゃです。

 

twitter.com

 

2019年シーズン、4節終了時で首位に立つFC東京

今年のFC東京、第4節までの戦いを少しまとめたいと思います。

 

 

まず始めに昨年との選手編成・起用法の変化をさらっと。

 

●試合に絡んできた既存選手+主な新戦力選手

久保建英 右SH

・小川諒也 左SB

 

・田川亨介

・ジャエル

・ナサンホ

 

 

2018はレギュラーとしてSHに入った大森を押し退ける形で久保がレギュラーに。

 

また左SBは序列が変わり、太田から小川が一番手に。

 

 

スタメンは大きく変わらないものの新戦力も充実。

永井と同じくスピードのある田川、ディエゴと同じく馬力のあるジャエルが加わり、攻撃の中心である永井とディエゴが交代したあとも強度が落ちないメンバーを組めるように。

 

 DFラインと駆け引きができてドリブル能力も持ち合わせたナサンホもベンチに控えます。

 

2018長谷川健太サッカーに厚みを持たせた編成と言えます。

 

 

 

 

 

◆東京の主なチーム構造について

 

 

●オリジナルフォーメーション

4-4-2フラット

 

●チームスタイル

4-4ブロックで守り、奪ってから2トップを軸にしたカウンター

 

●ボール保持時の主なチャンスメイクパターン

◦2トップのスペース(主にSB裏)への抜け出し

◦東&小川の左サイドユニット

◦久保のドリブルでのPA付近へ侵入

 

●ビルドアップパターン

橋本を一列下げた3バック化

東と小川の位置入れ換え

CH脇にSHの東と久保が下りてきてサポート

 

 

 

●守備セット

ミドルゾーンでのプレスと撤退の使い分け

 

・基本的に4-4-2の陣形は崩さない

・2トップだけである程度制限をかけられる場合は後ろも連動して人に強く付いていく

・3バックやCHが下りる3バック化等によって前で嵌めきるのが難しいと判断すれば無理には追いかけず撤退

 

SHが3バック脇の選手へのプレスが間に合うと判断すれば前に出ていくこともありますが、ここは選手個人の判断のようにも感じます。

どの方法をとっても2トップと両SHにはハードワークが要求されるため、交代カードを使用するのは通常このポジションの誰かになります。(左SHの東は4試合フル出場)

永井→田川、ディエゴ→ジャエル(ナサンホ)、久保→大森

といった交代カードの切り方が定番になりつつありますね。

 

 

●SHの守備左右での違い

左SHの東は深い位置まで下がってSB-CB間を埋めにいきますが、右SHの久保は極力中盤エリアからは下がらないようにします。手薄になるスペースはCHがカバー。

ボールを持ったときに素晴らしい能力を持っている久保の良さを最大限発揮できるよう、室屋は後ろでバランスを見ることが多く、今年は比較的大人しいです。

 

 

●ボールを奪うポイント

相手陣からプレスをかける場合は下りて受けようとする中盤の選手にCHの橋本・髙萩がついていきます。そこでバックパスさせたところを2トップが襲い掛かります。

リスク回避をしてくるチームであればロングボールを東京の屈強なCBが跳ね返して回収狙い。

それでも繋いでくるチームであれば危険なエリアでのパスミス(パスカット)を狙ってそこからショートカウンター

 

ブロックを敷いて守るケースではサイドに誘導してから外→外のパスを出させて、SBのパスカットやSHとの挟み込みで奪取。

縦パスを狙ってくるようであればCHとCBの挟み込みでやインターセプトで奪取。

 

 

◆今後の懸念点

●引かれた相手への攻撃

3節鳥栖戦は2-0とスコアだけ見れば快勝な雰囲気ですが、85分過ぎまでスコアレスでした。相手が早い時間で退場者を出しながらも低い重心と中盤のハードワークに対して得点が奪えませんでした。主な仕事場である裏のスペースを狭められたときにどうやって得点を取るのかは1つのテーマになりそうです。

 

●3番手が不在のCB&CH

現在CBコンビは森重&チャンヒョンス。日本・韓国代表クラスの選手です。丸山が名古屋に移籍してしまった今では彼らの控えは丹羽と渡辺剛。二人ともよい選手ですが、スタメンコンビが圧倒的過ぎて同じ活躍を求めるのは酷です。

CHコンビは橋本&髙萩。ここも昨年から不動の2人で控えを挙げると平川・品田・アルトゥールシルバの3人。リーグ戦では3人ともベンチにも入れず、CHの控えはいない状況です。若い2人がどちらかというとパサータイプなのに対し、シルバは体も強くキープ力がある選手。もしスタメンのどちらか1人が不在となった場合にはシルバの名前がメンバーに入ってくるのではないかと思います。

 

 

●セカンドキーパーの存在

GKという1枠しかないポジションでスタメンを掴んでいるのは林。贔屓目かもしれませんが、国内を見ても林より優れたGKはほとんどいないんじゃないかと思えるほど優秀なGK。昨年までは大久保択生という素晴らしい選手がセカンドキーパーとしてベンチにいましたが、鳥栖へ移籍。今年は若い波多野と新加入の児玉が入れ替わりでベンチ入り。2人ともに林を脅かす存在にはなれていません。

万が一、林が負傷してしまった場合、J1経験の少ない選手を起用することになります。そうなった場合に守備範囲や指示出しの面で全体の守備方法が変わってこないかという点は少し不安です。

 

太田宏介

4節までベンチを温めている太田。彼はJ1でもトップクラスの左足キックを持っています。ベンチに座っている太田を他チームが見逃すとは思えず、本人としても出場機会は求めるはず。となると夏あたりに移籍の可能性はあると思います。

東京へのチーム愛とプロ選手として試合に出たい気持ちを天秤にかけてどちらに振れるか。

彼を失ってしまうと左SBの本職が小川1人になります。

出ていってほしくないけど、ベンチにいる彼も見たくない。彼の左足に魅せられてきたサポーターとしてはすごく複雑な心境です。

 

 

 

ざっくりとですが、こんな感じでしょうか。

文字ばかりになってしまいました。(^^;

後ろの方のポジションは層が薄いという書き方になりましたが、その分若い選手が多いです。その選手たちがJ1で戦力として加わってくればさらに良いチームとなっていきそうです。

久保・田川だけでなくフレッシュなメンバーがスタメンの選手たちに危機感を持たせる、そんなチームになっていくことを期待したいですね!

 

 

それではこの辺で!

 

【FC東京】 J1リーグ第4節 vs名古屋グランパス レビュー

 

ようこそ。

がちゃです。

twitter.com

 

プレビューはこちら

brgacha.hatenablog.com

 

 

 

さて、J1リーグも第4節まで来ました。

FC東京はホーム連戦で迎え撃つは首位の名古屋。

直接対決で叩けば首位交代となる大事な一戦。

 

早速振り返っていきましょう。

 

スタメンはこちら。

f:id:brgacha:20190317201105p:plain

プレビューの予想通りでした。

両チームともに前節からの変更なしです。

 

 ~前半~

 

◦名古屋の攻撃vs東京の守備

 

名古屋の攻撃としては

①ジョーへのロングボール

②シミッチを軸にした崩し

③丸山スタートの左サイドでの崩し

 

以上3つが主な狙いだったかなと感じました。

 

①ジョーへのロングボール

基本的には後ろから繋いでくるチームですが、ジョーという圧倒的なターゲットを持っているがゆえに効率よくそこをシンプルに狙ってくる手段も取ってきました。

ジョーが競り勝ったあとのこぼれを前線の選手が拾って、スペースがあれば速攻からフィニッシュまで、なければシミッチに預けてやり直しといった具合です。

 

前節のトーレス同様、東京のCBコンビでも簡単に勝てないため、極力CHに競らせることでDFラインは背後のスペースケアを優先しました。ジョーからのフリック一発で裏抜けをさせないためです。開始直後にヒョンスの半端な判断から赤﨑に繋がれてシュートまで持ち込まれましたが、それ以降は落ち着いた対応ができていたように思います。

 

f:id:brgacha:20190318233704p:plain

※イメージ図

 

予想以上にCHコンビでジョーを自由にさせなかったことが前半のポイントだったとも思います。

 

 

 

②シミッチを軸にした崩し

ジョーの収め等から押し込むことに成功するとシミッチを中心に攻撃を仕掛けます。SBが大外の高い位置を取り、前線の四人はPA幅で前に張ります。CH二枚が中盤の中央に構えてフィルター兼配球係。一番後ろはCBの二人で守ります。2-2-6のようなイメージでしょうか。

 

f:id:brgacha:20190318233725p:plain

※イメージ図

 

ミドルサードくらいのエリアまでなら2トップ+シャビエルの3人は守備に戻らず前に残っているシーンも見られるほど攻撃に重心を置いていたように見えました。

 

前の四人が押し引きの動きでDFを迷わせて、空いたスペースに飛び込んでいくような狙いだったと思います。ここの動きで特に連動性は感じられず、選手それぞれでの感覚に任せていたように感じました。

「アイデアだしていこう!!」

ってやつです。

 

この表現はネガティブな意味で使われがちですが、今の名古屋にとっては決して悪いことではないと思います。

 

その理由としてはシミッチと米本で回収することができるから。

イデア出していこう!の動きにやり直しが何回もききます。

 ハマった一回を仕留めることができれば十分ですし、それができる部分で攻撃力の高さが評価されているのだと思います。

最近では再現性という言葉はよく聞きますが、名古屋は即興を何度もやり直せることによって捕まえにくい部分もあるはずで、そこに強みがあるとも感じました。

 

 

これに対して東京は4‐4ブロックをしっかり敷き、2トップが名古屋CHにちょっかいを出します。

一度引っかけたら名古屋のカウンタープレスを外す作業。1人外すことができれば十分で、そこからは裏の広大なスペースにロングパスや久保に預けてドリブルでの前進から脅威を与えました。

f:id:brgacha:20190318234911p:plain

f:id:brgacha:20190318235239p:plain

※イメージ図

プレビューでの狙い通り、2CH脇を久保がドリブルで運び、チャンスを演出というシーンは多く作れました。

 

③丸山スタートの左サイドでの崩し

前半途中からCHを一枚おろして3バック化。そして丸山のところから運んで前進を図ります。

f:id:brgacha:20190319000158p:plain

※イメージ図

 

これに対して東京は4‐4‐2を維持。右SHの久保が持ち上がる丸山と大外の吉田の二人を監視する格好に。

一見危険そうなシーンですが、久保が的確なポジション取りで丸山に深くまで運ばせず、吉田に出たらしっかり寄せるという守備ができていました。

しかし、2トップの2度追いがなく、丸山が完全にフリーな状態だとさすがに危険で、16分には吉田への展開から前半一番のピンチが訪れますが林が好セーブで事なきを得ました。

 

久保の対応は良かったですが、大外へのスライドを強いられたことで体力の消耗はあったのではないかと思います。

 

名古屋視点で見るとパス精度の高い丸山を起点にするこの攻撃にはリスクもあります。

丸山のパスが引っ掛かると最後方を中谷とシミッチで守らなければいけなくなることです。名古屋DF陣の中で一番壁になるのは丸山ですから、丸山のいなくなった最終ラインは必然的に脆くなります。可変システムの落とし穴はトランジションの弱さにあるのです。

ということで東京は引っかけたらすぐに縦。ディエゴと永井の突破力で名古屋DFに脅威を与えました。

f:id:brgacha:20190319001503p:plain

 

 

◦東京の攻撃vs名古屋の守備

 

東京の狙いとしては

 

①広大な裏のスペースにパス出し

②左サイドでの崩し

③右で作ってから中央で仕留める

 

が狙いに見えました。

一応②、③も作りましたが、①が90%くらいだったと思います。笑

 

①広大な裏のスペースにパス出し

名古屋はボール保持時はもちろん、非保持時もかなりのハイラインを敷きました。

ポジトラ時やボールホルダーが比較的フリーで持てたときにはシンプルに永井を狙います。永井は数回オフサイドを取られましたが、ギリギリ(もしくはオンサイド?)の場面も多く、常にDFラインと駆け引きを行っていました。

また、永井だけでなく、行けると思ったら東や髙萩までもが背後への飛び出しをしていくほどチームとして徹底した狙いでした。

後ろ向きの髙萩が状況を見ないまま裏へ蹴っていたシーンもあり、困ったら裏へ蹴っとけくらいの割り切りもあったのかもしれません。実際に永井とディエゴがイーブンのボールをキープしたり、スローイン獲得につなげるので効率の良い作戦だと言えます。

 

米本のところを外すことができれば基本的に攻撃し放題なイメージ。久保のドリブルでもいいし永井の裏抜けでもいい。名古屋としてはネガトラ後すぐの守備がハマらないと厳しい印象でした。

 

②左サイドでの崩し

小川と東のユニットは健在でした。名古屋はSB-CB間(チャンネル)を全くと言っていいほど埋めてこないので(侵入されてから米本がカバーする)、小川が1対1から仕掛けて見たり、東が持った時にそこへ走りこんだりと得点には繋がりませんでしたが、決定的なチャンスを作ることができていました。

名古屋が35分くらいにSHの左右を入れ替えましたが、東京左サイドの攻撃にシャビエルではなく和泉を当てたかったのかもしれません。

 

③右で作ってから中央で仕留める

ディエゴや永井の収めから右サイドで起点を作り、中央へ折り返し。そこに東や橋本が飛び込んできてシュートを狙うといったシーンが何度か見られました。

 

 

 

前半まとめ

ポゼッション率はほぼ互角ながらもボールを保持するといった意味合いでは名古屋の方が多く持っていた印象でした。しかし、チャンスというチャンスはシャビエルのシュートとジョーのヘッドくらい。東京が大きく崩された場面はほぼありませんでした。

対して東京の攻撃は永井を中心に名古屋守備陣を脅かし続けました。

ゴールこそ決まりませんでしたが、決定的なシーンは何度も作り、主導権を握ったのは東京だったと言えます。

 

 

 ~後半~

 

名古屋 赤﨑→マテウス

後半開始頭から1枚目の交代を使います。

前半途中からマテウスにアップをさせる指示が出たとの情報があったので、風間監督の中でなにか気になる部分があったのでしょう。

シャビエルが中央に入りマテウスは右SHに。

 

f:id:brgacha:20190321161515p:plain

 

マテウス投入後

 

前半にはほとんどなかった単純なクロスをガンガン入れてきます。もちろんターゲットはジョー。

そのために一人でクロスまで行けるマテウスの投入に至ったと考えられます。

 

これに対して東京は東と小川の2人で対応することでマテウスの突破を阻みに行きます。

2人で1人を見るということはどこかで名古屋の選手が一人浮きます。このケースでは主にそれが宮原になりました。

 

f:id:brgacha:20190321161258p:plain

※イメージ図

宮原は高い位置を取って幅取り役はこなしますが、ドリブル突破や高精度クロス等のスキルを持った選手ではありません。東京側としてはあえてマークを捨てる判断だったのではないかと思います。

 実際にマテウスの突破はほぼ許さず、宮原に決定的な仕事もさせませんでした。

(70分のシーンだけは東と小川が2人とも縦切の意識が強く、マテウスに内への切り返しを許してしまい危険なパスを出されました。)

 

名古屋はサイドからのクロス、東京はカウンターを狙った攻撃を続ける中で54分に永井が先制点をゲット。今年の奪いどころ基準の一つとなっている小川のアタックからボールを回収。名古屋の陣形が整う前に東が永井へスルーパス。永井がシュート前のラストタッチで丸山の前に入り込んだところで勝負が決まりました。丸山は手を使って邪魔をしようと試みましたが、永井のスピードの方が上回る結果に。

 

 

名古屋3バック化ボール保持

前半でもありましたが、名古屋2CBに東京2トップがプレスをかける場合、名古屋はシミッチを一列下ろして3バック化をしてきます。プレビューでも少し触れましたが、シミッチはなんでもかんでも下りるわけではなく、CBへのプレスが弱いと思ったら中盤(2トップ間や2トップ脇)で受けるように動きます。

名古屋3バック化に対して東京は4-4-2を保ちます。そのため局地的に3対2と数的不利が生まれてボールを持たれる展開が続きます。

f:id:brgacha:20190321145515p:plain

※イメージ図

 

数的有利を生かして2トップの寄せ方によって起点を変える名古屋。

主に丸山の運びとシミッチの縦パスorミドルレンジのパスで攻撃を開始します。

 

f:id:brgacha:20190321150221p:plain

f:id:brgacha:20190321150611p:plain

※イメージ図

 

東京が前に人数をかけてきたときにはSBが低い位置に残り、数的有利を保ってボールを保持します。

 

中谷からの前進があまりなかったのは東京が中谷へのプレスを意識していたからではないかなと推測しました。

彼からのパスでロストも数回見られましたし、丸山に起点を作られることを抑えるより、中谷からのミスを誘発して得点に繋げたかったのかなと。

 

東京としてはボールを持たれることはある程度許容していたと思います。ボール回しのうまい名古屋に対して前から追いかけてスペースを作ることはリスキーです。ただし、2トップに頑張って走ってもらう必要性はあり、その点で特に永井の2度追い3度追いは非常に効いていて代えの利かない存在となっていました。

また、ジョーを抑えるべく、CBは中央にとどまり、CHも中央を締めてジョーを自由にさせない意識があったように見えました。実際に中央に入ってきたパスに対してのカットが多く、CHのサポートで奪いきるシーンはよく見られました。

 

 

 

各チームの選手交代

最低でも1点を取らなければ勝ち点を得られない状況となっている名古屋は選手交代で攻撃の色を強めます。

65分 宮原→相馬

和泉を右SBに回し、相馬を左SHへ。

マテウスで2人を割く東京DFに対して攻撃力のある和泉を浮かせる狙いだったでしょうか。相馬を入れれば左SHの攻撃力も落ちません。

 

66分 久保→大森

やや攻撃の脅威は落ちますが、攻守にハードワークができて、守備で気が利く大森を投入して守備の安定化を図る東京。スプリント回数の多かった久保の疲労もあったかもしれません。

 

大森&室屋のユニット単位での守備は非常に安定感があり、マークの受け渡しがスムーズでした。

また、個人守備のところでも室屋は相馬をほぼ完封と言っていいくらい抑え込み、チャンスを作らせません。

相馬対策としたらあまりに対応が速すぎるので、時間帯はたまたま被ったのかもしれませんが、交代カードの切り方としては非常に効果的だったように思います。

 

東京 78分 永井→田川

名古屋 84分 米本→長谷川アーリア

東京 88分 ディエゴ→ジャエル

 

名古屋はどちらかと言えば守備的な米本を下げてアーリアを投入。パスの出しどころを増やす狙いでしょうか。

東京は疲労や軽い負傷を考慮した交代。昨年とは違い、同タイプの選手が控えにいるという部分は心強いです。

 

田川はシミッチ監視役兼2度追い役。ジャエルはカウンター要員として働きます。

名古屋は人数をかけて主にサイドからのクロスでジョーを狙いますが、東京は空中戦に強い2CBを中心に跳ね返し続けてタイムアップ。

 

FC東京が1位2位直接対決を制し、首位となりました。(この後のゲームでマリノスが敗れたため単独首位!←ここ重要)

 

 

~感想~

 

ボールを持たせたとまでは言えませんが、持たれることはある程度許容してゲームを支配できた東京。ただ、名古屋もジョー&シミッチの前と後ろで攻撃を支えるブラジル人2人が特に強烈で守備を固めざるを得ない状況だったと思います。

危険なシーンもいくつか作られましたが、林の好セーブにも助けられ無失点。3試合で9得点取っていた名古屋を(得点の部分で)完封できたことは自信につながるはずです。

 

 

この試合のMVPは得点だけでなく前線の守備でもDFを追い続けた永井で良いと思いますが、対人で負けなかった室屋や小川、冷静な判断でボールを容易に捨てない森重も素晴らしかったです。チームとして全員がやるべきことをやり切れたゲームだったのではないでしょうか。マテウスへの対応や大森の投入の判断をした長谷川監督の采配も良かったです。

また、開幕戦では意図的に守備負担を減らしているのではないかと考えていた久保ですが、2節以降は全くそんなことはなく、むしろ多くの仕事をこなしているように見えました。彼の成長は著しいです。

 

一つ不安を挙げるとすると髙萩のボールロスト。トランジション時や後方でボールを持った時に安易なロストが数回見られ、事なきは得ているものの、危険なエリアでの判断の悪さや技術的ミスが目立ちました。

 

 

名古屋側で気になった選手は和泉。

元々ボールを扱う技術はあったと思いますが、体の強さやポジション取りのうまさも兼ね備えた気がします(それも元々だったらごめんなさい)。

DFを背後に抱えた状況でのキープや重心の逆を取るコントロール。ライン間でのポジション取り。後半は何度かシミッチ→和泉から大外吉田へのはたきも狙っていました。

f:id:brgacha:20190321161137p:plain

※イメージ図

パスのところでうまくいきませんでしたが、ここの技術がもう1歩向上すれば名古屋のストロングである左サイドの攻撃もさらに脅威になるのではないかと感じました。

 

 

 

 

贔屓チームが単独首位となり非常に気分が高まっております。

「どうせ東京はどっかで失速するでしょ」

という声を跳ね返すようなチームの躍進を期待したいですね。

 

 

 

それではまた!

【FC東京】 J1リーグ第4節 vs名古屋グランパス プレビュー

 

皆さんようこそ。

がちゃです。

twitter.com

 

 

今回は名古屋戦のプレビュー。

 

前節ホーム開幕戦を勝利で飾り、現在2位につけるFC東京

対するは開幕3連勝で勝ち点で単独首位に座る名古屋。

まだ4節ではありますが1位2位直接対決の首位攻防戦とも言える試合となりました。

 

予想スタメンはこちら。

 

f:id:brgacha:20190316151304p:plain

東京は4試合連続同じを予想。

名古屋も前節と同じこのメンバーが手堅いのかなと思いますが、赤﨑→前田、和泉→相馬なども可能性としてはあります。

 

 

早速展望へ。

 

~名古屋の攻撃~

 

①シミッチを軸にしたボール保持

名古屋攻撃の軸はCHに入るシミッチ。ボール保持時は彼を中心にボールが動き、攻撃が展開されます。

FW-MFライン間で駆け引きするというよりは下がってプレッシャーの薄いところで受けるような印象が強いです。まずは彼にボールを預けたところから別の選手が受けて捌いてといった具合に前進を試みます。

受けるためにあっさり下りはしますが、なんでもかんでもそうするわけではなく、中盤で受けられるときは不必要には下りません。

 

シミッチの良さは体の向きから予想しづらい方向へ正確なパスを送れるところだと感じます。ボールコントロールのうまさやキープ力の高さももちろんですが、このスキルは非常に厄介です。守備側が限定しなければならない(と考える)コースが増え、プレスがかけにくくなる可能性があります。また、開幕節鳥栖戦で相馬へ出したアシストのようにエリア内で意表を突くラストパスも出てきます。

ミドルレンジのキックも上手いですし、彼をフリーにすれば精度の高いボールがエリア内に入ってきます。ジョーという圧倒的なターゲット選手もいますから、彼からの球出しを抑えるという部分は重要になりそうです。

 

★東京のポイント

名古屋ビルドアップ時・東京が4‐4‐2ブロックで引いて守るときにどのようにしてシミッチを消すか

 

 

②敵陣侵入後のネガトラ

ボール保持に重きを置く印象の名古屋ですが、押し込んだ時のネガトラ対策もされています。

前線4人とSBは比較的自由に高い位置まで上がっていきますが、CH米本とシミッチの2人は基本的にPAより後ろの中央(状況によってはボールサイド)に構えてネガトラに備えたポジショニングを取ります。

 

f:id:brgacha:20190316164750p:plain

※イメージ図

 

ボールを奪われたら前線選手の素早いプレスバックとCH2人のカバーでボールをすぐに奪いに行きます。

東京サポには言うまでもありませんが米本の広いカバーエリアに加え、高いボール奪取能力。米本に比べればフィジカル的な守備能力は高くないものの、的確なポジション取りをしてくるシミッチ。この二人によって圧倒的な回収率を誇ります。

前線に走力のある選手が揃っていることでプレスバックの威力が高いことも影響していると思います。

 

★東京のポイント

ボール奪取後にパスやドリブルでいかに名古屋CH二人を外せるか

 

 

③SH和泉とSB吉田の左ユニット

攻撃の軸はシミッチですが、崩しの手札としてはこの左サイドのユニットが非常に厄介です。

和泉が少し内寄りで吉田が大外にいるような勝手なイメージでしたが、実際は吉田がけっこう内に入ってきたりします。

この二人に加えてジョーやシミッチ等が加わることによって、どちらかが斜めのランニングから抜け出してPA脇のポケットへ侵入する攻撃パターンはよく見られます。よく言われる3人目の動きといったやつでしょうか。和泉・吉田どちらもPA脇に入っていけるところが抑えにくい理由にもなっていると思います。

 

f:id:brgacha:20190316165238p:plain

※イメージ図

 

自分の想像よりも和泉は体の強さがあり、マークにつかれてもそこそこキープができます。そこを起点にし、吉田の上りで押し上げ、崩しのタイミングを伺う。和泉にボールが渡った際に時間を作らせないようにしたいですね。

 

★東京のポイント

◦和泉をどう潰すか(時間を作らせないか)

◦吉田の上がるスペースをどう埋めるか

 

 

④丸山からのロングフィード

米本同様、東京サポには説明するまでもありませんが、丸山は非常にキックのうまい選手です。そして川崎・湘南・鳥栖戦では経験しなかった左利きの左CB。右足側からプレスをかけても左足から正確な球が飛んできます。ここが非常に厄介です。

前プレをかけられているときにはSB裏のスペース、CBへのプレッシャーがあまりないところではジョーへボールを届けてくる印象。

 

f:id:brgacha:20190316165926p:plain

f:id:brgacha:20190316170149p:plain

※イメージ図

 

シミッチだけでなく丸山からも空中戦に強いジョー、攻撃力のある左サイドの両方へ配給されます。開幕節鳥栖戦では高い位置まで上がってきてジョーの先制点アシストもしています。

シミッチに意識が集中すると丸山からも一撃必殺が飛んでくるという仕様。

この左利き二人を抑えなければいけません。

 

★東京のポイント

シミッチだけでなく丸山からのロングボールにも注意

 

 

~名古屋の守備~

 

①FW+SH4枚の守備

名古屋のボール非保持時は基本的に前から追いに行き、最終ラインは高く保ちます。裏のスペースは空いてるけど、ボールホルダーからパスが出てこなければ関係ないといったような。

4‐4‐2同士ではかみ合わせがよくマークがはっきりしやすいです。4‐4‐2でセットしたところからFWがプレスをかけてSBへ誘導→SHが前に出てプレスという形がよくあると思いますが名古屋は4‐2‐4に近いイメージでSHのスタートポジションが高いです。(和泉はやや自重する場面も)

 

f:id:brgacha:20190316170710p:plain

※イメージ図

 

4人で前から来られるとボールホルダーとしてもパスコースが少なく、無理して保持にこだわると窒息しがちになります。

しかし、逆に考えれば中盤2枚の脇はがら空き。SBが前に出てくれば最終ラインが手薄になる側面もあります。

名古屋がこれをカバーできている理由としてはこれまたCHの2枚だと感じます。

米本のカバーエリアの広さ、前線追いかけて限定したコースにポジション取りをするシミッチ。この2人によって致命傷を避けている気がします。

ただ、この2人がカバー出来ない場面もあって、4‐2ブロックの2の脇を使われたときは最終ラインがズルズルと下がります。ここを取れるかどうかが攻撃の鍵になりそうです。

 

f:id:brgacha:20190316171108p:plain

※イメージ図

 

★東京のポイント

ボール保持時の名古屋2CH脇の攻略

 

 

②右CB中谷

中谷は前に出て受けるところを潰すのは非常にうまい選手です。一方でスペースがある状態での1対1、晒されたときのディフェンスはやや苦手な印象があります。3節ガンバ戦でもアデミウソンに抜け出されて1対1となり、結果的にPA内で倒してPKを与えてしまいました。

 

 

f:id:brgacha:20190316174020p:plain

※イメージ図

 

 名古屋守備①で挙げたようにCH脇をどう攻略が前提にはなりそうですが、SBをいかに引き出し、東京の強力2トップと中谷をスペースがある状況で対峙させられるかは狙いの一つです。

上図までうまくいかないとは思いますが、橋本を下ろして基準をずらしたところからの展開はベースになりそうな予感がします。

 

★東京の狙い

中谷との1対1勝負

 

 

 

~まとめ~

3節までの個人的な名古屋の感想を書きましたが、やはり3連勝してるだけあって非常に手ごわい相手となりそうです。

ハイライトや試合結果だけ見てもわかる通り、攻撃力は抜群に高いです。

一方で守備はCBとCHの真ん中4人の能力に依存している印象も受け、そこを突破できればチャンスはそれなりに作れそうな気がします。

 

ポイントとなりそうな名古屋2CH脇攻略については東京両SHの東・久保の活躍が絶対条件となるでしょう。彼らがスペースと時間を持った状態でボールを受けることができれば名古屋最終ラインに脅威を与えられます。

 

またSBの吉田と宮原が攻撃参加してくれれば後方のスペースは空き、東京の強力2トップの威力は増します。攻守のバランスが難しいところではありますが、SBの攻め上がりをあえて許すという作戦も考え方次第では有効かもしれません。

 

リードされて終盤を迎えてしまうと相馬・千葉・小林等、(体力面も含めた)守備力upも見込めて攻撃の時間も減らさないというカードの切り方をされてしまうため、打ち合いになっても最終盤はタイスコアに持ち込みたいところ。

 

 

昨年のホーム同様に打ち合いになりそうな予感。

現在公式戦で勝ちに勝っている名古屋を叩くことができれば自信にもつながりそうな大事な一戦。

 

米本・丸山と東京に縁のある選手もいて楽しみな試合となりそうです。

 

 

ではまたレビューにて!

【FC東京】 J1リーグ第3節 vsサガン鳥栖 レビュー

 

 

 
 
お越しいただきありがとうございます。
がちゃです。
 
 
我らがFC東京のホーム開幕戦。
細かいことは覚えていませんが久しく勝ってない、そして得点すら取れていないホームゲーム。最近塩試合かバカ試合のどちらかになりがちなvs鳥栖。振り返って参りましょう!
 
 
スタメンはこちら。

f:id:brgacha:20190314191507p:plain

 
東京は開幕三試合連続で同じメンバー。
対して鳥栖は前節から大幅に変更。
藤田がCB、原をSBに。SHは右に金崎、左に松岡。トップ下のような位置に趙東建。
フォーメーションは前節と似たような形ですが、これまでよりも攻撃的なメンバー構成になりました。
そして3節にして、最終ラインに入っていた外国人選手二人をスタメンから外す判断をしました。
 

f:id:brgacha:20190314191727p:plain

噛み合わせとしては4-4-2同士なのでバッチリハマります。
川崎戦同様、どうやって基準を外すかが一つのポイントになります。
 
 
ー前半ー
鳥栖の狙い~
 
とにかくトーレスを狙います。
トーレスは強い選手相手でも比較的競り勝てます。
それを生かして、前半の鳥栖トーレスをロングボールの起点にして、裏にドンゴンを走らせるという狙いが多かった印象でした。
 
そこで東京が取った対策は
 
CBとマッチアップさせない。
 
でした。

f:id:brgacha:20190314191651p:plain

※イメージ図
 
DF陣はトーレスからのフリックを警戒してラインを下げます。基本的にトーレスと競り合うのはCHの橋本。彼も身長が低いわけではありませんが、トーレスとの空中戦はあまり勝てませんでした。ただし、目的は競り勝つことではなく競り合ってキープさせないことだったはずです。
 
橋本が競ることでトーレスは勝てるけどキープはできない。後ろへのフリックしかしないので、ボールがこぼれてきたらドンゴンvs東京DF四人の構図になります。当然人数と組織で有利な東京が難なく処理し、脅威とはなりませんでした。
 
この形は前半開始から徹底しており、事前のスカウティングによる指示があったと思います。当たり前と言えばそうかもしれませんが、良い準備でした。
 
また原のロングスローでも完全にトーレス狙い。こちらはは危険なシーンがいくつかあり、事故を防ぐための対応としては課題が残りました。
 
 
二つ目の狙いは左サイドの三丸です。
鳥栖のビルドアップは2CB+CH1枚のサポートが基本。よくある形です。これによってSBは少し高めの位置を取りますが、右の原よりもWGのような振るまいができる三丸をより攻撃に組み込もうとしていました。
鳥栖が後ろで繋ごうとして来たら東京も前からハメにかかりましたが、CBにプレスがかからないとそこから三丸へのロブパスが飛びます。これがなかなか精度の高いボールが入ってきて、東京側右サイドの深い位置を何度か取られました。
 

f:id:brgacha:20190314193420p:plain

※イメージ図

 三丸に渡ってからの展開としてはそこまで仕込まれていた雰囲気は感じませんでしたが、主に事故狙いが強かった印象の鳥栖としてはCKが取れればokくらいの感覚だったのかもしれません。

松岡がPA脇に走りこんできて、義希のマークが曖昧になってしまった鳥栖攻撃によるミスの誘発はありました。

 

 

また、CBにプレスがかからないシーンとしては深い位置からのスローイン等、深い位置まで侵入されてからの流れが多かった印象です。

f:id:brgacha:20190314193549p:plain

スローイン時イメージ図

 

全体がボールサイドに寄ってきて、ディエゴもサポートに下りてくるため、前線には永井のみ。CBの周りにはスペースがあり、戻したら比較的自由に持てる状況になっていました。

 

この流れからトーレスへのロングパスの供給で危ない場面も作られました。
自陣に入ったCBへの守備で後手を踏んでしまったところは改善しなければいけないポイントだと思います。
 
 
 
 
~東京の狙い~
 
ボール保持時はDFラインにできたギャップのSB裏スペースを狙う動き。
ボール非保持時は連動したプレスからのボール奪取→ショートカウンター
いつも通りです。
ただし、この試合では開幕2試合から違ったアプローチが見えました。
 
森重→東の縦パス
 
です!
鳥栖FWの守備基準がCHだったこともあり、CBは自由にボールを持てる時間が多かったです。そこに橋本も下りて3バック気味になることで鳥栖FW二人はどのエリアから誰につくのかが曖昧になっていたように見えました。
橋本の動きや小さなフェイントを使いながら、森重は2トップ脇から前進し、縦パスを狙います。
この時に一つポイントになるのが左SH東のポジショニングです。彼は森重からパスが出てきそうなタイミングでは鳥栖右SH‐CH‐右SB3人の間にポジションを取りました。

f:id:brgacha:20190314194932p:plain

※イメージ図
 
これに対して金崎が絞れば小川へのパスコースが空き、秀人が外へ出れば中央へのパスコースが空く。
東へパスが通れば原に対して局所的な数的優位が生まれる。

f:id:brgacha:20190314195951p:plain

※イメージ図
 
原が東に寄せれば小川へパス。寄せてこなければ前を向くということができます。
多くのケースで原は寄せてきたので小川とのコンビネーションで打開を図りました。
 
直接的にチャンスメイクまではいきませんでしたが、ビルドアップ攻撃でのストロングになる左サイドでの狙いが見えたことは今後につながると思います。
また、鳥栖の選手に対して守備で頭を使わせることもできたのではないかと思います。
 
 
一応前プレの形も少しだけ書こうと思います。

f:id:brgacha:20190314201038p:plain

※イメージ図
鳥栖2CBには東京2トップがプレス。逃げ場を作ろうと主に秀人が下りてきてサポートしますが、そこは髙萩がついていくことで前を向かせません。結果としてバックパスを選択してそこからのロングボール。
鳥栖にボールを捨てさせることができました。
 

f:id:brgacha:20190314201247p:plain

※イメージ図
 
また、3バックに近い位置取りをしてきたときには久保が前に出ることで前進を抑止。主にこの二つで鳥栖はショートパスからの前進方法はかなり削られたはずです。
東京のラインが押し上げられているときはこのように前からハメに行く形。鳥栖CBがミドルサードくらいまで前進しているときには4-4-2ブロックで待ち構えるといった使い分けだったと思います。
 
 そして一番嫌な選手とも言える金崎をしっかり抑えることにも成功しました。
 

f:id:brgacha:20190314210604p:plain

※イメージ図
鳥栖がCB→SB→SHと繋いできても、対峙する東京SBが強くついていくことで前を向かせません。となるとロストするかバックパスするか。金崎得意の仕掛けが発動できない状況を作ることができていました。
 
 
~前半感想~
 
ここまで触れませんでしたが、開始2分頃のアクシデントの影響で16分に永井→田川の交代が行われています。早々に永井を欠いて交代枠も一つ使ってしまったのは痛かったです。
 
鳥栖は主にトーレス狙いの攻撃ではありますが、後ろからボールを繋ごうとはしていました。ただし、危ないと思ったらおおよそ潔く捨てます。
東京はCBが自由に持てることで起点となり攻撃を展開。守備時は鳥栖ビルドアップを妨害し、あわよくばショートカウンターという狙い。
ボール保持率としては鳥栖の方が上回り、セットプレーから決定機も作りましたが、流れの中のプレーでは攻守ともに東京の方が安定していたように思います。
 
 前半は両チームともに大きな仕掛けはなく、リスク管理を考えた戦い方に終始したように感じました。
 
 
ー後半ー
 
 
後半から東京は東に中央寄りのポジションを取らせて髙萩が左に流れてくるやり方にチャレンジ。川崎戦でも髙萩が左に流れてくるずらし方はありましたが、そのときよりもバランス<攻撃のように見えました。単純に攻撃に厚みを持たせたかったのかなと思います。
そして後半開始からはわかりやすく東京がゲームを支配します。
 
 
56分、FKのリスタートを遅らせたとして、秀人にイエローカード
直後に再び素早いリスタートを仕掛けて田川がシュートも大久保好セーブ。
 
59分 鳥栖 金崎→クエンカ
右SHとして存在感を発揮できなかった金崎を下げて注目のクエンカを投入。
松岡を右SHに移し、クエンカは左SHに入ります。
 
そしてこの試合一番の分岐点60分。
ディエゴのドリブルを後ろから引っかけた秀人がこの試合2枚目のイエローカードで退場。失点に直結するようなシーンでもなく、少し軽率なプレーでした。
ここから鳥栖は30分以上10人で戦うことになります。
 
クエンカ投入後のこの状況はかなりの想定外だったことでしょう。
10人になった直後の鳥栖は松岡をCHに入れて4‐4‐1で戦います。
 
64分 FC東京 田川→ジャエル
67分 鳥栖 趙東建→福田
 
田川は試合開始前からプレー時間を制限する予定だったようで途中投入ながら交代。
ジャエルを入れてより攻撃的に。
鳥栖は中盤で走れる福田を投入。これによってシステムを4-3‐2に変更。

f:id:brgacha:20190315031419p:plain

※イメージ図
 
前にトーレスとクエンカのキープ力のある二人を残すことで奪った後のボール保持が可能に。中盤エリアは3人が鬼スライドでカバー。運動量のある中盤3枚にすることで得点を狙うこともあきらめません。
 
運動量があるとはいえ、横幅を3人でカバーしきるのは難しいよね、ということで東京はSBが中盤3枚の脇を狙います。
ここでも森重からのパスが非常に効いていて左サイドの小川から何度か可能性のあるクロスが上がりました。
 
80分 FC東京 髙萩→大森
CHを一枚削ってより攻撃的に。東をCHに入れます。そして攻撃時には久保がより自由なポジショニングを取るようになった気がします。
 
 
多くのチャンスを作りながらも決めきれない東京でしたが、87分に均衡が破れます。
CKの流れからこぼれ球を小川がシュート。これが三丸にあたってオウンゴール
シュートは枠外に見えましたが、カバーに入った選手にあたって入るという幸運もあり東京が終了間際の先制に成功。鳥栖は我慢に我慢を重ねましたが決壊してしまいました。
 
このあとFKから祐治の惜しいヘッドもありましたが、その直後にカウンターからジャエルの追加点で試合が決まりました。
詳しくは映像を見て頂ければと思いますが、ジャエルの動きなおしの妙に久保が合わせたパスを出すという素晴らしいゴールでした。
 
 
~感想~
 
後半からは東京がゲームを支配するも、鳥栖の守備も我慢強く、難しいゲームになりました。鳥栖は数的不利になってからもパス回しからサイドを破ってきたり、クエンカやトーレスを軸に攻撃も仕掛けてきました。東京としてはそこを簡単にやらせてしまった部分が反省点です。
 
 
セットプレーにやや不安は感じましたが、1試合を通じて鳥栖に流れの中からは決定機をほとんど作らせませんでした。1つの理由として、金崎をほぼ完封できたことが大きかったのではないかと思います。小川のところで完全に蓋ができて、前を向かせない対応ができました。後半セットプレー崩れのカウンターから室屋が1対1を止めた場面がありましたが、そこ以外の仕掛けは記憶にないです。
カレーラス監督の意図はわかりませんが、金崎とトーレスの2トップで組まれたほうが東京としては嫌だったように思います。不在の選手を挙げても仕方ない部分はありますが、SHに小野裕二がいれば金崎の裏抜けはかなり生かせたのではないでしょうか。
 
 
FC東京選手個人に焦点を当てると森重のパフォーマンスは素晴らしかったです。
元々技術のある選手ですが、この試合では縦パスの意識が非常に高く、細かいフェイント等でプレスを外しながら攻撃の起点に。また、CBとしても競り合い、カバーリングと安定感を見せました。
 
 
一方、鳥栖で気になった選手は松岡。シンプルに運動量があって技術があるのはもちろんですが、それに加えて頭の良さを感じました。
SHの時は相手の配置を見ながらポジション取りをしていたように見えました。

 

f:id:brgacha:20190315035719p:plain

※イメージ図
 
FWが流れてきたときの縦パスコースを消しつつも久保にパスが出てきたら寄せきれる、さらに言えば室屋が運んで来ても追い出せる距離の取り方だったと思います。
もちろん周りとの連動は必要ですが、無意味に突っ込んだり寄せたりせずに、冷静に状況判断を行っていました。
 
攻撃でもスペース認知が早く、空いたところに走りこむことでDFを引き付けて、味方がフリーになる動き出し。CHに移ってからもプレスを外す動きやボール捌きを見ることができました。69分のシーンはぜひ見て頂きたいですね。
 
 ハイライト

www.youtube.com

 
 
 
結果として、終了間際に勝ち点3を拾えたわけですが、セットプレー崩れとカウンターからの得点。引いた相手を崩すという課題を突破したとは言えません。
とはいえ勝負強さを見せられたのは事実であり、勝ち点3という結果をつかみ取ったことはポジティブに捉えていきましょう。
 
また、ハーフタイムには健太さんから
「ホームだぞ(にっこり)」
というコメントが入ったようです。なぜか選手が走れるようになるその魔法の言葉を今後もお願いしたいところ。
ちなみに本人曰く優しく語りかけたそうです。
 
 
3試合を終えて勝ち点は7で2位!上々の滑り出し。
次節は3連勝スタートで首位の名古屋。現時点での1位2位直接対決となります。
 
勝てば首位に上がる可能性があります。
攻撃力のあるチームで手ごわい相手ですが、勝って1番上に行きたいですね!
 
ではまた!
 
 
 

【FC東京】 J1リーグ第3節 vsサガン鳥栖 プレビュー

 

 

 

 

がちゃです。

 

twitter.com

 

気づいたらもう3節。

次節の相手は鳥栖。開幕から2試合は苦しんでますね。

東京はホーム開幕戦。

 

そんな鳥栖に対する戦い方を考えていきたいと思います。

 

まず予想スタメン

 

f:id:brgacha:20190309115304p:plain

f:id:brgacha:20190309115253p:plain

 

 

東京は開幕からの2試合と変更なし予想。

鳥栖は正直読めません。

開幕節は5バック。2節は4バックと形を変えてきています。

噛み合わせを考えると5バックの可能性が高いように思います。

それに加えてこの試合から今季加入のクエンカがメンバー入りするのではないかという噂も。。

 もしそうなってくると、4‐3‐3という可能性も見えてきますね。

もうわかりません!!

 

まあなんにしろ、メンバー構成的にどちらのシステムもこなせる陣容ではあるので時間ごとに変えてきたりすることも考えられます。

 

 

 

鳥栖の攻撃~

 

これまでの鳥栖の攻撃基本軸は「行ってこい金崎!」でした。

この2試合ではシステム問わず、基本的に彼は中盤の左サイドに入り守備を行い、そこからボールを奪うと左サイド奥を狙ってきます。

周りのサポートは薄く、大体一人で頑張ります。並の選手であればロストして「サポートねえよ!」と怒ってもいいところですが、彼は高い突破力を持ち合わせており、一人でも何とかしてしまうことも多かったです。

彼のドリブル突破や左サイドからのクロスは非常に脅威となります。

が、逆に考えれば彼を抑えられれば、鳥栖のチャンスはほとんど潰せるはずです。

 

ということで対策は「行かせないぜ金崎!」

①マッチアップする室屋が1対1で負けないこと、②ボールを失ったときに鳥栖の左サイドを使わせないことが大枠のポイントになると思います。

①について、室屋はそこまで対人守備に優れているタイプではありません。ですが、非常にしつこくマークすることができます。すっごいまとわりついてきます。スライムです。抜かれてもついていくよ!の精神で危険なエリアへの侵入を防いでほしいところ。

②について。鹿島時代からそうですが、金崎はSBの裏を狙ってきます。2トップに入っていればどちらのサイドも狙えますが、これまで通りであれば抑えるべくは左サイドオンリー。となればここを塞いでしまえばいいんじゃん?という単純思考。

 

イメージ図ですが、金崎はここを狙いたいはずです。

 

f:id:brgacha:20190309102857p:plain

室屋がパスの出所を狙った際のギャップ。

そしたらここに入られるの嫌だから塞いじゃおう作戦をするとこうなるでしょう。

f:id:brgacha:20190309103713p:plain

金崎が入り込むスペースは小さくなり、狙いにくくなります。

しかし、それに伴って久保はポジションを上げにくくなります。前に行って外されてしまうと室屋がブルシッチと金崎の2人を相手しなければいけない状況に晒される可能性があるからです。

全体がバランスを整えようとすると鳥栖は後ろでボールを保持できる展開になるでしょう。

 

先制してからこの戦い方にするのはアリだと思いますが、その場合は鳥栖ビルドアップ時の数的不利に対してどう対応するのかという問題とは向き合わなければいけません。

東がCBまで出ていくの?CHが鳥栖の中盤に厳しくいくの?ポジションを守るの?

開幕からの2試合は対3バックボール保持に対して、明確な回答が見つかっていない印象で、この課題を克服できないと3バックが多くなっているJ1での戦いは厳しくなりそうです。

 

話を戻すと金崎に対する対応をどうするのか。

スペースを与えても前から奪いに行くのか、ボールを持たせてもスペースを消すのか。

ヒョンスのカバーと室屋のポジショニングは重要になると思います。

 

 

また、上図でも示していますが、鳥栖のビルドアップはWBが大きく開いて幅を取ります。3バック+中盤3枚のサポートでボールの前進を図りますが、開幕からの2試合ではあまり上手にいきませんでした。名古屋は前4枚を鳥栖最終ラインにぶつけたことで鳥栖は前進の術を失ってロングボールという展開もありました。

不安のあるビルドアップを狙って得意のショートカウンターは一番可能性のある攻撃になるかもしれません。

 

 

鳥栖の守備~

名古屋・神戸とボール保持に重きを置くチームとの対戦だったということもありますが、ビハインドにならなければそこまで前から追ってきませんでした。

プレスのラインをミドルサード(ピッチを横に3分割した真ん中のエリア)あたりに設定し、5‐4‐1セットか4‐4‐1‐1セットでブロックを組みます。

中盤の選手は人を見る意識が強いように感じましたが、DFラインは自分の担当個所に来たらマークにつく、というような印象を受けました。

ゾーンで守るわけですが、マークの受け渡しやスペースの埋め方が曖昧で、下りるFWのマークやCBがつり出された後の連動には弱点があると思います。

となるとキーマンはディエゴ久保

ディエゴの引く動きに対して様子を伺いながら、味方が空けたスペースに入りこめて狭いエリアでも力を発揮できる久保にボールが出せればチャンスは多く作れるでしょう。

 

また、2節神戸戦では義希が片方のCHに対して強く出てきました。

前を向かせて自由に持たれたくないことからの対応だと思いますが、当然彼の背中にはスペースが生まれます。ビジャの得点は義希のプレスが周りと連動せずに空いた背中のスペースを間接的(そこにいなかったことでパスコースが生まれた)に使われています。

義希がどこまで出てくるのか、またそのスペースをいかにして使うか、という点にも注目。

 

 

開幕から川崎・湘南と強くプレスをかけてくる2チームとの対戦だったため、鳥栖が引いてきた場合はそこでの攻撃手札が試されそうです。

 

 

まとめ

東京側のポイントとしては

 

●金崎をどう見る?

●ブロックを引いた相手への攻撃

→スペースをどう作る?フリーの選手をどう作る?ジャエルで殴る?等

 

が大きなところでしょうか。

 

 

鳥栖は新しい監督を迎えてからリーグ戦2試合はまだ手探り感がありました。

ボールを保持したいという考えを持っているようですが、2試合ではそれをあまりうまく実践できていません。

第3節はどうなるか。意地でもボールを繋ぐのか、割り切って放り込むのか。

 

東京としては繋ぎに来てくれたほうが好都合だと思います。

 

ここでは挙げなかった、クエンカとイバルボの一人で何とか出来ちゃうタイプの選手が出てこないことを願ってプレビューを締めます。

 

 

ポジティブな楽しい試合が見れるといいですね!

それではまた!

 

【FC東京】 J1リーグ第2節 vs湘南ベルマーレ レビュー

 

 

がちゃです。

twitter.com

 

先にプレビューもご紹介。

 

brgacha.hatenablog.com

 

2節湘南戦の振り返りです。

会場はShonanBMWスタジアム平塚

FC東京としては開幕から2連続アウェイゲームとなります。

 

 

 

スタメン

f:id:brgacha:20190302233316p:plain

 

ホームの湘南は怪我明けの菊地が中川に代わってスタメンに。

東京は前節と同じメンバーとなりました。

 

 

~前半~

 

●湘南ボール保持vs東京守備

まず開始早々で東京の守備構造が少しわかります。

f:id:brgacha:20190302234911p:plain

FW2枚がCBを監視できていて、左のCBにパスが出てきたときに右SH久保が前に出てプレスをかけます。この時内側のCH・シャドーの選手へのパスコースは切りながら寄せて、外へ誘導。右SB室屋は杉岡の位置まで上がりタイトについていきます。

1番の狙いは前向き状態でのインターセプト。それができなくてもバックパスで戻させればokという狙いに見えました。

WBへのパスが出た段階で距離が遠く、寄せが少し甘くなってしまった場合には久保とFWがプレスバックでプレッシャーをかけてCBへ戻させるようにします。

これがうまくいかなかった時には逆サイドフリーの岡本へ展開される嫌な流れになりました。

上図は右サイドの形ですが、左サイドでも基本構造は同じでした。図は割愛します。

 

前節の川崎戦では大外の選手にはSHが対応して、SBは極力最終ラインに留まるようにしていましたが、この試合ではSBがガンガン前に出て迎撃します。

SBだけでなく、CBも人についていく意識は非常に強かったです。

 

湘南ビルドアップ時には下りる松田に橋本がついていくシーンも何度かありました。

 

東京としては敵陣~中盤エリアで前向きの状態で奪って相手3バックに特攻する、という形が攻撃の1stプランだったのではないかと思います。

 

 

 

 

湘南はこの人に強くついてくる傾向を狙ってきました。

 

f:id:brgacha:20190303011706p:plain

上図は15分のシーン。

室屋がついてくることで空くスペースを菊地が狙います。ここにスライドしてきたヒョンスが対応しますが、ファウルに。ここで得たFKが先制点に繋がります。

東京はPA内で事故を起こされて髙萩がオウンゴールを献上してしまいました。

 

f:id:brgacha:20190303003435p:plain

上図は26分のシーン。

山根のあがりから。まず山根がカットインすると同時に武富が外へランニング。これに橋本がついていき、パスコースを空けます。そして下りて受けようとする山﨑にヒョンスはきっちりついていきます。これらによって一番危険な中央のスペースががら空きに。もちろんここを狙ってパスを出されました。

室屋がしぼってついていったことと、結果的にパスがずれたことで事なきを得ましたが、リスク管理に疑問が残るシーンでした。

 

この事象に関しては、まず始めに橋本が中央を空けたことでヒョンスが前に出ていかなければならなくなりました。何故なら、ついていかなければ前を向かれてしまうから。山﨑はパス出しも上手な選手なので前を向かせたくありません。橋本が中盤中央にステイできていれば山﨑が下りて受けても寄せられるのでヒョンスもステイできたはずです。

 

湘南の狙い2つ目。

ポジティブトランジションからの山﨑狙い。

前節札幌戦でも攻撃のメインになっていましたが、湘南はボールを奪ったら山﨑をめがけてパスを出します。深くまで下りたり、サイドまで流れたりする山﨑にCBがどこまでついていくのかという問題は常にありました。良い対応だったのは33分に深い位置で森重が潰せたシーンくらいで、他は起点を潰せなかった印象です。

実際に前半終了時の平均ポジションを見ると山﨑はトップ下のような位置にいました。フォーメーションでは1トップですが、実際は山﨑が司令塔のような役割(偽9番?)でシャドーとWBが点を取るシステムになっている湘南。

 

 

この試合、東京2CBはトップの山﨑に加えシャドーの菊地&武富の計3人のマークを担当していました。下りる山﨑に色んなところをうろつくシャドーの2人。前半を通じて誰につくか、またはスペースを埋めるべきかどうかを迷っているように感じました。

 

この要因としてCHが中盤でフィルターになっていない問題があったと思います。

下りる松田等、人についていくことで場所を空けがちな橋本と危険なパスコースを切れない髙萩というような印象です。

 

 

 

●東京ボール保持vs湘南守備

 

f:id:brgacha:20190303012530p:plain

ざっくりとこんな感じ。

前半終了時のアタッキングサイドが東京は左が53%と高い数値が表している通り、基本的には左サイドでビルドアップを行いました。ビルドアップ参加に不安のある室屋を組み込まない意図だと思います。

そして湘南はセットした状態からはそこまで追いかけてきません。ミドルサードの入り口くらいに1stラインが設定されていました。シャドーはCHへのパスコースを警戒しつつ、SBへも寄せられるような位置取り。CBが持っているときには松田がCHを監視するために前に出てきて、SBへでると自分のポジションへ戻るというようなイメージで守っていました。

f:id:brgacha:20190303013326p:plain

f:id:brgacha:20190303013724p:plain

※イメージ

湘南も人につく意識が強く、自分のポジションを捨ててアタックしに行きます。一番のストロングであるトランジションで優位に進めたいという狙いだと思います。

前述した湘南ボール保持の場合と同じように東京もこの習性を狙います。

CB3枚以外は躊躇なくポジションを捨てて前に出てきます(時にはCB1枚も出てくる)。そのため、東京2トップが3対2もしくは2対2の状況が作れることが増えました。その状況になった場合には繋がずにわかりやすく裏のスペースめがけて蹴りました。

ディエゴと永井は強烈な個の能力を持っている選手でボールが収まらなくとも脅威を与えることができます。

実際に26分、上図と同じ場面から小川が岡本の裏に蹴りこんだところから同点弾が生まれ、39分も裏へのパスから逆転弾が生まれました。

個人能力頼みの得点と言えばそうですが、それで点が取れるならそこに任せちゃう、という狙いで逆転に成功。

 

 

トランジション

前半はリードで折り返し、チャンスも多く作った東京ですが、ペースは湘南が握っていたようにも思います。

その要因として挙げられるのがトランジション(攻守の切り替え)の質。

湘南は敵陣深くでのネガティブトランジション(攻→守の切り替え)では素早くプレスをかけて東京に自由を与えませんでした。ここもCB3枚以外は深くまで出てきました。

数回、全体が前に張りすぎて1stDFがいないというリスク管理のミスがありましたが、ほとんどはハメられました。

ポジティブトランジション(守→攻の切り替え)でも山﨑にボールを当てるというシンプルな手段で前進や陣地回復に成功。

 

対して東京。

ポジトラは湘南のネガトラの質に窒息。

ネガトラはCHが二人ともサイドや高い位置に行くことで中盤が空洞化。カウンターを許すきっかけを自らで作ってしまった印象でした。

 

 

~後半~

 

湘南は坂に代えて古林を投入。

前半終了間際に坂がハムストリングを痛めてしまい負傷交代。

 

開始直後から数分でCBの位置を入れ替えてこのような配置に落ち着きます。

f:id:brgacha:20190303120818p:plain

大野を中央へ。山根と岡本の左右CBでより攻撃的な布陣になりました。

 

湘南の狙い

クロス制度のある古林を入れたこと、右CBの岡本を高い位置に上げることで右からクロス狙い。古林にボールが渡ると全員が中央に密集し、シンプルに放り込む作戦でした。

また、リスク覚悟で右サイドに齊藤が加勢し、マークに迷いを生ませます。

f:id:brgacha:20190303122259p:plain

岡本と齊藤は裏に抜ける動きなどで古林をフリーな状態にすることを狙います。そして前線3枚は中央に張り付いてクロス待ち。山﨑と武富が突っ込んで、菊地と杉岡がこぼれ狙いの役割だったと思います。

東京は2トップに守備に下げず、カウンター狙い。湘南はリスクを負ってバランスを崩しているため、配置的に髙萩と久保を起点にカウンターを仕掛けることができます。

 

そして48分にクロス攻めを跳ね返したところからのカウンターでPKを獲得。

ディエゴが不思議な踊りPKできっちり決めて3点目。東京は2点リードに。

この得点、ディエゴの起点が素晴らしかったのですが、最後方から駆け上がってきた室屋のスプリントがすごかったです。たぶんカウンターからこれをしたいがために室屋を起用しているのではないかと思います。

 

2点を追いかける湘南はめげずにクロス攻め。

これが54分に実を結びます。

 

f:id:brgacha:20190303123710p:plain

松田がクロスを入れたときのおおよその配置。

中央では4対4ができています。杉岡がPA前でこぼれを狙っているため久保はDFラインの前に位置取り。

1対1で負けないように、という非常にシンプルな対応になりますが、山﨑の動きによって一瞬の迷いが生じます。

f:id:brgacha:20190303124200p:plain

山﨑はクロスが上がる直前には室屋の目の前にいますが、上がった瞬間にヒョンスの前を取る動きをしました。これによって室屋は山﨑について行くか一瞬迷い、武富への意識が少しだけ薄れました。それを見逃さなかった武富が背後から出てきてGET。

※図では武富がゴールから遠い位置にいますが、実際はファーポストあたりにいました。

 

クロスの軌道・選手の配置的に林が飛び出すのは非常に困難。久保も杉岡のポジションを考えれば適切な配置だと思います。結果として、室屋が外にクリアしなければならなかったと思います。

ただし、その判断を迷わせた山﨑の動きと抜け目なかった武富のゴール嗅覚を褒めるべきでもありました。

 

 

個の得点直後55~60分は東京がボールを持ち、落ち着かせます。

湘南は引き続き、古林からのクロス、そして左CB山根の攻撃参加で攻めます。

この山根の攻撃参加に対しての東京守備の判断が曖昧で、スルスルと抜け出されることが多々ありました。ここの対応は最後まではっきりしなかった気がします。

 

66分 湘南 菊地→指宿

 

怪我明けの菊地を下げて高さのある指宿を投入。

1トップに入れて山﨑を一列下げます。

 

攻撃としては変わらずクロス放り込み。

古林からだけでなく、杉岡サイドも使います。

東京としては基本的に効き足側を切る立ち位置を取りましたが、二人とも逆足でもクロスが入れられました。そのため、放り込み自体を完全に防ぐことはできず、中で跳ね返さなければいけない状況を作られて非常に嫌な対応となりました。

 

また、東京DFライン4枚が中央に絞る特徴から逆サイドのSB裏(背中)を多く狙ってきました。

 

74分 東京 久保→大森 永井→ナサンホ

 

2枚代え。疲労を考慮しての交代だと思われます。

 

75分 湘南 山﨑→野田

 

こちらも疲労による交代でしょうか。どちらにせよ高さがある選手が残ります。

 

 

ここからは1点を守りに入る東京。

4‐4ブロックを敷き、2トップは簡単に繋がせないように前で牽制しつつ、前に残ることで湘南最終ラインの押し上げの抑止もします。

 

ここから事故を狙ってひたすら放り込む湘南。

気持ちで守る東京。

何度か事故が起きかけましたが、ギリギリでしのいでタイムアップ。

 

湘南1-3FC東京

 

東京は開幕2戦目で勝ち点3を手に入れました。

 

 

 

~雑感~

 

最終的に守り切って勝利しましたが、課題も多い試合に感じました。

 

①試合の締め方(チーム全体の意識共有)

1点を守り抜く時間帯(75分~)に橋本が可能性の低いミドルシュートを打ったり、サンホが敵陣で無理に繋ごうとしてトランジションから一気に自陣まで運ばれたり。(78分サンホのシーンはシュートで終わるか、外へ運んで時間を使うべきだったと思います。)

チームとしてどうしたいのかが全体ではっきりしていたの?と疑問に残るシーンが何度かあったように思います。

 

②相手に引かれたときの崩し

開幕から2試合、川崎・湘南とプレスをかけてくる相手だったことから、この状況は少なかったですが、基本的に「アイデア出していこうぜ!」というようにしか見えませんでした。永井とディエゴの特攻で殴れれば全く問題ないですが、相手によってはそれが使えないこともあるでしょう。そうなったときにどう攻めるのか。そこの手札は増やしたいところです。

 

 

逆にポジティブな要素。

 

①久保の守備

前節川崎戦では久保の守備負担を少なくしていたように感じましたが、この試合では左右で大きな差は無かったように感じます。

マークの付き方で怪しいところも少なからずありましたが、強度の部分ではあまり問題は感じませんでした。体力的にフルで使うのは難しいかもしれませんが、現段階で守備の大きな弱点にはならなさそうです。

 

②小川のキック

この試合、前半の2得点は小川のフィードが起点になっています。

彼は元々キック精度に定評がある選手です。この試合ではそのストロングが生かすことができ、勝利へ大きく貢献しました。

FKキッカーに久保いる今、太田はかなり頑張らないと出場機会がなくなりそうです。

 

 

 

まとめ

スタッツを見てもそうですが、東京がチャンスを多く作った試合でした。

一方で攻守に上手くいっていたかというとそうでもないような気がします。

特に前半は湘南の方がよかったと感じました。

半分ラッキーのような形で2得点取れたことが最後まで助けになったと思います。

 

ただ、勝ちは勝ち。

この結果を手に入れた事実をポジティブに捉えたうえで改善へのチャレンジはしていきたいですね。

 

 

次節はvs鳥栖。東京はホーム開幕戦です。

チームとしてガラッと変わったはずの鳥栖に対してどこまで戦えるかを楽しみにしましょう。

【FC東京】 J1リーグ第2節 vs湘南ベルマーレ プレビュー

 

がちゃです。

twitter.com

 

さて今回は湘南戦のプレビュー。

 

プレビューと言えばこれまでの対戦成績や相性など数字の部分を多く取り上げると思いますが、私はやりません。

気になった方はググってください←

 

 

ということで本題へ。

予想スタメン

 

f:id:brgacha:20190302082341p:plain

 

東京は前節と同じメンバーが濃厚。

湘南もおそらく変えないで来るのではないか。変更箇所があるとすればCHと中川のところでしょうか。

 

 

~試合展望~

 

トランジション(攻守の切り替え)に強みを持っているチーム同士の対決。

前節は川崎・札幌と、それぞれボール保持に強みを持ったチームとの対戦でカウンターを軸として攻めました。

 

そこで1つポイントとなりそうなのが、どちらがボールを持つのか、という部分。

 

前節を見る限り、東京側はビルドアップの形を昨年からバージョンアップさせており、ボール保持の部分でもチャレンジしようという意識は薄っすらと見えました。(川崎のボール保持が長かったことで短い時間しか確認できませんでしたが)

対して湘南はネガティブトランジションに弱点のある札幌が相手だったという側面はありますが、ボールを保持するよりも素早く攻め切ってしまおうという狙いが多いゲームでした。

 

湘南としては奪ったら縦!の狙いでボールを敵陣に置き、高い位置でプレス。剥がされたらリトリート、という対応が増えると思います。

対して東京は「ボールくれるなら持ちます」というスタイルになりそう。

 

 

ここで前節湘南vs札幌を見ての気になったことを何点か挙げます。

 

①WBの守備ポジション

②攻撃のキーマン山﨑

③CBへのプレス

④CH2枚の役割

 

 

まず①について

札幌の選手配置が前に多かったこともありますが、WBがあまり前に出てきませんでした。文字通り5バックという形。シャドーの二人は基本的に前プレに行くため、中盤はCH2枚で守ることに。そうするとどうしても中盤のサイドは空いてしまいます。

f:id:brgacha:20190302085404p:plain

このようなイメージ。

湘南が前から強く追ってきたとき、東京はSBがこの位置で受けられるかがプレス回避のポイントとなりそうです。

このためにはビルドアップ時にSBの細かいポジショニング修正が必要になってくると思います。

上図では自由に持っている状態ですが、実際にはもっとプレッシャーを受けるはず。その時にBOX型のビルドアップで回避できれば問題ありませんが、今まで東京がこの形でボール回しをしていた記憶があまりないです。かといって前節のように橋本を下ろしても3対3でマークがはっきりするだけなので、良い手とは思えません。

となると、SBが重要になるのではないかと。

プレスが強い状況では低い位置でパスコースを作る。CBに比較的余裕があるときは高い位置で受ける準備をするといった感じです。

f:id:brgacha:20190302090631p:plain

 

f:id:brgacha:20190302090852p:plain

※イメージ

 

 

②攻撃のキーマン山﨑

湘南はボールを奪うとまず山﨑を狙います。

山﨑はボールサイドで待ち、少し下りて受けます。

ここで収めて時間を作ることにより、シャドーやWBが走りこんで前向きで受けます。

山﨑を経由することで湘南の走力というストロングを生かしてくる攻撃です。

札幌戦の攻撃では山﨑がCBを引き付けながら下りてきて、前向きの選手に素早くスイッチするパターンでチャンスを作っていました。

f:id:brgacha:20190302092033p:plain

※イメージ

 

まずは山﨑への対応をはっきりさせること、CBが出たら必ず潰すこと。これら徹底できれば湘南攻撃の迫力はほとんど消せるはずです。

また、湘南WBはポジトラからの切り替えが異常に速く、気づいたらカウンターの最前線で絡んできたりします。東京SBの戻りの速さもポイントかもしれません。

 

 

③CBへのプレス

④CH2枚の役割

 

まず③について。

ルヴァンカップ決勝でも同じようなことをやっていたので昨年からかもしれませんが、1番前の山﨑には中盤へのパスコース遮断を任せ、シャドー2枚がCBに対してプレスに行くことが多い印象でした。湘南のシャドーは比較的層の厚いポジションであり、運動量が落ちてきたら交代できるという計算なのかもしれません。

次に④。

齊藤が相手CHの下りる動きに対して強くついていくシーンが何度かありました。

対してもう一人のCH松田は中盤底にステイ。齊藤が前に出ていった場合、5バック+1で後ろの管理を行います。

 

この前に出てくるプレスによって中盤はより空きやすくなります。

そこで狙うべくは東と久保が中央に入って受けること、もしくはディエゴが少し引いて受けること。プレスを回避すること前提になりますが、何でもできるこの3選手が受けられればかなりの脅威となるはずです。

 

f:id:brgacha:20190302093529p:plain

特に2018の湘南戦ではディエゴがスーパーミドルを決めてますから、DF陣としてシュートを打たせたくないはず。となると永井が抜け出せる場所も作れるのではないでしょうか。

 

 

 

 

個人的にはこのような狙いを持って戦えたらどうかな!と感じました。

湘南はゴール前では泥臭く体を投げ出して守ってくるので、集中を切らさず愚直にやり続けることが大事かなとも。最後は気持ちです!!笑

 

 

 

それぞれで注目する箇所を決めて見るのも楽しいですよ!

それではまた!